Archive for: 3月 2023

「THE 日本大学ランキング2023」発表

 英国の教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」(以下「THE」)は、高等教育界に特化したデータ・分析・情報を提供し続けており、「世界大学ランキング」を2004年から発表している。THEはベネッセグループの協力のもと、大学の教学改革やグローバル化の推進に向けて、「THE 日本大学ランキング2023」を発表した。
 ベネッセグループは2016年にTHEと業務提携契約を締結し、THEの国内総合パートナーとして協力してきた。「THE 日本大学ランキング」は2017年3月に1回目の発表を行い、今年で7回目となる。毎年秋にTHEが発表する世界大学ランキングでは「研究力」を軸に据える一方で、日本大学ランキングは、日本の教育事情により即した形で大学の魅力や特性が表れるように、大学の「教育力」を測る設計となっている。
 ランキング指標は「教育リソース」「教育充実度」「教育成果」「国際性」の4分野で構成されている。一般的な国内の大学ランキングは、主に入学時の学力(合格基準)が軸になっているが、このランキングは学生の学びの質や成長性に焦点を当てたものとなっている。


 日本大学ランキングの2023年版では271大学がランク付けされた。
 総合ランキングでは、東北大学が昨年に続き4年連続で1位に、東京大学も昨年に続き2位に、3位に大阪大学(昨年同率3位)、4位に東京工業大学(昨年同率3位)が、続いて5位は昨年に続き京都大学、6位は昨年から一つランクを上げて九州大学(昨年7位)がランクインした。また、国際基督教大学が2つ順位を上げて初めてトップ10に入った(10位)。
 分野別ランキングでは、「教育リソース」で東京医科歯科大学が再び1位となり、「教育充実度」は国際基督教大学が初めて1位になった。「教育成果」は京都大学、「国際性」では立命館アジア太平洋大学と、昨年から1位に変化はなかった。

THE日本大学ランキング2023【ランキング指標】
 2023年版のランキング指標は、2022年版から変更はない。2019年版以来、指標における「教育充実度」の充実を図る目的で、“教員・学生の交流、協働学習の機会”、“授業・指導の充実度”、“大学の推奨度”の3つの学生調査の結果が、重要な指標項目としてランキングに反映されている。

THE 日本大学ランキング2023【総合順位】(50位まで抜粋)
【順位】 2023総合 / 昨年総合 / 大学名 / 【スコア】総合Overall / 教育リソースResources / 教育充実度Engagement / 教育成果Outcomes / 国際性Environment
1 / 1 / 東北大学 / 85.9 / 80.3 / 84.0 / 97.6 / 88.8
2 / 2 / 東京大学 / 82.7 / 83.4 / 84.2 / 95.3 / 69.6
​3 / =3 大阪大学 /82.5 / 75.2 / 83.1 / 96.4 / 83.0
4 / =3 / 東京工業大学 / 82.3 / 75.8 / 84.5 / 93.5 / 81.0
5 / 5 / 京都大学 / 82.2 / 79.3 / 80.9 / 98.6 / 75.9 /
6 / 7 / 九州大学 / 80.5 / 72.5 / 83.3 / 97.0 / 76.6
7 / 6 / 北海道大学 / 80.1 / 71.4 / 82.4 / 96.0 / 78.7
8 / 8 / 名古屋大学 / 78.9 / 74.1 / 79.7 / 97.4 / 71.0
6 / 6 / 筑波大学 / 77.8 / 70.9 / 82.9 / 90.0 / 72.3 /
10 / 12 / 国際基督教大学 / 73.3 / 50.7 / 91.4 / 56.7 / 98.0
11 / 10 / 広島大学 / 73.0 / 63.0 / 82.3 / 73.7 / 75.8
12 / 11 / 慶應義塾大学 / 72.1 / 58.8 / 77.4 / 93.2 / 69.8
13 / 14 / 神戸大学 / 71.7 / 61.7 / 78.3 / 83.2 / 69.6
14 / 13 / 早稲田大学 / 71.4 / 47.4 / 80.2 / 93.2 / 81.4
15 / 17 / 国際教養大学 / 71.3 / 47.7 / 91.3 / 62.3 / 88.6
16 / 16 / 一橋大学 / 69.7 / 46.5 / 85.1 / 70.1 / 85.6
17 / 15 / 東京医科歯科大学 / 69.4 / 84.6 / 63.9 / 46.5/ 70.4
18 / 19 /金沢大学 66.9 / 62.6 / 76.6 / 54.0 / 69.8
19 / =21 / 千葉大学 / 66.0 / 59.9 / 76.7 / 61.8 / 63.5
20 / 23 / 東京農工大学 / 65.3 / 64.4 / 73.2 / 48.4 / 68.4
21 / =21 / 岡山大学 / 65.2 / 58.8 / 75.8 / 54.4 / 69.1
=22 / 24 / 立命館アジア太平洋大学 / 64.5 / 31.4 / 86.8 / 48.8 / 99.8
=22 / 20 / 上智大学 / 64.5 / 39.0 / 82.4 / 53.6 / 89.8
24 / 18 / 会津大学 / 64.3 / 58.7 / 79.8 / 28.7 / 79.1
25 / =31 / 熊本大学 / 63.7 / 60.1 / 70.5 / 60.2 / 62.4
26 / 30 / 長崎大学 / 63.4 / 62.5 / 73.9 / 46.2 / 62.9
27 / 27 / 東京外国語大学 / 63.3 / 36.8 / 84.1 / 50.9 / 87.2
28 / 26 / 横浜国立大学 / 62.7 / 48.2 / 75.0 / 58.0 / 72.8 / 52.2 / 77.9
29 / 35 / 京都工芸繊維大学 / 62.4 / 54.3 / 66.8 / 52.2 /77.6
30 / =31 / 長岡技術科学大学 / 62.1 / 57.1 / 64.4 / 47.6 / 78.8
31 / =31 / 立命館大学 / 61.6 / 35.9 / 82.4 / 58.6 / 76.5
32 / 25 / お茶の水女子大学 / 61.3 / 59.5 77.6 29.9 65.1
33 / 29 / 東京理科大学 61.2 / 50.5 / 79.4 / 68.2 / 46.3
34 / 28 / 芝浦工業大学 61.1 44.6 76.6 47.8 76.4
35 / 36 / 豊橋技術科学大学 / 60.6 / 61.2 / 48.9-56.1 / 50.4 / 75.5
36 / =37 / 電気通信大学 / 59.5 / 58.4 / 67.1 / 43.8 / 62.4
37 / 40 / 東京都立大学 / 58.8 / 54.4 / 69.1 / 55.2 / 53.5
=38 / =37 / 九州工業大学 / 58.3 / 49.3/ 76. 8/ 44.4 / 56.8
=38 / 34 / 横浜市立大学 / 58.3 / 68.7 / 70.7 / 32.4 / 42.9
=40 / NR / 大阪公立大学 / 58.0 / 60.5 / 69.6 / 60.0 / 27.7-40.5
=40 / =44 / 立教大学 / 58.0 / 33.3 / 82.1 / 42.2 / 76.2
42 / 39 / 東京海洋大学 / 57.7 / 58.8 / 61.7 / 45.8 / 59.5
43 / =41 / 同志社大学 / 57.2 / 34.8 / 77.6 / 50.2 / 70.1
44 / =44 / 関西学院大学 / 56.8 / 35.4 / 78.1 / 43.0 / 72.1
=45 / 46 / 福岡女子大学 / 56.5 / 40.3 / 75.5 / – / 88.9
=45 / =41 / 明治大学 / 56.5 / 36.8 / 79.9 / 48.3 / 61.2
=47 / 43 / 神田外語大学 / 56.2 / 22.0-31.0 / 84.7 / 30.8 / 80.0
=47 / 61 / 名古屋市立大学 / 56.2 / 68.9 / 58.8 / 45.1 / 27.7-40.5
=49 / 53 / 学習院大学 / 55.1 / 40.0 / 69.8 / 38.5 / 72.1
=49 / 52 / 名古屋工業大学 / 55.1 / 52.3 / 65.6 / 52.0 / 46.7

※順位横の「=」表記は、同順位であることを示しています。同順位の場合は英語表記のアルファベット順で掲載している。
※「NR」は2022版でランキング対象でなかったことを示している。
※「‒」は、分野における順位が201 位以下のためスコア非表示としている。
※詳細は「THE 日本大学ランキング」日本語公式サイトへ。
https://japanuniversityrankings.jp/

墨田区立桜堤中学校で「Monoxer」活用後、生徒470名の主要5科目の基礎事項テストの平均得点率が44%から70%へ上昇

 モノグサ株式会社(東京・千代田区、代表取締役:竹内 孝太朗、畔柳 圭佑)が提供する、記憶定着のための学習プラットフォーム「Monoxer(モノグサ)」が、墨田区立桜堤中学校の生徒470名を対象とした実証事業で活用された。その結果、主要5科目(国語、数学、英語、理科、社会)の基礎事項テストの平均点が44%から70%へ上昇した。
 また、不登校の未然防止や早期対応を目的とした「スモール・ステップ・ルーム(SSR)」でも、学習を通した登校支援の施策として活用されている。

 現状、学校では授業で扱った知識事項を長期的に定着できているかどうかについて生徒一人ひとりに委ねており、定着度合いに個人差が生じています。その原因として、授業外における反復学習の効率に個人差が大きくかつ教員の介入が物理的に難しいという点が影響している。
 学習指導要領に基づく主体的・対話的な学びに教室内の全生徒が向き合うにあたって、「自ら思考する土台となる基礎知識が定着していること」と「主体的に学習に向き合う意欲につながる学習での成功体験を持っていること」が必要となる。
 桜堤中学校では、3つの異なる小学校の児童が毎年入学するため、学校によって学力差が生じており、上記を満たすことができていない生徒も多くみられていた。

 桜堤中学校ではMonoxerを活用して、義務教育課程における個人間の学力格差の解消を目指している。
 Monoxerを通して、個別の学習遅れの要因に合わせた基礎定着学習を提供することで各生徒が主体的・対話的な授業に参加する前提を揃え、基礎的事項における学習での成功体験を積み上げることで学校における指導要領の実践のための土台作りを実現することを目指している。

 昨年11、12月に実施したMonoxerを活用した実証における学力向上の成果によって、生徒と保護者と、その結果を共有しながら2023年4月より本格導入を開始する。

墨田区立桜堤中学校における実証の概要
「自ら思考する土台となる基礎知識の定着」と「主体的に学習に向き合う意欲につながる学習での成功体験を積むこと」を目指して実証事業を行った。

・実施期間
2022年11月14日〜12月14日にMonoxerによる学習を実施。
2022年11月15日に事前テスト、12月14日に事後テストを実施。

・対象人数
墨田区立桜堤中学校の生徒470名(1学年5クラス175名、2学年5クラス157名、3学年4クラス138名)を対象に実施した。

・学習内容
生徒は、学年ごとに異なる既習範囲の内容を学習した。国語は漢字学習、英語は英単語学習、数学、理科、社会は既習範囲の基礎知識事項を範囲とした。
それぞれMonoxerの学習計画機能に基づいて、全体の学習内容を日割りし、生徒はMonoxerが提示した決められた学習量を日毎に学習した。

・実施方法
Monoxerによる学習は、朝学習の時間と授業時間の最初の5分から10分を使って実施し、学校の時間で終わらなかった分を宿題として実施した。先生はMonoxerのリアクション機能を活用し、生徒に声掛けを実施し、生徒のモチベーション維持を図った。
Monoxer学習の事前と事後でテストを実施し、平均得点率を比較した。(テストは、国語:15点満点、英語:25点満点、数学8点満点、理科、社会:20点満点で実施)

墨田区立桜堤中学校における実証の結果
 事前テストと事後テストの平均得点率を比較すると、全学年、全科目において事後テストの平均得点率が事前テストよりも上昇する結果となった。特に、1年生の国語(漢字)では、49%上昇と顕著に変化が見られた。また、全学年の理科、3年生の社会、3年生の英語(英単語)、2年生の国語(漢字)では80%の得点率を越えていた。

「スモール・ステップ・ルーム(SSR)」におけるMonoxerの取り組みに関して

 桜堤中学校では、これまでも不登校の未然防止や早期対応を目的に校内に別室を用意していた。今年度は、「スモール・ステップ・ルーム(SSR)」と名称を変えて設置、運用をしている。
 Monoxerの導入にあたり、従来の学習からではなく、ゲーム形式で先生方の名前、学年、教科等を問題にして取り組みを始めました。登校が安定しない生徒も数多く通う中で、Monoxerの活用を「楽しいもの」という印象をもたせる工夫をした。
 SSRの時程の5時間目は、「Monoxerタイム」として設定して、生徒の取り組みを後押ししています。Monoxerの取り組みを通して、学びに自信が芽生え、教科によっては教室との行き来ができる生徒が増えているそうだ。

英検4級・5級 不合格の場合は無償で再受験できるチャレンジキャンペーンを実施(準会場)

 公益財団法人 日本英語検定協会は、実用英語技能検定4級・5級を国内の準会場で受験する受験者を対象に、不合格の場合は無償で再受験できるチャレンジキャンペーンを実施する。

 英検は初期学習者向けの5級をはじめ、学習段階に応じた7つの級があり、年齢を問わず誰でも申し込みできるため、英語学習を始めたばかりの児童・生徒にも積極的に受験されている。一方で、不合格が嫌で受験しない」「不合格になると落ち込む」等の理由から、英検受験を躊躇する児童・生徒がいるとの声が上がっていた。
 英検では合否結果に加えて全級共通のユニバーサル尺度「英検CSEスコア」が示され、不合格の場合でも合格基準にとれだけ足りなかったかが分かり、技能別の得意・不得意分野も把握できることから、合格に向けた学習計画を立てることができる。
 また、英検協会はこれまでの調査で、英語能力を継続的に向上させるためには、英検の目標級を設定し、モチベーションを高く保ちながら学習することが重要であることが分かっている。失敗を恐れずにチャレンジすることで、あとどれだけ学習すれば次の級に進めるかが明確になるので、不安を抱えている児童・生徒に、積極的に挑戦してもらいたいと考えている。
 そこで、英検を目標に据えてまずは暢初の一歩目を踏み出してもらうために、受験への心理的障壁を下げ、たとえ不合格でも次回また受験できるという精神的かつ経済的な支援ができないかを考え、このキャンペーンの企画に至った。
【キャンペーン概要】
■対象者
下記の英検を通常受験して不合格(欠席を除く)となった受験者
・受験級:英検4級または5級
・検定回:2023年度第1回、第2回、第3回
・会 場:日本国内の準会場で受験された方

■上記対象者が「無償再受験」が可能となる試験
・2023年度第1回通常受験 不合格者→ 2023年度第2回 無償再受験可能
・2023年度第2回通常受験 不合格者→ 2023年度第3回 無償再受験可能
・2023年度第3回通常受験 不合格者→ 2024年度第1回 無償再受験可能
※ただし、同一の級、同一の準会場での再受験に限る

■申込方法
・通常受験:準会場での通常どおりの申し込み(特別なキ+ャンペーン登録などは不要)
・無償再受験:準会場での申し込み時に「無償再受験であることを伝える」
※申込方法の詳細は確定次第発表

学研とIRISデータラボがLINE×チャット型コマースの技術実証を開始

 IRISデータラボ株式会社(東京・青山、安達 教顕 代表取締役)は、株式会社学研ホールディングス(東京・品川、宮原博昭 代表取締役社長)と共同で、学研の3万点を超える図鑑や書籍販売にChatGPTエンジン(ChatGPT4含む)を活用し、LINE×チャット型コマースの実証実験を開始することを発表した。

 この取り組みにより、ChatGPTエンジン(ChatGPT4含む)とLINE連携ECツール「Atouch」をAPI連携させて、「Atouch」の商品データベースのデータソースを読み込ませた「Gakkenはかせ」のLINE公式アカウントと学研ホールディングスのLINE公式アカウントにて自然言語で、欲しい本などを質問すると最適な学研書籍をレコメンドしてくれることを実現。利用者の拡大に伴いより賢く、正確な情報をお届けすることが可能で、膨大な商品数を誇る学研のダイレクトマーケティング手法として効果を検証していく。

■「Gakkenはかせ」 友だち追加はこちらから
・LINE Chat型の「Gakkenはかせ」 友だち追加情報
URL:https://weburl.jp/dai0J5u

・Webアプリ型の学研ホールディングス公式LINEの「Gakkenはかせ」 の友だち追加情報
URL:https://weburl.jp/KwvOtXl

■学研とIRISデータラボの取り組みについて

<Phase1〜Phase2> 2023年3月~6月まで予定
 ChatGPTエンジン(ChatGPT4含む)とLINE連携ECツール「Atouch」をAPI連携させて、Atouchの商品データベースのデータソースを読み込ませた「Gakkenはかせ」のLINE公式アカウントと学研ホールディングスのLINE公式アカウントにて自然言語で、欲しい本などを質問すると最適な学研書籍をレコメンドしてくれるようになる。

<Phase3以降> 2023年9月~
「Atouch」で蓄積したユーザーの会話や購買履歴などの属性データ元に、「Atouch」とChatGPTエンジン(ChatGPT4含む)を連携させて、プッシュ型でオススメLINE配信を可能にし、感度の高い関連図書のレコメンドを行ってくれるようにする予定。学研グループのGakkenIDサービスと連携したレコメンドサービスの展開を目指す。

<ロードマップイメージ>

“e-kagakuジュニア衛星“の作製費および打ち上げ費用をクラウドファンディングで募集開始

 一般社団法人e-kagaku 国際科学教育協会(京都市、北原 達正 代表理事)は、中高生が製作した人工衛星を打ち上げる世界初のプロジェクト「e-kagakuジュニア衛星プロジェクト」で作製する人工衛星”e-kagaku ジュニア衛星”の作製費用および打ち上げ費用をクラウドファンディングで募集する。募集期間は6月18日まで、目標金額は1,000万円を目指す。

クラウドファンディングサイト:https://global-science.or.jp/fund/

完成した”e-kagakuジュニア衛星”のエンジニアリングモデル。手前の面に組み込まれているのがmini-Mt.FUJI。地上からのレーザを反射する。

 e-kagakuジュニア衛星は小型人工衛星CubeSat(キューブサット、10×10×10cmサイズ、重量1kg)サイズとなり、地球上から光学観測できるほぼ限界の大きさ。衛星に搭載されたmini-Mt.FUJI(JAXAが開発した衛星レーザ測距(SLR:Satellite Laser Ranging)用の超小型反射器)に向けて地上のSLR局からレーザを照射し、反射して返ってきた光を再び検知するまでの往復時間を計測することで、SLR局と人工衛星との距離を高精度(mmオーダ)に測定することができる。そのデータはスペースデブリ(宇宙ゴミ)の軌道解析や民間人の宇宙旅行に必須な宇宙保険の料率など、急成長する宇宙ビジネスに大きく寄与するものと考えられる。

スペースデブリ(宇宙ゴミ):地球周回軌道に存在する、役目を終えた人工衛星やロケットなどを「スペースデブリ(宇宙ゴミ)」と呼んでいます。宇宙開発の進展に伴いスペースデブリは年々増加の一途をたどっているうえ、それぞれ異なる軌道を周回しているため、回収及び制御が難しい状態だ。これらが活動中の人工衛星や宇宙船、国際宇宙ステーション(ISS)などに衝突すると、設備が破壊されたり乗員の生命に危険がおよぶ恐れがあるため国際問題となっており、対策が必要となっている。

<e-kagakuジュニア衛星プロジェクトについて>
 このプロジェクトは2020年2月から開始され、人工衛星作製経験が全くない小・中・高・大学生34名が参加している。人工衛星はオリジナルで設計・開発を行っており、特にmini-Mt.FUJIをCubeSatに取り付けた事例はこれまでにないため筐体を設計するところから始めた。2022年12月にエンジニアリングモデル(EM)が完成。今後は2023年8月にフライトモデル(FM)の完成予定、JAXAの安全審査を経て、2024年6月に宇宙に打ち上げ、ISS日本実験棟「きぼう」から放出される予定。

 このプロジェクトはe-kagakuが掲げる「産業界と教育界が連携するICT人材育成」の集大成。今回のプロジェクトで、「宇宙をジュニアたちの実践教育の場とできること」「どこに住んでいても最先端のプロジェクトに参加できること」「10年以内に実現する産業にいち早く取り組める人材を育成すること」「ハードとソフトとデザインすべてを小学生から学べること」を証明したいと考えている。

<一般社団法人e-kagaku国際科学教育協会について>
 2014年6月設立。Space Robot Contest のほか、小中学校、高校、大学等における AI/データサイエンスやロボット/ドローン体験教室や合宿を全国各地で開催。「スポーツやピアノと同様に、大人が使う本物の道具(ロガーやアプリケーション)と本物のスキル(知識やプログラミング)を使ったSTEAM教育を、小学生からどこでも行う」ことをコンセプトに、子どもから大人向けのSTEAM教育、ICT教育を全国で行い、科学を通じた人間育成と、教育格差のない社会の実現のための環境整備を行っている。

追手門学院大学 こども向け防災トイレットペーパー配布 標語で防災知識を楽しく学ぶ

 身近に防災の知識に触れてもらおうと、追手門学院大学(大阪・茨木市、真銅 正宏 学長)の学生らが災害時の初動や注意点などをプリントしたトイレットペーパー『ぼうさいおぼえっとぺーぱー』を考案・グッズ化し、茨木市立中央図書館とともに開催する未就学児から小学生を対象にした防災教育イベントで配布する。

 学生考案の「ぼうさいおぼえっとぺーぱー」 イベントを主催するのは、経営学部でマーケティングを学ぶ学生5人。学生らは、追大ベンチャービジネス研究所が開催する「第9回追手門グッズコンテスト」で、毎日利用するトイレに着目し、身近に防災に関する知識にふれることができるトイレットペーパーを提案し、2022年11月にグッズ化した。表面のプリントには、地震や火事が起きたときの初動や台風が来た際の備え、避難時の注意などを、子どもでも分かりやすいようにひらがなの標語とともに紹介している。開発したグッズは、地域の防災イベントや茨木市内の施設でも活用してもらう予定で、今回のイベントはその一環で開催するもの。
 茨木市立中央図書館の協力のもと、未就学児から小学生を対象に避難時の初動と注意点を中心に学ぶ。各回、第一部では図書館職員による避難訓練をテーマにした絵本読み聞かせ、第二部では、学生らが地震発生時にすぐに身を守る行動を取るための「シェイクアウト訓練」を実際に行い、またトイレットペーパーにも盛り込んでいる避難時の注意点を紙芝居形式で紹介する。

【ポイント】

  • 身近に防災知識に触れてもらおうと学生らが防災啓発トイレットペーパーを考案・グッズ化
  • 地震や火事が起きたときの初動や、避難時の注意などをひらがなを用いてわかりやすく紹介
  • 茨木市立中央図書館で未就学児から小学生向けの防災教育イベントを開催し、参加者に配布
  • 防災イベント 概要

■日 時:3月26日(日)①10:30〜②12:30〜③15:30〜 各回30分
■場 所:茨木市立中央図書館2階多目的室(大阪府茨木市畑田町1−51)
■対 象:未就学児・小学生
■申込/費用:申し込み不要、参加費無料

生徒の理解度に応じて難易度を自動的に調整する「AI家庭教師 -AI Tutor Plus-」の提供が開始

 有限会社アズリアル (東京・目黒区、藤田 陽介 代表取締役 ) と株式会社HashLab(ハッシュラボ)は、2023年3月23日に本物の先生のように、生徒たちの学習をサポートするAI家庭教師サービスの提供を開始した。

 AI家庭教師 -AI Tutor Plus-は、本物の先生のような人間味あふれる対応で、生徒たちの学習をサポートするAI家庭教師サービス。ChatGPT(GPT-4)を活用し、数学をはじめとする様々な科目に対応し、既存の教育システムへも簡単に組み込むことができる。

「AI Tutor Plus」は数学を始め、順次他の科目、プログラミング学習にも対応していく予定。これにより、生徒は幅広い学習内容にアクセスすることができる。
 24時間365日、いつでも利用することができ、生徒は好きな時間に学習を進められ、質問があればすぐにAIが答えてくれる。
 本物の先生のように褒めたり、驚いたり、人間と会話しているような教え方で生徒をサポートする。これにより、生徒は楽しみながら学習を進めることができる。
 生徒の理解度に応じて難易度を自動的に調整し、一人一人に合った教え方でわかるまでとことんサポート。
 企業は、AI家庭教師 -AI Tutor Plus-を使った独自システムを開発することができる。既存の教育システムに組み込んで、より効果的な学習環境を提供することが可能。

「AI Tutor Plus」は、教育機関やオンライン学習プラットフォーム、家庭教師サービス、個別指導塾、学校の教材開発など、幅広い分野で活用できる可能性があり、事業提携や技術提供など、様々な角度でご一緒できる企業を募集している。

障害児通所支援の「unico」とLITALICOが資本業務提携

 児童発達支援・放課後等デイサービスの「unico(ユニコ)」(福岡市)と株式会社LITALICO(東京・目黒区、長谷川 敦弥 代表取締役社長)は、2023年4月1日より資本業務提携することを決定した。

「unico」は、株式会社ウェルモにより福岡県内で展開され、11拠点で放課後等デイサービス、4拠点で児童発達支援、2拠点で相談支援事業所を運営している。「子どもたちの可能性を解放する」とのミッションのもと、子どもたちがそれぞれの特性に応じて自ら学び育っていく独自のメソッドでサービスを提供するとともに、天神・博多教室ではIT・プログラミング学習を通した自主学習型のUNICO NEXTモデルを展開している。

 LITALICOグループは、「障害のない社会を作る」というビジョンのもと、これまで障害のある方の就労や、障害児の学びを支援するサービスを全国280拠点以上で提供してきた。このうち、障害児通所支援を運営するLITALICOジュニアは全国128拠点で展開している。

 今後、「unico」はこれまで築き上げてきたサービスコンセプト・強みを生かしながら、より多くの利用者によりスピーディにサービスをお届けできるよう成長を加速していくとともに、LITALICOグループからは必要なリソース・ノウハウを提供し、「unico」の成長をサポートする。

「unico」の事業は株式会社ウェルモから会社分割によって独立し、株式会社unicoとして運営される予定。株式会社LITALICOは、2023年4月1日に、株式会社ウェルモより株式会社unicoの全株式取得を予定している。

久留米高専 学生の研究が画像認識精度の向上に寄与

 独立行政法人国立高等専門学校機構 久留米工業高等専門学校(福岡・久留米市、松村 晶 校長)の機械・電気システム工学専攻科2年生の與田悟史さんは、指導教員である黒木祥光教授(久留米高専制御情報工学科)のもと、AIが画像分析を行うための学習手法の一つである「畳み込みニューラルネットワーク(CNN: Convolutional Neural Network)」の研究をしている。與田さんの行った研究により、CNNを用いた画像認識精度の向上が実現した。與田さんの研究成果は、国際会議ICIIBMS(International Conference on Intelligent Informatics and BioMedical Sciences)2022において、『Student Best Paper Award』を受賞している。

ポイント
・画像認識において、畳み込みニューラルネットワーク(CNN: Convolutional Neural Network)の畳み込みフィルタの初期値に、畳み込みスパース表現における辞書フィルタを用いる手法を提案した。
・提案した辞書フィルタはCNNと異なり、少ない学習用画像でも作成することができるため、特に学習画像枚数が少ない場合でも高い分類精度を達成した。

背景
 画像認識において、CNNは他の手法を圧倒した画像認識精度を誇っていることが知られている。CNNのこの高い画像認識能力は、画像の特徴を持つフィルタによって構成される畳み込み層を導入することにより実現している。CNNがうまく学習を行うためには、適切な学習パラメータの初期値を設定する必要があり、Xavierの初期値やHeの初期値を用いたパラメータの初期化手法が提案されている。
 今回の研究では、黒木教授の研究室で研究されている畳み込みスパース表現と呼ばれる画像の近似表現手法を用いてCNNのパラメータの初期値を設定した。提案手法では、畳み込みスパース表現における辞書フィルタがCNNの畳み込みフィルタと同様に画像の特徴を持つことに着目し、畳み込みスパース表現の辞書フィルタをCNNの畳み込みフィルタの初期値に設定しCNNの精度向上を目指した。

畳み込みスパース表現
 畳み込みスパース表現は、画像の特徴を表す辞書フィルタと辞書フィルタの分布を表す係数マップ との畳み込み和によって画像を近似表現する手法。

実験
 実験では、2層の畳み込み層を持つ小さなCNNを用いてデータセットCIFAR-10のクラス分類を行い、畳み込みフィルタの初期化方法の違いによる分類精度を比較した。
 実験の結果、CNNの学習枚数が少ない場合にL1誤差項を用いた畳み込み辞書学習によって初期値の計算を行ったCNNの方が、Xavierの初期値やL2誤差項を用いた畳み込み辞書学習によって初期化を行ったCNNよりも高い分類精度を達成した。

今後の展望
 今回の実験で用いたデータセットの画像サイズは32×32画素と小さいため、より大きな画素数を持つ画像データセットでの検証を行い提案手法の実用性を確認することを予定している。また、CNNの学習中の畳み込みフィルタの変化について調査を行い、提案手法による初期化の影響も明らかにしたいと考えている。この研究の成果が画像認識を始めとするAIの発展に寄与することを期待している。

久留米工業高等専門学校について
 本校は5学科からなる本科と2専攻からなる専攻科を備えた工業高等専門学校で、からくり儀右衛門と呼ばれた発明家・田中久重翁の出身地及びゴム産業の発祥の地である久留米に昭和39年に創設された。自立の精神と創造性に富み、広い視野と豊かな心を兼ね備えた、社会に貢献できる技術者の育成を教育理念とし、久留米工業高等専門学校の教育・研究の発展に寄与するとともに、地域社会における技術開発及び技術教育に資することに努めている。

【学校概要】
久留米工業高等専門学校
久留米工業高等専門学校
学校名:独立行政法人国立高等専門学校機構 久留米工業高等専門学校
所在地:福岡県久留米市小森野1丁目1番1号
校長名:松村 晶
設立:昭和39年
URL:https://www.kurume-nct.ac.jp/
事業内容:高等専門学校・高等教育機関

リクルート 留学生1,000人アルバイト実態調査2023

 株式会社リクルート(東京・千代田区、北村 吉弘 代表取締役社長)の調査研究機関『ジョブズリサーチセンター(JBRC)』は、「留学生1,000人のアルバイト実態調査2023」を2023年1月に実施、その結果の一部を発表した。

 2023年は日本に学びに来る外国人留学生数も回復する見込みでこれから新たにアルバイトをしたいという留学生も増えると言われている。コロナ禍を経て留学生はどのような意識で日本でのアルバイトを捉えているのか、調査レポートの一部を紹介する。

■調査結果①「アルバイトしたいと思わない」は2.1%。約9割がアルバイトを希望
 2023年1月、留学生1,000人に今後のアルバイト希望を聞くと、89.5%が何らかのアルバイトを希望し、「アルバイトしたいとは思わない」はわずか2.1%だった。同設問を2019年に聞いたときは、19.4%だったため、留学生のアルバイトへの関心・興味の高まりがうかがえる。また、アルバイト状況をみると「1つしている」、「2つ以上している」あわせて69.9%なので、アルバイト希望89.5%との差分をみると現在アルバイトをしていない留学生も今後アルバイトを希望していることがわかった。

■調査結果②希望する仕事は「宿泊施設のスタッフ」「ホールスタッフ(飲食店)」等が上位
 希望する仕事内容を複数回答で聞くと、「宿泊施設のスタッフ」19.0%、「ホールスタッフ(飲食店)」17.9%等が上位にあがった。上位5つをみると、「通訳、翻訳」以外は2019年よりも上位にあがっている。接客サービスを伴う仕事が希望されているようだ。

■調査結果③現在のアルバイトのきっかけは「生活費」に次いで「日本で働くことへの興味」が多い。アルバイトを通して日本社会を知る、日本人と一緒に働く経験で将来の参考に
 アルバイトをしている留学生699人にはじめた理由を複数回答で聞くと、「生活費」51.6%がもっとも多く、次いで「日本で働くことに興味があるから」45.6%、「日本語を勉強できる機会が欲しいから」39.8%と続いた。参考で2019年と比較すると、「日本で働くことへの興味」が10pt近く増えている。
 実際に日本でのアルバイト経験を踏まえて、日本の職場の実態やどのような点を大事にしたいか、どのような職場なら働けそうか等、今後のキャリアの参考にしている様子がうかがえる。

■調査概要
調査方法:インターネット調査(クロス・マーケティング社モニター利用
調査対象:日本国内の教育機関へ通う、外国人留学生
※日本の大学(大学院を含む)、短期大学、専修学校(専門課程)、準備教育課程及び日本語教育機関に在籍する外国人留学生
有効回答数:1000人
調査実施期間:2023年1月10日(火)~1月30日(月)
調査機関:JBRC(ジョブズリサーチセンター)

詳細は下記リンクのPDFへ
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20230320_hr_01.pdf