リーマンショックに端を発した、未曾有の大不況。どの企業も利益の確保に必死のなか、財務と税金の知識不足で、本来稼げるはずの利益が妨げられているかもしれません。
また、経営をしていく中で、おろそかにされがちなのが労務の管理。しっかり対策を講じておかないと、何倍ものツケを払わされることになりかねません。
そこで、このコーナーでは経営者はもちろん、これから起業を考えている方にも有益な情報を、本当にあった様々な事例とともにご紹介します!
report25.
外国人雇用について
前回までは日本企業から海外赴任する従業員についてお話しさせていただきましたが今回は、外国人を日本企業へ受け入れる場合についての注意点についてお話しさせていただきます。
在留資格の確認
日本に入国する外国人は、在留資格をもって在留することが原則となります。在留資格とは、外国人が日本に滞在する間に一定の活動を行うことができる資格あるいは外国人が一定の身分又は地位に基づいて日本に在留して活動することができる入管法上の法的資格をいいます。
在留資格は、外国人に許される在留活動または在留中の身分や地位を法律により27種類に分類され、この27種類の在留資格で定められた在留資格に該当しなければ日本に在留することはできません。
具体的な在留資格の確認における注意点
(1)海外にいる外国人を採用する場合
海外にいる外国人を呼び寄せ、日本国内にて採用する場合においての注意点については、就労可能な在留資格の許可が下りるかどうかを見据えることが重要となります。まず、日本国内の職務内容が就労可能ないずれかの在留資格に該当しているかを確認し、職務等が就労可能な在留資格に該当した在留資格基準を満たしているかを履歴書または職務経歴書にて在留資格該当性を確認することが必要となります。
上記の確認後、「在留資格認定証明書」を入国管理局に申請し、その後おおむね2週間から2ヶ月ほどで「在留資格認定証明書」が交付され、その後日本国内での就労が可能となります。
(2)既に日本国内に在留している外国人を採用する場合
「パスポート」および「外国人登録証明書」において職務内容が当該外国人に既に許可されている在留資格の範囲内であるかどうか、在留期間が過ぎていないかを必ず確認する必要があります。
職務内容が当該外国人に既に許可されている在留資格の範囲内である場合であれば、在留期間内において就労可能です。確認のため「就労資格証明書」を提出してもらい会社で確認のうえ、写しを保管しておく必要があります。もし、職務内容が当該外国人に既に許可されている在留資格の範囲外である場合であれば、入国管理局に対して「在留資格変更許可」を申請し、認可が下りるまでは就労させることはできず、不認可の場合は採用を中止しなければなりません。なお、在留資格が「就学(留学)」の者に対して内定を出した場合は、「就学(留学)」は就労不可の資格のため、就労可能な資格に変更しなければ就労させることはできませんので注意が必要です。
また、外国人を雇用する際に就労ビザおよび在留期間、在留資格の証明として「パスポート」と「外国人登録証明書」の写しを会社で保管しておく必要がありますが、ここでの注意としては、「外国人登録証明書」を交付されている16歳以上の外国人が外出する際には、「外国人登録証明書」を常に携帯しなければならないため、会社で原本を預かってはいけません。
(3)「留学性」、「就学生」、「家族滞在」の在留資格の者をアルバイトで雇用する場合
外国人の留学生、就学生および家族滞在者は、法務大臣の「資格外活動許可」を受けた場合でなければアルバイト等の就労を行うことができないため、雇用する際は「資格外活動許可書」の交付を受けていることを確認し、写しを会社で保管しておく必要があります。
なお、資格外活動は、本来の在留目的である活動の遂行を阻害しない範囲内で行われると認められるときに許可されるものであり、風俗営業や性風俗関連特殊営業に従事することは許可されません。
労働条件の通知
外国人労働者を採用した際には必ず書面において賃金、労働時間、休日などの法的に義務づけられている労働条件に加え、法的な面以外の日本の文化的な面についても自社のニーズに応じてより細かく自社の労働条件の通知を行い、外国人労働者の理解できる言語によりお互いの明確な合意を確認しながら契約を結ぶことが大切になります。
外国人労働者の労働保険
原則として、労働関係の法律は外国人であっても日本において就労しているかぎり適用されます。労働基準法は、国籍等に関係なく日本国内で労働する者を対象としているため外国人労働者についても当然に適用され、労災保険については労働者を1人でも雇用する事業所は適用事業所となり、対象となる労働者は雇用形態(アルバイトやパート社員などの短時間労働者)や年齢に関係なく、その事業所で働く全ての者が対象となり、国籍も問われないため外国人労働者にも適用されます。
雇用保険についても労働者を1人でも雇用している事業所は原則として適用事業所となり、適用事業所で使用される労働者(31日以上の雇用期間の予定、週20時間以上の勤務が見込まれる加入条件を満たす者)は原則として雇用保険の被保険者となります。雇用保険についても国籍を問わないため外国人労働者も適用されます。
外国人労働者の社会保険
健康保険についても適用事業所に雇用される外国人にも適用除外となるケースを除き、日本人労働者と同様に加入要件を満たせば適用されます。また、常用雇用関係にない外国人や適用除外に該当する外国人については、外国人登録を行い1年以上日本に滞在することが見込まれる者は国民健康保険の適用になります。
また、厚生年金についても適用除外や社会保障協定を結んでいる国の出身者で加入が免除になる場合以外は、原則加入となります。
外国人労働者の中には社会保険の加入を嫌がる者もおりますが、原則加入となっている以上、法的義務となるため会社としては加入手続および保険料の徴収を行わなければなりません。これを怠ると会社側が法的責任を追及されることになりますので、健康保険の重要性や年金保険が老齢年金だけではなく、病気や事故などによって障害が残ったときに支払われる障害年金や遺族年金などの保障も含まれている等の社会保険への加入のメリットや加入することが法的義務であることを説明することが非常に重要になります。
不法就労と雇用主への罰則
(1)不法就労
不法就労とは、日本に不法に入国したり、在留期間を超えて不法に残留したりするなどして、正規の在留資格を持たない外国人が行う収入を伴う活動や正規の在留資格を持っている外国人でも、資格外活動の許可を受けないで、その許可の範囲を超えて行う収入を伴う就労活動を言います。
(2)雇用主への罰則
不法就労が判明した場合、処罰の対象となるのは当該外国人のみだけではなく、不法就労の外国人等を雇用した場合には事業主自身も入管法違反となりなります。
入管法には「不法就労助長罪」が定められており、「不法就労助長罪」とは、事業活動において外国人に不法就労活動をさせる行為や外国人に不法就労活動をさせるために自己の支配下に置く行為、業として外国人に不法就労活動をさせる行為または外国人に不法就労をさせることを斡旋する行為等が挙げられます。これらの行為を対象として「不法就労助長罪」に該当した者については3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処され、または併科するとされております。
以上、外国人雇用の注意点の概要についてお話しさせていただきましたが、ご参考にしていただき、正しく外国人を雇用し戦力とすることで企業の成長に繋げていただければと思います。
NPO 法人「役立つ税理士協議会」は、税務等に関する様々な知識向上を図ることで、経済発展に貢献したいという考えにより設立。税務・会計・リスクマネージメントの専門家を数多く擁し、顧客第一主義を理念として、中小企業経営者にとって「役に立つ」能力の高い人材を推薦している。一般的な財務に関する相談はもちろん、税務に関する悩み、事業継承などの相談も随時受付中。
会社経営でお困りの方、今後どのように経営したらいいかがわからない方、もちろん起業をお考えの方もお気軽にご相談ください。
『月刊私塾界』では、学習塾経営で知っておきたい税金や財務に関する連載がスタート!
無駄なく、スマートな経営を目指す経営者の方は必見です!!
『月刊私塾界』についてはこちら









