スタディプラス株式会社(東京都千代田区、廣瀬高志 代表取締役)のStudyplusトレンド研究所は、2025年6月に、学習管理アプリ「Studyplus」上で全国の高校3年生を対象とした「年内入試に関するアンケート」調査(有効回答232名)を実施した。
この調査によれば、年内入試に学力試験を導入することについて「賛成」と答えた受験生が全体の約4割(40.9%)となった。
賛成の理由としては、「公平性や透明性が増すから」が56.8%と最も多く、「努力の評価に必要だから」(51.6%)、「入学後の勉強についていけるか心配だから」(48.4%)、「一般入試との差を縮めるのに必要だから」(47.4%)などの声が目立った。
一方、「反対」と回答したのは12.5%。その理由として、「学力以外を重視するのが年内入試の目的だから」(56.8%)、「受験生の負担が大きくなると思うから」(51.6%)、「学校の成績や活動実績の評価が薄れるから」(48.4%)などが挙がった。自由記述欄には、「就職活動の早期化と同じことが起こるのでは」といった、受験競争や選抜時期の早期化に対する懸念の声も見受けられた。
また、年内入試に関する情報の入手先については、「担任や進路指導の先生」(30.2%)が最も多く、「学校で配られた進路資料」(9.1%)、「高校の進学説明会」(9.1%)といった学校内の情報も上位を占めていた。これらから、年内入試についての情報収集は依然として学校が中心となっている現状が浮かび上がる。一方で、「大学の公式サイト」など、自ら情報を積極的に取りに行く生徒も一定数存在しており(12.5%)、受験生の情報行動の多様化も見て取れる。
2024年度、東洋大学や大東文化大学など首都圏の一部大学が年内入試に学力試験を導入したことは、受験制度の大きな変化として話題となった。文部科学省も2025年6月、年内入試での学力試験導入を条件付きで認める通知を出しており、今回の調査結果からは、受験生側もこうした変化に対し一定の期待を持ちつつも、負担増や制度の目的とのズレに対しては慎重な見方もしていることがうかがえる。
Studyplusトレンド研究所は、今回のアンケートを踏まえ、「受験生の約40%が年内入試への学力試験導入に『賛成』と答えたことから、『公平性』の向上や入学後の学力格差是正への期待が感じられる。一方で、『反対』した受験生からは『受験生の負担増加』や、『就職活動の早期化と同じ流れが生じる』ことへの懸念も根強い」とコメントしている。今後は文部科学省の通知を受けて、さらに多くの大学に広がることが予想されるが、「受験生たちがプラスに受け止められるような形で制度が整備され、より良い進路選択につながることが望まれる」としている。
制度変更が進む中で、受験生の声をどう汲み取り、より良い進路選択や学びの環境に繋げていくか。現場への丁寧な情報提供や、評価基準の透明性確保、そして受験生が納得できる制度設計が今後ますます求められそうだ。