Vol.24次代の日本を担う若者の“心・知・体”を鍛える教育を
株式会社 ナガセ 永瀬昭幸 社長

教育目標である「社会に貢献する人財を育成する」の実現に向けたナガセの展開は極めて積極的だ。
(1)東大現役合格実績日本一の「東進ハイスクール」・「東進衛星予備校」
(2)中学受験のスタンダード教材『予習シリーズ』、全国統一小学生テストの主催等で中学受験をリードする「四谷大塚」
(3)全国の中学生部門を手がける塾にITと一流講師が融合した最新のシステムを提供する「東進中学NET」
(4)スイミング専業で子どもの身体を鍛え、多数のオリンピック選手を輩出する「イトマンスイミングスクール」
(5)セサミストリートのライセンス取得による「東進こども英語塾」
(6)各界のトップリーダーのセミナーとワークショップにより、大学生を人財へと育成する「東進ビジネススクール」
教育のイノベーションを果敢に推進する永瀬昭幸社長に、今後の方向性について取材した。
全国1,500校体制で教育の機会均等を推進
─今期(2010年3月期)の売上及び経常利益見込み、現在の直営の校舎数と生徒数、社員数、東進衛星予備校の加盟校数などについて教えてください。
2009年3月期は、連結で売上高が354億1,100万円、経常利益は22億700万円です。2010年3月期の見込みでは、売上高が364億6,300万円、経常利益が26億3,400万円となります。直営の東進ハイスクールは87校、東進衛星予備校の加盟校は全国763校です。生徒数は約25万名、社員数は1,111名となっています。
17年前に東進衛星予備校がスタートして以来、コンテンツやシステムなどを中心にこれまで約600億円を投資してきました。現在では全国の加盟校の先生方の努力により、指導の質も飛躍的に向上し、09年度入試では、東大現役合格者数445名(東大現役合格の五人に一人が東進生)という成果を出すことが出来ました。
今後は教育の機会均等をさらに推進し、より多くの高校生を社会に貢献する人財として育成したい。そのために積極的な開校を推進し、今後2~3年で全国1,500校体制を目指したいと思っています。
大都市圏・地方都市での新規開校は勿論のこと、いわば「無医村」のような地域においても、積極的に開校していきたいと考えています。
「裾野の強化」と「トップレベルの発掘と育成」が重要
─東進こども英語塾やイトマンスイミングスクールについて、現状と今後の方向性を教えてください。
サッカーを例にとると、Jリーグが創設され、ジュニアチームからJIまでつながっていく中で、全国で多くの才能が見出され、トップリーグまで上がっていく仕組みが整ったことが、現在の日本サッカー界をつくりあげることになりました。同様に、教育においても日本の将来を担う人財育成には、広大な裾野づくりとトップ層の引き上げが重要です。さらにネットワークを広げて、優秀な人財を早期に発掘、育成できる仕組みを構築していきたいと考えています。
知能が急速に発達し、様々なものに興味が向けられる幼児期・小学生の時期に、子どもたちが親しみやすいセサミストリートのキャラクターによって、楽しみながら自然に英語を身につけられる場として、東進こども英語塾を開設しました。
現在は、一部地域で先行してオーナー先生の採用を行い、多数の応募者の中から当社の考え方に共鳴してくれる方を絞り込んでいるところです。今後、本格的な採用活動を開始し、最終的には全国に教室を展開していこうと考えています。
イトマンスイミングスクールでは、より多くの子どもたちに水泳に慣れ親しんでもらう環境を提供したいと考え、2010年からは積極的にFC展開を行い、全国で200校を目途に開校したいと考えています。世界で活躍する人財を育てるには、心・知・体のバランスのとれた教育が必要です。イトマンスイミングスクールが地域社会の体育教育の拠点となり、子どもたちの身体を鍛え上げ、また体育を通じた心の教育も行っていきたいと思います。
世界トップレベルの選手育成の観点からは、2009年夏、十数億円をかけて最新の設備を導入した東大阪強化校を開校、イトマン以外の選手にも開放し、垣根を越えて支援を行っています。当面の目標は、ロンドンオリンピックで少なくとも10名の日本代表を出すこと。強化校を中心に、日々選手の育成に努めています。
─四谷大塚の全国統一小学生テストは、2009年度の開催も大成功でした。

「四谷大塚 全国統一小学生テスト」のポスター
今回の申し込み者数は12万2,267名、受験者数は9万9,931名となりました。新型インフルエンザの最盛期ということで、より慎重な対応の結果10万名には達しなかったのですが、回を重ねるごとに順調に受験者数は増加しています。
また、昨年11月には、各学年の成績上位者を一堂に集めた史上初の試み「全国統一小学生テスト 決勝大会」を実施しました。まさにトップレベルの発掘と引き上げです。「子どもの学力の甲子園」として、今後各学年10万人規模で実施するテストにしていきたい。より多くの生徒に参加していただけるよう、全国の先生方と共に盛り上げていきたいと思います。
2010年も成績優秀者は米国アイビーリーグ視察団として招待しようと思います。生徒たちが将来活躍する舞台は世界。早い段階から世界に目を向け、広い視野と高い志を持つ機会を提供し、生徒に大きな夢を持たせていきたいと思います。
“夢を見つける指導”を進めていく
─昨年5月の東進衛星予備校全国大会で、「夢を見つける指導」について熱く語られましたね。
人間は自ら求め自ら考えて行動すると、受身で行うときの10倍の成果を得ることができる、ということが明らかになってきました。
そして、自ら求め考えるようになるには、自分の将来に対して大きな夢を持つことが必要だと考えています。小学生の段階では、20から30のたくさんの夢があっていい。中学、高校を経て徐々に自分の夢を絞り込んでいき、大学生になる頃には、自分の人生を賭けて打ち込みたいと思える、二つか三つの夢へと固めていく。社会に出るまでに、生徒自らが、将来どのように生きていくか、「ライフミッション」を見つけられる指導をしたいと思っています。そのためには、教育業界だけでなく産業界にも協力いただき、様々な分野で活躍するプロフェッショナルが、次代のリーダー教育の場に登場していただける機会を数多く設けていきたいと考えています。
一つの試みとして、大学生部門ではビジネススクールを設置し、一流企業の研究講座などを実施しています。例えば、伊勢丹の協力により実際の売り場の企画を行い、参加したチームのうち三チームの企画が採用されて、新しい売り場となって実現します。大学生たちは、やるなら死に物狂いでやらないと成功しないことを身をもって体験しています。
民間企業の第一線には優秀な方が大勢おられるので、そういった方々によって鍛えられていくことで、大学生が大きく伸びていくのを日々目の当たりにしています。
生徒が自らの夢を見つける機会を与え、将来へ向けて必死で努力する姿勢を引き出してあげることが、私たち教育に携わるものの重要な役割だと考えています。幼・小・中・高・大、それぞれの段階に応じた生徒たちが夢を見つけ、育む教育環境を充実させたいのです。
元気溌剌な子どもたちを育てよう
─全国の塾・予備校、教育関係者の皆さんに熱いメッセージをお願いします。
会社の中で若手社員が元気に溌剌と働いていると実に雰囲気がいいわけですが、それは日本という国家においても同じことだと思います。若者が学業に励み、芸術に親しみ、スポーツで体を鍛えて、つねに元気で溌剌としていれば、私たち大人も若者から元気をもらい、「よし頑張ろう」と明るい気持ちになれるのではないでしょうか。
資源の乏しい我が国が、構造的な課題を乗り越えて未来を拓いていくためには「人財立国」を目指す以外に道はありません。
そのためには、社会全体として子どもたちを育成していく仕組みづくりを本気で進めていかなければならない。その中で、牽引役となるべき教育に携わる人間の責任、そしてやりがいは、これまでで最も大きくなっていると実感します。
例えば、子どもたちが毎朝6時に起きて、漢文などの本を読む声がどこの家からも聞こえてくる……このように溌剌と勉強に取り組む子どもたちを育てたい、と先生方もお考えのことと思います。そしてそのような教育こそ、私たち民間教育機関が最も得意とするところです。子どもたちは、とても純粋、素直であり、チャンスさえあればより良く変わりたい、と願っています。子どもたちに夢を持たせ、自ら求め自ら考えさせる教育をすることが、私たち民間教育の一番の仕事ではないでしょうか。
いよいよ2010年節目の年です。全国には志ある先生方が大勢いらっしゃいます。一人では何も出来ませんが、先生方と力を合わせていけば、将来に向けて明るく元気に希望が持てる社会をつくれると思っています。生徒を変え、日本を変え、より良い社会づくりを目指していきたいと思いますので、なにとぞよろしくお願いします。
(09年12月22日、東京都武蔵野市吉祥寺のナガセ本社にて取材)


- (株)ナガセは、米セサミワークショップ(ニューヨーク州)と番組を利用した教育プログラム販売の独占契約を締結。「セサミストリート」のキャラクターを使った教材を開発。2010年10月から全国でFC方式で展開するほか、中国やインドにも教室を設け、新たな収益源に育てる。契約期間は10年間で契約額は約30億円。対象年齢は3~12歳。


- 2009年8月9日、イトマンスイミングスクールの東大阪強化校の新プール完成記念披露式典が盛大に行われた。泳法を分析する水中カメラなど最新設備を備えた強化拠点と位置づけられており、競泳男子背泳ぎの入江陵介選手が練習している場所として有名であり、今回は五輪に向け、オリンピック選手の強化育成のためにイトマン所属選手以外にも開放していく。
POINT
- 世界で大活躍する人財を育成したい








