Category: 塾ニュース|サイエンス

「わたしとみらい、つながるサイエンス展」が大阪・関西万博で開催

 文部科学省は、2025年8月14日(木)から19日(火)までの6日間、大阪・関西万博会場(夢洲)のEXPOメッセ「WASSE」において「わたしとみらい、つながるサイエンス展」を開催する。

 本イベントは、産学官連携による最新の研究成果を国内外に発信し、未来を担う若者たちが社会課題を「自分ごと」として捉えるきっかけを提供することを目的としている。

 会場には、北海道大学、東京藝術大学・国立アートリサーチセンター、東北大学、信州大学をはじめ、20を超える大学・研究機関が出展する。生命の誕生や最先端の浄水・水素生成技術、木が曲がる不思議な体験、卵アレルギーでも食べられる卵など、幅広い分野の研究を直接体感できるプログラムが並ぶ。さらに、研究者との交流、スタンプラリー、特別グッズの配布など、子どもから大人まで楽しめる企画が充実している。

 イベントアンバサダーにはタレントのゆうちゃみが就任し、8月14日13時からのオープニングイベントにも登壇する予定だ。

 入場は無料(ただし、万博会場までの交通費および入場料は各自負担)。事前予約は不要だが、一部ツアーやプログラムは事前申込が必要となる。

「わたし」と「みらい」を科学でつなぎ、新たな視点や発見に出会えるこの夏の注目イベントだ。

【開催概要】
●会期:2025年8月14日(木)〜8月19日(火)
●会場:大阪・関西万博会場(夢洲)EXPOメッセ「WASSE」
●時間:10:00〜19:30(最終日は18:00まで)
●入場料:無料(万博入場料等別途)
●詳細・申込:https://www.mext.go.jp/a_menu/expo_watashitomirai/index.html
●公式Instagram:https://www.instagram.com/expo_watashitomirai/

日本の製造業の技術が”走る” 大阪・関西万博で製造業対抗ミニ四駆大会を開催

 製造業の技術者たちが本気で挑む「製造業対抗ミニ四駆大会 ワールドカップ in 大阪関西万博」が、2025年7月26・27日、大阪・関西万博のギャラリーEASTにて開催される。
 大会は、ミニ四駆を通じて製造業の魅力と技術を伝える体験型イベントで、出場する職人やエンジニアたちが、自社の高度な加工技術・設計力を活かしたオリジナルマシンを開発。子どもから大人までがワクワクしながら”技術”を体感できる、新しい形の技術発信となる。
 この取り組みは、大阪・関西万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」に対する私たちの挑戦でもあり、未来の技術者育成や技術継承の在り方を“遊び”の中に見出し、社会全体で支えるものづくりの未来を描く。

 発表後の公式投稿は、SNS上で 2万件超のいいね、1万件超のリツイート、240万回以上の再生を記録。多くの「楽しみ!」「これは見たい!」といった期待の声が寄せられており、今年の万博注目イベントの一つとして急浮上している。
 この反響を受け、ドワンゴ(ニコニコ動画)による大会のライブ配信が決定した。当日は特設コースで繰り広げられるレースの模様を、全国どこからでも視聴可能。
Xアカウント:https://x.com/machicoco72

 参加者は、切削、板金、塗装、3D設計、電子制御など、各企業の得意技術を活かしたミニ四駆を製作。普段は製品に隠れて見えない製造技術が、子どもも理解できる”見える形”として表現される。
 この大会では、競技性と展示性の両立により、「技術を見せる」から「技術が伝わる」へと進化した発信を目指している。
 現在、企業や学校あわせて61チームの参加が決定しており、かつてない規模での熱戦が期待される。

 コース設計には株式会社豊里金属工業と大阪工業大学のロボティクス&デザイン工学研究科学生が参加。町工場の職人とともに試作・検証を重ね、技術的ギミックを含む立体コースを実現した。

コース内に登場予定のギミック
OVER THE LIMIT(ジャンプセクション)
時計じかけのジャンクション(自動制御)
ワインディングロード超(旋回安定性)
梅田ゲート(赤外線センサー)
梅田エレベーター(タイマー制御)
 製造現場と教育の架け橋となるこの取り組みは、技術継承や若手不足といった製造業の課題に対する、新たなアプローチとなる。

製造業ミニ四駆大会の開催実績と今後のスケジュール

【2023年】
7月30日:第1回大会(MACHICOCO)
11月3・4日:第2回大会(HANAZONO EXPO)
【2024年】
4月20日:第3回大会(FACTAS/大阪府東大阪市)
10月12日:第4回大会(FACTAS/大阪府東大阪市)
11月21日:あまがさき産業フェアカップ(兵庫県尼崎市)
【2025年】
2月9日:関東大会・入間カップ(安川電機 埼玉営業所)
3月22日:第5回大会(クリエイションコア/大阪府東大阪市)
4月26日:オイルドクターカップ(三輪鉱油/三重県菰野町)
5月24日:大阪工業大学カップ(大阪工業大学/梅田キャンパス)
7月26・27日:ワールドカップ(大阪・関西万博/夢洲)
11月20日:あまがさき産業フェアカップ(兵庫県尼崎市)
累計参加チーム数:約200チーム
学生参加校数:工業高校・高専・大学など5校以上
延べ来場者数:1,200名以上
後援・連携団体:東大阪市、大阪工業大学、尼崎商工会議所

《協賛企業》
日進工具株式会社/金型及び部品加工向け切削工具の製造・販売
オーティス株式会社/機能性フィルム・粘着テープの精密加工を得意とする専門メーカー
株式会社サカノシタ/自動化関連機器・省力化搬送機器・機械工具・電子機器の卸販売(国内外に拠点を展開する専門商社)
日本微細加工工業会/微細加工(0.001mm~1mm)領域に特化し、素材から加工・検査までを担う中小製造業による産業創出団体
株式会社阪村エンジニアリング/フォーマー(横型多段式プレス)・ナット・金型の製造
株式会社豊里金属工業/精密試作板金加工・切削機械加工・絞り加工ほか各種加工
株式会社MACHICOCO/製造業におけるプロジェクトマネジメント・技術者育成事業など

【イベント概要】
イベント名:製造業対抗ミニ四駆大会ワールドカップ in 大阪関西万博
開催日:2025年7月26日・27日
会場:大阪・関西万博 ギャラリーEAST
主催:東大阪市/ザ・クラフターズ
後援:株式会社MACHICOCO 
配信:ニコニコ動画(株式会社ドワンゴ)によるライブ中継あり

株式会社ドローンネット、遠隔操作スプレー技術の特許取得を発表

 株式会社ドローンネット(東京・千代田区、村上一幸 代表取締役社長)は、スプレー装置の操作機構を無線化した新技術「遠距離操作スプレー」(特許第6851442号)に関する特許を正式に取得し、同技術を活用したドローン搭載型スプレーユニットの社会実装および商用展開を開始したことを発表した。

 この技術は、噴霧装置と操作部を分離し、遠隔から無線でスプレー操作を行える仕組みにより、従来では困難だった高所や危険区域での安全かつ正確な噴霧作業を可能にする。ドローンに搭載することで、あらゆる現場の作業効率・安全性を大きく向上させる革新的なソリューションとして注目されている。


■ 特許技術の構造と強み
遠距離操作スプレーは以下のような構造的特長を備えている
・スプレー本体に電子制御基板・駆動装置・ノズルを内蔵
・トリガー操作信号を無線で送信し、離れた場所から噴霧を制御
・遮蔽された空間、高所、隔離区域などでも遠隔操作が可能
・複数台の一括制御や順次制御にも対応可能な柔軟性
・既存スプレー装置への後付け拡張(アドオン)も視野に設計

この技術により、作業者の安全確保だけでなく、省人化、作業時間の短縮、広域対応といった多面的なメリットが期待できる。

■ 実用展開と活用可能な現場領域
 ドローンに本特許技術を組み込むことで、従来の人力作業では対応が難しかった以下の分野で実用が期待される
・災害対応:立ち入り不能エリアでの消火剤・消毒液の噴霧
・建設・インフラ保守:橋梁、法面、トンネル等への塗布や補修
・農業・環境管理:山間部・河川敷での除草や害虫駆除処理
・公共衛生:都市インフラや交通施設の衛生管理・防疫作業


■ 特許情報
発明名:遠距離操作スプレー
特許番号:特許第6851442号
登録日:2021年11月1日
出願人:藤井電工株式会社
発明者:藤井一義、藤井輝久

米大学研究に危機 トランプ政権、助成金削減で基礎研究が崩壊の瀬戸際

 トランプ米政権が進める連邦助成金の大幅削減により、全米の大学研究が深刻な危機に直面している。医療やAI(人工知能)などの重要分野で研究の中止や縮小が相次ぎ、代替資金の見通しも立たないまま、多くのプロジェクトが頓挫している。

 ハーバード大医学部のデビッド・ネイサン教授は、全米1700人の糖尿病患者を長年追跡してきた研究で、3月10日に突然資金打ち切りを通告された。翌日に予定していた患者の来院は中止され、全国の研究スタッフ200人は解雇を余儀なくされた。同研究にはコロンビア大の研究者が関与しており、助成金も同大経由で提供されていたが、政権が同大学への4億ドル(約590億円)の支援を差し止めたことが背景にある。ネイサン教授は4500万ドルの資金回復に奔走している。

ispaceの月面着陸、再挑戦も失敗 通信途絶と減速不足が影響か

 東京の宇宙ベンチャー企業「ispace」は6月6日未明、日本の民間企業として初の月面着陸に挑戦したが、月着陸船との通信が回復せず、着陸に失敗したと発表した。同社は原因究明に取り組むとし、再挑戦への意欲もにじませている。

 月着陸船は同日午前3時すぎに月面への降下を開始し、午前4時17分に月の北半球の平坦な地点への着陸を予定していた。しかし予定時刻を過ぎた午前4時半すぎ、通信が確立できていないことが明らかになり、午前9時から開かれた記者会見で袴田武史CEOは「通信の回復は見込めない」と述べ、着陸の失敗を認めた。

 会見で明らかにされたデータによれば、着陸船は高度約1キロまでしか正確な高度を把握できず、着陸に必要な減速も不十分だった。これにより「月面に衝突した可能性が高い」との見方を示した。
 ispaceは2022年にも月面着陸に挑戦し、通信途絶により失敗。今回は制御システムや着陸地点を見直しての再挑戦だった。袴田CEOは「2度目の失敗を重く受け止めたい。原因解明を通じて前回の課題を克服できていたかも含め検証する」と述べた。
 この日は東京都内で企業関係者ら約500人が集まり、応援イベントが開かれた。着陸船のデータがリアルタイムで表示される中、通信途絶の報に場内は緊張感に包まれ、集まった人々の表情は険しかった。
 一方で、専門家からは技術力を評価する声も上がった。東京大学大学院の宮本英昭教授は「着陸直前まで迫った完成度の高さは評価できる。周回軌道から降下に成功した点は前回に続く成果だ」とコメント。さらに「世界が注目する中、民間企業の技術力を印象づけた。失敗を糧にして再び立ち上がってほしい」と期待を寄せた。
 宇宙開発における民間企業の役割についても、「参入によって開発スピードが上がり、リスクも取れるようになる。日本が月輸送手段を持つことは国際協力でも優位に働く」と述べ、民間主導の意義を強調した。
 ispaceの挑戦は、月面輸送を担う日本企業の技術的自立と将来の宇宙産業発展に向けた大きな一歩でもある。苦い結果に終わったが、その歩みは確実に次につながっている。

七支刀 奇跡の保存状態 奈良博がCT調査で判明

 古墳時代に朝鮮半島から伝わったとされる国宝「七支刀(しちしとう)」の内部が、極めて良好な状態で保存されていることが、奈良国立博物館の最新のX線CT調査で明らかになった。剣の内部はほとんど腐食しておらず、1600年前の鉄製品とは思えぬ保存状態に、館長は「奇跡的だ」と述べている。

 七支刀は、長さは75センチほどで左右に三本ずつ枝のような刃が突き出した独特の形状を持つ鉄剣で、奈良県天理市の石上神宮が所蔵している。神社には当初「六叉鉾(ろくさのほこ)」という名前で伝わり、ほかの宝物とともに「神庫(ほくら)」と呼ばれる特別な蔵に納められ、大切な祭祀が行われる際などに限って使われてきた。今回の調査は、同館で開催中の展覧会にあわせ、保存状態と文字の再確認を目的に実施された。
 X線CTにより、さびに覆われた表面の下にも白く映る密度の高い部分が多く確認され、内部の鉄がほとんど劣化していないことが判明。加えて、金を象嵌したとみられる文字の一部も鮮明に浮かび上がった。

中国の宇宙ステーション「天宮」で新種の細菌発見 宇宙環境に適応した特徴も

 中国の宇宙ステーション「天宮(Tiangong)」で、新種の細菌「Niallia tiangongensis(ニアリア・ティアンゴンエンシス)」が発見された。3月に学術誌「International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology」で発表された。
 細菌はミッション「神舟15号」(2022年11月~2023年6月)において、宇宙ステーション内で採取されたサンプルから見つかった。無重力環境であるステーション内の操縦席コントロール部分に生息していた。桿菌(棒状の細菌)で、好気性かつ胞子を形成する性質を持つ。天宮で新種の細菌が見つかるのは初めて。

 この細菌は、地上の土壌や廃棄物に含まれる既知の細菌に近縁で、免疫力の低下した人に感染症や敗血症を引き起こす恐れがあるという。解析の結果、Cytobacillaceae(サイトバチルス科)のNiallia(ニアリア属)に属する新たな株と特定された。
 特筆すべきは、宇宙空間という極限環境への適応である。Niallia tiangongensisは酸化ストレスへの耐性が高く、放射線による細胞損傷の修復を助ける独自のバイオフィルム形成能力を持つことが確認された。

名古屋の小学校で理科実験中に児童が重度のやけど 誤指導が原因

 名古屋市内の市立小学校で、理科の授業中に誤った実験手順が指示され、6年生の児童が右腕に重いやけどを負っていたことがわかった。名古屋市教育委員会が5月30日に発表した。
 事故が起きたのは5月28日午前10時ごろ。理科の授業で植物の葉に含まれるデンプンを確認する実験中、担当の常勤講師(28)が、本来はエタノールを入れた試験管を湯煎で加熱するべきところを、誤ってガスコンロで直接加熱するよう指導。エタノールに引火し、実験に参加していた児童の右腕に炎が燃え移った。児童は重度のやけどを負い、感染症のリスクもあることから入院し、手術を受ける予定。

ヒッグス粒子発見のATLAS実験などが2025年ブレークスルー賞受賞 日本からも多数参画

 2025年ブレークスルー賞の受賞者が4月5日(日本時間4月6日)に発表され、欧州合同原子核研究機構(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)で実施されている4つの国際共同実験が基礎物理学部門を受賞した。対象となったのは、ATLAS、CMS、ALICE、LHCbの4実験で、我々の自然観や宇宙観に根本的な変革をもたらした研究成果が評価された。

 とくに、2012年にヒッグス粒子を発見したATLAS実験には、日本から13の大学・研究機関、約160人が参画しており、東京大学素粒子物理国際研究センターは、現地拠点の整備や国内解析センターの設置を通じて国際研究の中核を担っている。
 この受賞を受け、ATLAS、ALICE、LHCbおよび日本国内で相補的な研究を行うBelle IIの研究者による合同記者説明会が、4月25日に東京大学本郷キャンパスの小柴ホールで開かれた。

江戸川区の中学校で硫化水素発生 実験中に生徒6人が体調不良、3人搬送

 東京都江戸川区の区立小松川中学校で5月15日、理科の授業中に行われた実験で硫化水素が発生し、生徒6人が体調不良を訴えた。このうち13歳の男子生徒3人が病院に搬送されたが、いずれも軽症とみられる。

 警視庁や消防によると、異変が起きたのは午後1時前。2年生のクラスで行われていた理科の実験で、鉄と硫黄を混ぜて熱し、生成された硫化鉄に塩酸を加えることで硫化水素を発生させる内容だった。授業終了後、生徒6人が気分の悪さを訴え、3人が救急搬送された。
 学校側によれば、当時は教室のドアや窓を開放したうえで、教師が生徒に対し「試験管から離れて手であおいでにおいを確認するように」と指導していたという。ただし、体調不良を訴えた生徒らは、誤って試験管に顔を近づけ、硫化水素を直接かいでしまった可能性がある。
 硫化水素は少量でも強い臭気を放ち、高濃度では意識障害などを引き起こすおそれがある。中学校の授業では通常、安全な範囲でごく少量を発生させるが、吸引の仕方を誤ると健康被害につながるという。
 学校ではこの後、全校集会を開いて保護者と生徒に対する説明を実施。保護者の1人は「テレビで知って急いで駆けつけた。息子の無事を確認してほっとした」と語った。
 警視庁と消防は、実験中の教室の状況や指導内容に問題がなかったかなど、当時の詳しい経緯を調べている。