

日本経済は30年ぶりに目を覚まし、少しずつ回復軌道を歩み始めているようだ。経済力をはじめとする国力を回復させる施策に本格的に取り組む時が来ている。経済力復活のかぎを握るのは人財である。人財の力を高めるためには、日本人が本来重視してきた利他、至誠、知行合一の精神を復活させることが必要だ。
こうした人格形成教育の重視は一見、経済力、人財の質といった国力の基礎を左右する要素と関係がないように見える。しかし、日本が江戸時代以来、国民全体で培ってきた伝統思想に基づく〝利他〟、〝至誠〟、〝知行合一〟といった人間力は、世界からの高い評価につながる。サッカーワールドカップにおいて、日本人観客が自席周辺の後片付けをしたことが世界から称賛されたのはその一例だ。
特定分野において目覚ましい業績を上げるには特別な素質に恵まれた専門能力が重要だ。だが、それを超一流のレベルまで磨き続け、周囲の人たちから熱い支援を受け続けるには立派な人格を備えていることが必要だ。
優れた人格は利他の精神、至誠、人一倍の努力、自己規律、他者への思いやりなど、全面的な人間力であり、経済、文化、政治・外交あらゆる面において立派な業績を修める土台となる。日本が国力を回復するためには、幼稚園、小学校から大学、大学院、企業内教育に至るまで、人格形成教育に注力することが重要である。
我々教育サービス業界もその大切な一翼を担う。
(如己 一)
株式会社スプリックス(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:常石博之)は、国際基礎学力検定「TOFAS(Test of Fundamental Academic Skills)」の第17回検定を、2026年1月19日から25日まで実施すると発表した。TOFASは開始から約5年で、世界50カ国以上に広がり、累計受験者数は1,500万人を突破している。
TOFASは、計算を中心とした基礎学力に特化した国際的な学力検定で、学習環境や教育制度の異なる国・地域間でも共通の尺度で学力を測定できる点が特長だ。スプリックスでは、基礎学力を「教育の1メートル」と位置付け、グローバルに比較可能な評価指標としての普及を進めてきた。近年、各国で基礎学力の重要性が再認識されていることが、受験者数の拡大につながっているという。
検定では、正答率や合否結果だけでなく、受験データを分析し、学力向上に向けた「のびしろ」を個別にフィードバックする仕組みを採用。一人ひとりの基礎学力の定着度や課題を可視化することで、学習改善につなげる点も教育現場から評価を得ている。
第17回検定の対象科目は「計算」「英単語」「漢字・語い」の3科目で、各科目40分。合格基準は正答率80%以上とし、受験はPCまたはタブレットを用いたオンライン形式で行われる。受験結果は受験期間終了後、約2週間を目安に通知され、合格者にはデジタル形式の合格証が発行される。受験料は各レベル20ドル。申込期限は2026年1月14日までとなっている。
スプリックスは国内では学習塾や教育コンテンツ事業を展開する一方、海外ではTOFASを軸に教育評価や学習データ活用を進めており、各国政府や教育機関との連携も拡大している。今回の第17回検定は、基礎学力を共通言語とした国際的な教育連携のさらなる深化につながる取り組みとして注目される。
カシオ計算機株式会社は12月23日、鳥取県若桜町および一般社団法人鳥取県地域教育推進局と、観光資源を活用した地域活性化と観光振興を目的とする連携協定を締結した。観光DXの推進を通じて地域経済の活性化を図るとともに、教育的視点を取り入れた持続可能なまちづくりにつなげる狙いだ。
本協定は、カシオが開発した観光アプリ「MEGURUWAY(メグルウェイ)」を活用し、町内周遊の促進や観光消費の拡大を図る取り組みをさらに発展させるもの。三者は令和6年度より、同アプリを用いた旅ガイド型スタンプラリー「若桜町よくばりロマン紀行」を協働で実施しており、今回の協定締結により、こうした実証的な取り組みを中長期的な地域施策として位置付ける。
若桜町は、「若桜宿」や「若桜鬼ケ城跡」、「不動院岩屋堂」など、歴史・文化・自然資源に恵まれた地域である一方、観光地が点在していることから、来訪者が町全体を巡りにくく、観光消費が広がりにくいという課題を抱えてきた。デジタル技術を活用した周遊設計により、観光体験の質を高めると同時に、地域理解を深める学びの要素を組み込む点が特徴となっている。
今後は、観光DXを活用した周遊促進に加え、観光振興に取り組む地域団体や事業者への支援、観光を軸としたまちづくりに関する助言などを三者で連携して進める。地域教育推進局が関与することで、観光を通じた地域学習や人材育成の視点も取り入れ、次世代に地域の価値を継承する仕組みづくりを目指す。
カシオ計算機は「驚きを身近にする力で、ひとりひとりに今日を超える歓びを。」をパーパスに掲げ、デジタル技術を活用した新たな価値創出に取り組んできた。今回の協定は、企業の技術力と地域資源、教育的知見を掛け合わせることで、観光振興を超えた地域活性化モデルの構築を目指す取り組みとして注目される。
eラーニング専門ソリューション企業のデジタル・ナレッジは、岡山理科大学が学内で初めて開設した理系通信教育部(通信教育部 情報理工学部 情報理工学科)の立ち上げを支援した。学習管理システム(LMS)とスタッフ常駐による運用支援を組み合わせた伴走体制により、認可からわずか約7カ月という短期間での開講準備と、安定した運用体制の構築を実現した。
岡山理科大学は、1964年創立の理系を中心とする総合大学で、近年は国際的な大学ランキングにも名を連ねるなど評価を高めている。一方、少子化による18歳人口の減少や、コロナ禍を契機としたオンライン学習の普及を背景に、理系分野における新たな学びの提供手段として通信教育部の設置を構想していた。しかし、学内で通信制教育の立ち上げは初の試みであり、システム構築からコンテンツ制作、運用設計までをゼロから整備する必要があった。
こうした課題に対し、デジタル・ナレッジはLMS「KnowledgeDeliver」を中核に、カスタマイズ対応や動画制作支援、基幹システム連携に加え、スタッフが学内に常駐する形での運用支援を提供。立ち上げ初期からスケジュール管理や制作工程を含めた包括的な支援を行い、短期間での開講を下支えした。
2025年4月の開講後は、国内外から多様な学生が入学し、オンライン環境でありながら通学課程と同等の学習成果を目指せる教育がスタートしている。復習を重視した教材設計や学習履歴の可視化などにより、通信制でも学修の質を担保できる体制が整えられた。
岡山理科大学 通信教育部 情報理工学部 情報理工学科長の牧祥教授は、「教職員全員が通信制立ち上げは初めてで、ノウハウがない中、デジタル・ナレッジの支援は非常に大きな力になった。質の高い学びを提供できるシステムが構築できた」と評価する。また、通信教育事務部の宮本裕生氏も「スタジオ構築から撮影、編集、運用までを継続的に支援してもらえたことが、短期間での立ち上げにつながった」と振り返る。
今後、岡山理科大学はコンテンツ品質のさらなる向上や学生コミュニティの活性化、個別支援体制の強化などを進め、通信教育の質を高めていく方針だ。デジタル・ナレッジは、システムと人的サポートを組み合わせた支援モデルを通じ、大学教育のDX化とオンライン学習の普及を後押しし、大学が持つ知の社会還元を支えていく考えだ。
名古屋商科大学(栗本 博行 学長)は12月5日、和歌山県内の高等学校進路指導主事らを対象に開催された「和歌山県高等学校進路指導研究会」において、学長講演を行った。大学全入時代といわれる中で、高校現場に求められる進路指導の在り方を再考する機会として実施されたもので、進学指導に携わる教員が多数参加した。
本研究会は、広い視野を持って進路指導に取り組むための視点を学び、現場が抱える課題を共有することを目的として開催された。名古屋商科大学が担当した午後の部では、世界の大学教育で重視される「教育の質」の評価指標や、国際的な大学認証の枠組みである世界三大国際認証について解説。大学選択において、偏差値や知名度にとどまらない評価軸の重要性が示された。
後半では、同大学が教育の中核に据える実践型授業「ケースメソッド」を体験形式で紹介した。実際の教材(ケース)を用い、参加した教員が生徒役として意見を発表。ケース内の主人公が直面する意思決定を自分事として捉え、活発な議論が交わされた。討議後には、ケースから得られる学びを整理し、授業全体の振り返りとともに、参加度や思考プロセスを評価する指標の例も示され、高校現場での授業実践への応用可能性が共有された。
ケースメソッドは1922年にハーバード・ビジネス・スクールで生まれた教育手法で、正解のない問いを通じて判断力や表現力を養うことを特徴とする。知識の習得ではなく、参加者それぞれの納得解を引き出すため、教員には高度なファシリテーション能力が求められる点が大きな特徴だ。
講演を行った栗本学長は、消費者行動分析や経営戦略研究を背景に、国内外でケースメソッド教育の普及に取り組んできた人物で、現在は中央教育審議会委員なども務める。今回の講演を通じて、大学教育の国際的な質保証の動向と、主体的な学びを促す授業手法の重要性を、高校進路指導の現場と共有した形だ。
名古屋商科大学は今後も、高大接続の観点から高校教員との連携を深め、進路選択の質向上につながる情報発信や教育実践の共有に取り組んでいくとしている。
半導体関連産業の集積が進む熊本県において、人材育成を軸とした産学連携の動きが広がっている。総合人材サービスを展開する日研トータルソーシングは12月9日、熊本県立玉名工業高等学校で、機械科1年生40名を対象とした半導体エンジニア派遣実習を実施した。地域産業の成長を背景に、高校段階から半導体分野への理解と実践力を育てる取り組みだ。
熊本県内では、半導体関連企業の進出が相次ぎ、人材不足が課題となっている。熊本大学を中心とした高等教育機関の人材育成構想に加え、高校教育の段階から産官学が連携する動きが活発化している。日研トータルソーシングはこうした流れを受け、2023年に熊本テクノセンターを半導体教育専用施設として拡張移転。実機を用いた実践的な研修環境を整備してきた。
今回の実習では、同社研修で実際に使用している機材を用い、機械メンテナンスの基礎説明に加え、空圧回路実習やLED点灯回路の作成などを実施。生徒たちは、半導体製造を支える設備保全の役割や重要性を体験的に学んだ。参加生徒からは「機械保全の仕事にやりがいを感じた」「日常点検の重要性を実感した」といった声が寄せられた。
同社はこれまでにも、玉名工業高校の企業見学や派遣実習、県立高校教職員向け研修、全国初となる「半導体情報科」を設置した水俣高校での実技研修など、熊本県教育委員会と連携した人材育成を継続してきた。2026年1月には普通科生徒を対象とした研修、2月には教職員向け研修も予定している。
日研トータルソーシングの担当者は「半導体産業の発展に伴い、人材育成は喫緊の課題。高校生の段階から業界を知る機会を提供することが重要だ」と話す。今後も同社は、研修に特化した強みを生かし、地域ニーズに即した産学連携を通じて、半導体産業を支える人材の裾野拡大に貢献していく考えだ。
花まる学習会などを展開する花まるグループ(株式会社こうゆう、埼玉・さいたま市)は、キャス・キャピタル株式会社の経営参画から1年を迎え、全国での事業展開を本格的に加速させる。首都圏および関西の計5エリアで学習塾の新規開校や教室の移転・拡大を進めるほか、新規事業として展開してきたフリースクール事業を神奈川県・埼玉県へ初めて広げる。
キャス・キャピタルは2024年12月に花まるグループの経営に参画。これを機に、教室展開や人材配置、新規事業への投資を中長期視点で進められる体制が整った。参画から1年で、武蔵小杉、豊洲、武蔵浦和、天王寺、兵庫県岡本の5エリアにおいて、教室の新設や移転、拡張を決定している。
注目されるのが、フリースクール事業「花まるオールインクルーシブスクール(AIS)」の拡大だ。東京都・千葉県での運営実績が好調に推移したことを受け、2026年4月から神奈川県川崎市(武蔵小杉)および埼玉県さいたま市(武蔵浦和)で初展開する。いずれも学習塾とフリースクールの両機能を備えた拠点とし、子どもの状態や家庭の選択に応じた学びの場を提供する。
背景には、不登校や行き渋りなど、子どもを取り巻く教育環境の変化がある。文部科学省の調査によれば、小中学校における不登校児童生徒数は増加を続け、2024年度には35万人を超えた。花まるグループは、学力向上だけでなく「安心して過ごせる居場所」や「自分のペースで学び直せる環境」へのニーズが高まっているとみる。
同グループは創業以来、「生きる力を育む教育」を掲げ、学習塾事業においても非認知能力や体験価値を重視してきた。フリースクール事業では、子どもを支える「安全基地」を土台に、再び学びや社会とつながる力を育てることを目的としている。今回の拠点拡大は、こうした実践を地域の中で選べる教育インフラとして広げる試みだ。
花まるグループでは今後も、教育の質を現場で担保しながら、経営基盤の強化を生かした持続的な事業成長を目指すとしている。学習塾とフリースクールを横断する展開は、教育業界における多様な学びの受け皿づくりとして、今後の動向が注目される。
株式会社世界貿易センタービルディング(WTC)と一般社団法人浜松町芝大門エリアマネジメントは、東京都市大学都市生活学部との産学連携プログラムとして、旧芝離宮恩賜庭園における文化体験施設およびPR施策をテーマとした最終審査会を実施した。学生による提案の中から最優秀賞など各賞が決定した。
本プログラムは、実在する都市空間を舞台に、学生の柔軟な発想と実務者の知見を融合させた実践型の学びを目的とするもの。今年度は新たに「メンター制度」を導入し、WTC社員やまちづくりの現場に関わる実務者が企画段階から学生を支援した点が特徴だ。
最終審査会では、各チームが事前調査や分析に基づく提案を発表。独創性、論理性、実現性、デザイン性、プレゼンテーション力などの観点から評価が行われた。
最優秀賞には、報奨旅行で訪日する外国人を主なターゲットに、日本文化の「道」と四季を掛け合わせた体験施設「季和苑」を提案したチーム「マネズ」が選ばれた。浜松町エリアの国際的MICE拠点としての強みを生かし、滞在価値の向上につながる点が高く評価された。
このほか、盆栽を通じて庭園と人との継続的な関係性を構築する提案が「ベストイノベーター賞」、ネオ和菓子による体験型企画が「ベストパフォーマンス賞」、陶芸体験を軸に旅の時間軸を表現した提案が「ベストデザイン賞」をそれぞれ受賞した。
参加した学生からは、「都市と庭園のコントラストに新たな魅力を感じた」「実際の場所を前提に考えることで、利用者視点の重要性を実感した」「企画段階からのメンターの助言が提案の質を高めた」といった声が寄せられた。
東京都市大学と浜松町芝大門エリアの連携は2018年に始まり、これまで学生による情報発信や調査活動を通じて地域理解を深めてきた。今回の取り組みでは、より実践性を高め、まちづくりに活用可能なアイデア創出へと発展させた。
浜松町芝大門エリアマネジメントは、「人が育ち、その学びがまちに還元される循環をつくることが重要」としており、今後も産学連携を通じたエリア価値向上に取り組む考えだ。
学生の視点を生かしたまちづくりと、民間デベロッパーによる実務知の融合は、都市再開発と高等教育の新たな連携モデルとして注目されそうだ。
産経ヒューマンラーニング株式会社(東京・新宿区)は、オンライン英会話サービス「産経オンライン英会話Plus」の基幹コースである「日常英会話」テキストを全面リニューアルした。改訂監修には、日本におけるCEFR(欧州言語共通参照枠)普及の第一人者として知られる東京外国語大学の投野由紀夫教授を迎え、国際的な到達度指標に基づいた学習設計へと刷新した。
今回のリニューアルでは、各レベルのCAN-DO(学習者が「できるようになること」)を全面的に見直し、学習者が実生活で求められる英語コミュニケーション能力を段階的に身につけられる構成とした。従来の「会話のやりとり」に加え、出来事や手順をまとまった英語で伝える「説明する力」を重視した点が特徴だ。
具体的には、CEFR A1〜B1レベルの各コースを4つのカテゴリに分け、目標となるCAN-DOを整理。学習者が自身の目的や強化したいスキルに応じてレッスンを選択しやすい設計とした。中盤に配置された「Narrative(説明する力)」パートでは、写真や図版を活用し、料理の手順説明や掲示物の内容説明など、実生活に即したタスク型アクティビティを強化している。
また、上位レベルのB2コースではディスカッションテーマを刷新。衣食住といった身近な話題から、AIや自動運転、カスタマーハラスメントなど現代的な社会課題まで50テーマを用意し、意見表明や合意形成に必要な表現を体系的に学べるようにした。画面上に「ディスカッションで役立つ表現」を常時表示することで、実践的な対話力の定着を図る。
投野教授は、CEFR-Jの研究・普及を長年牽引してきた研究者で、語彙習得やコーパス言語学の専門家としても知られる。今回の改訂では、各レベルで扱うべき文法事項や言語機能の妥当性を精査し、学習活動へと落とし込む監修を行った。
産経オンライン英会話Plusは、これまでに法人約500社、学校200校以上に導入されており、学生から社会人まで幅広い層が利用している。英語教育において「到達度の可視化」や「実用性」が一層重視される中、CEFRに基づくCAN-DO設計を前面に打ち出した今回のリニューアルは、学校教育や企業研修での活用拡大も見据えた動きといえそうだ。
語学教育の質保証と実践力育成をどう両立させるかが問われる中、オンライン英会話におけるカリキュラム設計の高度化が、今後さらに注目を集めそうだ。