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中国大型ロケット「長征5B」 無制御で大気圏に再突入 残骸が地上に到達

 中国の大型ロケット「長征5B」のコアステージ(大型ブースター)が7月31日の未明(日本時間)、インド洋上空で大気圏に再突入した。長征5Bは7月24日に打ち上げられ、人工衛星のモジュール「問天」打上げの役目を終えた後、残骸がそのまま放棄されていた。中国が同ロケットを放置状態で落としたのは、この2年で3度目となる。懸念されていた地上への被害はなかった。

日本学術会議 軍事・民生両用の科学技術研究を容認

 日本学術会議(梶田隆章会長)は小林科学技術相にあてた7月25日付の書面で、軍事と民生双方で活用できる「デュアルユース(両用)」の先端科学技術研究について、軍事に無関係な研究と「単純に二分することはもはや困難」とし、事実上容認する見解を示した。日本学術会議は国内の科学者の代表機関であり、軍事目的の研究に一貫して反対する立場だが、安全保障に絡む研究の推進が重要視される中、踏み込んだ考え方を示した。
 見解では、「科学技術を(軍事への)潜在的な転用可能性をもって 峻別し、その扱いを一律に判断することは現実的ではない」と指摘。科学技術の急激な進歩により、軍事と民生の区別をつけるのが難しくなっている。
 日本学術会議はこれまで、科学者が戦争に関与した反省などから、1950年と67年にそれぞれ「軍事目的の科学研究を行わない」などと表明。2017年にも防衛装備庁の研究制度に懸念を示す声明を発表していた。

第7波で感染急拡大 ワクチン4回目接種の対象を医療従事者などに拡大

 厚生労働省は、感染の急拡大を受けて専門家でつくる分科会を開き、新型コロナウイルスワクチンの4回目の接種について、厚生労働省は、現在、60歳以上などに限定している対象者を、7月22日から医療従事者や介護4回目接種の対象者を医療従事者や高齢者施設や障害者施設などの職員まで拡大する方針を示した。
 現在は60歳以上の人と、18歳以上の基礎疾患のある人か医師が「重症化リスクが高い」と判断した人に限定されている。
 また、オミクロン株に対して高い効果が出るよう改良されたワクチンが、今秋にも実用化される可能性があるとして、厚生労働省は重症化リスクのある高齢者などで、従来のワクチンを2回以上接種した人は、接種できるよう準備を始める方針も示した。

宇宙飛行士の若田光一氏 宇宙飛行の前の最後の記者会見で意気込み

 今秋から5回目の宇宙飛行に臨む宇宙飛行士の若田光一さん(58)が7月21日、東京都内で記者会見し、「若い世代が月・火星探査へと夢をつなげてくれるようなミッションにしたい」と意気込みを語った。飛行前としては国内での最後となる記者会見となる。
 日本人宇宙飛行士の若田さんの今回の宇宙飛行は、日本人最多の5回目で、日本人最高齢となる。米スペースX社の民間宇宙船「クルードラゴン5号機」で国際宇宙ステーション(ISS)に向かい、約半年間滞在する予定。アメリカ航空宇宙局(NASA)は打ち上げ時期をことし9月と公表している。
 飛行する時には59歳となり、日本人最高齢での宇宙飛行になることについて「日々、運動しているので体力に問題はありませんが、最高齢の記録はほかの方にぜひ破ってもらいたい」と語った。
 ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続く中、クルードラゴンには若田さんのほか、米露の飛行士が搭乗することが決まっており、若田さんは「さまざまな国のクルーと仕事をするのはこれまでと同じ。国際協力の重要性を多くの人に感じてもらえる機会。ISSではチームワークを維持してきちんと成果を出していきたい」と強調した。

国立科学博物館 海棲哺乳類情報データベースにストランディングマップの機能を拡充

 独立行政法人国立科学博物館(篠田謙一 館長)は、国内で発生した鯨やイルカなど海棲哺乳類のストランディング(海岸に打ち上がってしまう現象)事例を検索して地図上に示し、視覚的に比較・考察できるコンテンツ「海棲哺乳類ストランディングマップ」を公開した。 この検索マップ(https://www.kahaku.go.jp/research/db/zoology/marmam/map/)では、海棲哺乳類の和名や発見年月、発見地名などを検索すると、該当するストランディングが起きた地点が地図上にポイント表示される。また、表示されたポイントをクリックすると、吹き出しでそれぞれストランディングが起きた状況、地名、日にち、緯度・経度などの情報が表示され、いつ、どこで、どの種にどのようなことが起こっているのか、傾向などを地図上で確認することができる。さらに、個々のストランディング事例の対象個体について、研究機関が調査をしているのか、標本などは残されているかなどの関連データも、連動する既存の海棲哺乳類ストランディング情報データベース(https://www.kahaku.go.jp/research/db/zoology/marmam/drift/)から確認することができる。
 幼稚園児から高校生の自由研究、大学や企業、自治体などでの生物多様性研究や保全活動へと、活用の可能性が広がる。

▼「海棲哺乳類ストランディングマップ」の入り口は、「海棲哺乳類ストランディング情報データベース(https://www.kahaku.go.jp/research/db/zoology/marmam/index.php )」の画面右側にあります。

NASAの23年度予算 バイデン政権が過去最大を要求 有人火星探査に本腰

 バイデン米政権は3月28日、議会に2023会計年度(22年10月~23年9月)の予算教書を提出した。航空宇宙局(NASA)によると、NASAの予算として過去最大の260億ドル(約3・2兆円)を要求した。

 NASAは、2025年に初の女性や非白人飛行士の月面着陸を目指すアルテミス計画や、2040年までに人類が火星を歩く、有人火星探査計画があり、これらに多くの予算が使われる。

 アルテミス計画をベースとする深宇宙探査に76億ドル、月へ向かう新型有人宇宙船「オリオン」や打ち上げロケットの開発に47億ドル、月面着陸船を開発する企業の募集に15億ドルが計上された。

 また、2030年に運用を終了する国際宇宙ステーション(ISS)の後継開発を、民間企業と連携して進めるための予算も盛り込まれている。

欧州宇宙機関 ロシアと決裂で火星探査機の2022年打ち上げは困難

 欧州宇宙機関(ESA)は、ロシアの国営宇宙開発企業となるRoscosmos(ロスコスモス)と共同で、火星探査計画「ExoMars」で探査機を2022年後半に打ち上げ、2023年に着陸させる目指していた。しかし、ウクライナ情勢の悪化により、加盟国によるロシアへの制裁が実施され、2022年の打ち上げは予定通りに進む可能性は「ほぼなくなった」と、現地時間2月28日に発表した。

 ESAによると、この計画はESAとロシアの宇宙機関Roscosmosが共同で進めており、当初のスケジュールでは、もともと2020年に予定されていたが、技術的なトラブルやパンデミックに関連する問題で、2022年9月に延期し、カザフスタンからロシア製ロケット「Proton-M」を使って探査機を打ち上げることになっていた。ロシアへの対応をめぐる加盟国との協議を受け、加盟国はロシアに対する制裁を完全に履行する予定だ。
 また、ロシアによる侵攻で、NASAとロシアの関係や国際宇宙ステーション(ISS)の運用にも緊張感が生じている。

光学活性化合物の新しい合成法を開発
高知高専5年生の論文が『Chemistry – A European Journal』誌のHot Paper及び表紙に選出

 高知工業高等専門学校(以下「高知高専」)ソーシャルデザイン工学科新素材・生命コース5年の野並玲奈(のなみ れいな)さんと白井智彦講師らの研究グループは、イリジウム触媒を用いて医・農薬の開発に有用な光学活性キラル分子の新しい合成方法を確立した。同研究成果は、2022年1月28日(金)公開のChemistry – A European Journal誌(欧州化学会誌)に掲載され、同誌のHot Paper(同誌の編集者が特にその重要性を認めた論文)及びFront Cover(表紙)に選出された。

 同研究により、アルデヒドと呼ばれる一般的な分子を新しい手法で医・農薬開発に役立つ分子へと変えることに成功。独自に設計・合成した触媒を使う事で、分子の構造を精密に制御することにも成功した。これにより、廃棄物が少ない新しい合成プロセスとして期待される。

 化合物の適用範囲が限定されるなどの課題はあるが、技術を発展させることで、医・農薬候補化合物の自在合成に繋がることが期待される。

 本研究は、高知工業高等専門学校 ソーシャルデザイン工学科 新素材・生命コース5年の野並玲奈(のなみ れいな)さんを中心として実施されたもの。野並さんは、低学年時から英語プレゼンコンテストへの参加やTGK(Techno Girls of Kochi Kosen;女子学生支援の基盤となる組織)の代表学生として様々なイベントを企画するなど学内外を問わず精力的に活動してきた。4年時に配属された研究室でも積極性と粘り強さを発揮して研究に取り組み、本科生で欧州の学術誌に筆頭著者として論文を発表し、注目すべき論文・表紙に採択される快挙を成し遂げた。卒業後は専攻科への進学が決定しており、更なる研究の発展が期待される。

【発表論文の情報】
論文名:Cationic Iridium-Catalyzed Asymmetric Decarbonylative Aryl Addition of Aromatic Aldehydes to Bicyclic Alkenes (カチオン性イリジウム触媒を用いるビシクロアルケンへの芳香族アルデヒドの脱カルボニル型不斉アリール付加反応)
著者名:Reina Nonami1, Yusei Morimoto1, Kazuya Kanemoto2, Yasunori Yamamoto3, Tomohiko Shirai1 (1高知工業高等専門学校ソーシャルデザイン工学科(新素材・生命コース)、2中央大学理工学部、3北海道大学大学院工学研究院)
雑誌名:Chemistry – A European Journal
公表日(オンライン公開日):2022年1月28日【論文】、2022年2月9日【表紙】、2022年2月10日【Cover Profile】
論文URL: https://doi.org/10.1002/chem.202104347
表紙URL: https://doi.org/10.1002/chem.202200316
Cover Profile URL:https://doi.org/10.1002/chem.202200317

白井研究室ホームページ URL: https://shirai-t.wixsite.com/website

■高知工業高等専門学校について
 高知高専はこれからの社会の変化と時代のニーズに対応できる人材を育成する1学科制の高等専門学校。1・2年次では、教養科目・専門基礎科目・実験実習で基本力を身につけ、3年次からは専門分野5コースのいずれかに進み、コアな専門分野と多面的な知識を融合、幅広い学識・技術が活かせるハイブリッド型の人材を育成している。

【学校概要】
会社名:独立行政法人国立高等専門学校機構 高知工業高等専門学校
所在地:高知県南国市物部乙200-1
代表者:井瀬 潔
設立:1963年
URL:https://www.kochi-ct.ac.jp/
事業内容:高等専門学校・高等教育機関

恐竜を絶滅させた小惑星が落ちた季節は”春”

 約6600万年前に恐竜を絶滅させた小惑星が地球に衝突したのは、北半球が春の時期に起きたとする研究結果を、オランダなどの欧州の研究チームが2月24日付の英科学誌ネイチャーに発表した。

 小惑星は直径約10キロで、メキシコのユカタン半島に衝突した。衝撃でチクシュルーブ・クレーターができた。白亜紀の最後に衝突したが、季節がいつかを絞り込むのは難しかった。

 研究チームは、米国ノースダコタ州の「タニス」と呼ばれる場所で、小惑星が落ちた白亜紀末と古第三紀を分ける「K/Pg境界」と呼ばれる地層から、衝突で広範囲に散らばった岩石によって生き埋めになったとみられるチョウザメの骨の化石などを調べた。
 チョウザメは季節によって骨の成長速度が違い、木材の年輪のような成長パターンが骨にできる。保存状態がよい魚6匹について、化石を薄く切って顕微鏡などで骨を調べたところ、魚が死んで骨の成長が停止した痕跡により、時期が春だったことがわかった。

 春は生物の成長や繁殖に重要な時期で、北半球の大型恐竜は多くの卵や子どもが小惑星の影響で失われ、絶滅につながった可能性がある。南半球にも恐竜はいたが、小惑星の衝突で大量のちりが空中を漂い、地球全体の気温が低下して冬のような状態が続き、絶滅したと考えられる。恐竜や翼竜、アンモナイトなど当時の生物の76%が絶滅したと考えられている。

 論文は科学誌のサイトに掲載(https://www.nature.com/articles/s41586-022-04446-1)された。

収蔵庫から新種の巻貝化石を発見 国立科学博物館

 千葉県銚子市に分布する銚子層群※1(中生代前期白亜紀の浅海成堆積物)から採集され、千葉県立中央博物館に寄贈された岩石を詳しく調査したところ、これまで銚子層群から報告されていなかった微小な巻貝を12種類発見し、そのうちの6種が新種として記載された。銚子層群の巻貝化石としては、42年ぶりに新種が加わったこととなる。

 今回の研究の特色として、博物館に寄贈され、収蔵庫に保管されていた岩石から新種が発見されたこと。寄贈を受けた資料は、公的機関において収蔵する価値が高いと判断されたものだが、その資料から新しい発見が得られることは、博物館等の研究施設における自然誌研究や保管機能の重要性を改めて示すもの。
 この研究成果は、2022年1月1日発行の日本古生物学会の国際学術誌「Paleontological Research」(パレオントロジカル・リサーチ)において発表された。

【発見の経緯】
 今回、新種として記載した6種の巻貝化石は、博物館資料として収蔵されていた、千葉県銚子市に分布する銚子層群君ヶ浜層(前期白亜紀“約1億2500万年前”)から採集された岩石より見出された。この岩石は、銚子市在住の山田勝彦さんによって、1998年に採集され、2000年に千葉県立中央博物館に寄贈されたもの。
 この岩石には貝類化石が多量に含まれており、これまでに発見されていない微小な種類が見つかる可能性があった。千葉県立中央博物館の伊左治鎭司は、2011年頃から、有孔虫などの微化石を探す手法(ボロン法)を用いて、この岩石から微小な化石を抽出する調査を開始し、多数の微小な巻貝化石を発見した。
 この巻貝化石に関する調査を進める過程で、軟体動物化石に詳しい芳賀拓真(国立科学博物館)に意見を求めるとともに、共産する微化石の同定に関しては中生代の微化石研究に実績のある柏木健司(富山大学)にも助言を求め、科学研究費等を用いた共同研究を開始し、その成果として新種の巻貝化石を記載する論文を発表した。

【用語解説】
※1 銚子層群 
 銚子半島の海岸周辺に分布する中生代前期白亜紀に堆積した地層の集まり。台風のような嵐の影響を受ける浅海で堆積した地層が特色。今回発見された新種は、銚子層群君ヶ浜層より産出し、その地質時代はバレミアン期にあたる。

※2 微化石を探す手法 
 有孔虫や放散虫などの微化石研究に用いられるボロン法を用いた。ボロン法は、泥質岩に含まれる雲母鉱物からカリウムイオンを分離し、ナトリウムイオンや水に補わせることによって粘土鉱物化させ、自然界で起こる風化現象を急速に人工的に引き起す。この処理により、岩石を軟泥化させ、水洗い処理だけで微小貝を取り出すことが可能となる画期的な方法である。