Category: 塾ニュース|政治

デジタル教科書を正式制度化へ 学校教育法改正案を閣議決定、紙と併用型へ転換

 文部科学省は4月7日、「学校教育法等の一部を改正する法律案」を閣議決定した。紙の教科書のみを制度上の対象としてきた現行ルールを見直し、動画や音声などデジタル機能を備えた教材も正式に「教科書」と位置づけ、検定・採択・無償給与の対象とする。現行のデジタル教科書は紙教材を端末上で表示する補助教材にとどまっていたが、改正後は語学学習の音声再生や実験手順の動画確認など、学習効果を高める活用が想定される。QRコード先の動画なども検定対象となり、質の保証強化にもつなげる。

 一方で、紙の教科書を全面的にデジタルへ切り替えるものではなく、紙とデジタル双方の利点を生かす方針。文科省は今後、発行や採択、使用の在り方に関する指針づくりを進め、秋ごろまでに方向性をまとめる予定。法案は今後、国会で審議される。

都立3高校で“新たな教育スタイル”導入へ 令和10年4月開始

新宿・国分寺・駒場に先行実施、AI活用と国際教育を強化

 東京都教育委員会は、デジタルと対面学習を組み合わせた「新たな教育のスタイル」のコースを、令和10年4月から都立高校3校で開始すると発表した。対象校は新宿高校、国分寺高校、駒場高校で、都立高校改革の先行モデルとして重点的に展開する。この取り組みは、令和7年度に始動した「次世代の学びの基盤プロジェクト」の一環。同プロジェクトでは、AI技術とグローバル人材育成の視点を軸に、「DX」「教員と組織」「制度改革」の3つの観点から高校教育を見直し、生徒の主体的な学びを促進することを目指している。東京都は、生徒が自ら学び続ける「自立した学習者」として、将来世界で活躍できる力を育てたい考えだ。

 新コースでは、1年次から全生徒を対象に、個々の学習スタイルに応じた授業や探究的な学びを実施。コース受講生には、国際交流など特別プログラムも提供する。2年次以降は、より高度で独自性のある授業や学習プログラムへ移行する構想だ。対象校に新宿・国分寺・駒場の3校を選んだ理由について、都教委は、進学志向の高い生徒が多く、これまで培ってきた進学指導の基盤を活用できる点を挙げた。加えて、大学入試の多様化に対応し、生徒一人ひとりの進路希望や学び方に応じた支援を強化できるとしている。また、単位制高校の仕組みを活用し、興味・関心に応じて柔軟に学べる体制を整える。進学実績、地域バランス、交通アクセスなども総合的に勘案して選定した。

 東京都はこの施策を「2050東京戦略」の教育分野の柱に位置付けており、今後は成果を踏まえ、他の都立高校への展開も視野に入れる。AI時代の高校教育モデルとして、全国の公立高校改革にも影響を与える可能性がありそうだ。

デジタル教科書を正式制度化へ 学校教育法改正案を国会提出

紙とデジタル併用を想定、無償給与や検定対象にも

 松本剛明文部科学相は4月22日、第221回国会の衆議院文部科学委員会で、「学校教育法等の一部を改正する法律案」について提案理由を説明した。紙とデジタルそれぞれの特性を生かした教科書づくりを可能にし、デジタルな形態を含む教材を正式に「教科書」として制度上位置付ける内容となる。現行制度では、学校での使用義務や教科書検定、採択、義務教育段階での無償給与の対象は紙の教科書に限られている。一方、現在のデジタル教科書は、紙の教科書の内容をそのままパソコンやタブレット端末で表示する「代替教材」として扱われている。

 今回の法改正案では、動画や音声などデジタルならではの機能を教科書に盛り込むことを可能にするほか、デジタルな形態を含むものも法的に「教科書」と位置付ける。これにより、紙の教科書と同様に使用義務や検定、採択、無償給与の対象とする。文部科学省はこれまで、紙中心の学習環境を基本としつつ、必要な場面でデジタル教材を活用する方針を進めてきた。今回の改正案もその延長線上にあり、紙の教科書を一律に全面デジタル化するものではないとしている。

 松本文科相は委員会で、子どもたちの学びの充実につながる制度改革だとしたうえで、「十分御審議の上、速やかに御可決くださるようお願いする」と述べた。法案が成立すれば、教科書制度は戦後以来の大きな転換点を迎えることになり、今後は学校現場での端末整備、健康面への配慮、紙とデジタルの最適な使い分けが焦点となりそうだ。

文科省、令和8年度「科学技術分野の文部科学大臣表彰」表彰式開催 若手科学者賞は101人受賞

 文部科学省は4月15日、令和8年度「科学技術分野の文部科学大臣表彰」の表彰式を開催した。科学技術に関する研究開発や理解増進などで顕著な成果を挙げた研究者・技術者らを顕彰するもので、1959年の創設以来、毎年実施されている。

 今年度の受賞者は、「科学技術賞」が開発部門13件(50人)、研究部門47件(56人)、技術部門7件(14人)、理解増進部門6件(22人)。このほか、「若手科学者賞」は101人、「研究支援賞」は研究開発マネジメント部門4件(14人)、高度技術支援部門10件(19人)、「創意工夫功労者賞」は473人が受賞した。

 表彰式では、科学技術賞、若手科学者賞、研究支援賞の各部門代表者に対し、福田大臣政務官が表彰状を授与した。

 福田政務官は祝辞で、「各賞を受けられる皆様は、国民生活を支える技術開発や独創的な研究、研究開発の推進に寄与する高度な技術的貢献など、顕著な成果を上げられた。日頃の研さんと努力に深く敬意を表する」と述べた。

 受賞者を代表して、科学技術賞開発部門を受賞した塩野義製薬創薬研究本部主席研究員の川筋孝氏があいさつし、「受賞は大変光栄であり、同時に社会から寄せられる期待の大きさを実感した。これからも学び続け、微力ながら社会に貢献していきたい」と語った。

文科省、デジタル教科書の基本方針策定へ検討開始 秋ごろ取りまとめ目指す

 文部科学省は4月10日、「デジタルな形態を含む教科書の発行・採択等の指針に関する検討会議」の第1回会合を開き、デジタル教科書を含む新たな教科書の在り方に関する検討を開始した。教育現場や各分野の有識者が参加し、国としての基本的な考え方の整理を進める。

 会議では、児童生徒の発達段階や教科ごとの特性を踏まえ、デジタルを含む教科書の活用方法や、健康面への配慮、導入時の留意点などについて議論する。紙とデジタルそれぞれの特性を踏まえ、教育効果を高める最適な活用方法を探る方針だ。

 松本大臣は会合で、デジタルを含む教科書の発行・採択・使用に関する国の基本指針を示す考えを表明。「子どもの発達段階や教科特性を踏まえた丁寧な検討をお願いしたい」と述べ、秋ごろまでの取りまとめを要請した。

 座長を務める中央教育審議会デジタル教科書推進ワーキンググループ主査で東京学芸大学副学長の堀田氏は、「紙かデジタルかという二項対立ではなく、どの部分をデジタル化すれば子どもたちがより学びやすくなるかを検討することが重要だ」と指摘。現場の感覚も踏まえながら、国としての方向性を示す必要性を強調した。

 GIGAスクール構想の進展により1人1台端末環境が整う中、教科書のデジタル活用は今後の学校教育改革の焦点の一つとなりそうだ。

高校無償化の拡充と中学35人学級、関連法が成立 教育費軽減と指導体制の強化へ

 文部科学省が提出していた2本の教育関連法案が3月31日、参議院本会議で可決・成立した。対象となるのは、高校授業料支援の拡充を図る制度改正と、中学校における少人数学級の導入に関する法整備で、いずれも2026年4月から施行される。

 1本目は、「高等学校等就学支援金の支給に関する法律」の改正で、いわゆる高校無償化の拡充を目的とするもの。今回の見直しでは、これまで設けられていた所得制限の撤廃を含む受給資格の再設計が行われ、家庭の経済状況にかかわらず高校教育を受けられる環境整備が進められる。授業料という教育費の中核部分を社会全体で支える仕組みへと転換することで、教育機会の格差是正を狙う。

 2本目は、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」の改正で、2026年度から中学校において35人学級を導入する内容。中学校の学級編制基準の引き下げは約40年ぶりとなる。少人数化により、生徒一人ひとりに応じたきめ細かな指導体制の構築を目指すとともに、教員の負担軽減や働き方改革の推進も図る。

 今回の法改正により、義務教育段階では指導の質向上、高校段階では教育費負担の軽減という、教育政策の両輪が同時に強化される形となる。今後は制度の円滑な実施に向け、現場への周知と運用体制の整備が課題となる。

高校授業料の所得制限撤廃へ 文科省、就学支援金など2法案を閣議決定

 政府は2月27日、教育関連の2法案を閣議決定した。提出されるのは「高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部改正案」と「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部改正案」。いずれも今国会での成立を目指す。

 高校授業料を支援する制度を見直す「高等学校等就学支援金の支給に関する法律改正案」は、所得制限の撤廃などが柱となる。授業料を社会全体で支える仕組みに改めることで、生徒の家庭の経済状況に左右されず、希望に応じた教育を受けられる環境整備を進める狙いだ。

 もう一つの「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律改正案」は、公立中学校の学級編制の標準を引き下げる内容。2026年度から中学校で35人学級を導入する。中学校の学級編制基準の見直しは約40年ぶりとなる。

 学級規模の縮小により、生徒一人ひとりのニーズに応じたきめ細かな指導体制の整備と、教員の働き方改革の推進を図るとしている。

 文部科学省の松本剛明文部科学相は、年度内の成立に向け「全力を尽くしていく」と述べた。

高校生がAIで描く「未来の東京」 小池都知事と直接議論、動画を公開 観光、防災、行政、高齢者支援など12人が提案

 東京都は、次世代を担う若者と知事が都政課題について意見交換を行うイベント「知事と議論する会」の動画を公開した。4回目となる今年度は「AIなどのデジタルで叶えたい『未来の東京』」をテーマに、都内4校12人の高校生が小池百合子知事に向けて政策アイデアを提案した。

 同イベントは、知事が若者から直接意見を聞き、都政運営に反映させることを目的に毎年開催されている。今回の収録は2025年12月25日に都庁で行われ、AIを活用した観光支援、防災対策、行政手続きの簡素化、高齢者見守りサービスなど、多岐にわたる提案が発表された。

 具体的には、都立新宿山吹高校のチームが、スマートグラスを用いて市町村や島しょ地域の観光を支援する構想を提示。渋谷教育学園渋谷高校は、外国人駐在員向けに行政・医療・教育手続きを一体化するアプリ構想を提案した。東京電機大学高校は、浸水検知器と降雨データを組み合わせ、AIが内水氾濫の発生確率を算出する防災モデルを紹介。東京学芸大学附属国際中等教育学校は、高齢者の孤立を防ぐAI介護ロボットの活用を提案した。

 プレゼンテーション後には、小池知事が各チームに質問し、高校生が自らの考えを説明。会場では、ファシリテーターを務めたハリー杉山さんらを交えたクロストークも行われ、世代を超えた議論が展開された。

 東京都によると、昨年度公開された同イベントの動画は40万回以上再生され、学生や保護者世代を中心に高い関心を集めたという。今回公開された動画は、東京都公式動画チャンネル「東京動画」で2027年3月31日まで配信される。視聴後のアンケート回答者の中から抽選で20人に東京ポイント500ポイントを進呈する企画も用意されている。

 参加した高校生からは、「同世代の多様なアイデアに触れ、考えが深まった」「調査や準備を通じて知見が広がった」といった声が寄せられた。

 本取り組みは、若者が社会を変える主体となることを掲げる「2050東京戦略」の一環。東京都は今後も、中高生を含む若い世代の意見を都政に反映させる機会を継続していくとしている。

教育無償化を巡り国と地方が協議

高校教育支援と給食費負担軽減、令和8年度実施へ意見交換

 政府は12月19日、いわゆる教育無償化を巡り、国と地方団体による協議の場を開催した。松本大臣は、高橋総務副大臣、舞立財務副大臣とともに出席し、全国知事会、全国市長会、全国町村会の代表者と意見交換を行った。

 本協議は、これまでの三党合意を踏まえ、「高校教育の振興方策」および「学校給食費の抜本的な負担軽減(いわゆる給食無償化)」を令和8年度から円滑に実施することを目的に、制度設計や運用の在り方について国と地方が協議する場として設けられた。

 政府側からは、三党合意に基づく教育無償化に向けた対応方針を説明し、制度の実施に当たっては、現場を担う地方自治体との連携が不可欠であるとの認識を示した。その上で、地方団体から改めて意見を聴取した。

 地方団体からは、①丁寧な協議プロセスの確保、②国の責任による安定的な財源確保、③地域や学校現場の実情に即した柔軟な制度設計、④給食費支援の基準額に物価動向を適切に反映させること、⑤「学校給食費の抜本的な負担軽減」の趣旨を正確に周知する必要性――などの要望が示された。

 協議終了後、松本大臣は、年末の予算編成を控えた多忙な時期に限られた時間での協議となったことについて率直に謝意を示した上で、政府として提示した対応方針に沿い、令和8年度からの円滑な実施に向け全力で取り組む考えを表明した。

 文部科学省は今後も、地方側の意見を十分に尊重しつつ、三党合意に基づく教育無償化の対応方針に沿って、各制度・事業の具体的な設計を進めていくとしている。

令和8年度予算案で大臣折衝 国立大学運営費交付金を188億円増額

「生活文化」分野で人間国宝認定拡大へ

 政府は12月24日、令和8年度予算案を巡り、教育、科学技術・学術、文化芸術分野について大臣折衝を行った。松本大臣は同日、片山財務大臣と協議し、国立大学法人運営費交付金の増額や重要無形文化財保存制度の拡充について合意した。

 国立大学法人運営費交付金については、物価上昇が続く中でも大学の基盤機能を維持・強化するため、前年度比188億円の増額を決定した。基礎研究の充実や文理融合の推進に加え、学長主導による経営改革や自己収入確保策の強化を後押しする。増額幅は、平成16年度以降、実質的に過去最大となる。

 松本大臣は、令和7年度補正予算も含め、必要な予算確保を最重要課題として取り組んできたとした上で、今回の増額は「極めて大きな意味を持つ」と強調。あわせて、今後の大学進学者数の減少を見据え、国立大学の定員見直しや私立大学の再編・統合など、高等教育機関全体の規模の適正化に向けた取り組みを進めることを確認した。大学教育の質向上に向け、大学側と連携して改革を進める考えを示した。

 一方、文化政策では、重要無形文化財保存特別助成金について、令和8年度交付分として10名分の予算を追加措置することで合意した。対象は、食文化を含む「生活文化」分野で、いわゆる「人間国宝」の認定拡大を見据えたもの。重要無形文化財の対象分野が拡大されるのは、昭和29年の制度創設以来、初めてとなる。

 松本大臣は、「生活文化」の分野において卓越した「わざ」を持つ人々のモチベーション向上を図るとともに、伝統技術を広く社会に周知し、後世への保存・継承につなげたいと述べた。教育・研究基盤の強化と文化の継承を両輪とする予算方針が、令和8年度に向けて具体化した形だ。