スプリックス基礎学力研究所調査 世界11ヵ国22,000名の子ども・保護者に学習調査を実施子どもの基礎学力を把握している日本の保護者の割合は6割未満と11ヵ国中最下位

 株式会社スプリックス(東京・豊島区、常石 博之 代表取締役社長)が運営するスプリックス基礎学力研究所は、グローバルにおける日本の教育実態を把握すべく、世界11ヵ国において子ども・保護者を対象に学習に関する「意識調査」、および基礎学力を測る「学力調査」を実施した。各国1,000名ずつ、合計22,000名の子ども・保護者へのリサーチ結果から得られたデータを全4回にわたり公表している。さらに、スプリックス基礎学力研究所公式Twitter、公式Facebookにて、補足データや最新情報も併せて掲載している。
 第2回の調査では、日本の保護者は教育費も少なく、子どもの学習に関与しないのに他力も頼らないという矛盾状態が明らかになった。第3回目となる今回は、日本の保護者は子どもの基礎学力のレベルを把握しておらず、学校のテスト結果への関心が世界と比較した際に極めて低いという課題が明るみとなった。

①基礎学力を把握している日本の保護者の割合は6割未満と11ヵ国中最下位。子どものテスト結果への信頼度が低く、テスト結果の把握もないがしろになっていることが明らかに。

 子どもの基礎学力を把握している保護者の割合は、日本が11ヵ国中最下位となった。他国では8割以上が把握している一方で、日本は6割未満しか把握していない現状が分かった。保護者の学習関与以前に、子どもの学力の現状を把握できていないことが伺える。 また、子どものテスト結果への信頼に関する調査では、「とても信頼する」と答えた日本の保護者は5割未満となり、11ヵ国中最下位であることがわかった。 さらに、子どものテスト結果の把握実態について調査したところ、日本の保護者の約8割が子どものテスト結果をよく知っていると答えたが、世界11ヵ国と比較すると下から2番目という結果となった。子どものテスト結果への関心や認識が、世界と比較すると低いことが改めて浮き彫りになった。

②日本の保護者の国内・海外における学力レベルの把握意欲が他国に比べ低く、11ヵ国中最下位。特に、海外における学力レベルの把握意欲は3割未満であることが明らかに。

 国内における学力レベルを把握したいと考える日本の保護者は6割と11ヵ国中最下位となる結果になった。保護者の評価への意識が他国より低いことが明らかになった。日本以外の学力テスト上位国は国内における学力把握への意識も高く、保護者の把握意欲が学力に関連する可能性が伺える。 また、海外における学力レベルの把握においても、日本の保護者は2割強しか把握意欲がなく、圧倒的に低いことが明るみに出た。学力テスト上位国だけではなく、東南アジア諸国であるタイ、マレーシア、ミャンマーなどは8割前後あり、同じアジア圏でも日本との意識の違いが浮き彫りになる結果となった。

③子どもが勉強するために必要なのは「定期的な学力レベル評価」「身近な目標」「勉強したことへの褒め」が世界共通。

 保護者が考える、子どもがもっと勉強するために必要な要素では、11ヵ国全体でも日本でも、「定期的に学力レベルを評価した方が良い」「身近な目標を持つべきだ」「親が勉強したことを褒めるべきだ」の3つの要素が上位に入りました。子どもが勉強に励むために必要と考える要素は、世界共通であることがわかります。また日本の保護者は子どもの学力を把握しておりませんが、子どもがもっと学習するには潜在的に評価が大切と考えていることが伺えます。

④日本の保護者が実際に「勉強したことを褒める」割合は11ヵ国中最下位。日本国内の学力上位者の保護者ほど、定期的な学力評価を重視。

 子どもがもっと勉強するために「親が勉強したことを褒めるべきだ」と考える日本の保護者は多い一方で、実際に「勉強したことを褒める」割合は11カ国中最下位になっています。他国が9割以上に対して、日本の保護者は8割程度にとどまっており、行動が伴っていないことが明らかになった。保護者の言動が伴っていない現状を踏まえると子どもがもっと勉強するために必要な要素として、定量評価となる「目標を持つこと」や「定期的に学力レベルを評価すること」が重要になると考えられる。実際に、学力テスト結果別に「定期的に学力レベルを評価した方が良い」と考える日本の保護者の割合を見ると、子どもの学力テストの点数が高いほど保護者が定期的な学力評価を重視している傾向にあることがわかった。

【調査概要】
調査地域:日本・アメリカ・中国・インド・イギリス・フランス・ポーランド・タイ・インドネシア・マレーシア・ミャンマー
調査対象:子ども:6歳~15歳    (各国1,000名・11ヵ国の11,000名)
     保護者:上記子どもの保護者(各国1,000名・11ヵ国の11,000名)
調査手法:インターネット調査
調査内容:「意識調査」:子ども、保護者を対象に実施した学習に関するアンケート
     「学力調査」:子どもを対象に実施した50問の計算に関する基礎的なテスト
実施期間:2020年8月~9月

調査の結果を受けスプリックス基礎学力研究所 所長 梅田 修平 氏は以下のようにコメントした。
 日本の保護者は他国に比べ、基礎学力の重要性や危機意識を高く持つ一方で、子どもの基礎学力向上の努力や、学習への関与が低いことはこれまで示した通りです。今回の結果では、そもそも基礎学力の把握度が対象国の中で最も低いことが分かりました。これは、学力を把握するために最も身近な学校のテストへの信頼度が著しく低く、テスト結果の認識度も他国より低い水準にあることが影響していると考えられます。そんな中で、日本の保護者の潜在的な意識を探っていくと、学力向上のポイントは「評価」にある可能性が見えてきました。実際に、学力テストの点数が高い子どもの保護者ほど「評価」へのニーズが高いことが定量的に分かっています。また、本レポートには含んでいませんが、子どもに「勉強意欲を高めるきっかけ」を聞いたところ、11ヵ国全体の約8割が「学力レベルが分かること(=評価)」を挙げています。保護者においても、子ども自身においても、学力向上の1つの鍵は「評価」にあることが示唆されます。スプリックスでは、国際基礎学力検定「TOFAS」により、子どもたちの基礎学力を評価し、日本だけでなく、国際レベルでの把握を行えるようにすることで、子どもたちの学力向上を目指しています。

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