Category: 塾ニュース|政治

文科省、教職員研修の対象拡大を議論 私立学校教員や社会人入職者への機会を検討

 文部科学省は11月2日、教職員支援機構(NITS)の役割強化に関する有識者会議を開催し、研修対象者や内容の拡充、次期学習指導要領に対応した研修の在り方を議題に挙げた。配布資料では、私立学校教員の参画機会を広げる方法などを論点として示した。

 社会人から教職に就く人、復職教員、教員免許を持ちながら教職に就いていない人、教員以外の学校支援メンバーに、どのような学びの機会を提供できるかも検討する。研修パッケージの例として、性暴力防止、学校のコンプライアンス、合理的配慮、いじめ対応、ICT活用などの既存教材を挙げた。

 生成AIなどの先端技術や高校改革に対応する指導者研修については、内容や実施体制、専門チームの必要性を論点とした。自治体・大学・民間企業との人的交流や資金面の協力、自治体との役割分担も検討する。

 次期学習指導要領への対応では、カリキュラム・マネジメント、余剰授業時数の活用、校内研修の充実に向けた支援を例示した。資料はいずれも検討の論点を示すもので、対象拡大の実施決定ではない。

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文科省、情報教育改革の議事録を公開 小中高の体系化やAIの扱いを議論

 文部科学省は10月28日、中央教育審議会の教育課程部会情報・技術ワーキンググループ第11回、第12回の議事録を公開した。会議はそれぞれ6月25日、7月30日に開かれ、小学校の「情報の領域」、中学校の「情報・技術科」、高校情報科を通じた学びの体系化などを議論した。

 第11回では、学校段階や学年を通じた学習内容のつながりを整理。小学校のAI学習では、適切な取り扱いや技術の特性を理解した上で、活用を通した体験的な学びを深める方向性が示された。授業時数の規模の目安や、他教科の内容精選との関係も検討した。

 第12回では取りまとめ案を議論し、情報技術の「活用」「適切な取り扱い」「特性の理解」の3要素を整理した。偽・誤情報を吟味して判断するメディアリテラシーの強化や、高校卒業までに数理・データサイエンス・AIの基礎的な活用能力を育てる方向性も説明された。今回の公開は過去の審議経過を示すもので、教科新設や授業時数を新たに決定した発表ではない。

文科省、PHP脆弱性への対応完了 全サービス・コンテンツの公開を再開

 文部科学省は10月26日、PHPの脆弱性への対応に伴い、一時公開を停止していた一部のサービス・コンテンツについて、必要なセキュリティ対策と機能面の調整が完了し、すべての公開を再開したと案内した。

 同省はホームページの「緊急のお知らせ」に再開の案内を掲載。大臣官房政策課広報室名で、利用者に不便や迷惑をかけたことを謝罪した。

文科省 公開再開案内

文科省、デジタル教科書の指針素案で意見募集 小学校1~4年は「デジタルのみ」を認めず

 文部科学省は10月23日、「デジタルな形態を含む教科書の発行・採択等に関する指針」の素案について、パブリックコメントを開始した。締め切りは11月8日23時59分。次期学習指導要領の実施が始まる2030年度以降を念頭に、紙とデジタルを学年や教科に応じて使い分ける考え方を示している。

 素案では、教科書の形態として、紙のみ、デジタルのみ、紙とデジタルを組み合わせた形式を想定する。一方、小学校1~4年では、発達段階や書く活動の重要性などを踏まえ、デジタルのみの教科書を原則として認めず、紙を中心に活用する方向を示した。小学校高学年以降についても、全教科を一律にデジタル化するのではなく、教科の特性などを考慮して判断する。

 学校の教科書が全面的にデジタルへ移行するのではなく、紙とデジタルを組み合わせる制度となれば、教材会社には双方を連携させた商品設計が求められる。学習塾でも、映像・AI教材だけで完結させるのではなく、書く学習や紙面上での思考をどの段階で組み込むかが課題となる。なお、今回公表された内容は素案であり、意見募集や今後の審議を経て変更される可能性がある。

社会人が大学院1年で教員免許取得へ 文科省が新教育課程案

 文部科学省は10月22日、専門性を持つ社会人が大学院で約1年間学び、教員免許状を取得できる新たな教育課程案を中央教育審議会の教員養成部会に示した。学校現場での勤務と大学院での学修を組み合わせ、民間人材の教職参入を広げる。

 対象として想定するのは、大学の教職課程を履修していないものの、学士号を取得し、社会人経験を通じて強い専門性を身に付けた人である。大学と都道府県教育委員会、学校が連携し、目指す免許状の種類を踏まえて受講者を選ぶ。

 中学校免許を想定した履修モデルでは、大学院で36単位以上を修得する。4~5月に教育の基本的理解や教科指導、生徒理解などを学び、6~7月と9~12月には学校現場で実践的な演習を行う。8月には受講者自身の研究や関心に応じた学修を組み込む。現場での勤務は学習支援員や臨時免許状による助教諭などを想定し、大学が指導と評価を担う。

 現場実習を勤務として扱い、報酬を支給できる制度設計も検討する。履修証明プログラムとして開設し、厚生労働大臣が指定する教育訓練給付金の対象とするなど、受講料負担を軽減する仕組みも論点となる。免許取得後は、年度途中から講師として勤務し、翌年度の採用につなげるモデルが示された。

 新課程で取得できる免許状は、地域限定ではなく全国で通用するものとする方向だ。ただし、制度化や開設時期は確定しておらず、文科省は指定大学で先行事例をつくった上で展開する考えを示している。

 教育企業や学習塾で教科指導、教材開発、ICT、キャリア教育などに携わった人材にとって、新たな教職参入ルートとなる可能性がある。一方、民間教育事業者にとっては経験者の採用・定着を巡る競争が強まることも考えられる。

次期学習指導要領、体育は小4まで「運動遊び」を重視 水泳授業や評価方法も見直しへ

 次期学習指導要領に向け、体育科・保健体育科を「技能を習得させる授業」から、全ての児童生徒が運動やスポーツの楽しさを味わい、生涯にわたって多様な形で関われる力を育てる授業へと再構成する方向が示されている。文部科学省の中央教育審議会が10月5日に公表した審議まとめと、体育・保健体育、健康、安全ワーキンググループの取りまとめ案に盛り込まれた。

 見直しの柱となるのが、小学校から高校までの12年間を発達段階に応じて捉え直すことだ。小学校1~4年生を「各種の運動の基礎を培う時期」、小学校5年生~中学校2年生を「多くの領域の運動を経験し、スポーツの基礎に触れる時期」、中学校3年生以降を「卒業後も運動やスポーツに多様な楽しみ方で豊かに関われるようにする時期」と位置付ける。

小学校中学年にも「遊び」の要素

 現在、「運動遊び」を中心に構成しているのは主に小学校低学年だが、見直し案では対象を小学校4年生まで広げる。児童が夢中になって試行錯誤し、他者と関わりながら体を動かす機会を確保し、「やってみたい」という内発的な動機を引き出す考えである。

 ただし、自由に遊ばせる授業へ変更するものではない。教師が身に付けさせたい動きを設定し、場や用具、ルールを工夫した上で、遊びの要素を取り入れる。ワーキンググループは、動きの習得を軸としながら、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」を行き来する学習を想定している。

中学年の水泳は「水遊び」に再整理

 水泳領域も見直される。現行の小学校体育では、低学年が「水遊び」、中学年と高学年が「水泳運動」とされている。新たな系統性のイメージでは、小学校1~4年生を「水遊び」、5・6年生から「水泳運動」とする案が示された。

 これは中学年で泳法を扱わなくなる、あるいは水泳授業を廃止するという意味ではない。水に親しむ楽しさ、水中での多様な動き、もぐる・浮く・進むといった基礎を重視し、5年生以降の泳法学習へ滑らかにつなげる考えである。水難事故から身を守る力を育てることも、学校で水泳を学ぶ重要な意義として維持される。

 一方、学校プールの老朽化や維持費、猛暑による授業中止、教員の負担といった課題もある。スポーツ庁は2026年2月、水泳授業の機会を確保するため、教育効果、教員負担、財政面などを多角的に検討するよう教育委員会に通知した。社会体育施設や民間施設の利用、外部人材との連携は今後さらに重要になる可能性があるが、学校外への委託を一律に求めるものではない。

「体育理論」は「スポーツ理論」へ

 中学校・高校の「体育理論」は、「スポーツ理論」へ名称を改める方向である。スポーツを実際に行う「する」だけでなく、「みる」「支える」「知る」「集う」「つながる」といった多様な楽しみ方を学ぶ。科学的な知識、安全な実施方法に加え、スポーツを文化、経済、教育などの側面から考える内容を重視する。

 高校の専門学科「体育」についても、教科名を「スポーツ」に変更する案が示された。競技技能の向上だけでなく、スポーツイベントの企画・運営や指導、地域のスポーツ活動を支える人材の育成を強める。

「態度」の評価も再構成

 評価方法では、公正、協力、責任、参画、共生、安全など、これまで主に「学びに向かう力・人間性等」に位置付けられてきた要素を、「運動との関わり方」として知識・技能を中心に再整理する方向である。

 単に「協力しようとしているか」を評価するのではなく、なぜ協力や安全への配慮が必要なのかを理解し、実際の行動につなげられるかを指導・評価する。形式的になりやすい体育の態度評価を、より具体的にする狙いがある。将来的には中学校体育の評定にも関わる論点だが、具体的な評価基準は今後の検討事項である。

 これらは次期学習指導要領の検討段階の方向性であり、正式決定ではない。文科省のスケジュール案では、新学習指導要領の全面実施を小学校で2030年度、中学校で2031年度、高校では2032年度の入学生から順次始め、2034年度の全面実施を想定している。今後、答申や告示の過程で内容が変更される可能性がある。

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2030年度教科書は紙とデジタル併用が基本に 文科省が指針案と朝日新聞報道

 文部科学省が、2030年度以降に小・中・高校で使用する教科書について、紙とデジタルを組み合わせた形態を基本とする方針案をまとめる見通しであることが分かった。朝日新聞が10月19日に報じた。文科省の正式な指針案は執筆時点で公表されておらず、本稿は新聞報道に基づく。

 同紙によると、6月に成立した改正学校教育法などにより、今後の教科書は「紙のみ」「紙とデジタルの併用」「デジタルのみ」の3形態が制度上可能になる。一方、文科省は紙とデジタルの併用を基本とし、デジタル教材を紙の内容を補助・補完するものとして位置付ける考えだという。

 発達段階への配慮から、小学校4年生以下ではデジタルのみの教科書を認めない。小学校5年生以上についても、デジタルのみとできる教科を外国語・英語、音楽、図画工作などに限定する方向とされる。新制度による教科書は、小学校が2030年度、中学校が2031年度、高校が2032年度から順次使用される見通しだ。

 紙とデジタルの併用が制度の基本になれば、学習塾も学校の教科書、映像、音声、問題配信、学習履歴を横断して指導する必要が強まる。塾独自教材についても、紙面とデジタルコンテンツの役割分担や、家庭学習での端末利用ルールを再設計する契機となりそうだ。

 文科省は10月22日の専門家会議に指針案を示すと報じられている。正式資料の公開後、学年・教科別の扱いや動画量の上限などを追加確認する必要がある。

文科省、デジタル教科書の検定案を提示 動画は1本3分程度、AI搭載は継続検討

 文部科学省の教科用図書検定調査審議会は10月13日、「教科書検定の改善について」の第一次論点整理案を示した。2030年度から動画や音声を含むデジタルコンテンツを教科書の内容として扱えるようになることを受け、教科書に掲載できるコンテンツの要件や検定方法を具体化する。

 論点整理案では、動画1本当たりの長さを3分程度までとする。国語、社会、算数・数学、保健体育、道徳では、1学年1冊の場合は30分、2学年1冊では60分、3学年1冊では90分を、1冊当たりの動画総量の基本とする。技能習得で動画の利用が有効な音楽、図工・美術、家庭、技術、書写などは別の上限を設ける。

 デジタル部分には、教科の本質的理解に資すること、利用目的・方法が明確であること、授業時数内での活用を想定していることを求める。大量の反復問題、入試や資格試験の過去問、娯楽性の強いゲームや漫画、教師に代わって授業そのものを代替する講義・解説動画などは、教科書への掲載を認めない例として挙げられた。外部サイトや、教科書発行者が管理できない教材へ移動するリンクも掲載しない方向だ。

 生成や評価、音声・画像認識などを行うAIについては、直ちに搭載を認める方針とはしていない。必要性、性能と信頼性、出力内容の正確性を担保する方法、検定基準や審査体制などを引き続き整理する。

 同日の追加資料では、次期学習指導要領で授業時間に「余白」を生み出す観点から、教科書の内容を精選し、種目ごとにページ数上限の目安を示す必要性も検討課題に挙げた。ただし、具体的な上限や導入は決まっていない。

 学校教科書の内容が重点化されれば、塾や教材会社には、理解を広げる副教材、演習、入試対策を担う役割が一段と求められる可能性がある。一方、塾向けAI教材は教科書検定の直接の対象ではないものの、正確性や出力管理を巡る議論は、教材の品質基準や保護者への説明にも影響するとみられる。

次期学習指導要領、情報教育の指導人材が課題 中教審で7団体から意見聴取

 文部科学省は10月8日、中央教育審議会教育課程部会の教育課程企画特別部会を開き、次期学習指導要領に向けて教育・保護者・若者団体など7団体から意見を聴取した。全国町村教育長会は、小学校の総合的な学習の時間に「情報の領域」を設けることや、中学校の技術・家庭科を分離して「技術・情報科」を新設する方向を支持した。

 一方、実施上の課題として、中学校の技術科教員の不足、小学校におけるICTのリーダー的教員の育成体制が整っていないこと、ICTを「深い学び」へ結び付ける知見が十分に浸透していないことを挙げた。対応策として、情報を指導できる人が一定の研修後に資格・免許を得られる仕組みや、民間企業などの外部人材が授業へ入れる環境の整備を求めている。

 情報教育が教科・領域として強化されれば、学校外でもプログラミングや情報活用能力、メディアリテラシーを学ぶ需要が広がる可能性がある。外部人材活用の制度が具体化すれば、教育企業が学校教育を支援する機会も増えそうだ。ただし、今回示された内容は関係団体の意見であり、学習指導要領として決定されたものではない。

次期学習指導要領の審議まとめ、11月5日まで意見公募 2030年度以降順次実施へ

 文部科学省は10月6日、次期学習指導要領等に向けた審議まとめについて、パブリックコメントを開始した。募集期間は11月5日午後11時59分まで。次期学習指導要領は、2030年度以降に学校段階ごとに順次実施される予定である。

 審議まとめでは、子供一人ひとりの学びの充実や教育課程の柔軟化に加え、情報教育、生成AIやメディアとの関わり、不登校児童生徒などへの対応が論点となっている。情報活用能力を各教科横断で育成するとともに、発達段階に応じた情報教育を充実させる方向性も示されている。

 今回の意見公募は、制度の正式決定そのものではない。文科省は提出された意見を踏まえ、中央教育審議会で次期学習指導要領の具体的な検討を進める。

 学習指導要領の改訂は、学校だけでなく、学習塾の指導内容や教材、模擬試験、講師研修にも影響する。とりわけ情報教育や生成AIの扱いが具体化すれば、教科指導と情報活用能力をどう組み合わせるかが、民間教育にも問われることになる。