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南極観測70周年記念「大南極展」、日本科学未来館で開幕

本物の南極の氷や隕石、ブリザード体験で地球の未来を考える

 日本科学未来館、国立極地研究所、ドリームスタジオ、テレビ朝日、朝日新聞社が主催する特別展「大南極展」が、7月1日から日本科学未来館で開幕する。南極観測70周年を記念した展覧会で、南極の観測活動や極限環境での研究の最前線を、映像、実物展示、体験型コンテンツを通じて紹介する。

 南極は、人間活動の影響が比較的少なく、地球環境の変化を直接的に捉えることができる貴重な観測フィールドである。氷床、大気、海洋、生物が相互に関わる南極での長期観測は、気候変動の解明や将来予測にも大きく貢献してきた。日本は約70年にわたり南極観測を継続しており、その蓄積されたデータは地球の過去を読み解き、未来を見通す手がかりとなっている。

 会場では、本物の南極の氷に触れられる体験エリアを設ける。何千年、何万年も前に降った雪が氷となったものを実際に手で触り、透明度や内部の気泡を観察できる。南極の自然を身近に感じながら、氷が地球環境の記録を閉じ込めていることを体感できる展示だ。

 南極氷床の深部から採取されたアイスコアも展示する。今回公開されるのは、深さ2499メートルから掘削された、34万年前の空気を含むアイスコアの実物。氷の中には、積雪当時の空気や気温、降水などの情報が閉じ込められており、気候変動を読み解く「タイムカプセル」とされる。実際に掘削に使用されたドリルもあわせて展示し、南極観測の科学的意義とスケールを伝える。

 体験型展示としては、南極のブリザードを安全に再現するエリアも設ける。強風や視界不良を体感することで、観測隊がどのような過酷な環境で研究を続けているのかを学ぶことができる。建物間をロープで移動するなど、極地ならではの安全確保の工夫も紹介する。

 南極で発見された隕石の展示も見どころの一つだ。南極は「隕石採集の聖地」とも呼ばれ、国際隕石学会に登録されている隕石の約6割が南極で採取されているという。日本の観測隊も1969年以降、約1万7400個の隕石を採取してきた。本展では30点以上の実物サンプルを公開し、手で触れたり持ったりできる鉄隕石や、月・火星から飛来したと考えられる希少な隕石も紹介する。

 このほか、ペンギンやアザラシの生態を学ぶ展示、南極の岩石や化石から大陸移動の歴史を読み解く地質調査の紹介、自律型無人探査機を使った海洋観測、大気観測、オーロラ観測、昭和基地での生活紹介など、多角的に南極研究を取り上げる。会場入口では「ミッションシート」を配布し、来場者が展示を巡りながら南極観測に関するミッションに挑戦できる参加型の構成とした。

 関連企画として、教員南極派遣プログラムに参加した教員による小学生向け特別授業や、研究者を招いたトークセッション、観測を支える企業によるワークショップも開催する。夏休みの自由研究にもつながる学びの機会となりそうだ。

 会期は9月27日まで。会場は日本科学未来館1階企画展示ゾーン。開館時間は午前10時から午後5時までで、入場は閉館30分前まで。入場料は大人2000円、18歳以下1300円、未就学児900円。日本科学未来館の常設展もあわせて観覧できる。

 南極を知ることは、地球環境の過去と現在を知り、未来を考えることにつながる。今回の「大南極展」は、観測隊の挑戦や科学研究の意義を楽しみながら学べる、夏休みの科学教育イベントとして注目されそうだ。

NINZIAと龍谷大学、こんにゃく由来素材の整腸機能を確認

 こんにゃく由来の高機能素材を開発する株式会社NINZIAは、龍谷大学などとの共同研究で、同社独自の食物繊維素材「ゾル状グルコマンナン」を含むナッツ製品の摂取が、排便回数の増加や便性状の改善に寄与する可能性を確認したと発表した。研究成果は、2026年6月1日発行の学術誌『New Diet Therapy』Vol.42 No.1に掲載された。

 今回の研究は、NINZIAと龍谷大学によるこんにゃく由来素材に関する共同研究の第2弾となる。2024年には、同素材による食後血糖値上昇の抑制効果を確認しており、今回は腸内環境や排便状況への影響に着目した。

 NINZIAが提供する「ゾル状グルコマンナン」は、一般的なこんにゃくとは異なり、水溶性と不溶性の両方の食物繊維を含む状態で提供される点が特徴だ。腸管内で水分を吸収してゲル化することで、便の軟化や腸内環境の改善につながる可能性があるという。

 試験は、健常な大学生82人を対象に実施した。被験者に「ゾル状グルコマンナン含有ナッツバー」と、対照食であるナッツのみをそれぞれ2週間摂取してもらい、排便状況への影響を比較した。

 その結果、ナッツバー摂取後には、1週間あたりの排便回数が有意に増加した。事前調査で排便が週4回以下だった「便秘気味群」においても、排便回数の増加が確認され、便通を促す効果が示唆された。

 また、便が軟らかくなる傾向や、便のにおいの軽減も確認された。さらに、腹部膨満感のスコアにも改善がみられ、摂取後にすっきりとした感覚が得られる可能性が示された。

 一方、試験期間中には一部地域で10度以上の急激な気温低下が連続して発生した。寒暖差による自律神経への影響は便秘リスクを高める要因の一つとされており、一部の被験者では排便日数が減少する傾向もみられた。研究グループは、こうした外部環境要因も考慮しながら、今後さらに検証を進める方針だ。

 共同研究には、龍谷大学、羽衣国際大学、NINZIAが参加した。龍谷大学は農学部を擁する瀬田キャンパスを中心に、食品、生命、環境、農業など幅広い分野の研究を進めており、産学連携による食分野の研究にも取り組んでいる。

 NINZIAは、こんにゃく由来素材を活用した結着成型や食感創成の技術を「テクスチャ・エンジニアリング」と位置付け、糖や脂質、動物性素材に頼らない食品開発を進めている。今回の研究成果は、伝統的な植物性食材であるこんにゃくの新たな機能性を探る取り組みとして注目されそうだ。

旺文社「全国学芸サイエンスコンクール」作品募集開始 70回記念でスタートアップ部門を本格展開

 旺文社は6月1日、「第70回全国学芸サイエンスコンクール」の作品募集を開始した。1957年に創設された同コンクールは、小・中・高校生を対象とした国内有数の学術・文芸コンテストで、昨年度は全国から7万3,719点の応募が寄せられた。節目となる70回大会では、新たに「イノベーションジャンル」を設け、その中核として「スタートアップ部門」を展開する。

 同コンクールは、青少年の学術・科学・文芸活動の振興を目的に毎年開催されており、夏休みの自由研究や探究学習、部活動・課外活動の成果発表の場として広く活用されている。募集期間は9月24日までで、全国の小学生、中学生、高校生(海外日本人学校を含む)を対象とする。募集部門は、「理科自由研究」「自然科学研究」「社会科自由研究」「人文社会科学研究」などのサイエンス分野に加え、「絵画」「書道」「小説」「詩」「読書感想文」「作文・小論文」「写真」「ポスター・デザイン」などの学芸分野を含む全13部門。子どもたちが自身の興味や得意分野に応じて応募できる幅広い構成となっている。今回注目されるのが、新設されたイノベーションジャンルの「スタートアップ部門」だ。昨年度は特別企画として実施され、全国から634件の応募が集まった。地域活性化や社会課題の解決、未来の学校・教育などをテーマに、小学4年生から高校生までがビジネスアイデアを提案する。一次審査は企画書、二次審査はプレゼンテーション動画で行われ、アントレプレナーシップ教育や探究学習の成果発表の機会として期待されている。

 受賞作品には、内閣総理大臣賞、文部科学大臣賞、環境大臣賞などが授与されるほか、分野賞や学校特別奨励賞なども設けられている。最高賞となる内閣総理大臣賞には、賞状や記念品に加え、旺文社教育奨学金30万円が贈られる。近年、学校現場では探究学習やSTEAM教育、起業家教育への関心が高まっている。全国学芸サイエンスコンクールは、こうした学びの成果を社会に向けて発信する場として発展を続けており、70回大会では従来の自由研究や文芸活動に加え、課題解決型学習やイノベーション創出を重視する時代の教育ニーズを反映した内容となっている。

探査機ボイジャー1号が観測装置を停止 寿命延長に向けた改修へ

 NASA(米航空宇宙局)の深宇宙探査機「ボイジャー1号」は、限られた電力を節約するために科学観測装置の一つである「低エネルギー荷電粒子観測装置(LECP)」の電源を停止した。この措置は、地球から最も遠く離れた場所で運用されている同探査機の寿命をさらに延ばすための苦渋の決断である。同様の停止措置は、2025年3月にボイジャー2号でも実施されていた。

 1977年に打ち上げられた両探査機は、それぞれ木星、土星、天王星、海王星のフライバイ観測を支援するための10種類の装置を搭載し、当初の予定寿命である5年を大幅に超えて稼働し続けている。現在、ボイジャー1号は地球から約254億キロ、ボイジャー2号は約213・5億キロの距離にあり、太陽圏の外で運用されている唯一の探査機となっている。探査機を稼働させる放射性同位体熱電発電機(RTG)からは毎年推定4ワットの電力が失われ続けており、技術者たちは燃料ラインの凍結などのリスクを避けつつ、極めて困難な電力のバランス調整を求められている。
 今後、運用チームは「ビッグバン」という愛称で呼ばれる大規模な電源切り替えの改修作業を計画している。これは一部の電源をオフにし、消費電力の少ない代替装置をオンにすることで、探査機の熱を保ちながら観測を継続する試みだ。この改修は2026年5月から6月にかけてボイジャー2号で試験され、成功すれば7月にはボイジャー1号でも試行される予定となっている。この計画が成功すれば、ボイジャー1号が飛行開始から50周年の節目を迎えられるだけでなく、停止したLECPを再起動して星間空間の驚くべき発見を継続できる可能性も期待されている。

Space BD、H3ロケット6号機で基幹ロケット初の民間相乗り打上げ 商業宇宙利用拡大へ前進

 Space BD株式会社は4月24日、2026年6月打上げ予定のH3ロケット6号機(30形態試験機)において、搭載される全6機のペイロードについて打上げインテグレーション支援を担当すると発表した。このうち4機は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との協定に基づく民間向け相乗り打上げサービスとして提供され、日本の基幹ロケットでは初の民間主導による相乗り打上げ案件となる。

 搭載される衛星には、九州工業大学など産学官連携で開発された超小型衛星「VERTECS」、株式会社BULLのスペースデブリ低減実証衛星「HORN-L」「HORN-R」、フランス企業Unseenlabs SASの海上監視衛星「BRO-22」などが含まれる。さらに、JAXAの「革新的衛星技術実証3号機」に搭載される2機の超小型衛星についても支援を行う。今回の打上げでは、1つの搭載ポートから複数の衛星を放出できる「インターフェースプレート」と、放出信号を分配する「シーケンサー」を日本の基幹ロケットで初導入。打上げインフラの高度化により、小型衛星需要の増加に対応する。日本の基幹ロケットを活用した民間商業サービスの本格化に向け、国内宇宙産業の競争力強化につながる一歩となりそうだ。

ロッテ、中高生と希少果実「カリン」研究成果発表会 飼料・化粧品・酸化防止剤へ新活用提案

 ロッテは4月24日、次世代研究者育成プログラム「サイエンスキャッスル研究費2025 ロッテ賞」の成果発表会を、同社中央研究所(埼玉県さいたま市)で開催した。需要低下で生産量が減少している希少農産物「カリン」の価値向上をテーマに、中高生3チームが約半年間研究を進め、その成果を披露した。発表では、カリンを酸化防止剤として活用する研究、養殖魚向け飼料への応用、植物由来の日焼け止め開発など、従来の「のど飴素材」というイメージを覆す多彩なアイデアが並んだ。ロッテ研究員が伴走支援し、生徒たちは実験設計やデータ分析、プレゼンテーションまで取り組んだ。

 参加した研究員からは「着眼点に驚かされた」「研究者として刺激を受けた」との声も上がり、企業と次世代人材が連携する探究学習の好事例となった。ロッテは今後も、研究支援を通じて未来の人材育成に取り組む方針だ。

日本初、サスライアリの女王を展示 国立科学博物館の特別展で公開

 国立科学博物館は、2026年3月14日から開催される特別展「超危険生物展 科学で挑む生き物の本気」において、極めて希少な「サスライアリの女王」の標本を日本で初めて一般公開する。本標本は、テレビ番組の取材中にアフリカのケニア山麓で発見されたもので、世界でも数少ない貴重な個体の一つとされる。

 サスライアリは数千万匹という大規模な群れで移動し、獲物を食い尽くす生態で知られている。その中心となる女王アリは、常に膨大な群れの奥深くに保護されているため、専門家による長年の調査でも姿を確認することが困難であり、「生きる伝説」と称されてきた。今回の標本は、アリの研究に30年以上携わってきた島田拓氏や、九州大学総合研究博物館の丸山宗利准教授らの調査チームが、ケニアでの現地調査において遭遇・撮影に成功したものである。
 展示される女王アリは、体長が5センチを超える巨大な姿が特徴だ。黒い光沢を放つ腹部には卵が詰まっており、1日に数千個を産卵すると推定されている。また、その寿命は約30年にも及ぶと考えられており、昆虫の中でも極めて特異な生命力と繁殖能力を有している。本展では、この「アリの頂点」とも呼ぶべき存在の標本を通じて、生命の神秘と進化の多様性を提示する。
■開催概要
展覧会名:特別展「超危険生物展 科学で挑む生き物の本気」 
会 期: 2026年3月14日(土)~6月14日(日)
休館日: 月曜日、5月7日(木)
     ※ただし、3月30日(月)、4月27日(月)、
      5月4日(月・祝)、6月8日(月)は開館。
会 場: 国立科学博物館(東京・上野公園)
展覧会公式サイト:https://chokikenseibutsuten.jp
公式X: @chokiken2026
公式Instagram:@chokiken2026
※会期、開館時間等は変更する場合あり。
※入場料等の詳細は、今後公式サイト等で順次発表される予定。

政府、科学技術投資を60兆円に倍増へ 防衛・安全保障分野を初明記

 政府は2026年度から5年間の科学技術開発に関わる投資について、現行計画の2倍にあたる総額60兆円に増額すると17日、発表した。小野田紀美・科学技術政策担当相は閣議後会見で「研究力低迷や、物価・人件費の上昇が続く中で、我が国の存在感の埋没が懸念される。意欲的な目標を設定する」と述べた。

 30年度までの投資額として、策定中の「第7期科学技術・イノベーション基本計画」に明記し、今月中に閣議決定する。

 政府は科学技術予算などの総額の目標値を、5年ごとの基本計画に書き込んでいる。21~25年度の現行「第6期」については総額30兆円を目標に定めていた。ただ、22~24年には「新技術立国」を掲げる高市早苗首相が科技相となり、5年間の予算実績は43兆円を超えた。

 新しい基本計画では、科学技術と国家安全保障との連携や、デュアルユース(軍民両用)研究の推進を政府として初めて明記する。政府は17日、航空機の無人化・自律化などの「防衛産業」の研究開発を強化する重要領域として、新たに追加することを発表した。

 政府関係者によると、26年度から5年間の政府投資額について、自民党側から強い増額の要望があったという。通常の予算に加え、財政投融資や、企業の研究開発投資を促進する税制なども使い、政府投資倍増を目指すことにした。

研究力ランキング、中国が上位独占 日本勢は東大が14位、京大が35位と苦戦

 学術出版大手シュプリンガー・ネイチャーによる最新の研究機関ランキング「ネイチャー・インデックス」において、中国の研究機関がトップ10のうち9枠を占める圧倒的な結果となった。国別順位でも中国は1位を維持し、2位の米国、3位のドイツ、4位の英国に続き、日本は世界5位に踏みとどまったものの、個別の大学順位では厳しい状況が続いている。

 日本勢で最高位となったのは東京大学の14位で、昨年の10位圏外から順位を上げたものの、中国勢が占めるトップ10には届かなかった。続く京都大学は35位、大阪大学は68位、東北大学は82位、名古屋大学は91位と、国内主要国立大学の多くが前年比で順位を落とす結果となった。私立大学では慶應義塾大学が164位、早稲田大学が192位にランクインした。

沿岸の海面上昇、想定より最大90センチ高く 「方法論の盲点」で過小評価か

 世界の沿岸部における海面が、従来の予測モデルよりも大幅に高く、一部地域では約90センチも上回っていることが、オランダのワーゲニンゲン大学などの研究チームによる調査で明らかになった。5日付の英科学誌「ネイチャー」に掲載されたこの研究は、世界が海岸線の消失速度とその脅威を過小評価していると警鐘を鳴らしている。

 研究チームは、過去15年間に発表された海面上昇に関する査読済み論文385件を分析した。その結果、研究の90パーセントが実際の観測データではなく、地球の重力場や自転のみを利用した推計モデルに基づいていることが判明した。このモデルは潮汐、風、海流、海水温、塩分濃度といった複雑な要因を考慮しておらず、フィリップ・ミンデルハウト准教授はこれを「方法論上の盲点」と指摘している。