月刊私塾界2026年7月号(通巻543号)...

巻頭言  ビジネスの長期的な成功に創造性が不可欠であることは常識だが、多くのリーダーがその引き出し方に頭を悩ませている。リーダーはどのようにして、自分自身やチームの発想力を引き出せばよいのか。まず必要なのは、創造性に対する思い込みを捨てることだ。創造性は、アーティストやデザイナーなど...

月刊私塾界2026年6月号(通巻542号)...

巻頭言 「自分にはできる」という自信は原動力となる。これは多くのビジネスパーソンが直感的に理解しているだろう。ただし、組織を動かすには、個々人が持つ自信あるいは信念とは別に、もう一つの力が求められる。「このチームならできる」という集合的な信念、すなわち「集団的効力感」である。 複数の...

月刊私塾界2026年5月号(通巻541号)...

巻頭言  ストレスマネジメント。 貴社は取り組んでいるだろうか。 厚生労働省の「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」によると、仕事や職業生活に強い不安やストレスを感じている労働者は約8割いるという。いうなれば、働く人は「ストレスを抱えているのが当たり前」という状況だ。もちろん、こ...

私塾界リーダーズフォーラム 2026 S/S...

 6月2日(火)に御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターにて、「私塾界リーダーズフォーラム2026 Spring / Summer Team It」を開催いたします。 季節講習や新年度の募集を時代のニーズに合わせたスタイルにするための方法を、皆さまとともに考えてまいります。 今回のフォー...

月刊私塾界最新号

月刊私塾界2026年7月号(通巻543号)

巻頭言  ビジネスの長期的な成功に創造性が不可欠であることは常識だが、多くのリーダーがその引き出し方に頭を悩ませている。リーダーはどのようにして、自分自身やチームの発想力を引き出せばよいのか。まず必要なのは、創造性に対する思い込みを捨てることだ。創造性は、アーティ...

塾ニュース|塾・企業

ヒューリック、ベネッセ傘下「鉄緑会」を完全子会社化

東大受験指導の最難関ブランド、こども教育事業に取り込む  ヒューリック株式会社(東京都中央区、前田隆也代表取締役社長)は7月7日、東京大学受験指導に特化した進学塾「鉄緑会」を運営する株式会社東...

塾ニュース|教育ICT

ジールス、アントレ教育を相談できるAIアバターを提供開始

現役校長の実践知を再現 教育者・保護者の一歩を支援  マルチモーダルAIエージェントプラットフォーム「Omakase AI」を展開する株式会社ZEALS(ジールス)は、対話型AIアバター「Omakase AIアバター」を活用し、アントレプレナーシップ教育について相談できる...

塾ニュース|地域教育

第14回「プラチナ大賞」、地域課題解決モデルを募集 脱炭素、教育、健康長寿など先進的な取り組みを表彰

 一般社団法人プラチナ構想ネットワークは、第14回「プラチナ大賞」の募集を開始した。社会課題の解決、地域の活性化、持続可能な社会づくりにつながる全国の先進的な取り組みを対象に、自治体や企業などからの応募を受け付ける。  プラチナ大賞は、イノベーションによる新産業の創出や、...

塾ニュース|受験

2027年度新増設はデジタル・半導体へシフト、豊橋技科大の大規模統合や4私大の募集停止など再編加速

 河合塾がまとめた2027年度の大学新増設・改組動向(6月時点)によると、18歳人口の減少や社会ニーズの急変を背景に、全国の国公私立大学で大規模な組織再編が相次ぐことが分かった。データサイエンスや半導体といった先端技術分野への特化が進む一方、伝統的な人文学部や外国語学部の縮小・...

ジールス、アントレ教育を相談できるAIアバターを提供開始

現役校長の実践知を再現 教育者・保護者の一歩を支援

 マルチモーダルAIエージェントプラットフォーム「Omakase AI」を展開する株式会社ZEALS(ジールス)は、対話型AIアバター「Omakase AIアバター」を活用し、アントレプレナーシップ教育について相談できるAIアバター「AI校長 生井先生」の提供を7月7日から開始した。

「AI校長 生井先生」は、茨城県立下妻第一高等学校校長であり、アントレプレナーシップラボ代表を務める生井秀一氏の知識、経験、価値観、教育哲学をもとに開発した対話型AIアバター。本人の同意と監修のもと、アントレプレナーシップ教育に関する知見や実践経験を学習しており、教育者や保護者が時間や場所を問わず、音声で相談できる。

 ジールスによると、全国の小学校・中学校・高等学校に在籍する現役校長本人をモデルにしたAIアバターが、ユーザーと音声で双方向に対話し、当該校長の知識・経験・教育哲学に基づいてアントレプレナーシップ教育に関する相談へ回答する公開サービスとしては、教育業界初の取り組みだという。

 生井氏は、元花王EC推進部長としてEC・DX領域に携わった経験を持ち、現在は下妻第一高校の校長としてアントレプレナーシップ教育を重視した実践に取り組んでいる。2026年には、Forbes JAPANのアントレプレナーシップ教育「未来をひらく先生」100人にも選出された。

 アントレプレナーシップ教育は、起業家を育てるためだけの教育ではない。変化の激しい社会の中で、自ら問いを立て、課題を見つけ、周囲を巻き込みながら新しい価値を生み出す力を育む学びとして、学校教育、家庭、企業など幅広い場面で重要性が高まっている。

 政府が「スタートアップ育成5か年計画」を策定し、文部科学省と経済産業省が「Japan Entrepreneurship Alliance」を立ち上げるなど、全国の学校や地域にアントレプレナーシップ教育を広げる動きも進む。一方で、教育現場や家庭では、「どのように授業や家庭教育に取り入れればよいか分からない」「子どもの挑戦や失敗をどう受け止めればよいか悩む」「地域や学校規模によって研修や情報共有の機会に差がある」といった課題がある。

 「AI校長 生井先生」は、こうした課題に対し、教育者や保護者が実践知に気軽にアクセスできる環境を提供する。相談できる内容は、子どもの主体性や挑戦する力を育む関わり方、アントレプレナーシップ教育の導入・実践方法、挑戦を支える学校・家庭・組織の文化づくり、進路・キャリア教育など。探究学習との接続や、地域課題を題材にした学び、外部団体や企業との連携についても相談できる。

 特徴は、テキストによる情報提供にとどまらない点にある。見た目、声、動きも生井校長本人をもとに再現し、表情、うなずき、視線、会話の間などを組み合わせることで、本人に相談しているような自然な対話体験を目指す。アントレ教育のように、子どもの挑戦や失敗をどう支えるかが問われる領域では、知識だけでなく、語り手の熱量や励ましの温度感が重要になる。

 ジールスの「Omakase AIアバター」は、人物の知識や経験、話し方、人柄などをAIアバターとして再現し、ユーザーとリアルタイムに対話できるサービス。アバターの性格設定、会話体験の設計、ナレッジベース、相談テーマ、対話シナリオの組み込みまで一貫して行うことができる。

 今後、ジールスは「AI校長 生井先生」を通じて、教育現場や家庭で寄せられる相談内容をもとに、アントレ教育の導入方法、探究学習との接続、子どもの主体性を育む関わり方、進路・キャリア教育など、相談できるテーマをさらに充実させる方針だ。

 生井氏は「アントレ教育は、起業家を育てるためだけのものではありません。自分で問いを立て、失敗から学び、仲間とともに新しい価値を生み出していく力を育む教育です。全国の先生方や保護者の方々が、子どもたちの挑戦を支えるための一助となれば嬉しく思います」とコメントしている。

 生成AIの教育活用が広がる中で、専門家や教育者の実践知をAIアバター化し、相談体験として届ける取り組みは新しい展開といえる。今回のサービスは、アントレプレナーシップ教育の普及に加え、教育現場におけるAI活用の可能性を広げる事例として注目されそうだ。

ヒューリック、ベネッセ傘下「鉄緑会」を完全子会社化

東大受験指導の最難関ブランド、こども教育事業に取り込む

 ヒューリック株式会社(東京都中央区、前田隆也代表取締役社長)は7月7日、東京大学受験指導に特化した進学塾「鉄緑会」を運営する株式会社東京教育研(東京都渋谷区、浜垣剛代表取締役社長)の全株式を取得し、完全子会社化すると発表した。東京教育研はこれまでベネッセコーポレーション傘下にあり、今回の買収によりグループを離れる。ヒューリックが2020年に参入したこども教育事業にとって、大学受験という最難関領域への本格進出となる。

「不動産の商社化」戦略の一環、M&Aに7500億円枠

 ヒューリックは2026年2月に公表した中長期経営計画(2026~2036年度)で「不動産の商社化」を基本戦略に掲げ、成長分野へのM&Aを積極活用して利益成長と企業価値向上を図る方針を示している。今回の買収はその一環で、既存のこども教育事業(リソー教育グループ、こどもでぱーと等)との高いシナジーを見込む。同社は36年度までの計画期間中、こども教育事業を含む新規事業の拡大に向けM&Aや企業投資に7500億円を投じる方針を掲げており、今回の買収もこの枠組みに位置づけられる。買収額は公表されていない。

東大合格者584名、占有率20%
――理三は6割弱を占める

 鉄緑会は、中高一貫校に通う中学1年生~高校3年生を対象とした集団指導型の東大受験専門塾。代々木エリア(東京本校、6校舎)を拠点に、大阪・京都・西宮北口にも教室を展開する。2026年度の東京大学合格実績は584名(東大全合格者に占める占有率20%)で、最難関とされる理科三類では57名・占有率59%に達した。区分別の実績は以下の通り。

区分合格者数占有率
文科一類96名24%
文科二類60名17%
文科三類28名6%
理科一類248名22%
理科二類95名18%
理科三類57名59%
合計584名20%

 難関大学進学実績の高い中高一貫校15校を「指定校」に指定し、同校在籍生徒は中学1年春の入会選抜試験を免除する独自制度を運用。2026年度の主要指定校の通塾率は、開成48%、桜蔭65%、筑波大学附属駒場69%に達し、国内最優秀層の生徒を集める母集団を形成している。専任講師陣は東大・京大出身率100%、学生講師の約9割を鉄緑会出身者が占めるなど、合格実績とブランド力、人材循環が一体となった競争優位性を強みとする。

こどもでぱーと、リソー教育に続く一手
──教育経済圏を拡大

 ヒューリックのこども教育事業は2020年9月の参入に始まる。2022年4月には子育て世帯向け複合施設「こどもでぱーと」シリーズの展開を公表し、中野・たまプラーザ・渋谷などで開業、2029年までに首都圏で20棟程度への拡大を目指す。2024年5月には個別指導塾「TOMAS」を運営するリソー教育(現・株式会社リソー教育グループ)を公開買付けと第三者割当増資により連結子会社化した(買収額は約160億円)。今回の鉄緑会の完全子会社化により、幼児から大学受験生までを対象とする「集団・個別・学習」の各領域を揃え、独自のこども教育経済圏をさらに拡大する方針だ。

不動産ノウハウで出店支援、人的ネットワークも活用視野に

 シナジー面では、ヒューリックが持つ不動産開発・運営ノウハウやネットワーク、資金調達力を生かし、限定的な立地で展開してきた鉄緑会の既存エリア拡充や将来的な新規出店を支援する狙いがある。自社ビルへの校舎誘致が進めば、賃貸収益の拡大にもつながる。加えて、同塾が抱える卒業生・現役生というトップ層人材の人的ネットワークを、教育・人材関連サービスへ展開する余地があるとしている。ヒューリックは東京教育研(鉄緑会)の経営方針を尊重しつつ、グループの経営資源を活用して同社の成長を支援するとしている。

ベネッセは教育事業を再編
――07年買収から19年でグループ離脱

 鉄緑会は2007年、ベネッセコーポレーションが東京個別指導学院とともに買収し、通信教育「進研ゼミ」に加え、個別指導塾や難関大受験指導まで幅広い層と接点を持つ教育事業ポートフォリオの一角を担ってきた。しかしベネッセは2024年、創業家と欧州投資ファンドEQTが組んでMBO(経営陣が参加する買収)を実施し上場廃止となったのち、2026年4月には英語コーチング事業のスタディーハッカー(現・イングリッシュカンパニー)を英語学習サービスのプログリットへ売却するなど、教育事業の再編を進めていた。鉄緑会の売却も、この一連の再編の流れに位置づけられる。

教育投資は増加基調、私塾業界にも資本再編の波

 少子化により全国の18歳以下人口は減少する一方、首都圏では底堅く推移し、政府の教育支援策拡充や共働き世帯の増加を背景に「こども一人当たりの教育投資」は増加基調にある。ヒューリックはこうした環境変化から「高付加価値教育」への需要拡大を見込み、同分野への投資を進めている。不動産会社による有力教育ブランドの取り込みが相次ぐ中、連結される事業利益によって不動産以外の収益の柱を増やす狙いもうかがえる。学習塾経営者にとっても、資本提携やグループ化を通じた成長戦略・出口戦略が、今後の経営選択肢として一段と存在感を増しそうだ。

岐阜大学に「難燃材料共同研究部門」設置

セトラスHDと連携 次世代難燃剤の研究開発と人材育成へ

 セトラスホールディングス株式会社は、国立大学法人東海国立大学機構岐阜大学と連携し、岐阜大学高等研究院Guコンポジット研究センター内に共同研究講座「難燃材料共同研究部門」を設置した。設置日は7月1日。次世代難燃剤の研究開発と、同分野を担う高度研究人材の育成を進める。

 近年、電気自動車(EV)に搭載される蓄電池の発火・延焼リスクや、航空機、輸送機器における火災事故への対策が重要性を増している。世界市場では、安全性の確保と環境負荷低減を両立するハロゲンフリー難燃システムへの需要が高まっており、難燃材料の高度な評価技術や設計技術が求められている。

 セトラスHDグループの協和化学工業株式会社は、マグネシウム化合物の製品化で実績を持ち、環境負荷の低い非ハロゲン系難燃剤である水酸化マグネシウムの開発などに強みを持つ。一方、岐阜大学高等研究院Guコンポジット研究センターは、コーンカロリーメータなどを用いた燃焼挙動解析や、コンポジット(複合材料)に関する知見を蓄積してきた。

 今回の共同研究では、セトラスHDが持つ無機材料・難燃剤に関する技術と、岐阜大学の燃焼解析・複合材料研究の知見を組み合わせる。TG-DTA(熱重量・示差熱分析)やMS(質量分析)などを用いて燃焼挙動を詳細に解析し、複雑な難燃メカニズムの解明を目指す。得られた知見をもとに、新規難燃剤の設計指針を確立し、従来品よりも優れた難燃性能と加工性を両立する材料開発につなげる。

 共同研究部門では、研究開発に加え、人材育成も重視する。燃焼・熱分解解析技術から難燃メカニズムのモデル構築まで、研究の過程を岐阜大学の教員・学生とセトラスHDグループの若手研究員が共有する。組織や分野を越えた人的交流を通じて、社会的ニーズを踏まえた研究開発を推進できる人材の育成を図る。

 設置期間は2026年7月1日から2028年6月30日までの2年間。研究代表者は、岐阜大学高等研究院Guコンポジット研究センター長・教授の仲井朝美氏が務める。セトラスHD側では、イノベーションセンター長付・専任課長の山地理嗣氏が担当する。

 脱炭素化や電動化が進む中で、難燃材料はEV、航空機、電子機器、建材など幅広い分野で重要性を増している。今回の共同研究部門の設置は、環境負荷の低い難燃材料の開発を加速するとともに、産学連携による高度専門人材育成の拠点づくりとして注目されそうだ。

公文教育研究会、atama plusを完全子会社化——2000年以降初のM&A、グローバル展開を視野に

全国4500教室超に浸透するAI教材と世界61カ国のネットワークが合流

 公文教育研究会(大阪市)は7月5日、教育スタートアップのatama plus(アタマプラス、東京都文京区、稲田大輔代表)の全株式を取得し、完全子会社化した。駿河台学園(東京・千代田)など既存株主から全株式を取得したもので、公文にとって企業買収は2000年以降初めてとなる。

 atama plusは2017年創業。生徒の習熟度に応じて問題を出題し、知識の定着を図るAI教材「atama+」を開発・提供する。現在、全国4500教室以上の学習塾・予備校に導入されており、独自の学習塾事業も展開している。なお、既存株主として35.5%を出資していた駿河台学園とは資本関係は解消されるものの、今後も教材活用などのパートナーシップは継続する方針だ。

 公文は今回のM&Aを通じ、AIを活用した塾講師支援や新規教材の開発を視野に入れるほか、世界61の国と地域で約2万3000教室を展開する公文の海外ネットワークを活かして、atama plusの事業をグローバルへ拡張させることを狙う。

稲田代表「グローバルへの道、KUMONと開く」

 グループ入りの背景について、稲田代表は自身のコメントで詳細に経緯を語った。創業から10年目を迎えるタイミングで「世界で数億人規模に良い教育を届ける」というミッションへの立ち返りを迫られた。財務基盤が安定し、新規事業も複数スタートできる体力がついてきた今こそ、グローバルへの挑戦を本格化させる好機と判断したという。

 稲田代表は、約2年前からグローバル展開を意識してきたと言う。各国関係者との議論の中で「テクノロジーでは勝負できそう」との手応えを感じた一方で、国ごとに教育制度が異なるため、「ふつうに海外展開したら一国ずつ10年かかる」という壁を実感していた。前職の三井物産時代にも教育事業のグローバル展開を検討した経験があり、英語などの全世界共通コンテンツを除けば、同一プロダクトでの横展開が極めて難しいことを知っていた。

「そんな課題を乗り越え、同じ教材で世界展開に成功しているきわめて稀有な会社が日本にある。KUMONです」——稲田代表はそう記す。国内売上を上回る海外売上を持ち、60カ国以上に展開するKUMONとの協業ならグローバルへの道が開けると考え、1年以上にわたって協議を重ねてきた。その結論が今回の全株式譲渡だった。

 稲田代表はじめ取締役3名は引き続き経営に参画する。国内では塾向けのatama+提供事業を継続・強化しながら、新たにKUMONとグローバルチャレンジに向けた議論を開始していく方針だ。

業界へのインパクト

 今回の動きが持つ意味は大きい。公文がM&Aに踏み切ること自体、四半世紀ぶりの出来事である。長年、独自メソッドにこだわり自前主義を貫いてきた公文が、AIスタートアップを傘下に収めた事実は、教育業界におけるAI活用の潮流がいよいよ避けられないものになったことを象徴している。

 atama+を導入する全国4500教室以上の学習塾・予備校にとって気になるのは、公文グループ入りによってサービスの継続性が損なわれないかという点だろう。この点について稲田代表は、「国内の塾に提供しているサービスは、今後も変わることなく提供を続けていく」と明言している。今回のグループ化の主眼はあくまでグローバル展開の加速にあり、国内の塾向けサービスは従来通り継続される。atama+を導入済みの塾、あるいは導入を検討している塾は、これまで通りの関係でサービスを活用できると理解してよさそうだ。

社会貢献を「見える化」 関電、アプリ事業を分社化

 関西電力は、社会貢献活動に応じてポイントがたまるスマートフォン向けアプリ「モアクト」の事業を分社化し、新会社「株式会社モアクト」を7月1日に設立した。従来の電力供給という枠組みを超え、デジタル技術を活用して個人の行動変容を促す新たな社会インフラの構築を目指す。
 同アプリは、環境配慮型商品の購入といった社会課題の解決に資する行動を「ミッション」として提示し、利用者が達成することで買い物などに利用可能なポイントを付与する仕組みだ。2024年11月の提供開始以来、食品通販や鉄道会社など34の企業や団体が参加している。利用者数は6月時点で10万人に達しており、2027年度には100万人への拡大を計画している。
 新会社では、次世代の分散型インターネット「Web3(ウェブスリー)」の技術を導入する。ブロックチェーン上に、個人の活動履歴を「SBT(ソウルバウンドトークン)」と呼ばれる他者へ譲渡できないデジタル証明書として記録することで、個人の善行を資産として可視化する。また、AI(人工知能)を活用し、各利用者の興味や特性に合わせた最適なミッションを個別に提案する機能の検証も進め、社会貢献の習慣化を後押しする。
 事業背景には、持続可能な社会への関心は高いものの、実際の行動に移せている層が限定的であるという課題がある。同社の調査では、社会貢献の必要性を感じる人は約8割に上るが、行動できている人は4割にとどまる。良い行動が可視化されず、継続しにくい現状を技術面から解決し、経済的メリットと組み合わせることで定着を図る狙いだ。
 今回の分社化により、意思決定の速度を高めるとともに関西圏以外への普及も進める。多くの自治体や大学、企業が参加できる開かれたプラットフォームとして進化させ、社会貢献を一過性の取り組みで終わらせない仕組みづくりを推進する。

2027年度新増設はデジタル・半導体へシフト、豊橋技科大の大規模統合や4私大の募集停止など再編加速

 河合塾がまとめた2027年度の大学新増設・改組動向(6月時点)によると、18歳人口の減少や社会ニーズの急変を背景に、全国の国公私立大学で大規模な組織再編が相次ぐことが分かった。データサイエンスや半導体といった先端技術分野への特化が進む一方、伝統的な人文学部や外国語学部の縮小・募集停止が顕著となっており、大学生き残りをかけた「スクラップ&ビルド」がより一層激化している。

 国立大学では、従来の細分化された学科の枠組みを壊し、分野横断的な「共創」や「サステナブル」を掲げる大括り化への改組が象徴的だ。信州大学が「サステナブル社会協創学環」を新設するほか、東京大学は2027年9月に「UTokyo College of Design」の開設を予定している。特に大胆な動きを見せるのが豊橋技術科学大学で、機械、電気・電子、情報、応用化学、建築といった既存の全課程の募集を停止し、「学際共創課程」へと一括統合する。

 公立大学でも地域の産業ニーズを反映した改組が目立つ。北九州市立大学が情報システム工学科を募集停止し「情報イノベーション学部」へ改組するほか、熊本県立大学では九州での半導体産業の盛り上がりを受け、定員60名の「半導体学部」を新設する。

 私立大学では、ブランド力のある難関大によるデータサイエンス・情報系の新設が相次ぐ。青山学院大学が「統計データサイエンス学部」、中央大学がデータサイエンスやビジネスを学ぶ「スポーツ情報学部」をそれぞれ新設。上智大学の理工学部でも、定員の約半数を留学生とする「デジタルグリーンテクノロジー学科」を設置する。また、福岡市には「博多データサイエンス大学」が新設される予定だ。

 その一方で、女子大学や地方の私立大学を中心に、伝統的な家政系、文学系、外国語・国際系の募集停止や改組を伴う激しい再編が起きている。日本女子大学は家政学部家政経済学科を募集停止して「経済学部」へと改組し、京都女子大学も家政学部食物栄養学科を募集停止して「食科学部」を立ち上げる。松山大学の人文学部英語英米文学科や、杏林大学の外国語学部中国語学科なども募集停止となり、時代に合わせた名称や組織への転換を余儀なくされている。

 今回の再編で最も深刻な現状を物語るのが、大学そのものの「完全募集停止」だ。愛知工科大学、愛知文教大学、京都華頂大学、岡山学院大学の私立4大学が2027年度の募集停止を発表した。また、近年新設が続いていた私立専門職大学でも初の大型再編が起き、東京・大阪・名古屋の国際工科専門職大学の3校が「国際工科専門職大学」へと統合され、1校に集約される。

 今回のデータは、受験生の人気獲得や定員充足が厳しくなった大学が、単なる看板の掛け替えではなく、組織の存続をかけた根本的な構造改革に踏み切っている実態を浮き彫りにしている。

望まぬ孤立出産防ぐために 東京の「赤ちゃんポスト」1年で20件

 東京都墨田区の賛育会病院は、育てられない乳児を匿名で受け入れる「赤ちゃんポスト(ベビーバスケット)」と、身元を一部の職員にのみ明かす「内密出産」の取り組みを開始してから1年間の活動状況を公表した。2025年3月末の運用開始から1年間で、ポストに託された子どもは20人に上り、内密出産は7件行われた。
 同病院によるこの事業は、熊本市の慈恵病院に続く国内2例目の試みとして始まった。医療の立ち会いがない孤立出産や、新生児の遺棄といった悲劇を防ぐことが主な目的である。内密出産を希望する電話相談は59件寄せられ、そのうち20件が実際の受診に至った。内密出産を選択した7人のうち、2人は出産後に自ら育てる意思を固め、希望を撤回している。
 預け入れに至った背景としては、経済的な困窮を理由に挙げる事例が最も多かった。そのほか、社会的に自立していない学生であることや、パートナーと連絡が取れなくなったことなども要因となっている。保護された計25人の乳児については、児童相談所へ通告された後、乳児院などで生活している。
 現状では、氏名の管理や医療費の負担など、民間病院の取り組みには限界がある。病院側は、孤立した妊婦を支える体制の充実とともに、出自を知る権利の担保や財政支援を含めた国による法整備の必要性を訴えている。

東洋英和女学院大が学費制度を大幅刷新、入学金納付を二次手続へ後倒し&授業料は「4年間のみ」に制限

 東洋英和女学院大学は6月3日、2027年度入学生を対象に、入学前から卒業までの経済的負担を軽減するための画期的な制度見直しを行うと発表した。一次手続時に必要だった入学申込金20万円の納付時期を二次手続時へと変更し、一次手続を書面提出のみとするほか、留学や体調管理などによる卒業延期時の負担に配慮し、授業料の納付を在籍期間にかかわらず「4年間のみ」に制限する。受験生が経済的負担に左右されずに進路を選択でき、入学後も安心してそれぞれの学びや経験に向き合える環境を整えるのが目的。

 発表によると、同大はこれまで一次手続時に入学申込金20万円の納付を求めていたが、2027年度入学生からはこれを二次手続時へと後倒しにする。これにより、他大学との併願を含めて進路を検討している受験生が、早い段階でまとまった資金を用意する負担を解き、進路選択の自由度を高める。なお、今回の変更はあくまで納付時期の移行であり、入学時に必要な学納金の総額や入学申込金の取扱いに変更はない。
 あわせて導入される授業料の新制度では、社会奉仕活動、留学、インターンシップ、教員免許取得、または体調管理による休学などを理由に卒業が延期となった場合でも、授業料の納付は4年間分のみで済む形とする(授業料以外の各種学納金は所定の納付が必要)。同大では1年次からキャリア支援を行い、4年次の春頃に内々定を得る学生も多いが、4年次を「ギャップターム(自己変革のための猶予期間)」として位置づけ、卒業論文の執筆だけでなく留学や社会貢献活動に充てるなど、将来の設計に役立てる選択を後押しする。入試の詳細や手続きを盛り込んだ「入学試験要項2027」は、2026年7月中旬に公開される予定。

西武学園文理小学校、2027年4月よりバイリンガルスクールへ移行

「英語のシャワー」の蓄積を基盤に
——学校生活全体を日英両言語で育つ環境へ

 学校法人文理佐藤学園・西武学園文理小学校(埼玉県狭山市、マルケス・ペドロ校長)は、2027年4月からバイリンガルスクールとしての新たな体制に移行することを明らかにした。

 同校はこれまでも、外国人英語講師が日常的に校内に存在し、校舎全体に英語環境を整えた「英語のシャワー」を特色として展開してきた。今回の方針転換は、この積み上げてきた基盤をさらに一段階進め、「英語の授業を少し増やす」という部分的な変化にとどまらず、学校生活そのものを日本語と英語の両方で子どもたちが育つ場へと大きく進化させるものだ。

 マルケス校長は「本校が目指すのは、英語ができる子どもを育てることだけではない。日本の文化や言葉を大切にしながら、世界の人々と自然に関わり、広い視野で物事を考え、自分の思いや考えを伝えられる子どもを育てたい」と語る。グローバル人材の育成においてしばしば陥りがちな「英語偏重」への慎重な姿勢を示しながら、日本語・文化との両立を明確に打ち出している点が特徴的だ。同校は、カリキュラムの詳細についてウェブサイトで順次公開するとしている。

 西武学園文理小学校は埼玉県狭山市に所在し、西武文理大学・西武学園文理中学・高等学校と同一法人が運営する一貫校群の一翼を担う。小学校段階からのバイリンガル教育の本格導入は、同法人グループ全体の教育ブランドの強化にもつながると見られる。

ベネッセ、早産児発達支援研究に教材提供

富山大学付属病院のプログラムで「こどもちゃれんじbaby」活用

 ベネッセコーポレーションが展開する幼児向け教育・成長支援ブランド「こどもちゃれんじ」は、富山大学付属病院周産母子センターが実施する早産児対象の発達支援プログラム研究に教材を提供する。研究の趣旨に賛同し、「こどもちゃれんじbaby」を割引提供する。

 同研究は、出生週数が32週未満、または出生体重1500グラム未満のハイリスク早産児を対象に、子ども向け玩具・教材を活用した親子でのグループワークが、子どもの発達にどのような影響を与えるかを検証するもの。あわせて、保護者の育児ストレスや子どもへの気持ちに与える影響も調べる。検証期間は3年間を予定している。

 研究では、玩具・教材を活用する時期による発達への影響を比較し、発達介入の適切なタイミングを検討する。前期群は1歳1か月から1歳6か月号まで、後期群は1歳7か月から1歳11か月号まで「こどもちゃれんじbaby」を毎月活用し、1歳6か月時点と3歳時点で発達評価を行う。

 早産児をめぐっては、医療の進歩により救命率が向上している一方で、個人差はあるものの、言葉や社会性の発達に遅れが見られる場合がある。特に1歳以降の生活環境や学習環境が発達に与える影響については、さらなる知見の蓄積が求められている。

 今回の研究で使用される「こどもちゃれんじbaby」は、月齢に応じた玩具や教材を家庭で活用できる点が特徴だ。全国どこでも入手しやすく、親子の関わりを継続的に支える教材として採用された。

 富山大学付属病院周産母子センター長の吉田丈俊氏は、1歳6か月時の発達検査の場面で、保護者から「こんな遊び方があったのですね」と驚く声が多く聞かれたことが研究開始のきっかけだったと説明する。子どもとの遊び方や関わり方に不安を持つ家庭が少なくないことを実感し、親子でのグループワークを通じた支援の必要性を感じたという。

 同センターの心理士、小暮奏氏は、「こどもちゃれんじ」が月齢の発達段階に合わせて作られている点や、毎月定期的に教材が届く点が研究目的と合致したとする。乳児期の発達に沿って、継続的に刺激を与えられることを評価している。

 ベネッセの「こどもちゃれんじ」事業責任者である中村晋一良氏は、子ども一人ひとりの成長に寄り添う教材開発を続けてきた立場から、本研究の趣旨に賛同したとコメントした。早産児とその家族にとって、日々の関わりが安心や前向きな実感につながることを期待している。

 「こどもちゃれんじ」は1988年に開講し、0〜6歳向け教材を中心に、英語教材、テレビ番組、コンサートなど、乳幼児の成長を支援する商品・サービスを展開している。ブランドキャラクター「しまじろう」とともに、家庭での遊びや学びを支える教材として広く利用されてきた。

 今回の教材提供は、教育サービス企業と大学病院が連携し、乳幼児期の発達支援に取り組む事例といえる。研究を通じて得られる知見が、早産児だけでなく、先天性心疾患児など発達リスクを抱える子どもたちへの支援にも広がるかが注目されそうだ。