TOP LEADER Interview|育英センター・片山学園 理事長 片山 浄見 氏

学習塾『育英センター』で培った成果のすべてを学校教育に生かす。

sIMG_6688片山学園は『育英センター』がつくった富山県初、唯一の私立中高一貫校。2005年4月に中学校、それから3年後の08年4月に高等学校が開校し、わずか10年足らずで東大・京大・医学部への輝かしい合格実績を誇る名門校に。学習塾から学校づくりと、富山に質の高い教育環境を築いてきた片山浄見理事長に、これからの夢、そして教育の在り方について語ってもらった。

国公立志向の強い北陸の地に新風を巻き起こす。

─育英センター、そして片山学園を設立したきっかけは。

「僕は大学卒業後、東京の広告会社に入社したのですが、一年後に富山に帰ることになり、地元の建設資材会社に勤めました。ある日、得意先の人から息子さんの家庭教師のアルバイトを頼まれたんです。その子は不登校で、最初は勉強に全く興味を示さなかった。けれども、何回か通ううちに少しずつ興味を示してくれるようになって、成績も当初の400番から30番くらいにまで上がり、3年後には富山県の、それも上位の公立高校に合格しました。
一生懸命頑張れば、必ず結果に結びつく。その経験をきっかけに〝僕の進む道は教育だ〟と、会社を辞めて学習塾をつくりました。それが昭和52年10月1日、僕が28才のときのこと。嬉しいことに、『育英センター』の生徒第一号として入塾してくれたのは、その教え子だったんですよ。
『育英センター』は、進学塾ではありません。成績のいい子も悪い子も、とにかく勉強で悩んでいる子、もっと勉強を頑張りたい子のための塾。そういう思いで塾経営をしてきました。けれども、生徒一人を育てるためにはある程度の時間と環境が必要です。学習塾では時間にも環境にも限界がある。だったら、学校をつくればいい。学校をつくれば24時間、365日生徒を見ることができるから。そうして富山では初の私立の中高一貫校を立ち上げる決意をしたんですね。

2016年4月に、富山市内の中心部に設立予定。地域に根差した私立小学校を目指す。

2016年4月に、富山市内の中心部に設立予定。地域に根差した私立小学校を目指す。

とはいえ前例がないだけに、失敗は何度も。1度目は土地の問題、2度目は認可の問題、3度目は資金の問題…いずれも辛い思いをしたけれど、失敗を重ねることによって、それが糧となって成功へと導くことができたと思う。失敗のない人生なんてない。挑戦すればするほど失敗はあるわけで、失敗を恐れて挑戦しなければ何もはじまらない。事が大きければ大きいほど失敗も多いし、リスクも大きいけれど、それに見合うだけの喜びもいっぱいあると思います」

日本の将来を担うリーダーを育てることが究極の目的。

─2013年度の合格実績が大変躍進され、難関大学の進学校というイメージが定着してきたのでは。

「卒業生も3期生となり、少しずつ結果は出てきていると思います。その一番の原動力は、中高一貫校であるということ。今年、東大理Ⅲに合格した生徒というのは、中学3年生のときに落ちこぼれたけれど、歯を食いしばって頑張った生徒なんです。中3で落ちこぼれたら、高校受験で富山県の進学校には入るのは難しい。中高一貫校だったからこそ、やりなおすことができたんですね。sIMG_6720
それから、寮生のライバルがいるということ。互いに切磋琢磨して、大勢の先生や家族にも助けられながら勉強に励んだことも合格につながった要因だと思います。
来年は東京大6人、京都大3人、国公立大医学部は15人と皮算用をしています。先輩が結果を出すと後輩もそれに続けと元気づけられますし、一つの伝統になってくれるものと期待しています」

─今後の学園の抱負をお聞かせください。

「この学校をつくった目的は、日本を担う人材、将来の日本を引っ張るリーダーを育てること。
つい先日、前国連事務次長の赤阪清隆氏がわが校で講演をしてくださって、こうおっしゃった。〝日本だけじゃなく、世界を担う人材になってほしい〟。そして、〝僕の夢は国連の大会議場で講演することだった。その夢を実現できたのだから、夢はきっと叶う〟と。まさしくこの学校の究極の目的はそれ。単に難関大学へ行くとか、いい会社に就職するということだけではない。世界のいろんなところで活躍できる人材、自分の夢に向かって邁進する人間になってほしいのです」

幼稚園から大学まで学べる学園を。

─2016年4月には小学校を設立されると発表されていますが。

「2015年の春に新幹線が開通します。すると東京─富山間は約2時間で行き来できるようになるので、富山の離れたイメージが解消されると思います。そうした背景もあって、富山市内の中心部に新たに小学校を開校することにしました。
この小学校では、しつけ教育をしっかりやりたいと思っています。片山学園の中学生を見ていても、しつけが行き届いていない生徒がまだまだいるんですね。〝3つ心、6つしつけ、9つ言葉、文(ふみ)12、ことわり15〟という言葉があります。これは3歳で心根を育て、6歳までにしつけをし、9歳で言葉遣いを教え、12才で読み書きそろばんをできるようにし、15歳までに物の道理をわかるようにするということ。小学校の6年間というのは、人を伸ばすとても大事な時期なんですね」

─地域の人の反応はいかがでしょう。

「地域住民の中には〝私立だから地域の学校としての役割を果たしてもらえないのでは〟と、危惧する人もいます。でも、そうではなくて、盆踊りや体育大会を一緒に行うなどグランドや建物も地域の人に使ってもらう。もしもの時には防災地区センターとしての施設にもなる。そんな地域に開かれた小学校づくりをしていきたいと思っています」

─片山学園は小中高一貫校になるということですか。

片山学園全景:富山平野を一望する好立地に、どっしりとたたずむ片山学園中学校・髙等学校。豊かな自然に抱かれてのびのびと学ぶことができる。

片山学園全景:富山平野を一望する好立地に、どっしりとたたずむ片山学園中学校・髙等学校。豊かな自然に抱かれてのびのびと学ぶことができる。

結局はそういうことになるでしょう。小学校の定員は一クラス30名で、二クラス60名を考えています。片山学園の定員は一学年120名。小学校を卒業した60名はそのまま片山学園へ、あとの60名はその他の学校から募集することになると思います。将来的には新たに幼稚園も設け、また大学も設立するという構想を練っています。ゆくゆくは幼稚園から大学までの一貫校をつくりたいですね」

─大学の設立はどのくらいのスパンで考えていますか。

「僕は75才までは現役でいたいと思っています。今64才ですから、あと10年くらいの間に設立できればいいですね。もし自分ができなくても、構想は次へ引き継ぎたいと思っています。
地方の大学は私立も公立も、経営力が問われています。富山県でも定員を充足していない学校が半分以上ありますが、必要な大学はつくるべき。淘汰の時代にどう生き残るのかではなく、どう発展させるのかを常に考えれば自ずと答は出てくると思います。
いかに生徒や保護者のみなさんに評価され、時代のニーズに合わせた魅力ある大学をつくることができるか。その源になるのは、経営者の経営判断能力です。経営者というのは時代を見る能力、人を見抜く能力、運を切り開く能力の3つが必要。運は、みんな平等にやってくるものだけれども、うまくつかむ人とそうでない人がいる。〝この時だ〟という時に勝負をかけられるかどうかなんです。これからも足下を見ながら、石橋を叩きながら、気を見ながら、勝負していきたいですね」

─下村博文文科大臣になって、文科行政はどのように変わると感じていますか。

「非常に大きな期待感を持っています。ただ一つ注文するならば、高校無償化に関してですね。教育は投資だと思うので、すべてを平等にすることはないと思う。国や行政ばかりに頼らないで、自分の力でやり抜く、自分で切り開くということも大事だと思います。
それから私学でこれ以上の補助金も必要ないと思う。今1人あたり30万円の補助金が出ていますが、これで学校経営ができなかったら、それは経営者の怠慢です。どういう学校をつくるのか、どう学校を運営するのか志が問われていくと思います」

みんなが私塾界!