英語嫌いの子供を救う、強力な教材が誕生


低所得家庭の子どもを対象に、学習支援をおこなっているNPO法人キッズドアは、今年7月に『英語が本当に苦手なあなたのための 英語スタートブック』を発売した。
 キッズドアは現在、50教室で教えているが、1教室に数人はアルファベットを完璧に書けない子や、基本的な英単語をほとんど覚えていない子がいることに問題意識を持っていた。今まではマンツーマンの指導で解決していたが、昨年6月に「低学力克服プロジェクト」を立ち上げ、同8月から教材の開発に着手した。

 開発を担当したのはキッズドアの教育支援事業部 教育開発室 室長の山本香苗氏だ。新卒でベネッセに入社した山本氏は、2年目からキッズドアのボランティア講師に参加。そして昨年7月に正式にキッズドアのスタッフとなり、『英語スタートブック』の開発に携わることとなった。
 山本氏は、アルファベットや単語が満足に書けない子が、「読み」ができないことに注目。同教材では、アルファベットや単語の読みも覚えられるようにした。音がわかると、子供たちも覚えやすいようだ。

 また、テキストを制作するにあたっては、圧迫感を与えないよう文字を大きくしたほか、漢字が読めない子も多いためルビを振るなど工夫した。さらに、『英語スタートブック』とは別に『英語が本当に苦手なあなたのための 英語チェックテスト』も開発。覚えたことをすぐテストすることで、達成感を味わえるようにした。
 その結果、1つのチェックテストで満点を取る子も出てくるようになった。「それまでは『自分にはできない』と言っていた子も、『できるかも』とアンケートに答えてくれるようになったり、自分の殻に閉じこもっていた子がほかの子としゃべるようになるなど、英語ができるようになり、確実に自己肯定感が上がっているように思います」と山本氏は手応えを感じている。
 ボランティア講師も、子供を乗せる技能はあるが低学力の子に会ったことがなく、どうやって教えていいかわからないことが多かったが、「テキストができたことで教えやすくなった」と好評だ。

 すでに定時制高校で使ってもらっている以外にも、他の学校からの問い合わせや、書店で取り扱ってほしいといった要望もあり、今後はできるだけそうしたニーズに応え、多くの子供に届けていきたい考えだ。「塾も低学力の子に困っているはずなので、ぜひ使ってほしいですね。特に内申点1、2くらいの子に合っていると思います」。
 価格は2冊合わせて1000円(税込)。今後は数学のテキストも開発したいと意欲的だ。
サイトホームページはhttps://peraichi.com/landing_pages/view/kidsdoorenglish

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