アートとサイエンス、テクノロジーを考えるスタートアップフォーラム、京都で開催

2021年までに京都府警本部本館(京都・上京区)の移転が決まった文化庁。その動きに伴い、京都から日本文化を育成し、発信していこうとする動きが、活発になりつつある。
 京都市では平成29年度から5年間、文化庁補助事業「文化芸術創造活用プラットフォーム形成事業」を活用し、文化芸術都市である京都の持続的な発展を芸・産学官が連携して目指す「文化芸術創造拠点・京都プロジェクト」を展開している。本プロジェクトでは文化芸術の新しい可能性と価値を問う「アート×テクノロジー/サイエンス」がテーマの新しい形態のフェスティバルを中心に、人材育成や国際交流・ネットワークなどの活動を進めている。その「スタートアップフォーラム」として、3月21日にロームシアター(京都市左京区)にて開催された。

国内外から科学、芸術の分野の有識者が集い、自由に広く熱く語り合った。

 京都市文化芸術政策監の平竹耕三氏から京都プロジェクトの概要説明、京都市市長の門川大作氏からの挨拶の後、京都大学総長の山極壽一氏による「京都が目指すアート&サイエンスの未来」と題した基調講演。同氏は人類がアートとサイエンスを生み出すに至った要件は「自己主張」、「共感・共有」、「コミュニケーション」で、その3つの領域をどのように創っていくかがアートとサイエンスとの重要だと説いた。また、京都は東京などに比べて規模の小さいコミュニティである一方、多くの観光客が来るという環境も相まって、このような学際的な取組みもしやすいとも話し、京都から各々が生活デザイナーとして外に発信するようになればとも語った。その後、国内外からの有識者によるトークセッション、パネルディスカッションなどあり、最後まで充実した内容となった。

京都大学総長の山極壽一氏

STEM教育だけに留まらないSTEAM教育が注目される中、これからの日本の教育を考える上でも非常に示唆に富んだスタートアップフォーラムとなった。
 今後も「京都プロジェクト」は京都への文化庁移転を基点にしながら、文化芸術事業、人材育成事業、情報発信事業を柱にして草の根運動を展開していく予定。まずは2020年の3月に開催予定の文化芸術事業を皮切りに、更なる官民連携を図るとのこと。今後の活動を注視していきたい。

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