Category: 月刊私塾界本誌

月刊私塾界2021年12月号(通巻488号)

巻頭言

 新型コロナウイルス感染症新規感染者数が激減した。これから冬期行事に向かう学習塾業界にとり朗報である。

 感染症の専門家は第6波が襲来すると警告を発している。努努感染対策を怠るということは無かろうと考えるが、生徒さんを預かる身として、慎重に対応していただきたい。

 ところでニューノーマルへの対応は如何だろうか。緊急事態宣言下ではそれなりの対応をとられていたと想像する。しかし、宣言が解除されて以降はどうなっているだろうか。

 従業員の出勤状況、会議や研修の実施方法などなど。また、授業のあり方や通塾頻度などはどうなっているであろうか。一度総点検する必要性がありそうである。

 例えば保護者のワークスタイルは大きく変化しているはずだ。そのことが考慮されているだろうか。事程左様に気を配らなければならない。

 貴塾ではリモートワークがどのように、どの程度導入されているのだろうか。そして、リモートワークが広がったことで、働き方の効率性が向上し、柔軟性も生まれているだろうか。こうしたニューノーマルワークスタイル下で、どのように従業員のパフォーマンスを引き出すのか、どのように評価していくのかが問われている。こうした仕組みを整えた会社とそうでない会社、変化に対応できた会社とそうでない会社では、今後、大きな差が生まれるだろう。 だからこそ総点検をしていただきたいと申し上げた。

(如己 一)

目次

  • 6 CatchUp1 個別指導塾Only 生徒から学生講師までもが学ぶ、世界に一つだけの個別指導塾
  • 8 CatchUp2 Kids English Club 安心のサポート体制で子供を成長へと導く、オンライン英会話の「OLECO」
  • 10 CatchUp3 株式会社アルファブライト 続々と登場する有益な東進コンテンツが成績向上へと導く
  • 12 CatchUp4 株式会社ユナイトプロジェクト 塾選びのポータルサイト『塾シル』が新たなステージへ
  • 16 挑む私学 平安女学院中学校・高等学校 時代に合った緩やかな校風と新たな組織体制で再注目
  • 19 目次・巻頭言
  • 20 NEWS ARCHIVES
  • 48 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
  • 49 【特集①】 緊急リモート座談会 新常態の1年を振り返る
  • 62 【特集②】  株式公開企業塾 2022年2・3月期  第2四半期(2Q)決算を読む
  • 72 HOT TOPICS① 『スタディサプリ』担う学校現場のDXの今
  • 74 HOT TOPICS② 学習塾の未来の姿を語る Lacicuが「EdTech企業代表の緊急対談」を実施
  • 80 教育サービス業界 企業研究(109) tanQ株式会社
  • 83 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(334)
  • 84 疾風の如く(149) R塾(東京都) 代表 宮本 智 さん
  • 86 For Whom the 塾 Tolls(7)
  • 88 新米塾長のための「学習塾経営基礎講座」(103)
  • 90 白書界隈徘徊話(81) 西村克之
  • 92 自ら動き出すチームにする方法(87) 中谷彰宏
  • 94 塾の家計簿(55)
  • 96 シン・ジュクジン(新連載)
  • 97 芸術見聞録(101)
  • 98 わが子、就学中(9)
  • 99 塾長の机
  • 100 為田裕行の「教育ICT行」(81)
  • 101 10¹⁵ PETA(9)
  • 102 1981(33)
  • 103 Opinion from School(30)
  • 104 林明夫の「歩きながら考える」(196)
  • 106 塾ソムリエの講師研修指南 西村則康(名門指導会代表 塾ソムリエ)(40)
  • 108 私塾界インサイト(45)
  • 112 塾はどこから来たか、塾は何ものか、塾はどこへ行くのか―そして私(新連載)
  • 114 咲かせよ桜(82) 小林哲夫
  • 118 論点2021(12) 生徒の多様性に対応する通信制高校
  • 122 編集後記
  • 124 Book Review
  • 126 塾長のためのガジェット講座

塾教材DX化最前線 〜英俊社×idea spot×エプソンの事例から〜

2021年10月28日、29日に配信を行った私塾界リーダーズフォーラムONLINE 2021 A/W。第1部はICT教材を販売する企業2社と、それを活用する学習塾1社が登壇した。ICT教材からは、セイコーエプソン P事業推進部の原基彰氏、英俊社の金子直純氏、学習塾からはidea spot(イデアスポット) 代表の竹山隼矢氏が参加した。三者が協働して取り組んだ事業の課題と、成果とは?

収録の様子

課題返却までのタイムラグを短縮

――まずは皆様の簡単な自己紹介をお願いいたします。

英俊社 金子直純氏

竹山 2016年創業のイデアスポットは京都に2教室展開しています。

金子 大阪が本社の英俊社は「赤本」でお馴染みの過去問がメインの出版社で、近年は赤本のデータを使って自由にプリント教材ができる「カワセミライト」を提供しています。

 プリンタなどの製品を展開しているセイコーエプソンは近年、教育事業にもアプローチしています。例えばイデアスポットさんには、英俊社さんのカワセミライトと、オンライン印刷できる当社の「エプソンコネクト」を組み合わせたサービスを、1年間トライアル運用いただいています。

――カワセミライトとエプソンコネクトを組み合わせたサービスは、どのようにして誕生したのでしょうか。

 エプソンコネクト自体が誕生したのは7〜8年前。当時はまだ使い方の提案までしていなかったのですが、私がある大手予備校でチューターをしていた経験があり、教育には思い入れがあったんです。そうしたなか、エプソンコネクトは教育に活用できるとにらみ、コロナ禍前から英俊社の金子さんに相談していました。

――現在はトライアル中とのことですが、イデアスポットさんでのご使用状況をお聞かせください。

竹山 小学生の家庭にプリンタ本体を送り、イデアスポットはカワセミライトでオリジナルの課題を作成してデータ送信。プリンタから課題を出力して解いた生徒は、解き終わったものをスキャンして塾に返送します。これまでは家で解いたノートでやり取りしていたので、解いてから返却するまでに2〜3日かかっていましたが、この方法だとその日にフィードバックが可能。課題に対する生徒の熱が冷めないうちに返却できますし、コロナ禍でも演習量を減らさずに済んでいます。

受験で大成功を収めるなど効果を実感

――トライアルをしてみての感想をお願いします。

idea spot 竹山隼矢氏

竹山 まずカワセミライトについてですが、掲載されている過去問題は全て著作権処理がされているので、安心感があるのが1つ。
 しかも、赤本に基づいているため必ず効果は出るだろうと確信していました。間違った問題に対する類題を他校の入試問題から選び出し、生徒がやりきれる量を調整しながらタイムリーに送りました。そうすることで生徒の負担感を軽減させ、例年よりも多く演習量を確保することができたのは大きかったですね。おかげで今年の受験では大成功を収めています。
 エプソンコネクトを使うことで、この仕組みが実現できたということは、まさしくDXだと思います。

 量販店で売っているプリンタでもエプソンコネクトは使用できますし、インクは1瓶で4000枚ほど刷れるボトルタイプを採用。1年間、インクの交換は1件も発生しておらず、ランニングコストは相当抑えられると思います。

――コスト面の心配が少ないのは嬉しいですね。

竹山 また家庭にもたらすインパクトも大きいものがありました。というのも実際の紙がプリンタから出てくるので、保護者は手に取って見ることができます。麻布や開成といった首都圏の難関中学の問題を手に「我が子はこんな難しい問題を解いていたのか」と、感動してくれていました。

教育事業者に参画してもらいたい

――反対に課題に感じたことをお聞かせください。

セイコーエプソン 原基彰氏

竹山 カワセミライトで問題を作り、ダウンロードしてデータ送信するという手間が大変だなと… 問題が異なれば一括送信ができず、1学年8名のイデアスポットだからできますが、大人数だと難しいと思います。
 また当初はデータが届いたかどうか家庭と塾がお互いに不安で、確認の電話が鳴り止みませんでした。でもカワセミライトの最新版は管理画面が設置され、それが解消されています。

――教育の未来、塾経営の未来に期待することをお聞かせください。

竹山 タブレットが普及しているとはいえ、今現在、テストは紙でおこなわれています。それを考えると、指導においても紙を意識すべきだと考えます。またコロナ禍以前にこのお話をいただいた時は、海外での指導を想定していましたので、海外在住者にも教えられる仕組みを構築したいです。
 それから今回、2つのシステムを掛け合わせることで、新しいサービスが生まれることを実感しました。塾業界にはいろいろな教材がありますが、それぞれの接続性が高めることで選択肢が増え、個別最適化にも役立つと思います。

金子 当社としては今回、赤本の活用範囲を広げられたのは前進だったと感じるものの、反対に過去問しかないので、教科書に準じたものも提供できたらと思います。そういう意味でも他社の皆様もエプソンコネクトに参画していただけたら、盛り上がるのではないかと思います。

 エプソンコネクトはオープンなシステムなので、ほかの教育事業者さんの参画はウェルカムですし、今後は接続性をもっとよくしていきたいですね。
 あと幼少期の学習は紙がメインなので、学習履歴をオープンにすることで、「この生徒は小さい時、こういう勉強をしていた」といった情報を中高の塾に提供し、サポート役に回れればと思います。

竹山 私も生徒の正誤を手作業で分析していましたが、とても煩雑な作業です。紙の学習履歴はデータ化しにくい部分なので、自動化されることを期待しています。

■誌面PDF

■動画アーカイブ

この鼎談の動画は下記リンクより、ご登録いただくことで視聴できます。
https://www.shijyukukai.jp/2021/08/20336

■参考URL

【お詫びと訂正】月刊私塾界2021年11月号スペシャルレポートでの訂正について

 月刊私塾界2021年11月号でのP.70-71Special Report『塾教材DX化最前線 〜英俊社×idea spot×エプソンの事例から〜』の記事中に、誤字など誤りがありました。下記の記事のとおり訂正させていただきます。

Web記事版:https://www.shijyukukai.jp/?p=20882 『塾教材DX化最前線 〜英俊社×idea spot×エプソンの事例から〜』

PDF版:『塾教材DX化最前線 〜英俊社×idea spot×エプソンの事例から〜』

 読者の皆様、並びに、関係者の方にご迷惑をおかけいたしましたこと、お詫び申し上げます。

月刊私塾界2021年11月号(通巻487号)

巻頭言

 今年のノーベル文学賞を受賞したアブドゥルラザク・グルナ氏はタンザニアのザンジバル出身で、イギリスで活躍する小説家だ。94年、ブッカー賞候補となってからは、英語圏での代表的作家の一人とされるようになった。

残念ながら筆者は全く存じ上げなかった。自分が知らないことは、自身の不明を恥じれば済むことだ。

 ところが邦訳された出版物が皆無ということは、少々次元が異なる。日本は世界から周回遅れとなっているようである。

 7月号本欄では、平均賃金や購買力平価がG7で最下位と記した。

 現政権が発足し、漸く賃上げに取り組むとしているが、具体策は明確ではない。

 これらのことから、もしかすると周回遅れどころか、先進国とは呼べないところまで落ちてしまっているのかも知れない。

 また、ノーベル物理学賞は、日本人(国籍はアメリカ)の真鍋淑郎氏が受賞した。90歳の氏は人生の半分以上をアメリカで研究し、頭脳流出などと揶揄された。

 我が国では卒業後の就職難から、理系の大学院博士課程への進学者が減少し続けている。科学立国を名乗れない時代が近付きつつある。

 翻ってPISA2018の結果だ。参加78ヶ国・地域中、数学的リテラシーで6位、科学的リテラシーで5位であった。どうにか面目を保っている。

 何とか面目躍如しているうちに、有効な手を打たなければならない。

 学習塾が大きな役割を担わなければならないのではないだろうか。         

(如己 一)

目次

  • 6 CatchUp1 株式会社シルヴァンブリーズ かき方は〝きちんとやる〟ことを教える最大のメソッド
  • 8 CatchUp2 株式会社ワッセイ・ソフトウェア・テクノロジー 設定が簡単! 生徒の様子がよくわかる! オンライン授業専用システム「ティーチャービュー」
  • 10 CatchUp3 FLENS株式会社 業務をスリム化し、塾生保護者を「ファン化」するアプリ
  • 12 CatchUp4 株式会社アビリティ 透明度と信頼度の高いOLECOが子供の英語力をメキメキ伸ばす
  • 16 挑む私学 関西大倉中学校・高等学校 「まなざしをこころざしへ」で、大学受験のその先を目指す
  • 19 目次・巻頭言
  • 20 NEWS ARCHIVES
  • 48 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
  • 49 【特集】 塾リスクマネジメント
  • 60 TOP LEADER Interview  スピード感をもった変化と、優秀な人材が成長の決め手。 進学プラザグループ
  • 70 Special Report 私塾界リーダーズフォーラム ONLINE 2021 A/W
  • 88 教育サービス業界 企業研究(108) 株式会社EnglishCentral JAPAN
  • 91 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(333)
  • 92 疾風の如く(148) 進学塾クレスタ(大阪府) 代表 岡田 尚巳 さん
  • 94 For Whom the 塾 Tolls(6)
  • 96 新米塾長のための「学習塾経営基礎講座」(102)
  • 98 白書界隈徘徊話(80) 西村克之
  • 100 自ら動き出すチームにする方法(86) 中谷彰宏
  • 102 塾の家計簿(54)
  • 104 新米塾長のための「部下とサシで行きたいごはん屋さん」(最終回)
  • 105 芸術見聞録(100)
  • 106 わが子、就学中(8)
  • 107 塾長の机
  • 108 為田裕行の「教育ICT行」(80)
  • 109 10¹⁵ PETA(8)
  • 110 1981(32)
  • 111 Opinion from School(29)
  • 112 林明夫の「歩きながら考える」(195)
  • 114 新・授業改革を目指して(123) 石川幸夫
  • 116 私塾界インサイト(44)
  • 120 未之知也(101)
  • 122 咲かせよ桜(81) 小林哲夫
  • 126 論点2021(11) 注目を集める高専卒生
  • 130 編集後記
  • 132 Book Review
  • 134 塾長のためのガジェット講座

月刊私塾界2021年10月号(通巻486号)

巻頭言

 住宅街を歩いていると、どこからか漂ってくる金木犀の芳香に包まれる。春の沈丁花同様香りが季節の移ろいを感じさせてくれる。

「人新世(ひとしんせい)」という概念をご存知だろうか。オランダの科学者、パウル・クルッツェンが21世紀に入ってから提唱した地質学の新しい時代区分だ。

 歴史的には白亜紀、ジュラ紀といった地層時代があり、現在は258万年前に始まった新生代第四紀の完新世が1万年ほど続いているとされてきた。しかし、地球環境は一変した。ビルが乱立し道路や農地、ダムやゴミ捨て場など手つかずの自然は存在しなくなっている。大気には二酸化炭素、海にはマイクロプラスチックだ。

 つまり、地球の表面全体を資本主義が作り出したものが覆うようになっているのだ。これはもはや今までの地層とは違い人類が生み出した地層になっている。

 そこでクルッツェンは完新世が終わりを告げて人新世という時代に突入したのではないかと提案したが、その背景には、資本主義が地球にダメージを与えているかという環境危機への鋭い問題意識がある。

 この危機は現在の資本主義そのものが根源的な原因であり、浪費的な生活や無限の経済成長を目指すサイクルにブレーキがかからなければ、環境問題には歯止めがかからない(日経ビジネスオンライン2021・7・19号参照)。

 このような歴史的転換点に我々は立っている。

 学習塾業界はどのような役割を果たすことができるのだろうか。

(如己 一)

目次

  • 6 CatchUp1 アルカディア数学教室『あすがく』が自塾の強みに
  • 8 CatchUp2 株式会社Global Assist 個別指導の新たな可能性を広げるベスト個別学院
  • 10 CatchUp3 株式会社全教研 1対1だから英語を話せる時間が長い
  • 12 CatchUp4 株式会社シェアードウェイ 老舗塾の東進衛星事業部をSOUEIグループが率いる
  • 18 HOT TOPICS 
  • 24 挑む私学 金沢学院大学附属中学校 金沢の地に名門の私立中高一貫校を
  • 27 目次・巻頭言
  • 28 NEWS ARCHIVES
  • 56 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
  • 58 【特集】 教育ICT考2021 A/W
  • 64 【特集②】 私塾界40年史〈後編〉  ─ 1995~2021 ─
  • 86 TOP LEADER Interview  困難を素早く受け止めて対応する経営力が大事。 株式会社学究社
  • 96 教育サービス業界 企業研究(107) 株式会社ベンド
  • 99 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(332)
  • 100 疾風の如く(147) 地域教育工房(千葉県) 塾長 関田 英介 さん
  • 102 For Whom the 塾 Tolls(5)
  • 104 新米塾長のための「学習塾経営基礎講座」(101)
  • 106 白書界隈徘徊話(79) 西村克之
  • 108 自ら動き出すチームにする方法(85) 中谷彰宏
  • 110 塾の家計簿(53)
  • 112 新米塾長のための「部下とサシで行きたいごはん屋さん」(99)
  • 113 芸術見聞録(99)
  • 114 わが子、就学中(7)
  • 115 塾長の机
  • 116 為田裕行の「教育ICT行」(79)
  • 117 10¹⁵ PETA(7)
  • 118 1981(31)
  • 119 Opinion from School(28)
  • 120 林明夫の「歩きながら考える」(194)
  • 122 塾ソムリエの講師研修指南 西村則康(名門指導会代表 塾ソムリエ)(39)
  • 124 私塾界インサイト(43)
  • 128 未之知也(100)
  • 130 咲かせよ桜(80) 小林哲夫
  • 134 論点2021(10) 学校の公設民営とは
  • 138 編集後記
  • 140 Book Review
  • 142 塾長のためのガジェット講座

月刊私塾界2021年9月号(通巻485号)

巻頭言

 菅内閣の複数の閣僚から、学習塾で新型コロナウイルス感染症のクラスター発生について言及があった。

 また、有識者からはより強い外出自粛要請のメッセージとして、学校閉鎖の提案がある。

 新型コロナ禍は、デルタ株への置換え、その感染力の強さ、医療提供体制の逼迫、ワクチン供給の遅延等々多くの課題、不確定要素が存在する。

 そのような中、各事業者は日々アップデートされる情報を収集し、慎重に取捨選択しながら様々な事態を想定し、その対策を準備する必要がある。非常に難しい対応を迫られている。学習塾も、だ。

 昨年3月、4月のことを思い起こして欲しい。

 緊急事態宣言発出に際し、営業自粛を要請する業種に、学習塾は最後まで入っていた。

 諸外国で実施されているようなロックダウン導入は日本ではできないが、現在、多くの人々がかなり強い自粛要請を受け入れる精神状態となっているようだ。

 学校閉鎖を提案する方もいるくらいだから、いつ学習塾の営業自粛要請が出てもおかしくない。営業休止とはならなくとも、営業時間短縮要請はあるやも知れぬ。

 このような極端な事態も想定し、対策を練らなければならない。しかもコロナ禍は短期間に収束しそうにない。

 自塾の感染対策も重要である。除菌、換気、ソーシャル・ディスタンス等々。万全な感染症対策を講じ、教育提供機会を確保していただきたい。

(如己 一)

目次

  • 6 CatchUp1 株式会社向学舎グループ 中学NETを速習することで継続率が向上
  • 8 CatchUp2 株式会社市進ホールディングス 人を大切にする風土が市進グループの躍進を支える
  • 10 CatchUp3 株式会社城南進学研究社+Inspire High 魅力的な大人が10代をインスパイアするワークショップ
  • 12 CatchUp4 ワールドスキャンプロジェクト SDGs × VR × ドローンプレゼン力や課題解決力にもつながる画期的プログラム
  • 14 CatchUp5 AnyDayStudy進学個別『1中学校専門教室』、『学びホーダイ』など、地域に根ざした特色ある学びを提供エニィデイスタディ進学個別
  • 18 挑む大学 情報経営イノベーション専門職大学【iU】双全員インターン全員起業画期的な学びで未来を創る
  • 24 挑む私学 神戸山手女子中学校高等学校敏腕校長による抜本的な改革で名門復活を目指す
  • 27 目次・巻頭言
  • 28 NEWS ARCHIVES
  • 54 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
  • 55 【特集①】株式公開企業塾 2022年2・3月期第1四半期(1Q)決算を読む
  • 64 【特集②】私塾界40年史〈後編〉─ 1995~2021 ─
  • 98 TOP LEADER Interview〝社会で活躍できる人づくり〟中高大の10年一貫教育を目指す。株式会社ウィザス
  • 106 HOT TOPICSウイングネットオンライン学習会「合格する塾 ~2021年度下半期の学習戦略研究~」を開催
  • 112 教育サービス業界 企業研究(106) 株式会社ジー・パートナーズ
  • 115 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(331)
  • 116 疾風の如く(146) 出口塾(京都府)塾長 出口 亮 さん
  • 118 For Whom the 塾 Tolls(4)
  • 120 新米塾長のための「学習塾経営基礎講座」(100)
  • 122 白書界隈徘徊話(78) 西村克之
  • 124 自ら動き出すチームにする方法(84) 中谷彰宏
  • 126 塾の家計簿(52)
  • 128 新米塾長のための「部下とサシで行きたいごはん屋さん」(98)
  • 129 芸術見聞録(98)
  • 130 わが子、就学中(6)
  • 131 塾長の机
  • 132 為田裕行の「教育ICT行」(78)
  • 133 10¹⁵ PETA(6)
  • 134 1981(30)
  • 135 Opinion from School(27)
  • 136 林明夫の「歩きながら考える」(193)
  • 138 新・授業改革を目指して(122) 石川幸夫
  • 140 私塾界インサイト(42)
  • 144 未之知也(99)
  • 146 咲かせよ桜(79) 小林哲夫
  • 150 論点2021(9) 実務家教員について
  • 154 編集後記
  • 156 Book Review
  • 158 塾長のためのガジェット講座

月刊私塾界2021年8月号(通巻484号)

巻頭言

新型コロナウイルスに対する漠然とした不安。それに加えて変異株への恐怖や、緊急事態宣言の延長などがあり、慢性的なストレスが溜まっている方も多い。

 このような時期、心身のバランスを取ることが何よりも大切だ。

 しかし、猛暑の中、気分を安定させることは難しい。そのようなとき、「1/fゆらぎ」を生活に取り入れてはどうだろうか。

 1/fゆらぎ(エフぶんのいちゆらぎ)とは、パワー(スペクトル密度)が周波数fに反比例するゆらぎのこと。(出典:Wikipedia)

 1/fゆらぎは、規則性と突発性、予測性と逸脱性が適度に組み合わさったゆらぎで、居心地のよい空間と情報を与え、人の心を落ち着かせるといわれる。

 ロウソクの炎の揺れや、自然界における川の流れる音、波の音、雨音、木の葉が風に揺れるさま……。規則的に感じるものでも、よく見たり、聞いたり、触れたりすると、ほんの少しずれているのだ。これが1/fゆらぎなのである。

 大量生産や工業規格などによって作られる人工物は、いかにゆらぎ(規格外)をなくすかに努めている。そして、その中で我々は日常生活を送っている。

 だからどうしても1/fゆらぎから遠ざかってしまう。

 それ故、意識的にそれを取り入れたい。

 何故心を落ち着かせるかというと、人間の心拍リズムや脳波には1/fゆらぎがあるからだ。 そうやって心を安定させ、夏期講習で頑張る生徒たちに応えていただきたい。

(如己 一)

目次

  • 14 CatchUp1 株式会社FCEエデュケーション 英語でプログラミングを学ぶ「ワンダーコード」
  • 18 挑む大学 福岡工業大学 双方向の学びと手厚い就職支援体制で、学生の未来を切り拓く
  • 24 挑む私学 奈良学園登美ヶ丘中学校・高等学校 体験と探究を軸に、子どもの伸び率日本一を目指す
  • 27 目次・巻頭言
  • 28 NEWS ARCHIVES
  • 54 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
  • 55 【特集】 創刊40周年記念 寄稿メッセージ
  • 68  創刊40周年記念 Special Interview  株式会社ナガセ    本誌編集長 永瀬昭幸社長 × 山田 未知之  教育の可能性は無限にある 教育を通じて社会・世界に貢献していきたい
  • 80 CatchUp2 株式会社アイトップ 生徒指導に専念することで自ずと結果はついてくる
  • 82 CatchUp3 株式会社ケーイーシー 圧倒的な集客を実現するプログラミング 教育コンテンツ「プロクラ」
  • 84 CatchUp4 株式会社やる気スイッチグループ ネイティブ講師による集団授業で英語を楽しく
  • 86 CatchUp5 株式会社早稲田アカデミー 早稲田アカデミーが進めるDX
  • 90 HOT TOPICS① NEA主催 2021前期シリーズ学習会 『教えて大学入試情報×2021年春入試』 小・中学生に必要なこれからの大学入試情報を分析
  • 92 HOT TOPICS② NEA主催 2021前期 シリーズ学習会 第2回英語シンポジウム「英語教育はどこへ向かおうとしているのか!?」
  • 94 HOT TOPICS③ SRJの今期のテーマは「価値共創」 新しいプログラムを続々と提供
  • 96 教育サービス業界 企業研究(105) 株式会社SmartEd
  • 99 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(330)
  • 100 疾風の如く(145) 個別指導K&S(岐阜県) 塾長 各務 宗一朗 さん
  • 102 For Whom the 塾 Tolls(3)
  • 104 新米塾長のための「学習塾経営基礎講座」(99)
  • 106 白書界隈徘徊話(77) 西村克之
  • 108 自ら動き出すチームにする方法(83) 中谷彰宏
  • 110 塾の家計簿(51)
  • 112 新米塾長のための「部下とサシで行きたいごはん屋さん」(97)
  • 113 芸術見聞録(97)
  • 114 わが子、就学中(5)
  • 115 塾長の机
  • 116 為田裕行の「教育ICT行」(77)
  • 117 10¹⁵ PETA(5)
  • 118 1981(29)
  • 119 Opinion from School(26)
  • 120 林明夫の「歩きながら考える」(192)
  • 122 塾ソムリエの講師研修指南 西村則康(名門指導会代表 塾ソムリエ)(38)
  • 124 私塾界インサイト(41)
  • 128 未之知也(98)
  • 130 咲かせよ桜(78) 小林哲夫
  • 134 論点2021(8) 教員免許更新制への批判
  • 138 編集後記
  • 140 Book Review
  • 142 塾長のためのガジェット講座

月刊私塾界2021年7月号(通巻483号)

巻頭言

 今や日本の平均賃金は主要7カ国(G7)で最下位だ。

 日本で過去最高だった1997年の実質賃金を100とすると、2019年の日本は90と減少が続いている。海外は米国が118、英国は129など増加傾向にある中、日本だけが減っているのだ。

 19年の平均賃金を、同年の米ドルを基準とした購買力平価を使って国際比較しても、日本の低迷ぶりが際立つ。日本(3万8617ドル)はスイス(6万6567ドル)や米国(6万5836ドル)に大きく差を付けられた。韓国(4万2285ドル)やイタリア(3万9189ドル)よりも低い。

 経団連・中西宏明会長が1月末、「日本の賃金水準がいつの間にか経済協力開発機構(OECD)の中でも相当下位になっている」と語った。

 筆者もまさに「いつの間に」に同感である。

 とはいえ、数年前にオーストラリアを旅した折、このことに気付いていた。旅で食事をすると、どこで何を食べても値段が高いのだ。現地の方に伺うと、毎年の物価上昇の結果とのことだ。賃金も同様に上昇してきたので、あまり問題に感じていないようだった。

 バブル崩壊後、日本のインフレ率は0%前後で推移してきた。賃金の伸び率はそれを下回り続けた。

 当初はデフレにより、相対的に豊かな消費生活が送れると考えられていたが、そのような結果にはならなかった。 ところで、貴塾の授業料はどのように推移してきただろうか。そして、賃金は。

(如己 一)

目次

  • 6 CatchUp1 学研CAIスクール マコト和泉校 AICオンラインイングリッシュ
  • 8 CatchUp2 株式会社やる気スイッチグループ やる気スイッチグループのEdTech発信拠点が誕生
  • 10 CatchUp3 株式会社スタディーハッカー 共通テスト突破に必須の英語力をパーソナルトレーニングで養う
  • 12 CatchUp4 一般社団法人 日本語力検定協会 漢字・文法・読解、聞き取り能力まで、幅広く検定する「文字検®」
  • 14 CatchUp5 株式会社ウィザス オンライン英会話の導入でアップした顧客満足度
  • 18 挑む大学 山梨学院大学 公務員就職に強い山梨学院大学が学部改変で進化
  • 24 挑む私学 常翔学園中学校・高等学校 職業 を養い、これからの人材を 成していく
  • 27 目次・巻頭言
  • 28 NEWS ARCHIVES
  • 54 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
  • 55 【特集】 私塾界40年史〈前編〉  ─ 1981~1994 ─
  • 88 HOT TOPICS① 学習塾の労働生産性向上を推進 全国学習塾協会が新たなサービスを展 へ
  • 90 HOT TOPICS② NEA主催 前期 シリーズ学習会 テーマはデジタル社会の 客とコロナ禍
  • 96 教育サービス業界 企業研究(104) 株式会社CyberOwl
  • 99 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(329)
  • 100 疾風の如く(144) 一歩塾(東京都) 代表 大南 和宏 さん
  • 102 For Whom the 塾 Tolls(2)
  • 104 新米塾長のための「学習塾経営基礎講座」(98)
  • 106 白書界隈徘徊話(76) 西村克之
  • 108 自ら動き出すチームにする方法(82) 中谷彰宏
  • 110 塾の家計簿(50)
  • 112 新米塾長のための「部下とサシで行きたいごはん屋さん」(96)
  • 113 芸術見聞録(96)
  • 114 わが子、就学中(4)
  • 115 塾長の机
  • 116 為田裕行の「教育ICT行」(76)
  • 117 10¹⁵ PETA(4)
  • 118 1981(28)
  • 119 Opinion from School(25)
  • 120 林明夫の「歩きながら考える」(191)
  • 122 新・授業改革を目指して(121) 石川幸夫
  • 124 私塾界インサイト(40)
  • 128 未之知也(97)
  • 130 咲かせよ桜(77) 小林哲夫
  • 134 論点2021(7) 総合型選抜について
  • 138 編集後記
  • 140 Book Review
  • 142 塾長のためのガジェット講座

『月刊私塾界』創刊40周年記念号 寄稿フォーム

40周年記念号寄稿のお願い

「教育サービスのこれまでと、これからの展望」

『月刊私塾界』は、教育サービス業界のみなさまと歩み続けて40年。
 本誌が創刊された1981(昭和56)年は、受験戦争が年々過熱し、集団型の熱血指導が全盛の頃でした。駅前に立てられたビルには、いくつもの教室が入り、開校時には入塾を希望する保護者が列を成すのが当たり前の時代でした。日本一の生徒数、日本一の教室数、当時は数が絶対的な価値を持ちました。そのように全国各地で塾の教室数が増えることによって、市場規模も右肩上がりを続けます。
 1990年代に入ると、それまでの集団指導型に加えて個別指導型の塾が登場し、フランチャイズ展開が始まります。不況に強いと言われる教育サービス業界は、バブルの崩壊の影響もあまり受けることはなく、変わらず成長を続けていきます。
 そして、2000年代に入り公教育は「ゆとり教育」に舵を切る一方で、学習塾では学習指導要領には縛られることなく、フリーハンドの充実した教育サービスを提供し続けることによって、“ゆとり”に不安を持つ親たちの拠り所となりました。この頃になると、学力層も幅広く受け入れるようになり、通塾率も公立中学に通う約8割の生徒が塾に通うようになり、市場規模も飽和状態になりました。日本全体としては少子化傾向が続いているなかでありつつも、以降約20年にわたって約1兆3千億〜1兆4千億の市場規模が横ばいで続いている状況です。
 2020年は新型コロナウイルス感染症の拡大により、新規の業容拡大や春の生徒募集が足踏みしたことにより、成長が一時的に止まった時期もありましたが、秋以降は持ち直し2021年度は過去最高の生徒数でスタートしている塾も少なくありません。
 そういった業界の変遷とともに、これまでみなさまとともに歩んでくることができました。本当にありがとうございます。
 前置きが長くなりましたが、創刊40周年記念号となる『月刊私塾界』2021年8月号では、みなさまから教育サービスのこれまでと、これからの展望をご寄稿いただきたく、お願い申し上げます。
 ご寄稿いただくにあたりまして、要領は以下をご査収ください。
 何卒よろしくお願い申し上げます。

2021年6月吉日
株式会社 私塾界 代表取締役社長
『月刊私塾界』発行人 兼 編集長
山田 未知之

寄稿は下記のURLよりご入力ください。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScOf3KIwR662s9jKuSNXlq8hJXw3Gz-JDpxinmMBojuv4kiVg/viewform?usp=sf_link

月刊私塾界2021年5月号(通巻481号)

巻頭言

「残余のリスク」という概念をご存知だろうか。一定の被害想定に基づいて様々な安全措置や防護措置を講じても、完全にはなくすことができないリスクを指す。例えば、東日本大震災における東京電力福島第一原子力発電所(イチエフ)過酷事故だ。想定された震度を上回る地震が起き、想定されていない被害が発生するリスクなどである。

原子力のリスクをゼロにすることはできない。イチエフ事故は、想定外の事故という残余リスクを許容することの危険性を示した。万一事故が起きたときの損害は、事前に計算できないほどの規模になる危険がある。

 新型コロナウイルス感染症に対しては細心の注意を払っていることと思う。しかし、現在、新型コロナウイルスの変異株の感染が広がっている。4月6日時点の変異株の年代別の感染者は、40代がもっとも高く15%。10歳未満は10%。従来株では10歳未満は3%と低い(朝日新聞デジタル4月7日版参照)。年少者の割合が増加している。この割合の増加は学習塾にとり厳しい数値だ。おそらく本号が届く頃、大阪や東京では殆どが変異株に置き換わっているであろう。そして、緊急事態宣言が再発令されているかも知れない。

 ウイルス対策が自己都合になってはいないだろうか。建物の構造上、換気扇の設置が難しい。費用の兼ね合いで、空気清浄機の台数が不十分だ。そもそも生徒の密を完全には防げない、などなど。

 更に、残余のリスクが存在する。

(如己 一)

目次

  • 6 CatchUp1 成基学園 TAMランド 成基コミュニティグループの0歳から5歳まで 一貫して預かるTAMランドが栗東駅前に開園 同グループが手がける保育園は3年で6園に
  • 8 CatchUp2 セイコーエプソン株式会社 遠隔印刷・解答スキャンでオンライン指導を手厚く
  • 10 CatchUp3 AIC国際学院広島 初等部
  • 16 挑む私学 西武学園文理小学校 国際社会をリードする人材を育むために
  • 19 目次・巻頭言
  • 20 NEWS ARCHIVES
  • 46 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
  • 47 【特集】 教育ICT考2021 S/S
  • 76 TOP LEADER Interview SAPIX YOZEMI GROUP 共同代表 髙宮 敏郎 氏 教育を変えるには、 カルチャーを変えることから。
  • 88 教育サービス業界 企業研究(102) 株式会社河合塾One
  • 91 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(327)
  • 92 疾風の如く(142) 建文塾(京都府) 塾長 関 国暘 さん
  • 94 好機到来(73) テラコヤイッキュー(千葉県船橋市) 代表 渡邉 靖子 さん
  • 96 新米塾長のための「学習塾経営基礎講座」(96)
  • 98 白書界隈徘徊話(74) 西村克之
  • 100 自ら動き出すチームにする方法(80) 中谷彰宏
  • 102 塾の家計簿(48)
  • 104 新米塾長のための「部下とサシで行きたいごはん屋さん」(94)
  • 105 芸術見聞録(94)
  • 106 わが子、就学中(2)
  • 107 塾長の机
  • 108 為田裕行の「教育ICT行」(74)
  • 109 10¹⁵ PETA(2)
  • 110 1981(26)
  • 111 Opinion from School(23)
  • 112 林明夫の「歩きながら考える」(189)
  • 114 新・授業改革を目指して(120) 石川幸夫
  • 116 私塾界インサイト(38)
  • 120 未之知也(95)
  • 122 咲かせよ桜(75) 小林哲夫
  • 126 論点2021(5) 「令和の日本型学校教育」の何故
  • 130 編集後記
  • 132 Book Review
  • 134 塾長のためのガジェット講座