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ミクロの世界を身近にする指先サイズの高倍率顕微鏡レンズ、「ミクロハンターMH-X250」の一般販売開始

「ミクロハンターMH-X250」は、スマートフォンにピタッと装着するだけで高倍率・高精細な顕微鏡観察が可能になる新世代の顕微鏡レンズ。指先サイズながら、光学250倍の倍率を実現し(スマホ機能を活用すれば最大1200倍)、科学教育や研究、クリエイティブな用途など幅広く活用できる。

 過去のレンズシリーズの購入者からは、『今まで見えていた世界はほんの数パーセントだったと感動しました』といった喜びの声が寄せられている。最新レンズの「ミクロハンターMH-X250」は、今年1月下旬にクラウドファンディングでの先行販売&配送を終え、多くの支援者から好評を得ている。そして今回、一般販売を開始することで、より多くの方々に「ミクロの世界の面白さ」を体験できる機会を提供する。

「ミクロハンターMH-X250」は、単なる観察ツールではなく、創造力をかき立てるデバイス。ミクロという新しい視点で世界を切り取る事で、アーティストはミクロの世界をインスピレーションとして活用可能。
 また、家庭や教育現場では、学生が実際にミクロの世界を体験することで、科学への興味を深めるきっかけになる。


「ミクロハンターMH-X250」の主な特徴
・250倍の高倍率:微細な構造までクリアに観察可能。
・スマホ対応:iPhone・Androidの両方で使用可能。
・コンパクト設計:持ち運びやすく、どこでも観察が可能。
・高精細レンズ搭載:科学教育や研究用途にも適した高品質な光学設計。
・動画・写真撮影機能:スマホで簡単にミクロの世界を記録。


価格と購入方法
「ミクロハンターMH-X250」は、ミクロハンター公式ショップにて販売中。
【ミクロハンター公式ショップ】
https://bit.ly/4k6x2vt
価格:6,980円(税込)

軟X線で細胞内の「化学地図」を描く 新開発の軟X線分光顕微鏡で窒素・酸素の化学状態を詳細に可視化することに成功

 東京大学物性研究所の櫻井快博士課程学生(同大学大学院工学系研究科物理工学専攻)、木村隆志准教授と竹尾陽子助教、井上圭一准教授と寳本俊輝特任研究員、吉見一慶特任研究員、原田慈久教授、理化学研究所放射光科学研究センターの志村まり研究員、高輝度光科学研究センターの大橋治彦室長らによる研究グループは、化学状態の違いをもとに細胞内の微細構造を高分解能に観察できる、新たな元素イメージング技術を開発した。

 大型放射光施設SPring-8から発振される高輝度軟X線に、独自開発の軟X線用ミラーであるウォルターミラー(注2)を組み合わせ、さまざまな元素の軟X線吸収スペクトルの高空間計測を可能にしました。また、細胞内部に存在する窒素や酸素の化学状態を観察し、多彩な微細構造を捉えられることを示した。
 高空間分解能かつラベルフリーで、タンパク質や核酸、脂質、糖質といった生体分子に含まれる化学結合の種類や価数の違いを元素選択的に捉えられるため、単純な顕微鏡像からは識別困難な未知の微細構造も捉えられます。蛍光タンパクなどの標識が困難な低分子のイメージングなどを通して、細胞機能の解明や疾患研究への新たなアプローチとして期待される。
 この成果は米科学誌「Applied Physics Letters」に1月31日(現地時間)掲載された。

2030年のISS運用終了後の民間主導宇宙ステーション参画を決定

 文部科学省は、2030年に運用終了予定の国際宇宙ステーション(ISS)後継機について、米企業の開発する新たな宇宙ステーションに民間主体で参画する方針を固めた。米国は、後継機の開発・運営を民間企業に委ねる計画で、日本側はISSの「きぼう」実験棟のような施設を民営化して設置することも検討している。これにより、日本の有人活動拠点を民営化し、宇宙ビジネスの拡大を目指す。

極地研の南極隕石コレクション 国際地質学会議で選定「IUGS Geo-collection」

 国立極地研究所(極地研)の「南極隕石コレクション」が、2024年8月、韓国・釜山で開催された第37回国際地質学会議(IGC)において、国際地質科学連合(IUGS)の「IUGS Geo-collection」に選定された。このコレクションは、南極地域観測隊の隕石探査活動に基づいており、地球惑星科学における貴重な試料として国内外の研究者によって広く利用されている。また、この選定は、アジアで唯一の認定例となり、南極隕石が科学的、歴史的、教育的価値を持つ資源であることが再確認された。

【国立科学博物館】太平洋のハゲナマコから4新種候補を含む10種を発見 世界各国の博物館標本の遺伝子解析から多様性を明らかに

 独立行政法人国立科学博物館(篠田謙一 館長) の小川晟人特定非常勤研究員(分子生物多様性研究資料センター)、藤田敏彦動物研究部長(動物研究部)、蛭田眞平准教授(昭和大学富士山麓自然・生物研究所、当館協力研究員)らは、ロシア シルショフ海洋学研究所、ニュージーランド国立水大気研究所、オーストラリア ヴィクトリア博物館研究所、国立研究開発法人海洋研究開発機構の研究者らと共同で、世界各地の博物館の収蔵標本の遺伝子解析から、これまで1種とされてきた太平洋のハゲナマコ属が4種の新種候補を含む10種であることを明らかにした。ハゲナマコ属は太平洋の深海底に広く生息するナマコ類だが、名前の由来である全身の表皮が剥げやすい特徴から、底曳き網採集では原形を留めないほど標本が傷ついてしまい形態比較による正確な分類が困難だった。国立科学博物館を含む世界各国の6カ所の博物館に収蔵された太平洋各地のハゲナマコ属標本の遺伝子解析によって、これまでムラサキハゲナマコ1種に同定されてきた太平洋のハゲナマコ属が4種の未記載種(新種候補)を含む10種であることを明らかにした。深海生態系の多様性の理解が進むことで、深海生物の多様化様式の解明につながることが期待される。
 この研究成果は2024年12月24日に海洋生物学分野の国際誌「Marine Biology」にオンライン掲載された。

▼研究のポイント

・ 表皮がはげやすく標本が採集時にボロボロに傷ついてしまうために形態比較が困難だった深海性のハゲナマコ属の種多様性を遺伝子解析により見直した。
・ 国立科学博物館に加え、世界各地の博物館に収蔵された標本を活用することで、太平洋全域に及ぶハゲナマコ属の標本を網羅的に比較分析した。
・太平洋に広く分布する1種と考えられてきたムラサキハゲナマコは、遺伝子と形態の特徴が異なる10種であり、そのうち4種の新種候補を含むことを明らかにした。

文部科学省・環境省・こども家庭庁 後援 旺文社主催『第68回 全国学芸サイエンスコンクール』入賞者決定

「全国学芸サイエンスコンクール」は全国の小学生・中学生・高校生の研究・アートおよび文芸の振興奨励と、その個性の育成を目的に、各界各方面から賛同と支援を受け、昭和32年(1957年)の第1回開催以来毎年実施しており、今年度で第68回を迎える。日本全国はもとより海外の学校からも多くの参加があり、今年度は73,617点の応募があった。部門は、理科自由研究・自然科学研究・社会科自由研究・人文社会科学研究・絵画・書道・小説・詩・読書感想文・作文/小論文・写真・ポスター/デザインと多岐にわたり、内閣総理大臣賞、文部科学大臣賞、環境大臣賞などの特別賞も含め、総数で約500名に賞が贈られる。さらに今年度は、特別企画としてスタートアップ部門を設けた。スタートアップ部門からは、ベンチャーズ大賞を始め、金賞・銀賞・銅賞と合わせて計10組に賞が贈られる。また、2025年3月7日(金)には、The Okura Tokyo(東京 虎ノ門)にて表彰式を行う。
全入賞者名は、以下の公式サイトから確認できる。
「全国学芸サイエンスコンクール」公式サイト:https://www.obunsha.co.jp/gakkon/

■コンクールの概要

【名称】:第68回 全国学芸サイエンスコンクール            
【主催】:株式会社 旺文社
【後援】:文部科学省、環境省、こども家庭庁
【特別協賛】:フジテレビジョン、日本英語検定協会、大日本印刷
【特別協力】:全国連合小学校長会、全日本中学校長会、全国高等学校長協会、日本科学技術振興財団、日本芸術院、早稲田大学、慶應義塾、共同通信社、旺文社ベンチャーズ
【協賛 (50音順)】:岩岡印刷、大塚商会、大林組、カシオ計算機、旭洋、三省堂印刷、システムシンク、シロキ、新生紙パルプ商事、高尾丸王製紙、中越パルプ工業、TOPPANクロレ、日新印刷、日本紙通商、日本生涯学習総合研究所、日本書道教育學會、日本製紙、パイロットコーポレーション、北越コーポレーション、みずほ銀行、ロジテムエージェンシー
【対象】:全国の小学生・中学生・高校生(海外の日本人学校在籍者も含む)
【応募締切】:2024年9月24日(火)
【部門】
[サイエンス分野] 理科自由研究(小・中)、自然科学研究(高)、社会科自由研究(小・中)、人文社会科学研究(高)
[アート分野] 絵画(小・中・高)、書道(小・中・高)
[文芸I分野] 小説(中・高) 、 詩(小・中・高)
[文芸II分野] 読書感想文(小・中・高)、作文/小論文(小・中・高)
[環境分野] 写真(小・中・高) ・ ポスター/デザイン(小・中・高)
[特別企画] スタートアップ(小4~6・中・高)
今後の主な予定
2025年 2月中旬 : 「第68回金賞作品集」刊行
2月下旬 : 参加賞発送予定
3月7日(金) : 表彰式(会場:The Okura Tokyo)

【PR】クラウドで挑む教育DX 基幹システムの刷新(AWS)

通信教育の先駆者である株式会社Z会(静岡県三島市)と、学習塾向け業務システムを開発販売する株式会社POPER(東京都中央区)。は、Amazon Web Services(AWS)を活用しているという共通点を持つ。Z会の情報システム部部長の内藤正史氏と、POPER代表取締役の栗原慎吾氏にクラウドで挑む教育DXについて語ってもらった。

変化する市場に対応しながら基幹システムを刷新

――まずは簡単に、お二人の自己紹介をお願いいたします。

POPER 代表取締役 栗原慎吾氏

栗原 POPERは学習塾に特化した業務効率システム「Comiru」を開発販売していて、現在5000教室以上でご利用いただいています。おかげさまでこの分野のシェアNO.1となっています。
 私自身、塾の経営経験があるのですが、保護者の悩みを解決する場でもあるなど、塾は面白い世界だなぁと思った反面、アナログな業界だとも感じました。何とかそれを改善し、塾業界のDXに貢献できればと起業。業務を効率化することで先生方が生徒と向き合う時間を増やし、生徒の変容に少しでも役立てればとの想いで日々取り組んでいます。

内藤 通信教育として90年以上の歴史があるZ会は基本的にはBtoCですが、近年は学校の学力調査をお手伝いするなど、BtoBの分野にも事業を拡大中です。
 ミッションは「最高の教育で未来を開く」で、生徒自身の未来だけではなく、社会の未来を開く力も養いたいとサービスを展開しています。

Z会 情報システム部 部長 内藤正史氏

――最近の動向についてお聞かせください。

内藤 開発当初より、当社の基幹システムは独自のプラットフォーム上に構築していたのですが、2019年から徐々にAmazon Web Services(AWS)へ移行していきました。
 古いプラットフォームだったので移行するには相当なコストがかかることは承知していましたが、このままではサービスが陳腐化するという危機感があったため一大決心をしました。2024年にようやくローンチでき、一山越えた状態です。
 長期に渡るプロジェクトで大変だったのは、私たちがやりたいことも、市場も、競合も変化していったこと。しかし資金投資を惜しまないなど、経営陣が理解と協力を示してくれ、恵まれていたなと感じます。

栗原 私たちも拡張しづらいプラットフォームを使っていたため、去年、AWSに移行しました。
 Comiruを稼働し続けなくてはならないので、決断にはかなりの覚悟が要りましたが、実際に移行してみると、AWSは柔軟性や拡張性に富んでいて、お客様の声をどんどん取り入れられるなと感じています。おまけにコストまで下がるなど、いいこと尽くめです。

内藤 本当、AWSは価格も良心的で、有り難いですよね。

データを活用して新しい付加価値を還元

――自社のビッグデータの活用については、どのようにお考えですか。

栗原 学習時間やテスト結果をはじめ、Comiruには様々なデータが入っていますが、そうした情報をお客様に還元するようにしています。
 しかしながら、分析したい内容は学習塾によって異なります。試しにある企業のプライベートなクラウドと、Comiruをつなげてみたところ大変好評でしたので、今後はお客様が自由にデータを活用できるようにしていきたいです。

内藤 Z会は学校での利用も増えているため、今後は「先輩・後輩の点数に比べて自分のクラスの生徒がどうだったか」などがわかるようにしたいです。
 また自塾でデータを分析するよりも、コンサル的にアドバイスがほしいと考える学習塾もあるはずなので、AIでデータを解析できるようなサービスを整えたいですね。AIを活用すれば生きる力の育成や、学習サポートがもっと充実すると思います。

学習塾のDX化のご支援を加速

――セキュリティ面に不安を持つ塾経営者層もおられますが、その点に関してはどうお感じですか。

栗原 AWSに関していえば、セキュリティはとても強靭なので安心できると思います。
 それからプラットフォームの安全性だけではなく、現場での対策も掛け合わせることが不可欠はないでしょうか。メールからウィルス感染するケースも多いですからね。当社では各パソコンにセキュリティソフトを入れたり、スタッフに勉強会を開くなどして対策を強化しています。

内藤 AWSには、セキュリティに必要なサービスが揃っているので、頼もしく感じます。
 それにプラスして私たちも現場でのセキュリティ対策を強め、リスクを一つひとつつぶしています。
 また便利に使いたいという社員の気持ちはわかるので、同じく教育もしっかりおこなっています。

――今後の展望をお聞かせください。

栗原 今まではComiruありきでご提案していましたが、それでは使いづらいことがよく理解できました。そこで大手に関しては、先方の基幹システムでご利用できるようComiruをカスタマイズするなど、現在は私たちのほうが柔軟に変化しています。
 また知見が貯まってきたため、今後はアプローチし切れていなかった塾の皆様へお届けできればと考えているほか、AWSに基幹システムを移行した経験を活かし、皆様の様々なお悩みにお答えできればと思っています。ぜひお気軽にご相談ださい。

内藤 簡単にログが残せるデジタルのよさを活かせば、学校、塾、通信教育といったあらゆる学習シーンを統合でき、質の高いサポートができると考えています。
 デジタルのよさを存分に活かし、紙では成し得なかったサービスをご提供できるようブラッシュアップしてまいりますので、何かお困りのことがあればぜひお気軽にご連絡ください。

 

月刊私塾界2024年12月号掲載

2024年月刊私塾界12月号PDFダウンロード

 

Space BD、JAXA宇宙戦略基金事業「低軌道汎用実験システム技術」の採択が決定

 宇宙産業における総合的なサービスを展開するSpace BD株式会社(東京・中央区、永崎将利 代表取締役社長)は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が実施する令和6年度宇宙戦略基金事業において、「低軌道汎用実験システム技術」の開発実施機関として採択されましたことを発表した(研究代表者名:当社ISS船内プラットフォーム事業 事業ユニット長 山崎秀司)。この案件は、今年度の宇宙戦略基金におけるライフサイエンス系分野唯一の開発案件となる。

■低軌道汎用実験システム技術について
「低軌道汎用実験システム技術」は、宇宙戦略基金における技術開発テーマのひとつ。2030年以降の「ポストISS時代」において、国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟における微小重力環境を活用した実験で培ってきた技術ノウハウを元に、より効率的かつ経済的な宇宙実験の機会を提供するための新たな実験装置を開発する。
実験装置の主な特徴は下記となる。
・タンパク質結晶生成や細胞研究など、多様な実験に対応可能な汎用性の高いシステム
・実験プロセスの半自動化及び地上操作を可能とし、宇宙飛行士の作業時間を最小限に抑えることで、準備期間や実験コストの大幅な低減
・ユーザーフレンドリーな設計により、地上実験の延長線上で宇宙実験が実施可能
 この技術開発を通じて、より多くの研究機関や企業が利用しやすい実験環境を構築し、民間事業者の地球低軌道を活用したビジネスの創出を進める。

■Space BDの取り組みについて
 Space BDは、2021年にJAXAから唯一の民間パートナーとして選定された高品質タンパク質結晶生成実験事業の受託を皮切りに、2023年12月には「将来地球低軌道有人拠点事業におけるライフサイエンス実験軌道上システムの概念検討」を受託するなど、ライフサイエンス分野における宇宙実験サービスの実績を積み重ねてきた。特に微小重力環境下でのタンパク質結晶化実験サービスにおいては、アカデミアからの請負数約480サンプル、民間事業での取り扱い約40サンプルと、国内有数の実績を有している。これらの実績を通じて、Commercial Low Earth Orbit Destination (CLD) 事業者とのパートナーシップを構築してきた。さらに、ポストISS時代に向け、無人実験機会の確保および海外インプリメンテーションパートナーとの連携体制の構築を進めている。
 今回の採択を機に、同社は汎用実験システムの開発実施機関として、技術開発をリードしていく。これまで培ってきたサービス提供の知見を活かしながら、自社での機器開発を通じて、より包括的なライフサイエンスサービスの展開を目指す。

JAXAのISS「きぼう」からの超小型衛星放出事業および船外施設利用サービスの事業者に継続選定

 宇宙産業における総合的なサービスを展開するSpace BD株式会社(東京・中央区、 永崎 将利 代表取締役社長)は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の公募である、2025年以降の国際宇宙ステーション(以下:ISS)「きぼう」からの超小型衛星放出サービスならびに船外施設における軌道上利用サービス提供の事業者として継続選定された。すでに2024年末までの事業者に選定されていた両事業において、ISS運用が延長される2030年まで継続採択されたこととなり、「ポストISS」時代を見据えた国内外でのさらなる宇宙空間の利活用を推し進める。

5年で約60件にのぼる実績
 同社は、2018年よりJAXAによるISS「きぼう」日本実験棟からの超小型衛星放出事業における民間事業者に、2019年よりISS「きぼう」日本実験棟船外における軌道上利用サービスにおける民間事業者にそれぞれ選定されている。両事業は、当時ISS運用終了を予定していた2024年末までを対象とした事業者選定を受けていたが、ISS運用が2030年まで延長されたことに伴い2025年以降の次期事業者が公募され、当社が再び選定されたことで継続採択されるはこびとなった。


① ISS「きぼう」日本実験棟からの超小型衛星放出事業
CubeSat規格または50Kgの超小型衛星をISS補給船でISSまで運び、その後、ISS「きぼう」日本実験棟のエアロックから宇宙空間へ搬出して、その衛星を軌道に乗せる仕組み「J-SSOD(JEM Small Satellite Orbital Deployer)」およびそれを用いた衛星放出サービス。
 事業者であるSpace BDは利用者開拓から放出のために必要な技術サポート、その後JAXAと協力しての衛星放出までをワンストップで行う。これまでに当事業で約50機の衛星のユーザーインテグレーションを実施してきた技術力や、同社の教育事業と連携し衛星開発プロセスそのものを教育コンテンツ化するなどの事業開発力も活かしながら、今後は、当事業も含めた様々な衛星打上げ・放出手段を提示できる事業者として、多くの顧客と接点を持ちながら同事業の利用最大化を目指す。

② 国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟船外における軌道上利用サービス
 50cm×70cm×35cm、200kgまでの大きさの装置等を搭載できる中型曝露実験アダプタ(i-SEEP)を経由し、「きぼう」船外実験プラットフォーム上で対象物を宇宙へ曝露させることができるサービス。地上へ回収、ユーザへ返却することも可能なため、宇宙環境に曝された現物を確認できるのが大きな特徴のひとつ。搭載する装置の一例としては、技術実証をしたい部品・コンポーネントや、地球観測向けのカメラ・センサ等。
 事業者であるSpace BDは利用者開拓から装置搭載・装置運用の技術サポート、及び装置の地上回収までをワンストップで行う。これまで当プラットフォームを用い、機器実証実験で7件の実績(支援中案件含む)、宇宙エンタメ利用・プロモーション利用で数十件の実績を創出してきた。今後ともこれらの実績の更なる積み上げを目指すとともに、「全く新しい宇宙の使い方・宇宙の価値」の絶え間ない探求を通じて、来たる宇宙ステーションの商業化時代の主役となるビジネスモデルを開発することを目指す。

松尾研究所、「IoT × GenAI Lab」の研究成果に関する論文が「BuildSys 2024」にて採択

 株式会社松尾研究所は、三菱電機とソラコム・松尾研究所「IoT × GenAI Lab」の取り組みの研究成果に関する論文が、エネルギー応用分野で世界最高峰の国際会議である「ACM BuildSys2024」に採択され、中国杭州にて成果発表をした。
論文は、以下URLから参照可能。
Office-in-the-Loop for Building HVAC Control with Multimodal Foundation Models | Proceedings of the 11th ACM International Conference on Systems for Energy-Efficient Buildings, Cities, and Transportation
https://dl.acm.org/doi/10.1145/3671127.3698182


 近年、大規模言語モデル (LLM) をはじめとする生成AIの技術革新が目覚ましく、その応用範囲は急速に拡大している。特に、テキスト、画像、音声、動画など、多様なモダリティを扱うマルチモーダル基盤モデル (MFM) の登場により、生成AIはロボット工学、ヘルスケア、教育、ビジネスなど、多岐にわたる分野で活用され始めている。
 この研究では、この生成AIの潜在能力に着目し、三菱電機、ソラコム、松尾研究所の3社のシナジーを生み出せる領域として、オフィス環境におけるHVAC(空調制御)システムの最適化に適用する「Office-in-the-Loop」システムを提案した。論文タイトルでもある「Office-in-the-Loop」には、人中心型AI制御(Human-in-the-Loop)を超えたオフィス環境も含めた最適制御という意味合いが込められている。

 従来のHVACシステムは、主に人間のフィードバックに基づいて快適性を向上させるか、カメラを用いて服装を分析し、快適性を予測する制御学習技術に依存していた。しかし、これらのアプローチは、個々の快適性に対する主観的な好みの違いや、監視カメラの使用に伴うプライバシーの問題など、いくつかの課題を抱えていた。近年では、LLMの汎化能力を活用した産業機器制御の可能性が検討されており、シミュレーション環境でのHVAC制御において、LLMが強化学習アプローチに匹敵する性能を達成することが示されている。 しかし、これらの研究はシミュレーションに限定されており、現実世界の複雑さを考慮していないという問題があった。

論文の概要
 この研究では、マルチモーダル生成AIを活用したHVACシステムを、実際のオフィス環境に実装・評価することで、シミュレーションベースのLLM応用と現実世界のHVAC制御のギャップを埋めることを目指した。具体的には、オフィスの既設のIoセンサとソラコムの提供するIoTセンサを組み合わせ、室内外の温度、照度、天井レイアウト、従業員の居場所などの環境データをリアルタイムに収集し、従業員から熱的快適性に関するフィードバックを得た。

 これらのデータと過去の環境データ、フィードバック情報は、生成AIモデルのプロンプトとして使用され、現在および過去の環境条件と人間の快適性フィードバックを考慮した、1日の各時間帯における最適なHVAC設定温度を予測した。
 このシステムの性能は、生成AIモデルの制御下におけるHVACシステムの電力消費量と、ベースラインシステムの電力消費量を長期間にわたって比較することで評価した。その結果、ベースラインと比較して、電力消費量が最大47.92%削減され、従業員の快適性が最大26.36%向上することが実証された。

今後
 この研究では、2時間間隔でユーザーフィードバックを収集する必要があるという運用の課題と、限られた環境での実証試験にとどまっているという問題がある。今後は、行動分析による快適性フィードバックの自動化や、データセンターや工場などの大規模施設へのシステム拡張など、さらなる研究を進める予定だ。研究の成果は、生成AIがエネルギー効率と快適性の両立を実現する、次世代のHVACシステムの開発に大きく貢献するものと期待されている。