リーマンショックに端を発した、大不況。どの企業も利益の確保に必死な中、おろそかにされがちなのが労務管理。
しっかり対策を講じておかないと、何倍ものツケを払わされることになりかねません。
そこで、このコーナーでは経営者はもちろん、これから起業を考えている方にも有益な情報を、労務管理の事例とともにご紹介します!
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就業規則編
テレビや電車で「過払い金請求」の広告をご覧になられた方は多いと思います。これは既に支払った金利が法定金利を超えている場合、金融会社にその差額の返還を求めるもので、弁護士や司法書士が返還請求を代行することを宣伝しているものです。しかし、このビジネスは一過性のものに過ぎず、「サービス残業による会社への未払い賃金請求」が次の格好のネタになるのではないかと噂されています。
また、この4月より改正労働基準法が施行されます。中小企業には猶予があるものの、月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率が50%となります。これは残業が多い会社に対する懲罰の一種とも言えます。さらに、国は少子化対策として「ワークライフバランス」の実現を企業に求めています。6月には育児介護休業法も改正され、育児や介護を行なう労働者に対する休業などの支援措置の拡充が図られます。
労働基準法の一部を改正する法律(平成20年法律第89号)の概要
(1)時間外労働の削減
- 限度時間を越える時間外労働の労使による削減
- 特別条項付き時間外労働協定で、限度基準告示上の限度時間(※)を超える時間外労働に対する割増賃金率を法定(25%以上)を超える率を定める努力義務
※例えば、1ヶ月45時間、1年間360時間など - 法定割増賃金率の引上げ ※中小企業は、当分の間、適用猶予
- 1ヶ月60時間を越える時間外労働について、割増賃金率を50%以上に引上げ(現行25%以上)
- 代替休暇制度の創設 ※中小企業は、当分の間、適用猶予
- 労使協定により改正法による法定割増賃金率の引上げ分(※)の割増賃金の支払いに代えて、有休の休暇を付与することが可能に
※例えば、50%-25%=25%(簡便化のために引上げ前の賃金率を一律25%とした場合の例)
(2)年次有給休暇の有効活用
- 時間単位年休制度の創設
- 労使協定により、1年に5日分を限度として年次有給休暇を時間単位で取得することが可能に
このように、企業を取り巻く環境は厳しくなっていますが、中小企業は労務リスクの認識が薄いのが実態です。報道される事例が大企業ばかりなのが原因かもしれません。しかし、労務トラブルは日々増加しています。まずは今の制度の問題点を検証してリスク把握から始め、企業が法律を理解し、法律上認められた制度を活用するなど、就業規則を上手に作って、無用な時間外労働をやめ、無駄な残業代を削減するなど、企業防衛を図ることが非常に大切です。
就業規則は常時使用する労働者が10人以上になると、作成と届出が義務付けられます。作ったことがない、昔作ったままになっている、従業員に開示していない、労働時間を把握してない等々、不備がある状態のまま、もし未払い金請求の訴えが起こると、ほぼ100%負けてしまうのが実情です。しかし、就業規則を実態に合わせて整備し、きちんと運用していれば、これらのリスクは回避できるのです。
就業規則は、企業を守るツールにすべきものです。特に労働時間制度をしっかりと決めておくことは喫緊の課題です。さらに、労働契約に関する規定も重要になっています。多岐に渡る会社のルールを就業規則としてまとめ、従業員が安心して働ける職場を提供することは、他社との差別化にもつながります。我々の事務所では、これから就業規則を作る、もしくは整備する企業様に、労働時間、労働契約をはじめ、労務リスク回避の就業規則構築を労働法の専門家の立場からアドバイスしております。ご検討の際には、ぜひ我々専門家をご活用下さい。
提供/NPO 法人「役立つ税理士協議会」 著者/前野睦
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