Category: 塾ニュース|地域教育

「AI学校司書」を千葉市・日高川町で試験運用 授業実践データから図書資料を提案

 京都産業大学と日本事務器株式会社が共同研究を進める「AI学校司書」の試験運用が、千葉市と和歌山県日高川町で行われている。教員や学校司書が授業の単元、学年、探究テーマなどを入力すると、過去の授業で活用された図書資料や提案理由、所蔵する図書館を示す仕組みだ。

 共同研究では、学校図書館や公共図書館の資料が授業でどのように使われたかを記録するアプリ「BOOK MARRY」を使用。資料の書誌情報や教員・司書のレビューに加え、学習指導要領や教科書の情報もAIに読み込ませている。

 教育家庭新聞の取材によると、試験運用は千葉市で6月、日高川町で7月に始まった。検索件数は千葉市が8月末の52件から9月末には135件、日高川町が110件から376件に増加した。9月末までの実践記録は千葉市4943件、日高川町653件という。

 経験のある教員や司書の知見をデータとして蓄積し、教材研究を支援する取り組みである。塾でも、教材の選定理由や指導実績を教室間で共有し、講師の経験差を補う仕組みへの応用可能性がある。

都立蔵前工科高校、国の高校改革事業に採択 上限25・4億円で都市インフラ人材を育成

 東京都教育委員会は10月23日、都立蔵前工科高等学校が、文部科学省の「産業イノベーション人材育成等に資する高等学校等教育改革促進事業」の改革先導拠点に採択されたと発表した。

 採択されたのは、国が示す類型Ⅰ「アドバンスト・エッセンシャルワーカー等育成支援」。事業の上限額は25・4億円で、蔵前工科高校を拠点に、東京の都市インフラ強靱化を担う人材の育成に取り組む。

 エッセンシャルワーカーの高度化を高校教育改革の対象とする点が特徴である。工業高校を、従来の技能習得にとどまらず、デジタル技術や産業構造の変化に対応できる専門人材の育成拠点として再構築する政策と位置付けられる。

 学習塾にとっては、専門高校への進路指導を考える材料となる。普通科進学を中心とした進路情報だけでなく、専門高校で学べる技術、卒業後の就職や高等教育への接続、地域産業との連携状況まで説明する必要性が高まっている。今後公表される教育課程、企業連携、設備整備、募集施策を継続して確認したい。

都立高校の全日制募集人員、令和9年度は1045人減 通信制は前期選抜枠を拡大

 東京都教育委員会は10月8日、令和9年度東京都立高等学校等の第一学年募集人員を公表した。全日制課程は167校、1011学級、募集人員3万9195人となり、前年度から18学級、1045人減少する。都内公立中学校の卒業予定者数や学校施設の状況を踏まえ、三田、八潮、石神井、羽村など17校で学級数を減らす。第一商業高校は2学級減、それ以外の16校は各1学級減となる。

 定時制課程の募集人員は4415人で前年度と同数。通信制課程は一橋、新宿山吹、砂川の3校で計545人を募集する。4月入学の第1学年相当では、学力検査による前期選抜枠を前年度の125人から200人へ拡大し、後期選抜枠を275人から200人に変更する。

 都立中学校・中等教育学校の募集人員は計1476人。令和10年度には35人学級への移行を予定している。全日制の募集枠縮小は、都立高校の志望校選択だけでなく、私立高校との併願戦略にも影響する。学習塾では、各校の学級減と通信制の選抜時期変更を踏まえた進路指導が必要になる。

東京都、AI時代の教育を総合教育会議で議論へ 10月15日に開催

 東京都は10月15日、「AI時代の未来と教育の在り方」を議題とする総合教育会議を東京都庁で開く。小池百合子知事、教育長、教育委員らが出席し、生成AIを含む技術の進展を踏まえた学校教育の方向性を議論する予定である。

 会議では、AI時代に求められる学び、生成AIの学校での適切な活用、AIを使いこなす力の育成、教員に求められる専門性、公教育の役割などを取り上げる。都立高校の魅力向上につながる特色ある教育プログラムも議題となる。

 ゲストとして、教育工学、生成AI、アクティブラーニングなどを研究する吉田塁・東京大学大学院工学系研究科准教授が参加する。会議は方針の決定を発表するものではなく、具体的な施策や実施時期については会議後の確認が必要となる。

 生成AIについては、学校や塾で利用が先行する一方、課題作成時の利用範囲、思考過程の評価、個人情報、教員研修などの課題も残る。東京都が示す方向性は、都内の学校だけでなく、学習塾の利用規程や教材設計、講師研修を検討する際の判断材料となりそうだ。

飛鳥未来高校グループ 在籍生徒数21985人、全国45キャンパスに展開

 学校法人三幸学園は10月5日、同法人が運営する通信制高校「飛鳥未来高校グループ」の在籍生徒数が、2025年5月1日時点で21985人になったと発表した。発表日現在の人数ではなく、同日時点の法人集計である。内訳は、飛鳥未来高等学校が10149人、飛鳥未来きずな高等学校が8181人、飛鳥未来きぼう高等学校が3655人。飛鳥未来高等学校は2009年、飛鳥未来きずな高等学校は2017年、飛鳥未来きぼう高等学校は2024年に開校した。

 3校は、北海道から沖縄まで合計45キャンパスを展開している。学校別では、飛鳥未来高等学校が12キャンパス、飛鳥未来きずな高等学校が16キャンパス、飛鳥未来きぼう高等学校が17キャンパスとなる。通信制高校を選ぶ生徒が増える中、単一グループで在籍者が2万人を超える規模に達していることは、教育市場の構造変化を示す。通信制高校では、オンライン学習だけでなく、通学機会、学校行事、進路指導、心理面の支援などを組み合わせた運営が広がっている。学習塾では、全日制高校のみを前提としない進路情報の整備が必要になる。通信制高校への転入・編入相談に加え、在籍生徒の大学進学支援や通塾需要も、今後一段と大きな市場になるとみられる。

鳥取県教委 保護者などからの不当要求への対応マニュアル、10月から運用

 鳥取県教育委員会は10月1日、県立学校を対象とする「教職員に対する要望等への対応マニュアル」の運用を開始した。保護者や地域住民から寄せられる苦情や要望に誠実に対応する一方、社会通念上許容される範囲を超える言動から教職員を守るため、組織的な対応手順を定めた。

 初期対応では、担当者が内容を記録して関係職員と管理職へ報告し、役割分担や対応方針を決める。面談は複数人で行い、電話を含めて可能な限り録音することも示した。録音時は原則として事前に相手へ伝える。

 不当要求等に発展した場合、面談時間は30分程度を基本とし、状況に応じて60分程度までとする。電話はそれより短い時間を目安とする。終了を伝えても退去しない場合は管理者が退去を命じ、応じなければ警察に通報する。組織だけでの対応が難しい事案では、弁護士による代理対応への切り替えも検討する。

 学習塾でも保護者対応を教室長や担当講師だけに任せると、長時間対応や精神的負担につながりやすい。面談時間、記録方法、管理職への報告、警察や弁護士への移行基準を事前に定める考え方は、民間教育機関の危機管理にも応用できる。

上田市、ふるさと納税に「長野大学応援コース」 返礼品に授業料クーポン

 長野県上田市は10月1日、ふるさと納税制度を活用して公立大学法人長野大学を支援する「学生の挑戦にエールを!長野大学応援コース」を新設した。在学生の保証人などに対する返礼品として、指定した学生の授業料から一定額を控除できるクーポンを提供する。朝日新聞の報道によると、寄付額は1万〜50万円で、寄付額の3割相当を授業料クーポンとして交付する。卒業生をはじめ、学生を指定せずに大学を支援する寄付者は、上田市の通常の返礼品を選択できる。

 寄付金は、大学施設の改修・改築、教育研究に必要な備品や設備の整備などに活用する。長野大学では2026年4月、理系学部の新設と既存学部の再編に伴い、教育研究環境の大規模な整備が進められている。上田市は、安定財源の確保に加え、大学の教育研究活動や地域貢献を発信し、認知度向上と学生確保につなげるとしている。

 少子化で地方大学の経営環境が厳しくなる中、自治体のふるさと納税を大学の施設整備、学費負担の軽減、学生募集に結び付ける取り組みとして注目される。

大阪市、メタバース型教育支援センターを運用 不登校児童生徒約350人を想定

 大阪市教育委員会は9月、メタバース空間を利用した教育支援センターのモデル運用を始めた。事業運営は、monoAI technology株式会社を代表企業、株式会社サクシードを構成企業とする共同事業体が担う。対象は、大阪市立の小学校、中学校、義務教育学校に在籍する不登校児童生徒のうち、外出が難しく、学校内外の支援機関と十分につながっていない児童生徒。本人と保護者が利用を希望する約350人を想定している。

 モデル期間は2026年9月から2027年3月まで。原則として月、水、金曜日の午前10時から午後3時まで開設し、メタバース上で学習支援、個別相談、児童生徒同士の交流活動を実施する。保護者向けの相談支援や在籍校との情報連携も行う。monoAI technologyが仮想空間の構築・運用を担当し、サクシードが学習・相談支援に当たる人材を配置する。

 不登校支援では、校内教育支援センターや民間施設に加え、自宅から利用できるオンライン上の居場所が新たな選択肢となっている。学習塾や教育企業にとっても、学習指導だけでなく、相談、人材配置、保護者支援、学校連携を組み合わせた自治体事業への参画可能性を示す事例である。

YOAKEがゼロ高等学院の経営に参画 2027年度授業料を年間約40万円へ

 株式会社YOAKEは9月29日、通信制高校サポート校「ゼロ高等学院」の新たな運営体制を発表した。2026年9月からYOAKEグループが経営に参画し、生成AIや動画制作、インターンを取り入れた教育を強化する。

 ゼロ高等学院は、鹿島山北高等学校と提携し、高校卒業資格の取得を支援するサポート校で、全国から86人が在籍している。新体制では、生成AIを使った業務効率化を学ぶ「AI+」と、AI動画制作を学ぶ「CREATOR’ZZ」を導入する。高校在学中からインターンや実務プロジェクトに参加する機会も設ける。

 2027年度の授業料は年間約40万円を予定し、従来の約80万円から引き下げる。現生徒にも適用する計画である。一定の学習・活動要件を満たした生徒を対象に、指定された活動による在学中の収入実績に応じて授業料の一部を返金する制度も検討する。ただし、返金上限、対象活動、審査方法などは未確定で、今後公表する募集要項に委ねられる。

 堀江貴文氏と溝口勇児氏がそれぞれ1億円、計2億円を拠出する基金構想も示した。通信制高校サポート校の競争が拡大する中、授業料、就労経験、進学・起業支援を一体化する事業モデルとして注目される。

高校生の地域課題プログラム、地域・教育魅力化プラットフォームとBYDが連携

 一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォームと株式会社BYDは9月18日、高校生が地域課題に取り組む「ふるさとイノベーションプログラム」第2期で連携すると発表した。全国の高校生から参加チームを募集し、活動資金と社会人メンターによる支援を提供する。

 応募できるのは高校1〜3年生の4〜6人で構成するチーム。学校をまたいで組むこともでき、「地域みらい留学」の参画校に所属する必要はない。約20チームを選び、1チーム当たり最大15万円の活動支援金を支給する。参加費は無料で、応募締め切りは10月10日。活動は11月から翌年3月まで、オンラインを中心に進める予定だ。

 プログラムの運営はBYDが担い、地域・教育魅力化プラットフォームは参画校のネットワークを通じて生徒らに案内する。昨年度は全国19校から約100人が参加したという。探究学習を地域での調査や企画の実践につなげる仕組みとして、塾の校外活動や学校との連携を考える際にも参考になる。