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CHINTAIと東京学芸大学が産学連携で住教育を推進 高校家庭科向け副教材と授業モデルを共同開発

 株式会社CHINTAI(東京・港区、奥田 倫也 代表取締役社長)は、高校生の住教育をより実践的かつ教育的価値の高いものへと発展させることを目的として、国立大学法人 東京学芸大学と産学連携に取り組んでいる。
 この連携では、CHINTAIが発行する高校生向け家庭科副教材『高校生のためのお部屋探し&一人暮らしガイド』のアップデートを行い、賃貸生活に必要な実践的知識の充実を図るとともに、授業時間に応じた指導モデルの構築や教員向けの指導手引き作成など、教育現場での活用を支援している。

 進学や就職を機に一人暮らしを始める高校生が多い一方で、住まいに関する知識を体系的に学ぶ機会は限られている。そのため、家庭科における「住教育」の重要性は年々高まっている。
 こうした背景を受けて、住まい探しに関する専門知見を有するCHINTAIと、教員養成の中枢を担う東京学芸大学が連携することで、高校教育における住教育の質と実用性を高めることを目指している。
 この連携では家庭科の授業で活用できる副教材のアップデートに加え、授業での具体的な活用方法までを支援することで、生徒が「住まい」や「自立」について主体的に考え、将来の生活に備える力を養えるよう備える力を養えるよう取り組んでいる。

『高校生のためのお部屋探し&一人暮らしガイド』は、CHINTAIが発行している高校家庭科向けの副教材。情報誌『CHINTAI』の内容をベースに、進学や就職で一人暮らしを始める高校生が、賃貸借契約の基礎知識や引越し準備、住まい選びのポイントなどを実践的に学べる内容となっている。
 現在、全国の高等学校における家庭科の授業で活用されており、生徒の自立を支援する実践的な教材として、各教育現場で活用の幅が広がっている。


産学連携における実施事項
 今回の副教材改訂および授業設計には、住生活教育の専門家である東京学芸大学・萬羽郁子准教授が監修として参画している。副教材の内容に教育的な視点を取り入れるとともに、生徒の主体的な学びを支援する授業モデルの構築も協力している。
① 『高校生のためのお部屋探し&一人暮らしガイド』のアップデート
 これまで提供してきた『高校生のためのお部屋探し&一人暮らしガイド』では、間取り図の見方や賃貸契約の流れ、引越し手続きなど、部屋探しに関する基礎的な知識の習得を主な目的としてきた。今回のアップデートでは、こうした基本的な内容に加えて、「家賃の支払い」や「原状回復」といった、賃貸住宅における暮らし方のルールも新たに盛り込み、消費生活分野の授業にも活用できる構成となっている。
 さらに、防災・防犯、トラブル対応、退去時のポイントなど、一人暮らしを始めた後にも役立つ実践的な情報を盛り込み、副教材としての活用範囲を広げることで、単なるお部屋探しにとどまらず、生活全体を見据えた学びを支援する内容へと進化させている。

② 授業設計に踏み込んだ教育支援
 今回の産学連携では、副教材の提供にとどまっていた支援から一歩踏み込み、授業設計まで含めた教育支援に取り組んでいる。東京学芸大学・萬羽郁子准教授の監修のもと、50分・100分・200分といった授業時間に応じた指導モデルや、教員向けの指導手引きの作成を進めており、教材の教育的意図を理解したうえで授業を組み立てられる仕組みを整えている。
 これにより、生徒の探究心や自立心を引き出す授業づくりを支援し、教育現場における副教材の活用の質的向上を目指している。

LunaTone、立命館アジア太平洋大学と連携 ゲーム・eスポーツを通じ社会課題解決を学ぶ新プログラムを始動

 ゲームやeスポーツを活用した教育・地域プロジェクトを展開するLunaTone Inc.(東京都港区、CEO:ヒョン・バロ)は、立命館アジア太平洋大学(APU、大分県別府市)と共同で、社会課題解決型のキャリア教育プログラム「Playable Careers: Gaming & Esports for Social Innovation」を開始する。
 “遊びから社会を変える”をテーマに掲げ、ゲームやeスポーツを通して学生が社会の構造を理解し、課題解決やキャリア形成を実践的に学ぶ新しい教育モデルだ。11月13日(木)にAPUキャンパスで行われるキックオフイベント「APU Game Arcade」を皮切りに、12月から翌年1月にかけて全4回のプログラムが実施される。


ゲームを「社会を学ぶ実験場」に
 近年、ゲームやeスポーツは娯楽の枠を超え、チームワーク・意思決定・データ分析・戦略構築など、ビジネスや社会に直結するスキルを学べる場として注目を集めている。
 LunaToneは、こうした要素を教育に取り入れ、学生が「プレイ=実践」を通して社会課題の本質を捉える“Playable Education(プレイアブル・エデュケーション)”を推進。今回のAPUとの連携はその第2弾として、多文化共生の学びを実践するAPUの学生コミュニティとともに、「社会課題解決 × キャリア構築 × ゲーム文化」を融合した新しい教育モデルを実践する。


プログラム概要
キックオフイベント:APU Game Arcade
 日時:2025年11月13日(木)11:30〜15:00
 会場:APU Building E Cafeteria
 学生・教職員・地域住民も自由に参加できるアーケード型イベントとして開催。ゲームの楽しさを通じて「社会・文化・チームワーク」を体感し、学内外の交流を促進する。
Playable Careers: Gaming & Esports for Social Innovation(教育ショートプログラム)
 期間:2025年12月3日〜2026年1月14日
 形式:全4回(オンライン3回+オンサイト1回)/会場:APUキャンパス
 内容:
  Day1 産業の実例から学ぶ(ゲーム・eスポーツ産業のビジネス分析)
  Day2 アイデア発想と仮説構築(社会にポジティブな変化を生む企画立案)
  Day3 アイデアをビジネスへ(持続可能なビジネスモデル化)
  Day4 最終発表と交流(成果発表・フィードバック)
 使用言語は英語(日本語サポートあり)で、グローバルな議論が展開される予定だ。

東京学芸大学と福島県大熊町が連携協定を締結

東京学芸大学と福島県大熊町が連携協定を締結
―「教育ウェルビーイング研究開発プロジェクト」で復興と未来をつなぐ新しい学びを推進 ―
 東京学芸大学教育インキュベーション推進機構(機構長:國仙尚彦)と福島県大熊町(町長:吉田淳)は、教育を軸とした地域づくりの推進を目的に連携協定を締結した。協定は、双方の知見や資源を生かしながら、地域教育の充実と新しい学校づくりを進めることを目的としたもの。締結式には大学と町の関係者が出席し、教育の力で復興から未来へとつなぐ取り組みを進めていく決意を共有した。

「学び舎ゆめの森」を中心に、教育を核とした町づくりを
 今回の協定は、大熊町の新たな教育拠点「学び舎ゆめの森」の構想を基盤に、教育・福祉・地域振興など多分野を横断した協働を進めるもの。教育政策の立案支援、教員養成・研修、人材育成、産官学連携の促進など、幅広い領域での共同研究と実践を展開する。
 國仙機構長は、「震災からの復興を力強く歩む大熊町と手を携えることは、日本の教育の未来を考えるうえで極めて意義深い。町が掲げる“子どもの幸せ”やウェルビーイングを共に探究し、地域に根ざした教育を共創していきたい」と語った。

ウェルビーイングを教育の視点から可視化
 連携の中核となるのは、「教育ウェルビーイング研究開発プロジェクト」。同プロジェクトでは、教育を通じて人と地域の幸福(ウェルビーイング)をどう実現できるかを探究する。
 荻上准教授は、「ウェルビーイングは抽象的でとらえにくい概念だが、大熊町との対話を通じて町に根差した指標を開発し、教育施策に生かしていきたい」と説明。「測定にとどまらず、教育現場と伴走しながら改善を重ね、中長期的に町の未来を共に描く」と展望を語った。

復興から未来へ、教育が支える町の再生
 吉田町長は、「復興には建物などのハード整備だけでなく、教育や子育てといったソフト面の充実が欠かせない。行政・教育委員会・学校が一丸となり、この協定を実りあるものにしていきたい」と意欲を示した。
 また、佐藤教育長は「震災と原発事故を経験した町だからこそ、対話を重ねて最適解を見いだす姿勢を教育に生かしてきた。このプロジェクトが掲げる“だれ一人取り残さないウェルビーイングな未来”の実現に、学芸大学とともに取り組みたい」と期待を寄せた。

未来の教育モデルを共に創る
 東京学芸大学は「教員養成のフラッグシップ大学」として、全国の自治体と連携しながら教育の質向上と新しい学びの創造を推進している。今回の大熊町との協定は、震災復興と教育改革を結びつける先進的な事例として注目される。
 大学と自治体が共に探究し、ウェルビーイングを基軸とした教育と地域づくりを進めるこの連携は、未来の学校・地域モデルを示すものとなりそうだ。

中京大学×イトーキ×コクヨマーケティング×丸天産業

― 学生主体のラウンジ改修プロジェクト、デザイン決定 少子化時代のキャリア教育に新潮流 ―
 株式会社イトーキ(東京都中央区、代表取締役社長:湊宏司)は、コクヨマーケティング株式会社(東京都千代田区)、株式会社丸天産業(愛知県名古屋市)とともに、中京大学名古屋キャンパス・センタービルで進める学生ラウンジ改修プロジェクトに参画している。1994年竣工以来初となる大規模改修で、学生が自らデザインを担う産学協働の試みだ。このほど、チームイトーキによるデザインコンセプト「Nest for you(みんなのための巣)」が正式に採用された。竣工は2026年3月を予定している。

学生が「企業を選び」「デザインをつくる」産学連携モデル
 本プロジェクトは、中京大学が主催し、学生が3社(イトーキ・コクヨマーケティング・丸天産業)の中から希望する企業を選び、チームを組んでそれぞれ異なるラウンジ空間をデザインする取り組み。大学が掲げるラウンジの共通テーマ「クロスロード(交差点)」のもと、学生の自由な発想と企業のデザイン知見を融合し、「学生×企業×空間デザイン」の共創を実現する。

少子化・就職環境の変化に対応する“実践型キャリア教育”
 背景には、少子化による学生数の減少や就職活動の早期化など、大学教育を取り巻く環境変化がある。短期インターンでは得にくい長期的・実践的な課題解決力を育むことを狙い、学生たちは1年にわたり実社会に近いプロセスを体験。
 学生たちは「インテリアへの関心」「自分の足跡を残したい」「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)対策」など多様な動機で参加し、「やりたいこと」「できること」「やるべきこと」のバランスを模索しながら空間づくりに挑戦している。
「Nest for you」――安心できる“巣”があるから羽ばたける
 チームイトーキは、学生から寄せられた「くつろげない」「落ち着かない」などの声に注目。「安心して帰れる場所」をキーワードに、「Nest for you(みんなのための巣)」を提案した。
 ラウンジ内は、
 - 課題や勉強に集中できるエリア
 - 友人と気軽に語り合えるエリア
 - 短時間でもリラックスできるエリア
の3要素を組み合わせた構成。家具の配置や照明計画まで学生自身が検討し、プロ仕様のプレゼン資料も作成した。
「クロスロード(交差点)」と「Nest for you(巣)」の融合には、“安心できる場所があるからこそ、新しい挑戦に踏み出せる”というメッセージが込められている。
キャリア形成と空間デザインの融合
 イトーキはこれまでオフィス設計・働き方研究を通じて「人を中心とした空間づくり」を提案しており、本プロジェクトではその知見を教育空間に応用。学生が安心して挑戦できる環境を大学と共創している。
 2026年3月の竣工に向け、各社・各チームのデザインが順次具現化されていく予定だ。

〈企業概要〉
株式会社イトーキ(Itoki Corporation)
創業:1890年
事業内容:オフィス家具製造・販売、空間デザイン、働き方コンサルティング等
ミッション:『明日の「働く」を、デザインする。』
公式サイト:https://www.itoki.jp

ベネッセ i-キャリア、大学スポーツ協会「UNIVAS」とパートナー契約を締結

 株式会社ベネッセ i-キャリア(東京・新宿区、風間 直樹 代表取締役社長)は、一般社団法人 大学スポーツ協会と、2025年10月1日にパートナー契約を締結したことを発表した。

 運動部学生の就活においては、競技生活を通じて培った経験をうまく言語化できず、その能力や資質を企業に正しく伝えられていないことや、就活時期の早期化により競技継続を断念せざるを得ない学生が増加していることなどが課題になっている。
 この度の連携を通じて、i-キャリアではUNIVASに加盟する221大学、39の競技団体の約14万人の運動部学生に対して、就活に必要となる支援を包括的に提供することで、運動部学生の魅力化や競技生活と就活の両立を全面的にサポート、納得感のある就活が実現できるよう伴走していく。

主な実施予定プログラム
1. 運動部学生の資質・能力を可視化するアセスメントテスト【GPS-Academic】
 UNIVASのオフィシャルツールとして認定された、社会進出後に必要となる汎用的能力「問題を解決する力」を測定するアセスメント。「思考力」「姿勢・態度」「経験」の視点から、運動部学生が持つ能力を可視化します。
2. 就活準備講座【dodaキャンパス】
 主に大学1年生、2年生中心に自己理解・経験の棚卸を弊社が開発した生成AIキャリア教育プラットフォーム「キャリアチュートリアル」を活用し、学生個々に最適化されたキャリア講座を実施する。
3. 就活キャリアカウンセリング【doda 新卒エージェント】
 学生の希望やアセスメント結果などを踏まえ、運動部学生専任のキャリアアドバイザーが企業との最適なマッチングをサポートする。

東京通信大学 NTT版次世代LLM「tsuzumi 2」の導入を決定

 東京通信大学は、NTT東日本株式会社(澁谷 直樹 代表取締役社長)と、教育分野における生成AIの活用・研究、および産学連携PBLを通じた現代社会で活躍できるデジタル人材の育成を目的として、2024年9月4日より、両者の連携・協力に関する協定を締結している。
 今回、東京通信大学では、教育現場として初めてNTT株式会社(島田 明 代表取締役社長)が開発した次世代大規模言語モデル「tsuzumi 2」の導入を決定した。
「tsuzumi 2」は、低コスト・高セキュアでありながら、日本語処理性能に優れた純国産AIモデルだ。学生・教職員のデータを学内に留めるという要件のもと、クラウド依存のない国産LLMを核に学内LLM基盤を整備し、複雑な文脈理解や長文ドキュメント処理など、教育現場での活躍が見込まれる。
 例えば、学生からの質問に対し、これまでのAIのように即座に答えを提示するのではなく、対話を重ねながら最適な答えを導き出すコミュニケーションが可能に。これにより、学生の思考力や主体性を引き出す学習サポートにつながる。
 今後は、授業Q&Aの高度化、教材・試験作成支援、履修・進路相談のパーソナライズなど、教育・運営の両輪でAI活用を加速し、より質の高い学びの提供を目指す。
 東京通信大学は、未来を創るDX人材を育成しているからこそ、学生が最新のテクノロジーに触れられる機会の提供を大切にしてきた。今回の導入も、そうした教育環境をさらに充実させる重要な取り組みとなる。

御殿場西高等学校と産業能率大学が高大連携協定を締結

 学校法人東駿学園 御殿場西高等学校(静岡・御殿場市、勝間田 貴宏 校長)は、産業能率大学(東京・世田谷区、鬼木 和子 学長)と高大連携に関する協定を締結した。協定により、高校生が大学レベルの教育・研究に触れる機会を拡充し、双方の教育・研究の充実と発展を目指す。

 御殿場西高等学校と産業能率大学は、双方の教育資源や人的ネットワークを共有し、次世代を担う人材の育成を目的として本協定を締結した。特に以下の点を重視している。
・高校生に大学レベルの学びを提供すること
 生徒が高校にいながらにして大学の講義や研究手法に触れ、主体的に学ぶ姿勢を養う。
・キャリア教育の充実
 産業能率大学が強みとする「実学教育」を導入し、社会課題に向き合う探究型学習を強化する。
・地域社会への貢献
 御殿場市をはじめとする地域の課題解決に向けて、高校と大学が連携した教育プログラムを展開する。
・グローバルかつローカルな視点の涵養
 生徒が国際社会で活躍できる感覚を磨きながら、同時に地域社会に根ざして行動できる「グローカル」人材を育成する。

連携の内容
 協定に基づき、以下の具体的な取り組みを推進していく。
・多様な学習機会の創出
 大学教員による特別講義やワークショップ、研究室訪問、共同ゼミナールなどを実施し、高校生が幅広い分野に触れられる環境を整備。
・探究活動の支援
高校で進めている「総合的な探究の時間」やゼミ活動に大学が参画し、課題設定や研究手法、成果発表に至るまで専門的な指導を受けられる体制を構築。
・進路・キャリア形成プログラム
 大学のキャリア教育ノウハウを導入し、大学進学後や社会に出た後を見据えた実践的なキャリア支援を展開。
・教員間の連携強化
 高校・大学双方の教員が定期的に情報交換を行い、カリキュラム開発や教育実践を共同で研究・改善。
・地域連携プロジェクトの共同実施
 御殿場市や静岡県内の企業・自治体と連携し、高校生・大学生が協働して地域課題解決に挑むフィールドワークや共同研究を実施。

「大学淘汰時代」に問われる、“学びの質”と“探究する力” 京都芸術大学、探究学習を評価する新入試制度で志願者数前年比130%に達し、過去最高を記録

 京都芸術大学(京都市・左京区、佐藤 卓 学長)は、2026年度入試の「総合型選抜型Ⅰ期」において、志願者数が過去最高の5,713名、前年比130%に増えました。長年培ってきた「総合型選抜」の「体験授業型入試」に加え、今年度新たに導入した「探究プロセス型」入試に注目が集まった結果となる。

■「大学淘汰時代」に問われる、“学びの質”と“探究する力”
 近年、私立大学の半数以上が定員割れとなり、約4割が赤字経営に陥っているともいわれている(※文部科学省・東京商工リサーチ等の調査より)。少子化の進行により、2007年頃から「大学全入時代」となり、現在は「大学淘汰時代」に入っている。


■知識から“探究”へ――教育のパラダイムシフト
 こうした中、文部科学省は高校教育改革の一環として「探究学習」を推進している。
 生徒が自ら課題を設定し、調査・考察・表現を通して主体的に学ぶ「探究的な学び」は、知識の暗記や受験偏重型教育からの転換を目指すもの。
 文部科学省が2025年1月に公表した「関係データ集(令和7年1月28日版)」によると、今後の仕事で求められる能力は、“知識”や“技能”よりも、「課題発見力」「創造力」「協働力」などの探究的スキルの需要が高まると予測されている。特に、社会全体で「自ら課題を見つけ、考え、他者と協働して解決に導く力」へのニーズが顕著に上昇しており、教育現場でも“知識を問う”から“問いを立てる”学びへの転換が進行している。

■20年前から“探究”を入試に取り入れてきた大学 京都芸術大学の挑戦
 こうした時代の変化に20年以上先駆け、京都芸術大学は「学びと入試の不一致」を解消する入試制度改革に取り組んできた。
 2002年より実施している「体験授業型」入試では、受験生が大学の授業を実際に体験し、教員がその取り組み姿勢や表現力を直接評価。受験生にとっては入学後の学びを具体的にイメージでき、大学にとっても「共に学ぶ適性」を確認できる仕組みとして高い評価を得てきた。
 さらに本年度からは、アートやデザインの経験がなくても「探究のプロセス」や「熱意」を多角的に評価できる「探究プロセス型」入試を導入。受験生は「探究学習ワークシート」と5分以内の説明動画を提出し、課題設定の着眼点・探究プロセスの深さ・表現力・熱意といった、従来測りにくかった要素を評価対象としている。
 結果として、2026年度入試の総合型選抜では志願者数5,713名(前年比130%)を記録。
 探究学習で育まれた力を正当に評価する入試制度として、高校・教育関係者からも注目を集めている。

京都大学とNTT西日本がMoUを締結

 国立大学法人京都大学(京都市左京区、湊 長博 総長)とNTT西日本株式会社(大阪市都島区、北村 亮太 代表取締役社長)は、相互の知見・資源を活用し、地域社会の発展および学術・技術の振興への寄与に向けた、MoU(Memorandum of Understanding、覚書)を2025年10月15日(水)に締結した。

背景・目的
 データ社会の進展に伴い、データ駆動型研究はさまざまな分野で重要性が高まっている。大学には学術的知見を基盤とした先端研究の推進が、企業には社会実装を通じた持続的成長への貢献が求められている。
 京都大学は長年にわたり、多様な学術領域で世界を先導する知見を蓄積し、社会課題解決のための研究開発と人材育成に取り組んできた。一方、NTT西日本は地域社会に根ざしたICTインフラを強みとし、デジタル技術を活用した新たな価値創造に挑戦している。
 このような背景のもと、京都大学およびNTT西日本が、教育・研究・人材育成・地域貢献・技術開発等の分野において協力関係を構築し、京都大学が掲げるキャンパスプラットフォーム構想の実現およびそれに向けたInnovative Optical and Wireless Network(以下、「IOWN」)技術の実装、人材交流(研究者の育成・確保・活用)、知的財産管理等を含む包括的な連携を推進することを目的に、本MoUを通じ、取組の強化を一体となって実施していく。
 
取り組み
 京都大学およびNTT西日本は、以下の項目について、相互に連携・協力し、取り組みを強化していく。
京都大学が掲げるキャンパスプラットフォーム構想の実現に向け、NTTのIOWN技術を活用した新たな協創基盤の創出
IOWN技術の社会実装を加速するため、教育・学術分野への応用および地域社会への展開
社会課題の解決に資する実証プロジェクトおよび共同研究の推進

MoU締結時期
2025年10月15日(水)

今後の展開について
 京都大学およびNTT西日本は、これまで以上に連携強化した検討・取組を一体となって実施することで、地域社会の発展および学術・技術の振興への寄与による新たな価値創造に努めていく。

大学独自アプリにマルチエージェント構成のAIアドバイザー機能を搭載

 追手門学院大学(大阪府・茨木市、真銅 正宏 学長)は、大学公式アプリ「OIDAIアプリ」向けに、生成AIを活用した新機能「AIアカデミックアドバイザー(仮称)」を新たに開発した。「OIDAIアプリ」の最新版となるバージョン6.0として、2026年3月に正式にリリース予定だ。
 この機能は、日本で初めて大学独自アプリにマルチエージェント構成の学生向けAIアドバイザーを実装するもので、統合データベースと呼ばれる個々の学修データや行動データ、就職情報などを集約したデータベースを基盤に、生成AIが学生一人ひとりに最適化された学修支援を提供する。

 AIアドバイザー機能は、大学の統合データベースに蓄積された学修情報や学内情報、学生の入力する学びやキャリアにおける興味・関心等をもとに、履修・資格取得・留学・就職活動、課外活動など、学生生活に関する様々な相談に対して個別最適なアドバイスを提供する。学生がバディエージェントに相談をすると、相談内容に応じて各領域に特化したエージェントが回答を生成する。

 このマルチエージェント構成の仕組みは、従来の単一エージェントによる構成と比較して、正確性(精度の高い応答)、保守性(応答の改善のし易さ)、拡張性(新しい分野への拡張)の点で優れており、日本の大学における独自アプリへの採用・実装は初となる。また学生のCXを重視し、「Inspire」「Personalize」「Bridge」の3つを開発原理に掲げ、全てを本アドバイザー上で解決しようとするのではなく、学生の気づきや挑戦を促し、教職員による丁寧な支援を必要とする場面では、対人支援に適切に繋げていくことをめざした点も大きな特長だ。