Category: 塾ニュース|地域教育

都教育委員会発表 緊急事態宣言の延長に伴う都立学校における対応について

2020年5月7日、都教育委員会は、「緊急事態宣言の延長に伴う都立学校における対応について」を発表した。

1 経過
  4月1日 春季休業の終了日の翌日から令和2年5月6日までの間、島しょ地域を除き臨時休業を決定(教育委員会)
  4月7日 新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、5月6日までの緊急事態宣言の発出(国)
  4月7日 島しょ地域にある都立学校について、5月6日までの間、臨時休業を決定(教育長臨時代理)
  5月4日 5月31日まで緊急事態宣言の延長(国)
  5月5日 緊急事態措置等の延長による要請(都知事→都教育委員会)

2 都立学校における対応
  都を対象とした緊急事態宣言の期間が延長され、都においても学校施設の使用停止等を含む緊急事態措置等が延長されたことを踏まえ、全ての都立学校について、令和2年5月7日から5月31日までの間、臨時休業とする。

3 学校活動の取扱いについて
  〇 オンライン教育等により、家庭学習を推進
  〇 電話連絡や家庭訪問、テレビ電話等により、児童・生徒の心身の状況把握とケア
  〇 特別支援学校では、引き続き必要に応じて学校で過ごすことが可能
  〇 教職員は、オンライン教育等のために必要な人員は出勤

4 区市町村への周知
  区市町村教育委員会に対し、都立学校の取組を参考とした対応を依頼

推し進めてきたICT化が、非常事態で力を発揮

 新型コロナは塾や学校といった教育機関にも大打撃を与えているが、こうした状況へ柔軟に対応している学校もある。大阪府富田林市に校舎を構える私立 初芝富田林中学校高等学校は、平井正朗氏が2018年に校長に着任して以降、「超進学校化宣言」の下、ツールの一つとしてICT化とグローバル化を推進してきた。

 例えば中1〜高2までの数学で導入しているのが、AI型タブレット教材「Qubena(キュビナ)」だ。キュビナを活用すれば自宅学習を学校でチェックできるほか、誤答問題の類題を自動的に出題してくれたり、自動採点もしてくれる。それによって、教師の勤務時間や労力の削減が可能だ。また、最短1分から学べる映像授業「スタディサプリ」や「スタディサプリEnglish」も全校生徒に導入し、カリキュラム・マネジメントの一助としている。ICT化を進めた背景には、働き方改革への意識もあった。長時間労働になりがちな教師の負担を軽くしようと、ICT教材で効率化を図ることとした。

 そうしてICT化を推し進めている最中、折しもコロナショックが起こった。全国的に休校が余儀なくされているが、初芝富田林はICTを駆使して遠隔指導をおこなっている。例えば、タブレットにZOOM(ズーム)というビデオ会議アプリをダウンロードさせ、担任が毎朝朝礼を実施。子供たちにクラスの連帯感を感じさせながら、各生徒の健康状態のチェックや学習の進捗状況管理もできている。

「本校の生徒は意欲が高く、制度設計をうまくすればまだまだ伸びると着任初年度に感じました。そこでICTを導入して“学びの選択”を与えながら、アダプティブ・ラーニング(個別最適学習)を進めているのです。到達度が上がるほど、自己調整学習ができており、PDCAサイクルを回せています。コロナショックという国難に直面している今、学校も厳しい局面に立たされていますが、ある程度ICTの素地があったことが、よい結果を生んでいるのだと思います」と平井校長は話す。

私立 初芝富田林中学校高等学校 平井正朗校長

 こうした取り組みは生徒募集にも好影響を及ぼしていて、2020年の中学入試では受験者数が過去最多の500名を突破。14年ぶりに定員を満たしただけでなく、最上位は東大・京大・医学部医学科を目標とする「S特進探求コース」が1クラス増え、4クラスとなった。高校も今年度は1クラス増の8クラスとなったほか、最上位が東大・京大・医学部医学科を目標とする「Ⅲ類」が開学来初の2クラスとなっている。 進学校としての立ち位置を強固にすべく、ICT化とグローバル化をさらに強めていくとしている平井校長。今後は同校教師の授業動画も配信する予定で、教師の動画は基礎基本用、スタディサプリは大学受験対策用と、使用目的を明確にすみ分ける考えだ。コロナが終息したあとも、ICT化は同校の教育の質を高めていくだろう。

宮城県私立小学校 休校中の教育支援として教員が直接訪問 夏休み中の授業・土曜授業も検討

 宮城県仙台市立学校は、5月31日まで休校延長し6月1日からの再開が決まった。それに伴い、仙台市教委は2カ月遅れを取り戻すべくゴールデンウィーク明けの対応に向け準備を加速させいる。休校期間中は、教職員が電話や訪問で直接、児童生徒の家庭学習を支援する。
 授業数を確保するため、夏休み中の授業日設定や土曜日の活用などを検討。既に中学校は全校にエアコンが導入されているが、小学校は一部が未設置のため、夏休み中の授業日に向け整備を進めるという。土曜授業や秋、冬休みの活用に伴い、場合によっては、延期されていた修学旅行や運動会などの学校行事の取りやめも検討する。

 5月7日以降各学校は、学習プリントなどの課題と児童生徒が勉強時間などの目標を設定する「週間計画書」を作成し、教職員が自宅を訪れるなどして各家庭に届ける。18日の週は1回、25日の週は2回の臨時登校日を設定し、学年別に時間をずらすなど新型コロナウイルスの感染防止策取り組みつつ登校してもらう。生徒がおこなった課題は学校に郵送するか、または登校日に提出する。担任が学習状況を確かめてアドバイスを送る。
 さらに、教委もサイトに新しい教科書で勉強するこつを学年別に掲載。仙台のアナウンサーや落語家の講話を通して職業意識を育む動画や運動不足解消のための動画も配信する。
 4月30日の記者会見で「家庭学習ができているか確認し、先生が手を差し伸べる関係を持たないと、長期の休校は乗り越えられない。学校再開のステップにもなればいい」と佐々木洋教育長は語った。

文科省が休校解除の選択肢を明示 小1.6と中3から登校先行の可能性

 文部科学省が4月30日、新型コロナウイルスの影響で長期化している休校の解除を巡り、小1・小6・中3の3学年の登校を先行させる案を選択肢として示す方針を固めた。学校では密閉、密集、密接の「3密」条件がそろいやすく、登校再開を段階的に行うことで、感染拡大を防ぐ狙いがある。

 小6と中3は、受験や卒業を控えているため、翌年度に休校で足りなくなった授業時間を補うことができない。小1は、学校での集団生活に慣れ始める時期であることなどから優先度が高いと判断。

 文科省は政府の専門家会議の見解を踏まえ、学校再開時の考え方を近く公表し、学校の設置者である全国の教育委員会などに参考にしてもらう。

長崎県教委 休校中の児童・生徒向けに家庭学習で活用可能な教材や動画サイトをまとめて紹介

 長崎県の県立中学校・高等学校・特別支援学校は、4月22日から5月6日まで臨時休校を実施。また、市町立小・中学校、義務教育学校、長崎市立長崎商業高等学校へも同期間の臨時休校の措置を依頼している。
 そんな中、長崎県教委は4月21日、休校期間中の児童生徒向けに、家庭学習で活用可能な教材や動画サイトや、リンク集などまとめて紹介した。
 紹介しているのは、文部科学省のリンク集「子供の学び応援サイト」やNHKの各教科動画「NHK for school」を始め、県教委が提供している学習プリント集「ゆめあこ」や英語学習教材「Rise up English」、長崎県教育センターがホームページ上で提供している「学び直し授業動画」など。また。各自治体の子ども向けサイトも紹介している。

大阪府が休業要請リスト公開 学習塾は床面積1,000㎡以下は協力依頼に

 大阪府は、ホームページ上で新型コロナウイルスの感染拡大による遊興施設や運動施設などへの休業要請について、対象としている施設と対象外の施設を業態ごとにまとめた一覧を、公開した。

 大阪府は、府内の遊興施設や運動施設、遊技場などに対し、4月14日から5月6日までの休業を要請したが、具体的にどの業種が当てはまるのか問い合わせが殺到した。そのためホームページ上で詳細を公開した。この一覧は、大阪府のホームページから、「緊急事態措置について」のタイトルをクリックし、「対象施設一覧」を開いて閲覧することができる。大阪府は、電話相談は対応時間が限られている上、つながりにくい場合もあるとしてまずはホームページで確認してほしいとしている。

 床面積1,000㎡以上の学習塾、大学など各種学校は特措法による要請を行い、応じない場合は特措法第45条第2項・第3項による個別の要請・指示を検討している。床面積の合計が1,000m²以下の学習塾は 施設の使用制限等の協力を依頼となる。但し床面積の合計が100m²以下においては、適切な感染防止対策を施した上での営業は可能。この適切な感染防止策の取り組み例もホームページ上に記載されている。

熊本市内の小・中学校 『遠隔授業』開始

 4月15日から熊本市の小・中学校で、『遠隔授業』がスタートした。新型コロナウイルスによる休校中に学校と家庭をつなぐ試みだ。対象となるのは、小学3年生以上と中学生(全学年)。学校のタブレット端末と家庭の端末を使用する。タブレットの数には限りがあるので、前半後半など学年を分けてに実施する学校もある。使用するツールは、「ZOOM」と呼ばれるビデオ会議アプリと授業支援クラウド「ロイロノート」。
 4月6日と7日には先生向けの研修が行われた。「ZOOM」では、互いの顔を見ながらやりとりできる。「ロイロノート」は、自分の意見を出し先生からコメントをもらうことが可能だ。
 4月14日の登校日では、これから3週間の休みに入るのを前に市内の多くの学校でオンラインでのやり取り練習が行われた。
 開始日の15日は簡単なやりとりを行い健康観察をした後、友だちに向けた自己紹介や宿題が出された。

学びを止めない 新型コロナウイルスに即座に対応する塾

2月27日の臨時休校要請

 4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大に備えて、安倍晋三総理大臣は東京など7都府県(東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡)を対象に「緊急事態宣言」を行なった。現時点(4月8日時点)ではまだ確定ではないが、学習塾も施設の使用停止などが要請される模様だ。そうなると、当該都府県では、教室での授業を行うことができなくなる。

 新型コロナウイルスに関して、教育現場が対応を迫られたターニングポイントは、2月27日だろう。この日、安倍総理大臣から全国すべての小中高、特別支援学校を対象に、3月2日から春休みまで臨時休校を行うよう要請が出た。この時点で即座に動いた塾がある。その一つが学習塾leven(東京都武蔵野市)だ。

 levenは、昨年11月に設立された。levenはオランダ語で、「人生」や「生きる」といった意味を持ち、入試に合格するだけでなく、生きることそのものを学ぶ塾という意味で名付けられた。現在、小学生から高校生まで約30名が通う。少人数制指導を掲げ、最大8名で授業を行うことを厳守している新進の塾だ。

 新型コロナウイルスにおける対応は、迅速に行われた。levenは、休止要請が発表された次の日の2月28日に、通塾の休止を生徒と保護者に通達し、29日にはLINEを使った双方向でやり取りができるオンライン授業を提供することを決め、保護者と生徒にその実施を通達する。週明け、学校が休校になる3月2日から塾生全員がオンラインで授業を受けることとなった。

 3月12日前後になると、全国的に休校措置の解除を検討する自治体が増えてきたことなどを鑑みて、一度通塾を再開することを決定した。

 しかし、事態は急変し、学校の休校は継続されることになった。

 そこでlevenは、通塾を停止し、25日から開始する春期講習を前倒しして、3月16日から毎日生徒がオンラインで授業を受けられるようにした。

 levenに通う生徒の保護者は共働きがほとんどで、休校中の子供の面倒を見るのが難しい人が多い。その中で、levenが数時間でもオンラインで授業を行うことで、授業だけでなく、遠隔での見守りサービスのようなものとしても、保護者から好評を得ている。

最優先すべきは命

 levenに通う生徒は、所在地の武蔵野市だけでなく、三鷹市、西東京市からも通ってくる。4月に入ると、この3つの自治体が、休校を延期するところと再開を検討するところに分かれた。武蔵野市は再開することを通達したが、levenはオンライン授業を続けた。

「まず何よりも優先すべきことは命です。感染のリスクが一つでもあれば、通塾させないと決めていました」と、須藤一紀氏は語る。

 その後、武蔵野市は授業再開を撤回。自治体のスタンスに振り回されることになったが、levenはブレなかった。

 須藤氏は、今回の事態を生徒たちにとって生きる上で大切な学びの機会だと言い、塾名に込められた想いを体現する。

「生きていく上で、どうしても避けられない事態があります。もちろん、今回のようなことはない方が良いですが、残念なことに起こってしまいました。であるならば、それに立ち向かうことで、学ぶものは多いと考えています」

 levenは、保護者との連携も密に取っている。2月下旬からこれまでに、ほぼ1週間に一度のペースで計7回の通知をしており、状況の変化や国、自治体の動向を踏まえながら、最適な方法を提示した。5月以降もオンライン授業を計画している。

今回の経験をビジネスチャンスに繋げる

 levenは、LINEなど身近なもので、オンライン授業の形を整えた。これは他塾にとっても参考になるかもしれない。

 しかし、全てがうまくいっているわけではない。課題としては、オンライン授業を進めるにあたり、どうしてもハード面で生徒一人ひとりの環境に差異が出てしまう。現状、保護者のスマートフォンやパソコンを使っている生徒もおり、ネット環境によってはラグが発生している場合もある。

 そのため、現在、levenはスペックを一律化したタブレット端末等を生徒に貸し出すための準備を進めている。その上で、ビジネスとしても一つの方法論をこの機会に作っていく。須藤氏は最後にこう語った。

「今、通ってくれている子供たちの安全のために、通塾をさせないで成立させられる塾のスタイルを作っていくことが、まず前提にあります。その上で、今回の経験を無駄にはせず、新型コロナウイルスが収まった後のビジネスチャンスに繋げ、私たちの塾のあり方として広めていきたいと考えています」

 2020年3月、そして4月と生徒たちは学校での授業を受けることができなかった。9月に学校再開という可能性も大いにある。この間の学びの遅れは一体どうするのか。もちろん授業のケアとともに生徒達の心のケアも必要だ。教育の灯火を消してはならない。

■学習塾leven(武蔵野市)
https://leven.jp

さいたま市の小中学校、入学式中止を前日に発表 市教委

 4月7日、さいたま市教育委員会は記者会見を行い、新型コロナウイルスの特別措置法に基づく「緊急事態宣言」が出されることを受けて、8、9日に予定していた市立小中学校などの入学式を中止すると発表した。式典を中止し、当日は入学に関する事務手続きや教科書や体操着の配布などのみとする。また、予定していた休校期間中の登校日の見送りも検討している明らかにした。
 特別支援学校も休校となる予定だが、保護者の仕事の関係や子どもの預かり先がない場合については、これまでどおり登校を認める方向。
 これまでさいたま市教育委員会は、感染予防の対策をとり、短時間での入学式を行う予定で進行していたが、埼玉県が新型コロナウイルスの「緊急事態宣言」の対象となったことから、急遽対応を見直した。緊急事態宣言の発令が固まった6日以降、保護者から中止を求める電話が相次いだことも要因としている。

新型コロナウイルス感染拡大により、休校延長 千葉・兵庫・愛知・山梨

■千葉県 4月末まで県立全学校、休校延長
 千葉県の県立学校は3月上旬から休校が続いている。千葉県は、4月2日に香取・海匝地区を除き、6日から新学期を再開すると発表していたが、千葉県内や東京都内で、感染者数が急激したことを踏まえて、5日に県立全学校の休校を4月末まで延長すると方針を変更した。6日の始業式、7日以降の入学式は規模を縮小して行い、6日からの部活動解禁は取り止める。
 県教委は5日、全県立学校に4月中の休校を文書で通知。休校中の自宅学習方法については6、7日に登校した際に伝える。県立学校は全160校で、うち高校は122校、36校が特別支援学校、2校が中学校。
 特別支援学校については、保護者と相談し、生徒の受け入れを検討するという。

■愛知県 県立高校と特別支援学校の臨時休校措置、4月19日まで延長
 4月7日より再開予定であった県立高校と特別支援学校の臨時休校措置を19日まで延長すると、4月6日の記者会見で愛知県の大村秀章知事は、発表した。感染者の増加などを踏まえ、休校延長を決めた。
 知事は、小中学校についても市町村教育委員会を通じて同様の対応を求めたことを明らかにし、今後も状況によってはさらに延長する可能性もあると説明した。

■山梨県 県立高校と特別支援学校の臨時休校 4月19日まで延長
 5日の記者会見で、山梨県の長崎幸太郎知事は、県立高校と特別支援学校の臨時休校を19日まで延長すると発表。感染経路不明の感染者数が増加したことを踏まえ、交通機関を利用する高校生のリスクの高いことから延長に至ったと述べた。

■兵庫県 県北部の一部地域を除いて県立学校休校措置 4月19日まで延長
 4月6日、兵庫県井戸敏三知事は、8日に再開予定だった県立学校について、県北部の一部地域を除いて19日まで休校措置を延長すると発表。知事は、再開を強行するより見直した方が適切と判断したと延長の理由を語った。