- 入試後半戦 県内高校事情(新潟)
- 2010年2月8日 掲載
1月の私立高入試が一段落、10日には県・公立高校の推薦選抜が始まり、高校入試は後半戦に入る。3年前の県立高の学区廃止で、都市周辺の旧学区 「境界」付近では、旧学区外への志願が増えつつある。一方、志願者が減っている私立高校は併願入試や中学部の併設で、独自色を打ち出している。
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■旧学区外への志願微増
〈県立高〉
県教育委員会によると、学区廃止で旧学区外の高校の志願者は少しずつ増えている。県立高一般入試選抜(普通科)で廃止前の2007年度は、学区外の高校を志願した生徒の割合は9.2%。廃止後の08年度は9.5%、09年度は10.1%となっている。
増えているのは旧学区の境界付近。交通の利便性などから学校を選んでいるようだ。
旧第5学区(長岡・柏崎)から旧第6学区(魚沼)への09年度の志願者は、学区廃止前の07年度に比べ41人増。旧第6学区の県立小千谷 高校では、1年生281人のうち約3割が長岡市から通学している。斎藤友紀雄教頭は「長岡駅からも約30分。宮内など長岡市南部からの便がよい」
旧第1学区(村上・新発田)では、旧第3学区(新潟)からの志願者が25人増。旧第2学区の東端だった新潟市東区からの志願が増えてい る。同区の市立中学3年の担任によると、例年2~3人の新発田市内の県立高への志願者が、学区廃止後は十数人に増えた。「電車通学だと、東区から新潟中心 部へと新発田へではそれほど変わらない」
学習塾「NSG教育ネットワーク」(新潟市中央区)の石井隆紀・中学部統括教務部長は「学区廃止で、保護者の意識的なハードルが低くなったことが大きい」とみる。
10年度以降の入試でも「旧学区の境界付近を中心に、学区外への志願者が増えていくだろう」との見方が多い。
県教委幹部は「すべての高校が全県の生徒から選ばれる。各校が一層魅力をアピールする必要がある」と話す。
学区廃止当初は「一部の進学校に志願が集中するのでは」との指摘があった。しかし、県立新潟高校では、09年度で旧学区外からの志願者は 32人と、07年度比で15人増にとどまった。大滝祐幸校長は「以前から新潟高志望者は隣接学区枠を利用していた」。学区廃止に伴い普通科を1クラス (40人)増やしたこともあって、大きな変化は無かったとしている。
NSGの石井部長は「県立高田高校、長岡高校など地元の伝統校を志願する傾向は続いている」と話す。
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■中高一貫・併願 独自色
〈私立校〉
私立高校は、県立高校との併願入試や中高一貫制の導入などで志願者確保に懸命だ。
私立新潟第一高校(新潟市中央区)は07年度から併願入試制度を始めた。面接や自己PRカードでなく、英数国の3教科試験を課す。合格者は、受験日が遅い県・公立高の結果を待ってから入学金を納めることができる。
私立新潟明訓高校(同市江南区)も08年度から併願入試を開始。両校とも毎年約1,100人が受験する。複数の学習塾によると、昨年、新潟高、新潟南高を受験した生徒の9割以上が新潟明訓か新潟第一を併願しているという。
学習塾「能開センター新潟校」(同市中央区)の遠藤剛責任者は「新潟高、新潟南高など県立上位校の生徒の併願を確保することで、より成績 上位層の生徒が(私立に)入りやすくなった」とみる。私立にとっては、その結果大学受験の実績を上げ、中長期的な志願者確保につながる。
また、20年以上前から中学部を持つ新潟第一に続き、新潟明訓も3年前から中学部を併設。毎年80人強が入学する。大木敏行教頭は「様々な生徒のニーズに応えるシステム作りの一環」と話す。
背景には、少子化と不況による私立の志願者減少がある。県などによると、募集定員に対する入学者の充足率は、県立が95%前後を推移しているのに対し、私立は1990年の102.1%をピークに年々減少。09年は平成以降最低の86.1%に落ち込んだ。6割の私立もある。
県私立中学高等学校協会長の五十嵐駿介・新潟第一高校長は「新年度から公立の授業料無償化が実施されれば、私立への志願者がさらに減る可 能性もある。進学実績などをしっかり出すことが生き残りにつながる」。新潟明訓高校の野本憲雄校長も「『公立王国』の新潟で存在感を出すために、独自性を 打ち出していく必要がある」と強調する。
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■教育産業では新サービスも
中高一貫が増え、教育産業は新サービスを始めている。黒板も講師もいない三十数席のブースで、中学3年の生徒がモニター越しの数学の講義を見つめる。学習内容は「場合の数」だ。通常、高校1 年で学ぶ高校数学Aの内容。衛星講義が主体の予備校「東進衛星予備校新潟駅前校」(新潟市中央区)では、中高一貫校の中3生向けに高校の授業を先取りする 講座を昨年12月から開講した。
「大学受験しか見ていない」と、私立新潟明訓中学3年の男子生徒(15)。漫画家志望だが、「幅広い知識を作品に生かしたい」と、理系への進学を目指している。
同校を運営するNSG大学受験事業本部の渡辺聡講師は「高校受験のない中高一貫の生徒が『中だるみ』しやすい時期に大学受験の意識を保つことが出来る」。「昨春には新潟市立高志中等教育学校が開校。中高一貫の生徒のニーズを取り込みたい」と話す。
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【県立高校の学区廃止】1964(昭和39)年に定められた県立高普通科の通学区域制度では、一部の地域を除いて他学区への入学は認められ なかった。交通の発達や生活圏の変化を受け、2001年度に10学区から8学区に改められ、学区ごとに定員の15~25%の範囲で隣接する学区への入学を 認めた。08年度から普通科の学区を廃止する「全県1学区」制になった。
【写真】モニターに映る衛星講義に見入る受講生=新潟市中央区の「東進衛星予備校新潟駅前校」

2010年2月4日 asahi.com








