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千葉工業大学と大分県立国東高校が包括連携協定 宇宙・工学分野の探究学習を支援 地域産業人材を育成

 学校法人千葉工業大学と大分県立国東高等学校は7月1日、包括的連携協定を締結した。教育・研究の充実や人材育成を通じて、地域社会や産業の発展に貢献することを目指す。

 協定では、教育・研究および文化の発展、探究活動、人材育成、入学者選抜などで連携する。千葉工業大学の専門的知見や研究環境を生かし、国東高校の生徒に発展的な学びを提供する。

 国東高校は「日本で最も宇宙に近い高校」をコンセプトに掲げ、2024年度に「SPACEコース」を開設した。宇宙をテーマにした探究学習を通じて、地域や社会の課題を解決する力の育成に取り組んでいる。

 同校は普通科、農業科、工業科を設置し、IT、宇宙、環境土木など多様な学びを展開している。千葉工業大学は5学部17学科を擁する工科系大学で、専門分野を横断した教育研究を進めている。

 今回の連携により、高校生の宇宙や工学分野への関心を高め、将来的に大分県や九州の産業発展に貢献する人材育成につなげる。高大連携による探究学習の深化として注目されそうだ。

京都大学、国際卓越研究大学の認定へ前進 有識者会議が「認定・計画認可の水準を満たし得る」と結論

 文部科学省は7月3日、大学ファンドの支援対象となる国際卓越研究大学の第2期公募について、有識者会議による審査結果を公表した。京都大学について、国際卓越研究大学の認定および体制強化計画の認可の水準を満たし得るとの結論に至った。今後、関係会議の意見を聴いたうえで、文部科学大臣が最終的に認定・認可を判断する。

 国際卓越研究大学は、世界最高水準の研究大学の実現を目指し、大学ファンドによる長期的・安定的な支援を行う制度である。高い研究力を持つ大学が、研究力の強化、若手研究者の育成、国際的な頭脳循環、産学連携、大学経営改革などを進め、世界と伍する研究大学へ成長することを目的としている。

 第2期公募では、有識者会議が申請大学の審査を実施した。京都大学については、2025年12月に体制強化計画案をさらに磨き上げたうえで計画を開始することが適当と判断され、国際卓越研究大学の認定候補として選定されていた。その後、有識者会議が体制強化計画案の精査や具体化の状況を継続的に確認し、今回、認定・計画認可の水準を満たし得ると判断した。

 松本大臣は、京都大学について「自由の学風のもと、これまでも世界的に高い水準の教育研究を行ってきた」と述べた。そのうえで、京都大学が大学の強みや特色をさらに発展させ、日本を代表する研究大学として飛躍的な成長モデルを確立し、海外のトップレベル大学をもリードする研究大学となることに期待を示した。

 同日、松本大臣は京都大学を訪問し、湊長博総長に審査結果を直接伝えた。あわせて、国際卓越研究大学に関する意見交換も行った。

 今後は、国際卓越研究大学法に基づき、京都大学の認定と体制強化計画の認可について、総合科学技術・イノベーション会議および科学技術・学術審議会の意見を聴く。その後、文部科学大臣が正式に判断する。

 国際卓越研究大学をめぐっては、第1期で東京科学大学が認定され、2026年4月から計画を開始している。第2期では、京都大学が認定に向けて前進した一方、東京大学については審査継続となっている。

 大学ファンドによる支援は、単なる研究費配分ではなく、大学全体の経営改革や研究環境の改善を促す仕組みでもある。優秀な若手研究者が挑戦できる環境を整え、国際的な研究人材を呼び込み、産業界や地域社会との連携を強めることが求められる。

 京都大学は、基礎研究を中心に幅広い分野で高い研究実績を持ち、ノーベル賞受賞者を多数輩出してきた。今後、国際卓越研究大学として認定されれば、大学の研究力強化だけでなく、日本全体の研究大学改革を牽引する役割が期待される。

 少子化や国際競争の激化により、日本の大学には教育研究力の向上と経営基盤の強化が同時に求められている。今回の審査結果は、京都大学が世界水準の研究大学としてさらに成長するための大きな節目となる。今後は、体制強化計画がどのように実行され、研究環境や人材育成、国際展開にどのような成果を生むかが焦点となる。

東北学院と共立メンテナンス、国際交流寮で業務提携

「TG Global House」開設へ 日本人学生と留学生が共に暮らす学びの場に

 学校法人東北学院と、学生寮・社員寮「ドーミー」を展開する株式会社共立メンテナンスは、学生寮提供に関する業務提携を締結した。7月2日、東北学院大学五橋キャンパスで締結式を行い、同大専用の国際交流寮「TG Global House」を共同で展開することを発表した。

 新設される「TG Global House」は、日本人学生と留学生が共に暮らしながら、多文化共生を学ぶ国際交流寮として整備される。入居開始は2027年4月を予定。東北学院大学五橋キャンパスから徒歩約5分の場所に立地し、RC造7階建て、全120室を備える。内訳は一般学生用80室、留学生用40室で、寮生の約3分の1を留学生が占める構成となる。

 近年、学生生活において安心して暮らせる住まいの重要性が高まる一方、寮は単なる居住空間にとどまらず、多様な価値観に触れ、社会性を育む「学びと育成の場」としての役割も期待されている。今回の業務提携は、東北学院大学が目指す多文化共生の学びの場づくりと、共立メンテナンスが持つ学生寮運営のノウハウを結びつけるものだ。

 「TG Global House」では、学生リーダーが寮生活を支援するRA(レジデント・アシスタント)制度を導入する。歓迎会や地域貢献活動などのイベントを通じて、寮生同士の交流を促進する。言葉や生活習慣、文化的背景の違いを日常生活の中で学び合い、互いを理解する力や協調性を育むことを目指す。

 生活面の支援も充実させる。管理栄養士によるメニューをもとに、手作りを中心とした朝夕の食事を週6日提供する。寮長夫妻が住み込みで管理するため、初めて一人暮らしをする学生や留学生にとっても安心して生活できる環境を整える。各居室には、バス・トイレ、ミニキッチン、家具家電を備え、学業に集中しやすい個室空間を用意する。

 東北学院大学は、2026年に学校法人東北学院として創立140周年を迎えた。1886年に前身の仙台神学校として創設され、現在は9学部15学科と6研究科を擁する東北地方有数の私立総合大学として教育研究を展開している。2023年には五橋キャンパスを開設し、都市型キャンパスを拠点に地域社会や国際社会に貢献する人材育成を進めている。

 東北学院大学の大西晴樹学長は、新設される国際交流寮を「本学の国際化を象徴する重要な拠点」と位置付けた。文化の違いを乗り越えて共生する経験を通じ、東北のインバウンド、アウトバウンドを支える人材を育成していく考えを示した。

 同大の渡辺祐子国際交流部長は、寮生の3分の1を留学生が占める環境について、日常的に多様な国の学生と共に暮らす貴重な経験になるとした。生活習慣や考え方の違いに戸惑う場面もあるとしながら、言葉の壁や文化的背景の違いを認め合い、理解し合う力を身につけてほしいと期待を語った。

 共立メンテナンスは、1979年の創業以来、全国で学生寮や社員寮を展開してきた。国際交流寮やコンセプト寮などにも対応し、留学生の受け入れ実績も持つ。同社は、住み込みの寮長夫妻や食事提供、RA制度などを通じ、安全で国際色豊かな住環境を提供するとしている。

 大学の国際化では、留学プログラムや語学教育に加え、日常生活の中で異文化に触れる環境づくりが重要になっている。日本人学生と留学生が共に暮らす国際交流寮は、キャンパス内外の学びを接続し、相互理解や実践的なコミュニケーション力を育む場となる。

 今回の提携は、住まいを教育資源として活用する取り組みといえる。今後、「TG Global House」が東北学院大学の国際化を支える拠点となり、学生の成長や地域との交流にどのようにつながるかが注目されそうだ。

岐阜大学に「難燃材料共同研究部門」設置

セトラスHDと連携 次世代難燃剤の研究開発と人材育成へ

 セトラスホールディングス株式会社は、国立大学法人東海国立大学機構岐阜大学と連携し、岐阜大学高等研究院Guコンポジット研究センター内に共同研究講座「難燃材料共同研究部門」を設置した。設置日は7月1日。次世代難燃剤の研究開発と、同分野を担う高度研究人材の育成を進める。

 近年、電気自動車(EV)に搭載される蓄電池の発火・延焼リスクや、航空機、輸送機器における火災事故への対策が重要性を増している。世界市場では、安全性の確保と環境負荷低減を両立するハロゲンフリー難燃システムへの需要が高まっており、難燃材料の高度な評価技術や設計技術が求められている。

 セトラスHDグループの協和化学工業株式会社は、マグネシウム化合物の製品化で実績を持ち、環境負荷の低い非ハロゲン系難燃剤である水酸化マグネシウムの開発などに強みを持つ。一方、岐阜大学高等研究院Guコンポジット研究センターは、コーンカロリーメータなどを用いた燃焼挙動解析や、コンポジット(複合材料)に関する知見を蓄積してきた。

 今回の共同研究では、セトラスHDが持つ無機材料・難燃剤に関する技術と、岐阜大学の燃焼解析・複合材料研究の知見を組み合わせる。TG-DTA(熱重量・示差熱分析)やMS(質量分析)などを用いて燃焼挙動を詳細に解析し、複雑な難燃メカニズムの解明を目指す。得られた知見をもとに、新規難燃剤の設計指針を確立し、従来品よりも優れた難燃性能と加工性を両立する材料開発につなげる。

 共同研究部門では、研究開発に加え、人材育成も重視する。燃焼・熱分解解析技術から難燃メカニズムのモデル構築まで、研究の過程を岐阜大学の教員・学生とセトラスHDグループの若手研究員が共有する。組織や分野を越えた人的交流を通じて、社会的ニーズを踏まえた研究開発を推進できる人材の育成を図る。

 設置期間は2026年7月1日から2028年6月30日までの2年間。研究代表者は、岐阜大学高等研究院Guコンポジット研究センター長・教授の仲井朝美氏が務める。セトラスHD側では、イノベーションセンター長付・専任課長の山地理嗣氏が担当する。

 脱炭素化や電動化が進む中で、難燃材料はEV、航空機、電子機器、建材など幅広い分野で重要性を増している。今回の共同研究部門の設置は、環境負荷の低い難燃材料の開発を加速するとともに、産学連携による高度専門人材育成の拠点づくりとして注目されそうだ。

摂南大学、大阪府立工科高校5校と覚書締結へ 工学系大学進学専科と連携 高大接続で技術者育成を強化

 摂南大学は、大阪府立工科高等学校5校と高大連携に関する覚書を締結する。7月8日に大阪府公館で締結式を開く。対象となるのは、工学系大学進学専科を設置する大阪府立淀川工科高校、今宮工科高校、茨木工科高校、東大阪みらい工科高校、堺工科高校の5校。

 今回の覚書は、摂南大学と大阪府教育委員会が締結している連携協定に基づくもの。工学系大学進学専科に在籍する生徒の視野を広げ、進路に対する意識や学習意欲を高めるとともに、工学への志を喚起することを目的としている。

 連携では、高校と大学が相互に協力し、確かな知識と技術・技能を備えた人材の育成を目指す。教員の相互派遣などを通じて、高校教育と大学教育の双方を活性化させ、技術者育成の充実につなげる。

 工科高校では、ものづくりや工業技術に関する専門教育を通じ、実践的な力を持つ人材を育てている。一方で、産業構造の変化や技術革新が進む中、高校段階から大学での学びや研究に触れ、将来の進路を具体的に描く機会の重要性が高まっている。

 摂南大学は理工学部を有し、工学分野の教育・研究を展開している。今回の覚書締結により、大学教員による講義や実習、大学施設を活用した学習機会、高校教員との教育交流など、より実践的な高大連携の展開が期待される。

 締結式には、摂南大学の久保康之学長、持永政人副学長、西村仁理工学部長らが出席する。工学系大学進学専科設置校からは5校の校長が出席し、大阪府教育庁の関係者も参加する予定だ。

 理工系人材の育成は、地域産業の発展や技術革新を支える重要な課題となっている。高校段階から大学教育への接続を強めることは、生徒の進路選択を後押しするだけでなく、専門性を持った次世代の技術者を地域で育てる基盤づくりにもつながる。

 今回の連携は、工科高校と理工系大学が協働し、実践的な学びと進学意欲の向上を両立させる取り組みとして注目されそうだ。

神奈川大学、文科省「AI for Science」で3件採択 採択率8.1% 光と物質の相互作用を起点にAI活用研究を推進

 神奈川大学は、文部科学省が実施する令和8年度「AI for Scienceによる科学研究革新プログラム AI for Science萌芽的挑戦研究創出事業(SPReAD)」第1回公募において、同大学から3件の研究プロジェクトが採択されたと発表した。

 同公募は、AIの活用により科学研究の高度化・加速化を図り、AI for Scienceの波及と振興を促進することを目的とした事業。第1回公募では、応募総数1万5868件に対し採択は456件で、採択率は2.9%だった。

 神奈川大学は、研究推進部を中心に事務職員とURAによる応募支援体制を整え、37件の研究提案を行った。そのうち3件が採択され、採択率は8.1%となった。全体平均を大きく上回る結果で、同大学は、応募件数30件以上の首都圏の国公私立大学の中でも高い水準だったとしている。

 今回採択された3課題はいずれも、「光と物質の相互作用」を起点とするAI for Science研究である。5フェムト秒光で誘起される量子コヒーレント反応の解明、量子相関光と分子の相互作用の原理探索、光学力と発熱を制御する誘電体ナノ構造の設計など、異なる分野でAIを活用しながら、複雑な自然現象の理解と制御に挑む。

 採択課題の一つは、化学生命学部の岩倉いずみ教授による「量子コヒーレント反応座標の解明:5fs光実験とAI解析で拓く量子非平衡化学」。量子コヒーレント反応とAIを組み合わせ、未知の反応座標を数式化する「逆問題の探索」に取り組む。

 2件目は、化学生命学部の橋本征奈特別助教による「少数高信頼データとAIによる量子相関光―分子相互作用の支配原理探索」。少数データから支配原理を導く「Human-in-the-loop」の考え方を取り入れ、量子相関光と分子の相互作用の解明を目指す。

 3件目は、理学部の東海林竜也教授による「AIサロゲートを用いた強光学力と低発熱を両立する誘電体ナノ構造の逆設計」。物理現象を模倣するAIを活用し、ナノ構造の超高速逆設計に挑戦する。

 同大学は、今回の採択について、研究者個々の独創的な構想に加え、AI for Scienceに関する研究提案を組織的に後押ししてきた成果だと位置付ける。公募情報の共有、応募内容の相談、研究計画調書の確認などを通じて、研究者の挑戦を支援してきた。

 神奈川大学は、2028年に創立100周年を迎える。今回の採択を契機に、研究提案力の強化、外部資金獲得支援、分野横断的な研究連携をさらに進める方針だ。AI for Scienceの実践を通じて、科学研究の発展と社会課題の解決に貢献し、大学全体の研究力向上を図る。

 佐藤裕美副学長は、採択率3%弱という狭き門の中で3人の研究者が採択されたことを評価し、日頃の研究の積み重ねが実った結果だとコメントした。今後も、より多くの研究者の研究が進むよう支援を続けるとしている。

 AIを活用した科学研究は、複雑な現象の解析や新材料設計、実験データの高度活用など、幅広い分野で重要性を増している。神奈川大学の採択は、AI for Scienceを大学の研究力強化に結び付ける取り組みとして注目されそうだ。

十文字学園女子大、「実践食事学」で対談授業を実施

多様な職業人から学ぶ「食べる力」と食育リスキリング

 十文字学園女子大学は、2026年度前期の総合科目「みんなの『実践食事学』(『食べる力』を養うプロの技)」において、外部講師を招いた対談授業を実施する。食に関わる多様な考え方や実践に触れ、学生が自身の生活や将来のキャリアに生かせる「食べる力」を養うことを目的としている。

 同科目は、食の学びを社会生活につなげることを重視した「実践食事学」の授業として開講される。学生は、実践食事学の基本的な考え方を学んだうえで、異なる分野で活動する3人の講師との対話を通じ、現代社会における食の在り方、健康管理、地域文化について理解を深める。

 授業は、食物栄養学科の國井大輔特任教授が担当し、外部講師との対談形式で行う。講師の実体験に基づく言葉を通じて、日々の生活で実践できる食事の選び方や食べ方の判断軸を身につけるとともに、多角的な課題発見・解決力を養う。

 6月25日には、SNSマルチクリエーターのおかもとまり氏が登壇し、「頑張りすぎない食べ方のヒント」をテーマに講義する。自身の経験を踏まえ、食事の大切さを女性目線でわかりやすく伝える。

 7月2日には、日本航空のボーイング737機長である髙桑久仁昭氏が、「空の安全を支えるプロの健康・食事管理」をテーマに登壇する。安全運航を担う機長として、厳しい健康管理が求められる現場での身体管理や食との向き合い方を紹介する。

 7月9日には、YouTuber「埼玉うどん子TV」として活動する武正倫氏が、「地域文化としての埼玉うどんの発信」をテーマに講義する。埼玉独自のうどん文化を広める活動を通じて、食による地域振興や文化継承の重要性を学ぶ。

 学生は講師に対して事前に質問を送り、授業後には自身の課題解決に向けたアクションプランとして「実践食事学レポート」を作成する。単に知識を得るだけでなく、自分の生活や将来に引き寄せて考え、実践につなげる学びを目指す。

 十文字学園女子大学は、人間生活学部、教育人文学部、社会情報デザイン学部を展開する埼玉県新座市の私立女子大学。専門知識や資格取得支援に加え、企業や地域社会と連携した実践的なプロジェクト型学習にも力を入れている。2027年4月からは5学部9学科体制への移行も予定している。

 食をめぐる学びは、栄養や健康だけでなく、働き方、地域文化、情報発信、ライフスタイルとも深く関わる。今回の対談授業は、学生が多様なプロフェッショナルの視点から「食べる力」を捉え直し、自立した生活力や社会で生きる力を育む取り組みとして注目されそうだ。

京都精華大、2028年度に初の通信制学部開設へ 「創造情報学部」で情報工学と表現教育を融合

 京都精華大学は、2028年4月に通信教育課程の「創造情報学部」(仮称・設置構想中)を開設する計画を明らかにした。同大学初の通信制学部で、創立60周年に合わせた新たな教育展開となる。情報工学を基盤に、美術・デザイン・マンガなど同大学が蓄積してきた表現教育を組み合わせ、技術を社会に実装できる人材の育成を目指す。

 設置を構想しているのは「創造情報学科」(仮称)。1年次入学定員は150人、3年次編入学定員は50人で、収容定員は計700人を予定する。入学時期は春の4月に加え、高校卒業後すぐに進学しない人や社会人などを想定し、秋の10月にも設定する。年間学費は42万円を予定している。

 通信制の分野として情報工学を選んだ背景には、プログラミングやデジタル制作、成果物の発表・共有などがオンライン学習に適していることがある。同大学では、ゲームやウェブデザイン、3Dアニメーション、マンガ表現など、クリエーティブ領域の教育資源も生かせるとしている。

 1、2年次には、情報処理の基礎から、数理・AI、ICTの2領域を中心に情報工学を体系的に学ぶ。プログラミング、データサイエンス、クラウドコンピューティングなど、社会で求められる応用分野にも取り組む。

 あわせて、「表現リテラシー基礎」「クリエーティブ表現」「情報と社会」の3領域を通じて、情報工学技術の使い方や伝え方を深める。単に技術を扱うだけでなく、情報をどのように人に届け、社会の中で意味ある体験として設計するかを重視する。

 3年次以降は、情報工学と表現の学びを生かし、新しいアイデアを形にするプロジェクト型学習に取り組む。グループワークも取り入れ、社会課題を発見し、解決策を実践的に考える学びを展開する。

 同大学は2027年1月に設置認可申請を行う予定だ。大学側は「情報工学を基盤としながら、人に届く表現や体験設計までを視野に入れた教育を展開する」としている。

 生成AIやデジタル技術の進展により、情報系人材には技術力だけでなく、表現力、企画力、社会実装力が求められている。京都精華大学の新学部構想は、情報工学と芸術・表現教育を融合する通信制教育の新たなモデルとして注目されそうだ。

東京藝術大学、映像分野の産学官連携拠点「DoCK」始動 アニメ・映画の高度人材育成へ 7月にキックオフシンポジウム

 東京藝術大学は、大学院映像研究科に新たな実践研究拠点「映像リサーチセンターDoCK(ドック)」を設立し、活動を開始した。DoCKは「Development of Co-Creative Knowledge」の略で、産学官や学問領域の垣根を越えた協働を通じて、映像分野における新たな「共創知」の開発を目指す。

 同センターは2026年3月に設立された。アニメーションや映画を中心とする映像分野の専門性を土台に、国際的に活躍するクリエイターやプロデューサーの育成に取り組む。さらに、リサーチャーやエデュケーターの育成も視野に入れ、映像表現や文化の未来を教育界、産業界、行政へ広く共有していく。

 プログラムは10分野で構成する。国際アニメ共同制作ワークショップ、国際アニメ企画開発ワークショップ、アニメータースキルアップ講座、国際映画共同制作・演出ワークショップ、国際映画企画開発・脚本ワークショップ、国際映画撮影・ポストプロダクションワークショップなどを展開する。

 また、次世代プロデューサーを育てる講座や、企業と連携して新技術によるコンテンツ開発を学ぶ先端技術クリエイティブワークショップ、アニメーション・映画教育を支援する教材開発プロジェクト、指導者を育成するエデュケーター育成講座も設ける。

 東京藝術大学は、これまで培ってきた芸術教育と国際的ネットワークを生かし、映像制作の高度専門人材だけでなく、映像教育や研究を支える人材の育成にも力を入れる。AIをはじめとする先端技術の進展により、映像制作環境が大きく変化する中、創作、教育、産業を横断する人材育成拠点としての役割が期待される。

 DoCKの開設を記念し、7月12日には国立映画アーカイブでキックオフシンポジウムを開催する。テーマは「<共創>的な知の開発拠点に向けて」。南カリフォルニア大学教授のリピット水田堯氏による基調講演のほか、東京藝術大学教員による事業紹介、映像分野のクリエイターやプロデューサーによるクロストークを行う。

 シンポジウムでは、映画監督の石川慶氏、美術家・日本画家の四宮義俊氏、アニメーション作家の矢野ほなみ氏らが登壇し、アニメーションと映画の越境や共創について議論する。また、AI時代に変化する制作環境と求められる人材をテーマに、アニメプロデューサーや出版業界関係者による討議も予定されている。

 コンテンツ産業では、国際共同制作や先端技術の活用、教育・研究との連携がますます重要になっている。東京藝術大学の新拠点DoCKは、映像教育を大学内に閉じず、産業界や行政、国際的な制作現場と結び付ける取り組みとして注目されそうだ。

大学横断型PBL「SCP」始動 香川大・専修大・山梨県で実証 金融教育を入口に社会課題へ挑戦

 一般社団法人日本金融教育支援機構と一般社団法人観光クロスオーバー協会は、2026年度から大学横断型PBLプログラム「SCP(Social Cross Project)」を始動する。香川大学、専修大学、山梨県の「山梨Miraiプロジェクト」参加大学などで実証を始め、単位認定制度と連携した新たな実践型学習モデルの構築を目指す。

 SCPは、金融教育を入口に、地域課題、観光、キャリア教育など多様なテーマに大学生が主体的に取り組む大学合同プロジェクト。中高生向け金融教育動画コンテスト「FESコンテスト®」を共通テーマとして活用し、大学や地域の枠を越えた学生コミュニティの形成を図る。

 参加学生は、各地域でワークショップの企画・広報・集客・運営・振り返りまでを実践する。あわせて、起業家、金融機関職員、自治体職員、教育関係者などをゲストスピーカーとして招き、多様なロールモデルと出会う機会を設ける。

 背景には、若者が社会と接点を持ち、多様な大人や仲間と出会う機会の地域差がある。日本金融教育支援機構は、金融教育を単なる知識習得ではなく、将来の選択肢を広げる学びと位置付けてきた。今回のSCPでは、大学生自身が中高生への学びを支援しながら、社会課題と向き合う仕組みをつくる。

 実施期間は2026年4月から2027年3月まで。4月から全国の学生募集やコミュニティ形成、事前研修を始め、6月以降に実践活動を展開する。主な活動には、FESコンテスト関連ワークショップの企画・運営、大学横断オンラインミーティング、ゲスト講演、地域課題に関する学習、学生実行委員会の運営、地区大会・全国大会の支援などが含まれる。

 2026年度は実証期間と位置付け、今後は参加大学や連携地域の拡大を進める。将来的には全国100大学との連携を目指し、大学生、中高生、社会人が地域や所属を越えて学び合う全国規模のコミュニティ形成にも取り組む。

 大学教育では近年、実社会の課題に向き合うPBL型授業や、地域・企業と連携した実践的な学びが重視されている。SCPは、金融教育、地域活性化、キャリア形成を横断的につなぐ取り組みとして、大学教育における新たな共創型PBLのモデルとなりそうだ。