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- VOL.24
- 1993年1月-6月
- 『生きるコツ』
1993年には、世界規模で経済的に大きな影響を与える出来事があった。「EC統合市場」が発足したのである。これにより、12カ国の人口3億4,400人、GNP6兆ドルを超える世界最大の統一市場が出現した。1946年のチャーチル英国首相の「ヨーロッパ合衆国」構想から半世紀近くを経過して、まず市場統合が実現したわけである。
この「EC統合市場」の発足が1月で、3月には日本初の屋根開閉式の福岡ドームが完成。5月にプロサッカーJリーグが開幕し、8月には、細川護煕・非自民6党連立内閣が発足した。
それでこの年の総理大臣は宮沢喜一氏(~8/5)から、細川護煕氏(8/9~)に交替した。プロ野球日本一は、15年ぶりにヤクルト・スワローズが握り、「無言坂」(香西かおり)がレコード大賞を受け、「YAH YAH YAH」(CHAGE&ASKA)と「島歌」(YHE BOOM)がヒットしていた。女性初の衆議院議長に土井たか子氏が就任したのもこの年のことである。この年には「渡辺の門」を主催する渡辺勇三塾長が「育英資金として使ってほしい」と地元山梨県韮崎市へ私財5,000万円を寄付して話題になった。
年のはじめだから、中国古典から知恵を借りようと思う。
多岐亡羊(たきぼうよう)ということばがある。
『列子』という古典にこんな話が載っている。
むかし、ある男の隣家で羊が1頭いなくなった。その家の者は、総出で羊を探した。それでも人手が足りなくて男の家に下男を借りにきた。
「たった1頭の羊で、たいへんな騒ぎですね」
「なにしろ、分かれ道が多いので」
しばらくして、彼らが戻ってきた。男は聞いてみた。
「見つかったかね」
「いや」
「またどうして」
「分かれ道にまた分かれ道がありましてね。どこへ行ったか見あたらないのです」
この話を聞いて、心しん都とし市という人物が次のように語ったという。
「大道ハ多岐ナルヲ以ッテ羊ヲ亡イ、学ブ者ハ多方ナルヲ以ッテ生ヲ喪ウ」
大きな道は分かれ道が多いので、羊を見失ってしまう。それと同じように、学ぶ方法がたくさんあるので、方法にかかずらわっているうちに命まで失ってしまう。ざっとこんな意味である。
考えてみると、われわれの人生というのは「多岐亡羊」の繰り返しなのかもしれない。誰の人生にも、可能性はいっぱいあったはずなのに、これだと思って進んでみると、意外や袋小路。また、ふり出しに戻ってやりなおさざるを得ない。そういう試行錯誤の繰り返しにならないように、しっかり道を定めるべきである。









