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Vol.47教育こそ国力

株式会社 ナガセ 永瀬 昭幸 社長

株式会社 ナガセ 永瀬 昭幸 社長

 高校生部門(東進ハイスクール、東進衛星予備校等)、小・中学生部門(四谷大塚、四谷大塚NET、東進中学NET等)を中心に、競泳日本代表の入江選手などオリンピック選手を多数輩出している水泳教室「イトマンスイミングスクール」、セサミストリートの人気キャラクターたちと一緒に英語を学ぶ「東進こども英語塾」を展開するなど、総合的な一貫教育体制で「社会に貢献する人財育成」を目指し、全国800校の加盟校とともに東進ネットワークを構築している。
 各部門の現状と今後のビジョンについて、永瀬昭幸社長にうかがった。

次代を担う子どもたちのための新しい教育体系を構築

─ 直近の売上及び経常利益見込みについて教えてください。

 平成24年3月期の連結業績予想(平成23年4月1日~平成24年3月31日)は、売上高が384億6,600万円(対前期増減率+5.4%)、経常利益は38億7,600万円(対前期比169.2%)です。

 ここまで発表した第2四半期までの決算において、昨対、売上は4億8,200万円、経常利益は7億2,600万円増加しております。

 日本全体がしんどい年でもありましたが、全国の加盟校の先生方に踏ん張っていただいており、今期末は史上最高の経常利益が見えてきています。

 直近の一年間で、東進衛星予備校のFC加盟校数は6%増、生徒数で10%増となっています。直営の東進ハイスクールは平成24年3月末までに90校となります。

 東進ネットワークの強みは、有形無形のコンテンツ・ノウハウ構築とオペレーション力にあります。教育効果をあげることを最上位目標に据え、常に最新にして最良であることを念頭に、科学技術の進歩を先んじて探し出し技術面の改善改良を行い続けること、日本や世界の教育カリキュラム、脳科学をはじめとする最新の科学的な根拠を研究し、学習カリキュラムの改善改良を行い続けること、生徒を指導する担任の教育システムを充実させ続けることなど、時間と労力、費用のかかる取り組みを、加盟校の先生方より毎年多数のご意見を賜りながら、東進ネットワーク全体で共に汗しながら地道に積み重ねてきた成果が、近年やっと形になってきたと思っています。私一人では何もできませんが、皆で力を合わせて取り組む仕事のやり甲斐を、年々非常に強く感じています。

 弊社の正社員数は1,051名、グループ全体の生徒数は約25万人、10%の伸び率です。

─ 難関大学の合格実績が伸長するなど高校生部門の成果が結実している要因と、今後の方向性をお聞かせください。

 私たち塾予備校に携わる者が決して逃げてはいけない「お預かりする全ての生徒の学力を飛躍的に伸ばす」というテーマにネットワーク全体で真正面から向き合い続けてきました。加盟校の先生方の生徒指導の質が一層向上した成果として、生徒を必ず伸ばす仕組み「勝利の方程式」が確立しつつあり、その結果、合格実績においても「東大現役合格実績で日本一」となり、東進衛星予備校における生徒数増加や分校展開の成功事例も出てきました。

 いよいよ受験本番ですが、生徒の第一志望合格第一に、さらには第一志望合格に留まらず、最終的に社会に貢献する人財を輩出していきたいという大きな志、目標を皆で共有して、愛情と厳しさをもって生徒指導に注力していきたいと思います。指導の結果として、東大現役合格が昨年の494名から500名以上へ伸びたら素晴らしいことだと思います。

 今後、加盟校数は現在の800校から1,500校体制を目指し、全国どこでも東進のコンテンツをご利用いただけるよう、今後も全国の先生方にご協力いただいて展開してまいりたいと思っています。

 また、新たな取り組みとして、例えば、志望校が東大や京大であっても数学が苦手で困っているという生徒も少なくありません。彼らに三カ月で苦手な数学を克服させ、半年でトップレベルに引き上げるプログラムなども開発中です。その延長線上に、できる生徒をもっと伸ばす仕組みも同時に研究開発を進めています。

─ 小学生部門と中学生部門の取り組みについてお聞かせください。


大がかりな改訂に着手した
四谷大塚の「予習シリーズ」

 四谷大塚では、「予習シリーズ」を中学受験のスタンダードに育てるべく大がかりな改訂に着手しています。来年度の三・四年生の教材改訂を皮切りに、一~三年生向けも「ジュニア予習シリーズ」として新ラインナップの準備を進めています。目先のテストのための勉強だけでは興味を失いがちな子どもに、面白いな、楽しいなと感じながら学習できるような教育手法への大改革を進めていきたいと考えています。

 「東進中学NET」はトップレベルの生徒、成績上位の生徒向けに、天井を設けず伸ばしていくプログラムの提案を行い、グローバリゼーションを踏まえたリーダー育成の土台を築いていくビジョンをより明確にしていきます。

 その先には、大学生や社会人を対象とするTOEICやHSK(中国政府公認「漢語水平考試」Hanyu Shuiping Kaoshi、世界標準の中国語テスト)など、語学資格のためのカリキュラムをラインナップし、「東進中学NET」受講生が取り組んでも入試のための学習と矛盾することなく、さらに能力を伸ばせるようなプログラムを開発しています。

─ 新たな取り組み「東進こども英語塾」の国内外への展開についてはいかがでしょうか。


東進こども英語塾のポスター

 2009年にセサミストリートイングリッシュに関する独占的なグローバル・ライセンス契約を締結し、弊社とセサミワークショップ共同開発の世界中で独占販売できる英語教育コンテンツを誕生させました。2010年10月からFC方式で全国展開していますが、2011年9月に小学生版全レベルのコンテンツが揃い、ようやく本格展開をスタートできる段階になりました。東進に加盟している先生方をはじめとする塾による導入も始まり、将来的には全国1万5,000校の小学校数に匹敵する教室数を目指しています。

 また海外展開は、すでに契約締結している台湾や中国福建省の企業に加え、アジアを中心に10カ国を海外展開の最初のゲートとして検討中です。

 コンテンツは、セサミのエルモやビックバード等のオールキャラクターが登場する双方向マルチメディアで、学齢に応じたレベル設定があります。教室のパソコンと大型タッチモニターを使って、先生が子どもたちと一緒に楽しみながら教えていきます。子どもたちがおうちで見れる英語のアニメーション、ご両親とのコミュニケーションツール、各教室のハロウィン・サンクスギビング・クリスマスイベント等、親子で楽しめる充実のプログラムです。多くの先生方にご参加いただければと思います。

幼・小・中・高・大の一貫教育体制でリーダー育成に取り組む

─ 次代を担う子どもたちへの教育についてお聞かせください。

 現代の子どもたちはモチベーションを維持しにくい社会で育っており、やる気を引き出す教育システムの確立は非常に重要だと捉えています。立志こそ、その要諦にあることは歴史上多くの聖賢が遺すところで、小さな子どもであれば、パン屋さんになりたい、サッカー選手になりたいといった子どもらしい夢を持たせる芽吹きが非常に重要だと思いますし、幼・小・中・高・大へと成長に伴って少しずつ変化しながら目標が定まり、高いモチベーション、志へと昇華していくよう、子どもたちに長く向き合い、細やかに指導していくことが肝要だと思っています。

 道途中ですが、今を生きる子どもたちに必要な新しい教育システムをどんどんイノベーションし、社会=世界に貢献する人財を育てるというミッション実現に向け、先取の精神を持ってチャレンジしていきたいと思っています。

─ 大学生向けのリーダー育成プログラムの取り組みついて教えてください。

 近年、国際社会における日本の影響力の低下が進んでいることは非常に残念なことで、早急に国民の能力向上を図り、頭脳立国を実現していかねばならないと思っています。

 グローバリゼーションの時代において、未来のリーダー候補生を多数輩出していくことは非常に意義があると考え、新宿・池袋・渋谷・御茶ノ水の四カ所に「東進ビジネススクール」を開設しました。

 日本を代表する一流企業が、仕事の醍醐味をダイレクトに語りかける企業研究講座やワークショップを織り交ぜて、語学・ネゴシエーション・プレゼンテーションを中心に総合訓練し、大学生諸君を社会に出て大成長することのできる素養を持った人財へと育成するプログラムです。

 また、近年の理科系離れに歯止めをかけるべく、例えば、日本のファーストサイエンティストや将来のノーベル賞候補である若手の研究者が集うシンポジウムや講演会等、理科系対策にも力を入れています。


東進衛星予備校(東大編)のポスター

初心に戻って新たな年を迎えたい

─ 新年の抱負と、全国の塾業界の方へのメッセージをお願いいたします。

 2011年は大きな転機の年でした。日本の国家財政危機、グローバル社会での競争力低下など構造的課題が未解決な上に、未曾有の東日本大震災、原発事故からの復興という深刻なテーマが加わり、私たち教育に携わる者は、何をもって日本の復興に貢献していくのか、子どもたちの未来をどのように拓いていくのか、いったい塾や予備校に何ができるのか、非常に悩み、考えさせられた一年でした。

 しかし、ご自身も被災された先生が、「被災で何もかもなくした親御さんが、全て流されてしまいましたがこの子だけは勉強させてやりたい、先生よろしくお願いしますと、なけなしの学費を工面してくださった」とおっしゃっていました。こんな悲惨な震災の最中でも、教育者は生徒指導に全力で取り組んでいいのだ、それを親御さんたちは望んでおられる、期待してくださっている、子どもたちが元気だと大人も元気に頑張れるのだと、励ますつもりが逆に真理を見せていただき、教育者として進むべき道を示していただきました。

 教育こそ国力だと心から思います。人的資源にのみ生き残る道が開かれている日本において、次世代を担う人財を育てることは極めてやりがいのある貴重な仕事です。公教育の範囲を超える部分で、私たち民間教育機関が担うべきところは非常に多く、幅広い。

 かつて入江塾の入江伸先生は、「受験は人間七分、学力三分」とおっしゃいました。まさにその通りです。心知体の三位一体の人間教育こそが、私たち民間教育を担う者が抱いてきた初心だと思います。子どもたちに勇気と希望を与え、学力向上、志望校合格という責務を果たし、さらに一歩上を目指して、心知体に優れ、利他精神をしっかりと教育された、本来の意味のリーダー候補生を日本国内はもちろん、世界中に輩出できる教育システムを確立することに全力をあげ、少しでも社会に貢献できるよう邁進していく所存です。

 教育の道に終わりはありませんが、これからも全国の先生方と力を合わせて、私たちにできることを一生懸命追求し、日本の教育体系構築に貢献したいと考えています。今年もなにとぞご指導のほどよろしくお願い申し上げます。

(2011年11月21日、東京都武蔵野市吉祥寺のナガセ本社にて取材)

POINT
  • 東進ネットワーク全体で「社会に貢献する人財育成」を実現する

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