文部科学省は8月25日、2017年度からの10年間で公立小中学校の教職員定数を約3万人増やすとする中期計画をまとめた。障害のある子供や外国人らが増える現場の課題に対応し、安定的に指導できる体制を目指す。公立小中学校の教職員定数は子供の数に応じて決まる「基礎定数」と、課題に対応するために配分する「加配定数」で決まる。文科省は現在加配定数になっている通級指導の教員と、外国人を指導する教員について基礎定数に組み替える方針。来年度予算の概算要求ではそれぞれ890人、190人の増員を求める。
官民協働海外留学支援制度の「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム」(以下「トビタテ!」)は9月3日、第2回 留学成果報告会を東洋大学白山キャンパスにて開催した。
代表派遣留学生プレゼンテーションをした学生たちと審査員。
この報告会には「トビタテ!」に参加した大学生136名、高校生10名の合計146名が出席。午前中は同制度で留学した学生全員によるプレゼンテーションがあり、それぞれ留学経験や現地での取り組みを発表した。午後には、その学生たちと来場者が直接意見交換できるポスターセッションの場が設けられ、プレゼンデーションでは話しきれなかったウラ話や、留学を経験して見えてきたことについて同制度の支援企業や関係者らと活発に議論をしていた。
ポスターセッションが終わると、会場を井上円了ホールに移し、午前中のプレゼンテーションを受けて審査員から選ばれた9人の学生が「代表派遣留学生プレゼンテーション」をした。9人の発表は「留学を通じた成長」「今後の期待」「伝え方」などから総合的に評価され、最優秀賞、優秀賞、優良賞が選出された。
そして見事、最優秀賞に輝いたのは「理系、複合・融合系人材コース」に参加した大阪市立大学大学院工学研究科修士2年の儀賀大己(ぎがだいき)さん。儀賀さんはトルコのイズミット湾横断橋建設プロジェクトにインターン生として参加。はじめは、現地の人たちとの文化の違いや信頼を得られないことに悩んだが、積極的に仕事に取り組んだことで徐々に信頼関係が生まれ、最終的にはインターン生から契約社員に昇格。ゆくゆくはこの経験を活かし、途上国にノウハウを伝授していきたいという。表彰を受けた儀賀さんは、「光栄な賞をもらえて嬉しい。留学中は大変だったが頑張ってよかった」と受賞の喜びを語った。
受賞した2人と笑顔で記念撮影する文部科学大臣政務官の樋口尚也氏。
優秀賞を受賞したのは「新興国コース」に参加した、広島大学大学院教育学研究科修士課程2年の伊達文香(だてふみか)さん。伊達さんは自分の好きな洋服で途上国の女性の自立をサポートしたいとインドへ留学。ファッションショーを開催し、参加者200人を集めるなど大成功を収めた。今後はオリジナルの洋服をインドで制作・販売するビジネスを立ち上げたいとのこと。「これからがスタート。この賞を励みに明日から頑張っていきたい」と今後の抱負を語った。
審査員の一人、ソフトバンクグループの青野史寛執行役員は「146名それぞれにストーリーがあった。審査は難航したが儀賀さんは留学先で信頼を勝ち取ったこと、伊達さんは留学経験を次につなげようとしていることが素晴らしかった。今後はトビタテ!の仕組みが日本を変える仕組みになるのではないかと思う」と講評した。学生たちの一体感が印象的だった報告会は、大盛況のうちに幕を閉じた。
兵庫県明石市は9月から、世帯の所得を問わず第2子以降の認可保育所や幼稚園などの料金を無償化した。秋田市は今年4月2日以降に生まれた第2子以降について、認可保育所や認定こども園、幼稚園を無料にした。世帯の納税額や第1子の年齢などに条件がある。香川県坂出市は第1子が保育所や幼稚園に通っている場合、所得に関係なく第2子の保育所や幼稚園の料金を無料にした。岡山県備前市は第1子から所得を問わず保育所や認定こども園、公立幼稚園を無償化した。
国は条件付きで第2子の料金を半額、第3子以降を無料にしているが、さらに支援を手厚くする。若い世代が子育てしながら働きやすい環境を整えることで、人口減に歯止めをかけ、地域を活性化させる狙いだ。
一般社団法人アクティブ・ラーニング協会と立正大学が共催する「第4回アクティブ・ラーニングフォーラム(全国教職員研修会)」が8月26日、東京都品川区の立正大学 品川キャンパス内で開かれた。全国の小・中・高校、専門学校・短大・大学の教員約300人が出席した。次期学習指導要領改訂に向け教育現場の関心の高さがうかがえる。
下村博文元文科相
下村博文元文科相がゲストとして登壇し、アクティブ・ラーニング(AL)の重要性や海外に比べ日本のALはまだ成長できる。子どもが意欲を持って授業に取り込める工夫や努力して、日本の教育全体に大きく発信していけるよう応援したいとあいさつした。
子供達に近い教育現場からは、茨城県立並木中等教育学校の中島博司校長と、静岡県立韮山高校の鈴木映司教諭が発表した。
中島校長は自ら考案した「AL指数」や「R80」などの理論を解説し、「ALか講義かという二項対立ではなく、ハイブリッド型の授業がいい。私が理想と考えるのはAL指数20、つまりAL化は授業の学習活動のうち2割」と説明し、授業終わりに80文字以内で学んだ事を書く事。前半40文字、後半40文字でまとめ、前半と後半の間に接続詞を入れる「R80」の説明も行った。
鈴木教諭は、授業支援アプリを活用した、地理の授業を紹介した。
有識者として、上越教育大学教職大学院の西川純教授、東京学芸大学の森本康彦准教授が登壇。
西川教授は「ALだから成績が上がる」、「子どもが分からないと言っているときは、わからない単語が出てきた時に起こる。小学生が容積、代金、など難しい用語を日常的に使わないが問題文には使っている。そこでつまづく」と原因を説明。「子どもがみんなで勉強を分かろうとする文化を作るべき」と、アクティブラーニングの重要性を強調した。
森本准教授は「eポートフォリオ/学習記録データを活用したALと学習評価」について語った。