東京藝術大学は、大学院映像研究科修士課程の新たな専攻として、2026(令和8)年4月に「ゲーム・インタラクティブアート専攻」を開設する。先端技術や情報通信環境が高度化したデジタル社会における新しい芸術領域として、ゲーム分野に係る教育研究を開拓するもの。
東京藝術大学では、美術や音楽、映像、プログラミングなどのデジタル技術等様々な要素を統合的に組み合わせて構成されるゲームを、「現代における新しい総合芸術」であると捉え、2019年から映像研究科メディア映像専攻・アニメーション専攻内にゲームコースを開設し、ゲームに係る教育研究を展開してきた。ゲームの表現や制作技術は日々進化を続けている。近年では、医療や教育、地域振興などの分野でゲームを活用する研究や実践も広がっており、より良い社会を実現するためのツールとしての役割も果たしてきている。
ゲーム・インタラクティブアート専攻では、ゲームコースでの実績を発展させ、芸術分野のアプローチからゲームの多様性や可能性をさらに拡大させるべく教育研究を展開していく。
また、ゲーム・インタラクティブアート専攻を深く知ってもらうため、7月24日(木)に専攻開設発表会「藝大がゲーム専攻を作る理由」を開催する。
[ゲーム・インタラクティブアート専攻の概要]
・専攻名称:ゲーム・インタラクティブアート専攻
(英語名称:Department of Games and Interactive Arts)
・入学定員 :20名(収容定員:40名)
・専任教員数:7名(教授4名、准教授1名、助教2名)
・キャンパス:東京藝術大学上野キャンパス 東京都台東区上野公園12-8
・取得できる学位:修士(映像)
・専攻公式サイト:https://games.geidai.ac.jp/
養成する人材像
ゲーム・インタラクティブアート専攻では、新たな芸術領域である「ゲーム」について、その芸術表現を昇華するとともに、社会における「ゲーム」の多様性や可能性を拡大していくべく、以下のような人材を養成していく。
・ゲーム分野で、主体的な創作・研究活動を行える人材
・デジタル技術を駆使して、新しい表現の開拓や社会的問題解決に取り組むイノベーティブな人材
・他分野に関する専門性と、ゲームやインタラクティブメディアに関する専門性を併せ持ち、ユニークなコンテンツを生み出す人材
・グローバルな視野で創作・研究を捉えられる人材
カリキュラムの特色
ゲームおよびインタラクティブアートにおける表現を実践的に探究することを重視し、制作を通じた研究の深化を目指す。日常的な制作指導は少人数のゼミ形式で行い、分野を横断した協力関係を築く力を養う。また、定期的な講評会やプレイテストを通じて、専攻全体から多角的なフィードバックを得る機会を設ける。さらに、成果を広く社会に発信するため、年2回の展示公開を実施する。
特別演習・少人数ゼミ形式による制作指導(必修科目)
ゲームを総合的・多角的に捉えるため、5つの研究領域「企画・ゲームデザイン領域/ゲームテクノロジー領域/映像表現領域/社会応用領域/文化・美学領域」を設定している。1年前期ではまず各研究領域のアプローチを知るための特別演習授業が組まれる。その後、学生はいずれかの研究領域に所属しますが、講評会やプレイテストを通じて他領域の教員からも指導を受けることができる。
創作活動の支えとなる、最新技術やゲーム文化を学ぶ授業(必修科目)
VRやイマーシブ環境などの表現技術や、空間AIやセンサー技術などの開発基盤技術、またゲームが辿ってきた文化的歴史や背景に関する授業を通じて、創作活動の基盤となる技術や知識を習得する。
各要素を追求していくための科目群(選択科目)
研究内容や専門分野に応じて、ゲームやインタラクティブアートを構成する各要素に関する技術・知識をさらに追求するための選択科目群も用意している。ゲームエンジン、インタラクティブミュージック、現代ゲーム文化に係る授業を新たに開設するほか、映像表現や演出、シナリオ構成等に係る理論や手法を学ぶ映像研究科共通科目も履修できる。また、ゲーム分野の教育研究において欧米でトップの実績を持つ南カリフォルニア大学(University of Southern California)等との海外大学との国際共同制作プロジェクトに参加することもできる。
求める入学者像(アドミッションポリシー)
ゲームやインタラクティブアートの創作研究においては、視覚芸術や音楽芸術などの表現力や、体験デザインなどの論理的な構成力、情報技術を駆使して実装する能力、構想を具体化する企画力などの個々の能力を集結させて、相乗効果を生み出すことが重要だ。そのため、この専攻への入学に際しては、ゲームやインタラクティブアートをはじめアニメーションや映画などの映像諸分野や、視覚芸術、デザイン、身体表現などの美術諸分野、演奏、作曲など音楽諸分野において創造的な活動を行ってきた経歴に限らず、情報・工学分野におけるソフトウェア開発や研究活動の実績なども評価の対象とする。
この専攻が受け入れる者には、芸術系学部の出身者だけでなく、理工系学部や高等専門学校等のバックグラウンドを有する者も含まれる。いずれの場合も、これまでの創造的な活動の成果に加えて、修士課程での研究構想を総合的に評価して入学者の選抜を行う。
※2026(令和8)年度入学生に係る入学試験は、2026年1~2月に実施する予定。受験資格・出願方法・入試方法等の詳細は8月上旬に公開予定の募集要項で発表する。
※ゲーム・インタラクティブアート専攻の開設に伴い、映像研究科メディア映像専攻およびアニメーション専攻におけるゲーム研究分野の学生募集を停止となる。