Category: 塾ニュース|サイエンス

国立科学博物館 海棲哺乳類情報データベースにストランディングマップの機能を拡充

 独立行政法人国立科学博物館(篠田謙一 館長)は、国内で発生した鯨やイルカなど海棲哺乳類のストランディング(海岸に打ち上がってしまう現象)事例を検索して地図上に示し、視覚的に比較・考察できるコンテンツ「海棲哺乳類ストランディングマップ」を公開した。 この検索マップ(https://www.kahaku.go.jp/research/db/zoology/marmam/map/)では、海棲哺乳類の和名や発見年月、発見地名などを検索すると、該当するストランディングが起きた地点が地図上にポイント表示される。また、表示されたポイントをクリックすると、吹き出しでそれぞれストランディングが起きた状況、地名、日にち、緯度・経度などの情報が表示され、いつ、どこで、どの種にどのようなことが起こっているのか、傾向などを地図上で確認することができる。さらに、個々のストランディング事例の対象個体について、研究機関が調査をしているのか、標本などは残されているかなどの関連データも、連動する既存の海棲哺乳類ストランディング情報データベース(https://www.kahaku.go.jp/research/db/zoology/marmam/drift/)から確認することができる。
 幼稚園児から高校生の自由研究、大学や企業、自治体などでの生物多様性研究や保全活動へと、活用の可能性が広がる。

▼「海棲哺乳類ストランディングマップ」の入り口は、「海棲哺乳類ストランディング情報データベース(https://www.kahaku.go.jp/research/db/zoology/marmam/index.php )」の画面右側にあります。

NASAの23年度予算 バイデン政権が過去最大を要求 有人火星探査に本腰

 バイデン米政権は3月28日、議会に2023会計年度(22年10月~23年9月)の予算教書を提出した。航空宇宙局(NASA)によると、NASAの予算として過去最大の260億ドル(約3・2兆円)を要求した。

 NASAは、2025年に初の女性や非白人飛行士の月面着陸を目指すアルテミス計画や、2040年までに人類が火星を歩く、有人火星探査計画があり、これらに多くの予算が使われる。

 アルテミス計画をベースとする深宇宙探査に76億ドル、月へ向かう新型有人宇宙船「オリオン」や打ち上げロケットの開発に47億ドル、月面着陸船を開発する企業の募集に15億ドルが計上された。

 また、2030年に運用を終了する国際宇宙ステーション(ISS)の後継開発を、民間企業と連携して進めるための予算も盛り込まれている。

欧州宇宙機関 ロシアと決裂で火星探査機の2022年打ち上げは困難

 欧州宇宙機関(ESA)は、ロシアの国営宇宙開発企業となるRoscosmos(ロスコスモス)と共同で、火星探査計画「ExoMars」で探査機を2022年後半に打ち上げ、2023年に着陸させる目指していた。しかし、ウクライナ情勢の悪化により、加盟国によるロシアへの制裁が実施され、2022年の打ち上げは予定通りに進む可能性は「ほぼなくなった」と、現地時間2月28日に発表した。

 ESAによると、この計画はESAとロシアの宇宙機関Roscosmosが共同で進めており、当初のスケジュールでは、もともと2020年に予定されていたが、技術的なトラブルやパンデミックに関連する問題で、2022年9月に延期し、カザフスタンからロシア製ロケット「Proton-M」を使って探査機を打ち上げることになっていた。ロシアへの対応をめぐる加盟国との協議を受け、加盟国はロシアに対する制裁を完全に履行する予定だ。
 また、ロシアによる侵攻で、NASAとロシアの関係や国際宇宙ステーション(ISS)の運用にも緊張感が生じている。

光学活性化合物の新しい合成法を開発
高知高専5年生の論文が『Chemistry – A European Journal』誌のHot Paper及び表紙に選出

 高知工業高等専門学校(以下「高知高専」)ソーシャルデザイン工学科新素材・生命コース5年の野並玲奈(のなみ れいな)さんと白井智彦講師らの研究グループは、イリジウム触媒を用いて医・農薬の開発に有用な光学活性キラル分子の新しい合成方法を確立した。同研究成果は、2022年1月28日(金)公開のChemistry – A European Journal誌(欧州化学会誌)に掲載され、同誌のHot Paper(同誌の編集者が特にその重要性を認めた論文)及びFront Cover(表紙)に選出された。

 同研究により、アルデヒドと呼ばれる一般的な分子を新しい手法で医・農薬開発に役立つ分子へと変えることに成功。独自に設計・合成した触媒を使う事で、分子の構造を精密に制御することにも成功した。これにより、廃棄物が少ない新しい合成プロセスとして期待される。

 化合物の適用範囲が限定されるなどの課題はあるが、技術を発展させることで、医・農薬候補化合物の自在合成に繋がることが期待される。

 本研究は、高知工業高等専門学校 ソーシャルデザイン工学科 新素材・生命コース5年の野並玲奈(のなみ れいな)さんを中心として実施されたもの。野並さんは、低学年時から英語プレゼンコンテストへの参加やTGK(Techno Girls of Kochi Kosen;女子学生支援の基盤となる組織)の代表学生として様々なイベントを企画するなど学内外を問わず精力的に活動してきた。4年時に配属された研究室でも積極性と粘り強さを発揮して研究に取り組み、本科生で欧州の学術誌に筆頭著者として論文を発表し、注目すべき論文・表紙に採択される快挙を成し遂げた。卒業後は専攻科への進学が決定しており、更なる研究の発展が期待される。

【発表論文の情報】
論文名:Cationic Iridium-Catalyzed Asymmetric Decarbonylative Aryl Addition of Aromatic Aldehydes to Bicyclic Alkenes (カチオン性イリジウム触媒を用いるビシクロアルケンへの芳香族アルデヒドの脱カルボニル型不斉アリール付加反応)
著者名:Reina Nonami1, Yusei Morimoto1, Kazuya Kanemoto2, Yasunori Yamamoto3, Tomohiko Shirai1 (1高知工業高等専門学校ソーシャルデザイン工学科(新素材・生命コース)、2中央大学理工学部、3北海道大学大学院工学研究院)
雑誌名:Chemistry – A European Journal
公表日(オンライン公開日):2022年1月28日【論文】、2022年2月9日【表紙】、2022年2月10日【Cover Profile】
論文URL: https://doi.org/10.1002/chem.202104347
表紙URL: https://doi.org/10.1002/chem.202200316
Cover Profile URL:https://doi.org/10.1002/chem.202200317

白井研究室ホームページ URL: https://shirai-t.wixsite.com/website

■高知工業高等専門学校について
 高知高専はこれからの社会の変化と時代のニーズに対応できる人材を育成する1学科制の高等専門学校。1・2年次では、教養科目・専門基礎科目・実験実習で基本力を身につけ、3年次からは専門分野5コースのいずれかに進み、コアな専門分野と多面的な知識を融合、幅広い学識・技術が活かせるハイブリッド型の人材を育成している。

【学校概要】
会社名:独立行政法人国立高等専門学校機構 高知工業高等専門学校
所在地:高知県南国市物部乙200-1
代表者:井瀬 潔
設立:1963年
URL:https://www.kochi-ct.ac.jp/
事業内容:高等専門学校・高等教育機関

恐竜を絶滅させた小惑星が落ちた季節は”春”

 約6600万年前に恐竜を絶滅させた小惑星が地球に衝突したのは、北半球が春の時期に起きたとする研究結果を、オランダなどの欧州の研究チームが2月24日付の英科学誌ネイチャーに発表した。

 小惑星は直径約10キロで、メキシコのユカタン半島に衝突した。衝撃でチクシュルーブ・クレーターができた。白亜紀の最後に衝突したが、季節がいつかを絞り込むのは難しかった。

 研究チームは、米国ノースダコタ州の「タニス」と呼ばれる場所で、小惑星が落ちた白亜紀末と古第三紀を分ける「K/Pg境界」と呼ばれる地層から、衝突で広範囲に散らばった岩石によって生き埋めになったとみられるチョウザメの骨の化石などを調べた。
 チョウザメは季節によって骨の成長速度が違い、木材の年輪のような成長パターンが骨にできる。保存状態がよい魚6匹について、化石を薄く切って顕微鏡などで骨を調べたところ、魚が死んで骨の成長が停止した痕跡により、時期が春だったことがわかった。

 春は生物の成長や繁殖に重要な時期で、北半球の大型恐竜は多くの卵や子どもが小惑星の影響で失われ、絶滅につながった可能性がある。南半球にも恐竜はいたが、小惑星の衝突で大量のちりが空中を漂い、地球全体の気温が低下して冬のような状態が続き、絶滅したと考えられる。恐竜や翼竜、アンモナイトなど当時の生物の76%が絶滅したと考えられている。

 論文は科学誌のサイトに掲載(https://www.nature.com/articles/s41586-022-04446-1)された。

収蔵庫から新種の巻貝化石を発見 国立科学博物館

 千葉県銚子市に分布する銚子層群※1(中生代前期白亜紀の浅海成堆積物)から採集され、千葉県立中央博物館に寄贈された岩石を詳しく調査したところ、これまで銚子層群から報告されていなかった微小な巻貝を12種類発見し、そのうちの6種が新種として記載された。銚子層群の巻貝化石としては、42年ぶりに新種が加わったこととなる。

 今回の研究の特色として、博物館に寄贈され、収蔵庫に保管されていた岩石から新種が発見されたこと。寄贈を受けた資料は、公的機関において収蔵する価値が高いと判断されたものだが、その資料から新しい発見が得られることは、博物館等の研究施設における自然誌研究や保管機能の重要性を改めて示すもの。
 この研究成果は、2022年1月1日発行の日本古生物学会の国際学術誌「Paleontological Research」(パレオントロジカル・リサーチ)において発表された。

【発見の経緯】
 今回、新種として記載した6種の巻貝化石は、博物館資料として収蔵されていた、千葉県銚子市に分布する銚子層群君ヶ浜層(前期白亜紀“約1億2500万年前”)から採集された岩石より見出された。この岩石は、銚子市在住の山田勝彦さんによって、1998年に採集され、2000年に千葉県立中央博物館に寄贈されたもの。
 この岩石には貝類化石が多量に含まれており、これまでに発見されていない微小な種類が見つかる可能性があった。千葉県立中央博物館の伊左治鎭司は、2011年頃から、有孔虫などの微化石を探す手法(ボロン法)を用いて、この岩石から微小な化石を抽出する調査を開始し、多数の微小な巻貝化石を発見した。
 この巻貝化石に関する調査を進める過程で、軟体動物化石に詳しい芳賀拓真(国立科学博物館)に意見を求めるとともに、共産する微化石の同定に関しては中生代の微化石研究に実績のある柏木健司(富山大学)にも助言を求め、科学研究費等を用いた共同研究を開始し、その成果として新種の巻貝化石を記載する論文を発表した。

【用語解説】
※1 銚子層群 
 銚子半島の海岸周辺に分布する中生代前期白亜紀に堆積した地層の集まり。台風のような嵐の影響を受ける浅海で堆積した地層が特色。今回発見された新種は、銚子層群君ヶ浜層より産出し、その地質時代はバレミアン期にあたる。

※2 微化石を探す手法 
 有孔虫や放散虫などの微化石研究に用いられるボロン法を用いた。ボロン法は、泥質岩に含まれる雲母鉱物からカリウムイオンを分離し、ナトリウムイオンや水に補わせることによって粘土鉱物化させ、自然界で起こる風化現象を急速に人工的に引き起す。この処理により、岩石を軟泥化させ、水洗い処理だけで微小貝を取り出すことが可能となる画期的な方法である。

凸版印刷、高精度ARを活用した博物館ガイドシステムを開発

 凸版印刷株式会社(東京・文京区、麿 秀晴 代表取締役社長)は、スマートフォンをかざすだけで、実際の展示物に様々なコンテンツを高精度に重ね合わせることが可能な博物館ガイドシステムを開発した。

 2021年10月26日(火)より提供を開始する。このシステムは、「博物館をもっと楽しくする」をコンセプトに、スマートフォンのカメラ越しに現実の博物館や展示物を見た際、そこには実際に存在しないCG映像や解説情報などのコンテンツを重ねて表示し、現実の博物館における文化体験を拡張するシステム。なお、スマートフォンのカメラから取得する画像情報から利用者の位置情報を取得する、VPS(Visual Positioning Service)技術を活用することで、誤差数センチ以内で展示物と重ね合わせたコンテンツ表示が可能だ。

 提供開始に先立ち、2021年10月13日(水)より港区立みなと科学館(東京都港区虎ノ門)で開催されている企画展「未来とつながる5G展~社会の多様性を支える通信技術~」の「4G/5Gの速度比較コーナー」でこのシステムを体験することが可能だ。

■ 今後の目標
 このシステムを始め、凸版印刷の提供する遠隔体験技術「IoA仮想テレポーテーション」等のXR技術を活用したサービスをパッケージ化し、博物館/文化施設の価値をさらに高め、地域振興の一助になることを目指す。同時に、博物館運営を始めとしたコミュニケーションビジネス全体で、2025年度までに約30億円の売上げを目指す。

■ 「未来とつながる5G展~社会の多様性を支える通信技術~」概要
名称: 「未来とつながる5G展~社会の多様性を支える通信技術~」
会期: 2021年10月13日(水)~11月7日(日)
会場: 港区立みなと科学館多目的ロビー
主催: 港区立みなと科学館
港区立みなと科学館公式HP: https://www.minato-kagaku.tokyo/

NASA 火星地表の岩石 採取成功

 アメリカ航空宇宙局(NASA)は9月6日、無人火星探査車「パーシビアランス」が、初めて火星地表にある岩石のサンプル採取に成功したと発表した。採取した鉛筆大の岩が保存用の管に収まっている画像を公開した。採取されたサンプルは将来、火星へ送る予定の探査機で地球に持ち帰ることが計画だ。

 探査車「パーシビアランス」は今年2月、火星でかつて湖があったと推定されるクレーターに着陸した。火星の岩石などのサンプルを採取するためのドリルなどの機器が搭載されている。

 先月行われた1回目のサンプル採取では、岩石が細かく砕け、保管用のチューブの中に入らず失敗した。今月1日、2回目の採取に挑戦し、岩石に穴をあけたことが確認されていた。

 探査車からのデータを分析していたNASAは6日、岩石のサンプルがチューブに入ったことが確認されたと発表し、画像を公開した。採取された岩石は鉛筆より少し太い程度の大きさだ。火星地表の土壌を採取し持ち帰ることができれば火星探査の歴史で初めてとなる。

 今回のミッションは、土壌の詳細な調査を通じ、微生物など生命の痕跡の有無を探ることで、サンプル採取成功は大きな前進となる。

モデルナ製ワクチン 異物はステンレス製の製造部品の破片

 モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンの日本での流通を担当する武田薬品工業は9月2日、ワクチンの一部から異物がみつかった問題で、製造工程で金属片が混入したとする調査結果を公表した。原因は部品の設置ミスと見られ、使用を見合わせているおよそ160万回分のワクチンは2日以降すべて回収される。武田薬品は「安全性に問題はない」と説明した。

 先月中旬以降、全国の複数の接種会場でモデルナの未開封のワクチンの容器の一部に粒子状の異物が混入しているのが見つかった。

 製造工程で、部品どうしが設置ミスによって接触し摩擦で削り取られて混入した。

 厚生労働省は、全国901の会場に配送された、異物混入が報告されたロットと、同時期に同じ生産ラインで作られた2つのロット、合わせて162万回分のワクチンの使用を見合わせた。

■対象ロット
▽3004667
▽3004734
▽3004956

 自治体や政府が設置した大規模接種会場が77か所。厚生労働省は、このうちすでに接種に使用していたことが確認された55か所をホームページで公表しています。

 職域接種の824会場については当初、公表していなかったが、接種で使用したことが確認され、かつ了承が得られた268会場を新たに公表した。

アストラゼネカ製ワクチン 公的接種 40歳以上で検討

 厚生労働省は7月30日、アストラゼネカ社製のワクチンを40歳以上を、予防接種法上の「臨時接種」の対象として位置付ける方向で専門家の分科会に提案した。

 アストラゼネカ社製のワクチンはことし5月に国内での製造販売が特例承認したものの、極めてまれに血栓が生じるリスクがあると指摘され、使用を見送る方針を示していた。

 関係者によると、必要な場合を除いて40歳未満の人には原則、接種しない方向で検討しているという。

 感染の第5波で、特に40~50代の重症者が増えている。臨時接種の対象として認められれば、こうした年齢層はアストラゼネカ製も無料で接種が受けられるようになる可能性がある。

 英国ではアストラゼネカ社製のワクチンが広く使われているが、40歳未満には別のワクチンが推奨されている。