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小型ロケットZEROを開発するインターステラテクノロジズ、文部科学省のSBIR事業で14.4億円の追加交付が決定

 宇宙輸送と宇宙利用を通じて地球の課題解決を目指す宇宙の総合インフラ会社インターステラテクノロジズ株式会社(北海道・広尾郡⼤樹町、稲川 貴⼤ 代表取締役 CEO)は2025年2月21日、スタートアップ等による研究開発を促進する文部科学省の「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3)」において、14.4億円の追加交付が決まった事を発表した。フェーズ1および2を含めた累計交付額は最大80.7億円となった。

 この事業は、SBIR(Small Business Innovation Research)制度においてスタートアップ等の有する先端技術の社会実装の促進を目指すもの。インターステラテクノロジズは宇宙分野(事業テーマ:民間ロケットの開発・実証)で2023年9月に採択され、フェーズ1として最大20億円が交付された。2024年9月にはステージゲート審査を通過し、フェーズ2として最大46.3億円の交付が決定している。今回の追加交付は事業を加速し、事業目標を着実に達成することを目的として、有識者からなるステージゲート審査委員会にて決まったもの。
 世界の小型衛星打上げ需要は民間宇宙ビジネスの市場拡大、安全保障領域での重要性の高まり、衛星コンステレーションといった新しいアプリケーションの登場などを背景に、打上げ数が2016年の141基から2023年には2,860基と約20倍に急増している。これに伴い、米国では2024年に年間158回、中国でも68回の打上げと宇宙輸送能力を飛躍的に向上させている一方、国内では7回にとどまっている。国は宇宙戦略基金の基本方針において、2030年代前半までに基幹ロケットと民間ロケットでの国内打上げ能力を年間30件程度確保し、国内外の多様な打上げ需要に応えることを目標に掲げている。インターステラテクノロジズは低価格で高頻度打上げが可能なロケットZEROの開発により、国内の自立的な宇宙アクセス拡大に貢献するとともに、国際競争力のある宇宙輸送サービスを実現していく。

2025年4月 日本初、人工衛星による地球低軌道での宇宙バイオ実験ユニットの実証実験へ

 株式会社IDDKは、無人でも自動で作動する宇宙バイオ実験装置「Micro Bio Space LAB(MBS-LAB)」のトライアルミッション「MBSLAB-ZERO」を、地球低軌道で稼働させる実証実験を実施する。ドイツの宇宙スタートアップであるATMOS Space Cargo社との共同ミッションとしてATMOSのPHOENIX CapsuleにMBS-LABを搭載し、2025年4月にSpaceX のFalcon 9ロケットで打ち上げを予定している。
 このミッションでは、IDDKの顕微観察技術であるMicro Imaging Device (MID)技術を搭載した実験ユニットで宇宙(地球低軌道上)での顕微観察を含めた機能動作実証試験を行うことで、人工衛星を活用した宇宙バイオ実験の実現可能性を検証し、宇宙環境を活用した創薬、アンチエイジングなど様々なライフサイエンス分野の研究を後押しすることで、軌道上ライフサイエンス研究の新時代を切り開くことを目指す。また、この実証実験は2024年CAMPFIREで行われたクラウドファンディングの支援を受けて実施される。

 IDDKのキーテクノロジーは、特許取得済みの半導体センサーベース顕微観察技術「Micro Imaging Device(MID)」で、従来の顕微鏡のような対物レンズを必要としない。軽量、省スペースで高精細かつリアルタイムでの生体サンプル観察を可能にする。
 宇宙ミッションでは、ペイロードのサイズや重さが打ち上げコストに直結するが、MIDは従来の顕微鏡に比べ大幅な軽量化と省スペース化を実現できる。MIDを搭載したMBS-LABは、地球低軌道上における微小重力などの宇宙環境での細胞や小型生物の応答を無人の小型装置で観察できるようになる。


<ミッションの目的>
 今回が初となるMBS-LABの実証実験「MBSLAB-ZERO」ミッションは、今後の大規模な商業・学術向けの宇宙環境を利用した研究プラットフォームの構築に重要なステップとなる。IDDKは主に以下の3点を今回のミッションの目的としている。
1.オートメーション運用の実証
MID技術が地球低軌道(LEO)の微小重力環境下で、電源供給やデータ管理システムなど、自動化されたシステムで連続的に顕微観察が行えることを実証する。
2.リアルタイムのデータ取得実証
微小重力下でのMIDやセンサーから顕微観察や実験環境のデータをリアルタイムに取得できることを実証し、生物サンプルを用いた幅広い研究に活用できることを示す。
3.国際宇宙ステーション(以下、ISS)以外での宇宙バイオ実験の可能性を実証
MBS-LABを用いることにより人工衛星での宇宙バイオ実験プラットフォームが可能であることを実証し、ISS以外での宇宙バイオ実験手段となり得ることを示す。2030年のISS運用終了が近づく中、人工衛星を活用した宇宙バイオ実験プラットフォームを実証することにより、宇宙ステーションに依存しない新たな実験・研究環境の選択肢を世界に提供する。

(サイエンス)もののけ姫「サン」にちなんだ新種の深海魚がみつかる

 新たに発見された深海魚「Branchiostegus sanae」が、スタジオジブリの名作アニメ映画「もののけ姫」の戦姫サンにちなんで命名された。この魚の特徴的な顔のしま模様が、サンの顔に似ていることから名付けられたという。

 中国の研究者らが発見したこの新種の魚は、アマダイ科アマダイ属に属し、深海の極端な深さに生息していることが多い。遺伝子解析によって新種であることが確認され、研究者はその特徴的な模様にサンを重ねて、「sanae」という種名を選んだ。
 サンは、宮崎駿監督の「もののけ姫」に登場するオオカミに育てられた少女で、自然を守るために戦う姿が描かれている。映画は日本で大ヒットし、興行収入は190億円を超えた。
 研究の主著者である黄皓晨氏は、「サンは自身を森の一部と見なし、それを守るために戦う姿が深く印象に残る。この映画は、人間と自然の複雑な関係を掘り下げ、両者の調和のとれた共存のメッセージを伝えている。この命名を通じて、私たちもそのメッセージを反映させたいと考えている」と述べた。
 アマダイは、東アジアおよび東南アジアの水産物市場で一般的に見られる魚だ。
 アマダイ科の多様性は比較的低く、アマダイ科には31種、アマダイ属には19種しか記載されていない。
 アマダイ属の新種は、過去34年間で3種しか確認されていないという。

ミクロの世界を身近にする指先サイズの高倍率顕微鏡レンズ、「ミクロハンターMH-X250」の一般販売開始

「ミクロハンターMH-X250」は、スマートフォンにピタッと装着するだけで高倍率・高精細な顕微鏡観察が可能になる新世代の顕微鏡レンズ。指先サイズながら、光学250倍の倍率を実現し(スマホ機能を活用すれば最大1200倍)、科学教育や研究、クリエイティブな用途など幅広く活用できる。

 過去のレンズシリーズの購入者からは、『今まで見えていた世界はほんの数パーセントだったと感動しました』といった喜びの声が寄せられている。最新レンズの「ミクロハンターMH-X250」は、今年1月下旬にクラウドファンディングでの先行販売&配送を終え、多くの支援者から好評を得ている。そして今回、一般販売を開始することで、より多くの方々に「ミクロの世界の面白さ」を体験できる機会を提供する。

「ミクロハンターMH-X250」は、単なる観察ツールではなく、創造力をかき立てるデバイス。ミクロという新しい視点で世界を切り取る事で、アーティストはミクロの世界をインスピレーションとして活用可能。
 また、家庭や教育現場では、学生が実際にミクロの世界を体験することで、科学への興味を深めるきっかけになる。


「ミクロハンターMH-X250」の主な特徴
・250倍の高倍率:微細な構造までクリアに観察可能。
・スマホ対応:iPhone・Androidの両方で使用可能。
・コンパクト設計:持ち運びやすく、どこでも観察が可能。
・高精細レンズ搭載:科学教育や研究用途にも適した高品質な光学設計。
・動画・写真撮影機能:スマホで簡単にミクロの世界を記録。


価格と購入方法
「ミクロハンターMH-X250」は、ミクロハンター公式ショップにて販売中。
【ミクロハンター公式ショップ】
https://bit.ly/4k6x2vt
価格:6,980円(税込)

軟X線で細胞内の「化学地図」を描く 新開発の軟X線分光顕微鏡で窒素・酸素の化学状態を詳細に可視化することに成功

 東京大学物性研究所の櫻井快博士課程学生(同大学大学院工学系研究科物理工学専攻)、木村隆志准教授と竹尾陽子助教、井上圭一准教授と寳本俊輝特任研究員、吉見一慶特任研究員、原田慈久教授、理化学研究所放射光科学研究センターの志村まり研究員、高輝度光科学研究センターの大橋治彦室長らによる研究グループは、化学状態の違いをもとに細胞内の微細構造を高分解能に観察できる、新たな元素イメージング技術を開発した。

 大型放射光施設SPring-8から発振される高輝度軟X線に、独自開発の軟X線用ミラーであるウォルターミラー(注2)を組み合わせ、さまざまな元素の軟X線吸収スペクトルの高空間計測を可能にしました。また、細胞内部に存在する窒素や酸素の化学状態を観察し、多彩な微細構造を捉えられることを示した。
 高空間分解能かつラベルフリーで、タンパク質や核酸、脂質、糖質といった生体分子に含まれる化学結合の種類や価数の違いを元素選択的に捉えられるため、単純な顕微鏡像からは識別困難な未知の微細構造も捉えられます。蛍光タンパクなどの標識が困難な低分子のイメージングなどを通して、細胞機能の解明や疾患研究への新たなアプローチとして期待される。
 この成果は米科学誌「Applied Physics Letters」に1月31日(現地時間)掲載された。

2030年のISS運用終了後の民間主導宇宙ステーション参画を決定

 文部科学省は、2030年に運用終了予定の国際宇宙ステーション(ISS)後継機について、米企業の開発する新たな宇宙ステーションに民間主体で参画する方針を固めた。米国は、後継機の開発・運営を民間企業に委ねる計画で、日本側はISSの「きぼう」実験棟のような施設を民営化して設置することも検討している。これにより、日本の有人活動拠点を民営化し、宇宙ビジネスの拡大を目指す。

極地研の南極隕石コレクション 国際地質学会議で選定「IUGS Geo-collection」

 国立極地研究所(極地研)の「南極隕石コレクション」が、2024年8月、韓国・釜山で開催された第37回国際地質学会議(IGC)において、国際地質科学連合(IUGS)の「IUGS Geo-collection」に選定された。このコレクションは、南極地域観測隊の隕石探査活動に基づいており、地球惑星科学における貴重な試料として国内外の研究者によって広く利用されている。また、この選定は、アジアで唯一の認定例となり、南極隕石が科学的、歴史的、教育的価値を持つ資源であることが再確認された。

【国立科学博物館】太平洋のハゲナマコから4新種候補を含む10種を発見 世界各国の博物館標本の遺伝子解析から多様性を明らかに

 独立行政法人国立科学博物館(篠田謙一 館長) の小川晟人特定非常勤研究員(分子生物多様性研究資料センター)、藤田敏彦動物研究部長(動物研究部)、蛭田眞平准教授(昭和大学富士山麓自然・生物研究所、当館協力研究員)らは、ロシア シルショフ海洋学研究所、ニュージーランド国立水大気研究所、オーストラリア ヴィクトリア博物館研究所、国立研究開発法人海洋研究開発機構の研究者らと共同で、世界各地の博物館の収蔵標本の遺伝子解析から、これまで1種とされてきた太平洋のハゲナマコ属が4種の新種候補を含む10種であることを明らかにした。ハゲナマコ属は太平洋の深海底に広く生息するナマコ類だが、名前の由来である全身の表皮が剥げやすい特徴から、底曳き網採集では原形を留めないほど標本が傷ついてしまい形態比較による正確な分類が困難だった。国立科学博物館を含む世界各国の6カ所の博物館に収蔵された太平洋各地のハゲナマコ属標本の遺伝子解析によって、これまでムラサキハゲナマコ1種に同定されてきた太平洋のハゲナマコ属が4種の未記載種(新種候補)を含む10種であることを明らかにした。深海生態系の多様性の理解が進むことで、深海生物の多様化様式の解明につながることが期待される。
 この研究成果は2024年12月24日に海洋生物学分野の国際誌「Marine Biology」にオンライン掲載された。

▼研究のポイント

・ 表皮がはげやすく標本が採集時にボロボロに傷ついてしまうために形態比較が困難だった深海性のハゲナマコ属の種多様性を遺伝子解析により見直した。
・ 国立科学博物館に加え、世界各地の博物館に収蔵された標本を活用することで、太平洋全域に及ぶハゲナマコ属の標本を網羅的に比較分析した。
・太平洋に広く分布する1種と考えられてきたムラサキハゲナマコは、遺伝子と形態の特徴が異なる10種であり、そのうち4種の新種候補を含むことを明らかにした。

文部科学省・環境省・こども家庭庁 後援 旺文社主催『第68回 全国学芸サイエンスコンクール』入賞者決定

「全国学芸サイエンスコンクール」は全国の小学生・中学生・高校生の研究・アートおよび文芸の振興奨励と、その個性の育成を目的に、各界各方面から賛同と支援を受け、昭和32年(1957年)の第1回開催以来毎年実施しており、今年度で第68回を迎える。日本全国はもとより海外の学校からも多くの参加があり、今年度は73,617点の応募があった。部門は、理科自由研究・自然科学研究・社会科自由研究・人文社会科学研究・絵画・書道・小説・詩・読書感想文・作文/小論文・写真・ポスター/デザインと多岐にわたり、内閣総理大臣賞、文部科学大臣賞、環境大臣賞などの特別賞も含め、総数で約500名に賞が贈られる。さらに今年度は、特別企画としてスタートアップ部門を設けた。スタートアップ部門からは、ベンチャーズ大賞を始め、金賞・銀賞・銅賞と合わせて計10組に賞が贈られる。また、2025年3月7日(金)には、The Okura Tokyo(東京 虎ノ門)にて表彰式を行う。
全入賞者名は、以下の公式サイトから確認できる。
「全国学芸サイエンスコンクール」公式サイト:https://www.obunsha.co.jp/gakkon/

■コンクールの概要

【名称】:第68回 全国学芸サイエンスコンクール            
【主催】:株式会社 旺文社
【後援】:文部科学省、環境省、こども家庭庁
【特別協賛】:フジテレビジョン、日本英語検定協会、大日本印刷
【特別協力】:全国連合小学校長会、全日本中学校長会、全国高等学校長協会、日本科学技術振興財団、日本芸術院、早稲田大学、慶應義塾、共同通信社、旺文社ベンチャーズ
【協賛 (50音順)】:岩岡印刷、大塚商会、大林組、カシオ計算機、旭洋、三省堂印刷、システムシンク、シロキ、新生紙パルプ商事、高尾丸王製紙、中越パルプ工業、TOPPANクロレ、日新印刷、日本紙通商、日本生涯学習総合研究所、日本書道教育學會、日本製紙、パイロットコーポレーション、北越コーポレーション、みずほ銀行、ロジテムエージェンシー
【対象】:全国の小学生・中学生・高校生(海外の日本人学校在籍者も含む)
【応募締切】:2024年9月24日(火)
【部門】
[サイエンス分野] 理科自由研究(小・中)、自然科学研究(高)、社会科自由研究(小・中)、人文社会科学研究(高)
[アート分野] 絵画(小・中・高)、書道(小・中・高)
[文芸I分野] 小説(中・高) 、 詩(小・中・高)
[文芸II分野] 読書感想文(小・中・高)、作文/小論文(小・中・高)
[環境分野] 写真(小・中・高) ・ ポスター/デザイン(小・中・高)
[特別企画] スタートアップ(小4~6・中・高)
今後の主な予定
2025年 2月中旬 : 「第68回金賞作品集」刊行
2月下旬 : 参加賞発送予定
3月7日(金) : 表彰式(会場:The Okura Tokyo)

【PR】クラウドで挑む教育DX 基幹システムの刷新(AWS)

通信教育の先駆者である株式会社Z会(静岡県三島市)と、学習塾向け業務システムを開発販売する株式会社POPER(東京都中央区)。は、Amazon Web Services(AWS)を活用しているという共通点を持つ。Z会の情報システム部部長の内藤正史氏と、POPER代表取締役の栗原慎吾氏にクラウドで挑む教育DXについて語ってもらった。

変化する市場に対応しながら基幹システムを刷新

――まずは簡単に、お二人の自己紹介をお願いいたします。

POPER 代表取締役 栗原慎吾氏

栗原 POPERは学習塾に特化した業務効率システム「Comiru」を開発販売していて、現在5000教室以上でご利用いただいています。おかげさまでこの分野のシェアNO.1となっています。
 私自身、塾の経営経験があるのですが、保護者の悩みを解決する場でもあるなど、塾は面白い世界だなぁと思った反面、アナログな業界だとも感じました。何とかそれを改善し、塾業界のDXに貢献できればと起業。業務を効率化することで先生方が生徒と向き合う時間を増やし、生徒の変容に少しでも役立てればとの想いで日々取り組んでいます。

内藤 通信教育として90年以上の歴史があるZ会は基本的にはBtoCですが、近年は学校の学力調査をお手伝いするなど、BtoBの分野にも事業を拡大中です。
 ミッションは「最高の教育で未来を開く」で、生徒自身の未来だけではなく、社会の未来を開く力も養いたいとサービスを展開しています。

Z会 情報システム部 部長 内藤正史氏

――最近の動向についてお聞かせください。

内藤 開発当初より、当社の基幹システムは独自のプラットフォーム上に構築していたのですが、2019年から徐々にAmazon Web Services(AWS)へ移行していきました。
 古いプラットフォームだったので移行するには相当なコストがかかることは承知していましたが、このままではサービスが陳腐化するという危機感があったため一大決心をしました。2024年にようやくローンチでき、一山越えた状態です。
 長期に渡るプロジェクトで大変だったのは、私たちがやりたいことも、市場も、競合も変化していったこと。しかし資金投資を惜しまないなど、経営陣が理解と協力を示してくれ、恵まれていたなと感じます。

栗原 私たちも拡張しづらいプラットフォームを使っていたため、去年、AWSに移行しました。
 Comiruを稼働し続けなくてはならないので、決断にはかなりの覚悟が要りましたが、実際に移行してみると、AWSは柔軟性や拡張性に富んでいて、お客様の声をどんどん取り入れられるなと感じています。おまけにコストまで下がるなど、いいこと尽くめです。

内藤 本当、AWSは価格も良心的で、有り難いですよね。

データを活用して新しい付加価値を還元

――自社のビッグデータの活用については、どのようにお考えですか。

栗原 学習時間やテスト結果をはじめ、Comiruには様々なデータが入っていますが、そうした情報をお客様に還元するようにしています。
 しかしながら、分析したい内容は学習塾によって異なります。試しにある企業のプライベートなクラウドと、Comiruをつなげてみたところ大変好評でしたので、今後はお客様が自由にデータを活用できるようにしていきたいです。

内藤 Z会は学校での利用も増えているため、今後は「先輩・後輩の点数に比べて自分のクラスの生徒がどうだったか」などがわかるようにしたいです。
 また自塾でデータを分析するよりも、コンサル的にアドバイスがほしいと考える学習塾もあるはずなので、AIでデータを解析できるようなサービスを整えたいですね。AIを活用すれば生きる力の育成や、学習サポートがもっと充実すると思います。

学習塾のDX化のご支援を加速

――セキュリティ面に不安を持つ塾経営者層もおられますが、その点に関してはどうお感じですか。

栗原 AWSに関していえば、セキュリティはとても強靭なので安心できると思います。
 それからプラットフォームの安全性だけではなく、現場での対策も掛け合わせることが不可欠はないでしょうか。メールからウィルス感染するケースも多いですからね。当社では各パソコンにセキュリティソフトを入れたり、スタッフに勉強会を開くなどして対策を強化しています。

内藤 AWSには、セキュリティに必要なサービスが揃っているので、頼もしく感じます。
 それにプラスして私たちも現場でのセキュリティ対策を強め、リスクを一つひとつつぶしています。
 また便利に使いたいという社員の気持ちはわかるので、同じく教育もしっかりおこなっています。

――今後の展望をお聞かせください。

栗原 今まではComiruありきでご提案していましたが、それでは使いづらいことがよく理解できました。そこで大手に関しては、先方の基幹システムでご利用できるようComiruをカスタマイズするなど、現在は私たちのほうが柔軟に変化しています。
 また知見が貯まってきたため、今後はアプローチし切れていなかった塾の皆様へお届けできればと考えているほか、AWSに基幹システムを移行した経験を活かし、皆様の様々なお悩みにお答えできればと思っています。ぜひお気軽にご相談ださい。

内藤 簡単にログが残せるデジタルのよさを活かせば、学校、塾、通信教育といったあらゆる学習シーンを統合でき、質の高いサポートができると考えています。
 デジタルのよさを存分に活かし、紙では成し得なかったサービスをご提供できるようブラッシュアップしてまいりますので、何かお困りのことがあればぜひお気軽にご連絡ください。

 

月刊私塾界2024年12月号掲載

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