大阪府教委と株式会社mpi松香フォニックスが、 小学生向け英語学習プログラム『DREAM』を共同開発

大阪府教育委員会と株式会社mpi松香フォニックス(mpi)は、府内の公立小学校向け英語学習プログラム『DREAM』を共同開発した。mpiは、英単語の綴りと音の規則性を学ぶフォニックス学習法を基にした英語学習教材を開発、販売する会社で、公立小・中学校をはじめ、全国約450のmpiパートナー教室や各地の英語スクールなどに導入されている。このプログラムについて、同社の竹村千栄子代表と教育事業部 学校営業推進統括の高塚勝久氏に話を伺った。

mpi

mpi松香フォニックスの竹村千栄子社長          高塚勝久氏

プログラムの開発を終えたそうですが、今後の展開を教えてください。

switch-on竹村 今回の開発は、府の事業に参画し、公立小学校向けの英語学習プログラムを新たに作り出すという、非常に夢があると同時に、大きな責任・使命感を感じるものでした。今後は、大阪府内でのプログラム導入をサポートします。 加えて、共同開発したこのプログラムは、府教委が取り組まれる府内の公立学校以外については、弊社のプログラムとして商品化し、販売することが可能となっております。大阪府教委版が「DREAM」、弊社版は「小学校英語 SWITCH  ON!」(右図)です。この映像教材をできるだけ多くの小学校に活用していただけるよう、活動していきます。

 

このプログラムが及ぼす影響をどうお考えですか?

竹村 多くの方が、今すぐ小学校で英語学習をはじめるのは難しいのでは?と考えていると思います。ですが、府教委がめざす学びのスタイルを、実践研究を通じて見て、「これならできる。」「この方法しかない!」と、感じました。

高塚 最大のポイントは、公教育へのフォニックスの導入だと思います。これまでですと、フォニックスを導入したいと思っても、誰がどうやって教えればいいのかわからないという課題がありました。しかし、このプログラムでは、児童が、できるだけ多くの英語を見て聞いて、自分で気付いていく。先生も児童と一緒に楽しみながら、学んでいく。これが普通にできるのです。公立小学校で、フォニックスに触れながら、英語を学ぶことになると、同じことをしている塾は変化を迫られることになるでしょう。小学校で何が起きているのか、しっかりと把握して、対応を検討していかなければならないでしょう。

竹村 本プログラムの本質は、いうなれば「先生が教えないプログラム」です。この本質を理解していただければ、ご用意したシナリオ案は、あくまでご提案なので、学校やクラス、児童の状況を見ながら、モジュール活動の内容をカスタマイズすることも可能です。こうした高い汎用性も、本プログラムの強みです。

小学校英語への取組みについて、お悩みの学校も多いと思います。このプログラムでその解題を解決し、日本の将来を担う子どもたちの英語学習のお役に立ちたいと考えています。

 

『DREMA』の開発について、大阪府教育委員会事務局 教育総務企画課の中原淳太・教育イノベーション特命グループ参事に聞いた。

中原淳太氏

中原淳太氏

このプロジェクトは、グローバル人材の育成を視野に入れた大阪府の英語教育改革の一環として、小学校1年生からコミュニケーションツールとしての英語にできるだけ多く触れてもらい、英語の4技能をバランスよく習得するための素地を築くことをねらいとするものです。小学校の実態を踏まえ、英語を専門としない学級担任によるモジュール活動で児童の学びを支える仕組みを作るといった野心的な取組みで、府教委の構想をもとに、2014年7月から民間事業者と共同で開発をスタートしました。同年9月からは、府内7市町立の16の小学校で実践研究を開始し、プログラムの根幹となる、「担任による活動」と「同じ学習素材に毎回違った視点で触れ、学びを積み重ねていくラウンドスタイル」について、試行錯誤を繰り返しました。

大阪府内の小学校でのモジュール活動の様子

大阪府内の小学校でのモジュール活動の様子

当初、動画(アニメーション)を見た児童は、シンプルで分かりやすい内容のため、話の大筋をすぐに理解できてしまい、現場から「簡単だ」という声が届けられました。ですが、場面・状況に応じた機能としての表現が習得できたというものではありません。

例えば、子どもが朝起きて目をこすっている場面を見れば、「この子は眠たい。」という場面は理解できますが、そのときの表現(“ I’m  Sleepy.”)と結び付けることがポイントです。このことを念頭に、活動のシナリオ案を6カ年分(全627回分)を整備しました。

また、「プログラム」と呼んでいるのは、6年間の体系的な学びをデザインし、小学校での学びのサイクルとなる学期を単位に、テーマ、ねらいと目標を設定しているからです。これに使用する学習素材の解説を加えた「学びのガイドライン」も作成しました。担任の活動に奥行と深さを提供できればと考えています。

コンテンツは、いわゆる「英検5級相当程度」と言っています。小学生の社会性、価値観等に照らし、触れておくことが望ましいと考える英語を整理すると、概ねこの水準が基本となるということです。毎回10 分から15分の活動を1週間に3回、6年間絶え間なく、積み重ねていくことで、児童は無理なくその多くを吸収できるでしょう。

 

【註釈】『DREAM』の正式名称は、「大阪府公立小学校英語学習6カ年プログラム」、英語名称を「Osaka Program Designed for Real EnglishAcquisition by Modules」としている。その略称・愛称として「DREAM」というパッケージ名称がつけられた。DREAMには、児童が夢や希望を膨らませ、国際コミュニケーションツールとしての英語を使って、自分の夢〝DREAM〟を語ることができるような姿を1つの目標に、小学校での6年間の英語学習をサポートするという意味も込められている。

 

mpiロゴ
〈外部リンク〉
mpi松香フォニックス ウェブサイト
www.mpi-j.co.jp

 

 

みんなが私塾界!