Archive for: 9月 2016

教員ら494人に歳暮 大日本図書と教育芸術社、謝礼問題で再調査

検定中の教科書を教員らに見せ、謝礼を渡していた問題で、大日本図書と教育芸術社(いずれも東京)が2015年までの4年間、教員や自治体の教育長ら延べ494人に歳暮を贈っていたことが8月23日、分かった。両社が同日、社内の再調査結果を文部科学省に報告した。大日本図書は12~14年、教員延べ180人に菓子や茶など2000円程度の歳暮を贈った。教育芸術社は12~15年の4年間、リンゴやサケ、ジャム(2244~5600円)を同314人に贈っていた。同社分には教科書を採択する市町村教委の教育長同26人が含まれていた。

舞台演出メソッドによる先進的研修が「アクティブ・ラーニング」を担う教員の資質向上に貢献

サマデイグループの株式会社ヒューマンデザインと一般社団法人日本アクティブラーニング協会は、8月8日、同19日の2回にわたって、独立行政法人教員研修センターの「平成28年度教員の資質向上のための研修プログラム開発事業」として、「アクティブ・ラーニング研修〔教員のためのシアターラーニング〕」を実施した。

舞台演出メソッドを活用したアクティブ・ラーニング研修の様子

舞台演出メソッドを活用したアクティブ・ラーニング研修の様子

本事業の趣旨は、アクティブ・ラーニングやICTの利活用等、新たな教育課題に対応した研修プログラムの開発と全国的な普及を目的として、民間教育団体の知見を活用し、先進的かつ斬新な研修プログラムを開発し実行する取り組みに対して支援を行うというものだ。事業に採択された本研修は、小・中・高・大の教職員を中心に、各日程100名を定員として、計200名を対象に行われた。

この研修を主催した株式会社ヒューマンデザインは、舞台芸術作品を公演する「音楽座ミュージカル」の舞台演出メソッドを活用した研修を、様々な業種の企業や教育機関に提供している。

予測もつかない発言や突発的な状況への対応するためのプログラムが用意されていた

予測もつかない発言や突発的な状況への対応するためのプログラムが用意されていた

アクティブ・ラーニングの現場において、教員は、しばしば予測もつかない発言や突発的な状況への対応、その場で感じて判断し、行動する力を要するが、これは、舞台俳優がステージに立つ際に求められる力と重なるとして、俳優の作品創造、稽古のプロセスを積極的に取り入れることで、不測の事態に対応する資質を高めるプログラムとした。

研修プログラムでは、アクティブ・ラーニング実施の現状、社会の変化、大学入試の変化を振り返った上で、身体を使ったアイスブレイクのアクティビティを行い、参加者が6人1組程度のチームとなって、「アクティブ・ラーニングの普及」をテーマにミュージカルCMを創作した。

書籍『超一流はアクティブラーニングをやっている』

書籍『超一流はアクティブラーニングをやっている』

研修内では、日本アクティブラーニング協会が作成したルーブリックが活用された。ルーブリックは、アクティブ・ラーニングを実践するにあたって求められる能力・資質を評価し、向上させるためのもので、「パフォーマンス(表現する力)」と、「リーダーシップ(組織を動かす力)」の2種があり、同協会のファシリテータ認定基準ともなっている。また、同協会の書籍には、この研修の基本的な考え方や用語がまとまっており、参加者にテキストとして配布された。

研修後のアンケート調査によると、97.3%の参加者が「自己の指導の見直しに役立った」と回答し、自由記述回答では「アクティブ・ラーニングの実践にむけては、教員である自分自身を変える必要がある」との感想が目立った。

株式会社ヒューマンデザインが運営する「アクティブ・ラーニング研修」は、日本アクティブラーニング協会の認定トレーニングに指定されており、同社のウェブサイトから法人単位で申し込むことができる。また、修了認定者には同協会からファシリテータライセンスが発行される。

九州工業大、IoTで介護職員を効率配置

九州工業大学はヤフー子会社のIDCフロンティア(東京・新宿)と共同で、あらゆる機器がインターネットにつながる「IoT」を活用して介護現場で職員の負担を減らす実証実験を今秋から始める。センサーを駆使して職員の行動を把握する九工大の独自技術と同社のビッグデータ解析技術を組み合わせ、限られた人員を効率的に配置できるようにする。2017年3月まで実施したうえで、同社は同年秋をめどにサービス開始を目指す。

国際的な知の拠点目指す 沖縄科学技術大学院大学

2012年開学の沖縄科学技術大学院大学(OIST、沖縄県恩納村)は科学技術分野での国際的な知の拠点を目指し、国家プロジェクトとして設立された。学生の半数超は外国人留学生。教授陣もグローバルな大学で成果を上げた研究者が集う。学生は現在、30以上の国と地域から集まる。5年一貫制の博士課程で公用語は英語。入学希望者は委員会で審査し、高い研究レベルが要求される。スケジュールは海外の多くの大学に合わせる。16年9月には35人が新たに入学し、開学から5年を迎える17年には本格的に卒業生が世に出る。

フィンテック投資、日本は15年65億円

金融とIT(情報技術)を融合したフィンテック関連企業への2015年の日本の投資額は6500万ドル(約65億円)で、122億1000万ドルで首位の米国の0.5%の規模にとどまった。アジア域内でも中国の30分の1、インドの25分の1で、世界との距離はさらに広がるとの見方もある。アクセンチュアが世界のフィンテックベンチャーなどへの投資額を集計した。15年の世界全体で見た投資額は過去最高の222億6500万ドルで、14年の約2倍に拡大した。件数ベースでも1108件と前年比で約3割増えた。

英語教育はターニングポイントを迎えている

子供たちに世界で使える英語を身に着けてもらうためにはどうすればいいのか? 今、議論されている教育改革、学校、塾などの新たな動きを中心に、英語教育の現状を見てみたい。

AIC Kids

大きく変化する英語教育

英語教育が大きく変わろうとしている。現在、高校教育、大学教育、大学入試改革の3つは一体となった改革が議論されており、センター試験に変わる新たな試験も作られようとしている。その中で、特に大きな変化が起こるのが英語だ。新たな試験では、4技能(「聞く」「話す」「読む」「書く」)を総合的に評価する問題が出題(例えば記述式問題など)されることになっている。その試験についてのウェブサイトも開設された。

この背景について、文部科学省は「グローバル化の進展の中で、言語や文化が異なる人々と主体的に協働していくため、国際共通語である英語の能力の向上と、我が国の伝統文化に関する深い理解、異文化への理解や躊躇せず交流する態度などが必要である」と述べている。(※1)つまり、将来、子供達が社会に出たときに必要な能力を養成しようと、国は英語教育をはじめ、教育改革を進めているのだ。

AIC Kidsそして、大学入試が変わるということは、その下にある高校、中学、そして、小学校教育が連動して変わっていく。例えば小学校では、これまで「外国語活動」は小5からだったが、2020年度の教育指導要領改訂によって小3で必修化し、小5・6では成績がつく教科に変わることになっている。つまり、現在年中(11年度生まれ)の子供が小3になるときに「必修化」、現在小1(09年度生まれ)の子供が小5になるときに「教科化」される。そのときになって慌てないためにも、これからの英語教育について少し考えてみよう。

新たな英語教育はすでに始まっている

実は、国よりも先に私立学校や学習塾などでは、多様に英語を学ぶ機会や制度を整え始めている。

例えば私立中学校の中には、「英語入試」を導入する学校が増えてきた。また英検などの英語外部検定試験のスコアを入試に加点する学校も多くなってきている。

その英検は、2016年度からスピーキングテストを導入するなど、こちらも4技能テストへと舵を切った。また、TOEFL、GTECなどの中には、中高生向けの4技能試験を提供するなど、英語外部検定試験も多様化している。

大学では、この外部検定試験を入試に活用する動きもあり、その動向を知ることは最新の英語教育を見る上で参考になるだろう。

そして、学習塾も変化している。

中国地方を中心に鷗州塾が展開するAIC Kidsは、幼児・小学生を対象に、日本語を一切話さない環境で英語を指導している。その授業は、特に「読む」「聞く」力を重点的に伸ばし、英語の思考回路を作るように設計されている。最初にこの英語を英語で考える思考回路を作ることが、使える英語を習得する重要なポイントなのだそうだ。

AIC Kidsに通う子供たちは、数ヶ月すると英語で書かれた絵本をひとりで読むようになるとも。さらに、単語などは英検に出てくるものを扱うため自然に英検にも対応できるようになっている。

実はこのAIC Kidsは、鷗州塾が設立したニュージーランドのAuckland International Collegeが母体となっている。同校では、様々な国の学生たちが学んでいるが、特に日本人が外国で学ぶために身につける英語の学習メソッドは、他にはない特色を持っている。そのメソッドをもとに幼児・小学生が学びやすく設計されたものがAIC Kidsのカリキュラムに反映されているため、信頼度は高い。このように、国に先駆けて新たな英語教育は提供され始めているのだ。

英語教育は今、ターニングポイントを迎えている

これまでの塾には、文法や問題を解くためのテクニックなど、コミュニケーションをするためには全く役に立たないことを教える、こんなイメージがあったかもしれない。しかし、AIC Kidsなどのようにそのイメージを覆す塾が増えてきている。

今の子供たちの中には、学校に入学する時期によっては、新しく変わる教育制度で学習する子とそうではない子に分かれてしまうのも事実だ。また、特に小学校では、教える学校の先生の力量も懸念材料となっている。そういった意味でも、新たな塾の動きは注目するべきだろう。

英語が使えない人は、聞いたり読んだりした英語を頭の中で一度日本語に変換して、理解しようとしてしまう。そうならないようにするためには、英語を聞いて、読んで、英語で理解するための環境が必要だ。

その上で海外留学という選択肢もある。文部科学省は『トビタテ!留学JAPAN』という官民協働海外留学創出プロジェクトを立ち上げ、高校生や大学生の海外留学を促進している。しかし、折角の異文化理解、交流の機会なのに、英語を学びに行くだけではもったいない。日本の中できちんと英語を学んだ上で留学することによって、留学の意義も深まるだろう。そのためにも幼児期からの英語学習は大きな意味を持つ。英語を身につけるスピードは、圧倒的に小学生から始めた方が速いとも聞く。

英語教育は今、ターニングポイントを迎えている。子供たちにとっていい未来を歩んでもらうためにも、英語教育を今一度考えてみてはいかがだろうか?

 

※1「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について(答申)」(中央教育審議会 2016年12月22日)より抜粋

福井県立大、地元推薦枠を拡大

福井県立大学は2017年度の入試から、これまで4学部で計80人だった推薦入学の募集人員を計101人に増やす。原則として県内の高校卒業予定者が対象で、人口が減るなか、学生の県内定着を促す。各校1人までだった普通科からの推薦枠も拡大し、2~3人まで認める。多様な人材を集めるため、海洋生物資源学部では国内の理数系学術大会で一定の成績を収めた生徒の推薦枠も新設する。

シー・シェパード、捕鯨妨害禁止で日本側と合意 米での訴訟決着

南極海などで調査捕鯨を行う日本鯨類研究所(東京)は8月23日、米国の反捕鯨団体「シー・シェパード」との間で、米連邦地裁での調停により、日本側の調査船に対する妨害行為を永久に行わないことなどを柱とする合意に達したと発表した。鯨研が妨害中止を求めて2011年に米ワシントン州の連邦地裁に起こした訴訟が決着した形。鯨研によると、シー・シェパードや創設者のカナダ人、ポール・ワトソン容疑者は調査船への攻撃や安全を脅かす航行のほか、公海上で調査船の約450メートル以内に接近することも禁止された。

6月の実質賃金2.0%増に拡大 確報値

厚生労働省が8月23日発表した6月の毎月勤労統計(確報値、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除く実質賃金は前年同月比2.0%増え、速報値よりプラス幅が0.2ポイント拡大した。2月以来、5カ月連続で前年を上回っており、増加率の大きさも2010年7月以来5年11カ月ぶりとなる。夏のボーナスが増えたことに加え、物価の下落が寄与している。実質賃金は物価の動きを踏まえた家計の購買力を測る指標で、物価が下がれば高まる。5カ月連続での伸びは10年3月~11年3月の13カ月連続以来で、個人消費を下支えする期待がある。