ジールスは8月5日、日本の屋内環境に最適化した準国産コンパクトヒューマノイド「D1」を正式発表した。医療・介護施設、製造・物流、ホテルなど、人手不足が深刻化する現場での活用を想定する。価格は1体500万円からで、同日から導入相談と販売の受付を開始した。
D1は、AIによる自然な対話、受付・案内、施設内ナビゲーション、多言語対応に加え、双腕による物品運搬や作業補助を担うことを目指す。全高は約129.3cm、走行ベース幅は約48cmで、病院やホテル、オフィスなどの限られた通路やエレベーターでも稼働しやすい設計とした。最大約8時間の連続稼働を想定している。
同社は、すべての部品を国内で構成する「純国産」ではなく、世界水準の部品や技術を取り入れつつ、AI、ソフトウェア、制御、組立、日本の現場に合わせた導入・運用を国内主導で進める「準国産」から社会実装を始める。D1で得たデータや運用ノウハウをもとに、将来的には主要部品の国産化を進め、純国産ヒューマノイドにつなげる構想だ。
安全面では、アームの全軸にトルクセンサーを搭載し、人や物体との接触を検知した場合に動作を停止できる仕組みの実装を進める。筑波大学附属病院での先行PoCでは、実環境に近い条件下で、人との接触ゼロ、転倒ゼロで検証を完了したという。
社会実装に向けては、医療、保険、リース、デプロイの4領域でパートナーと連携する。医療分野ではCUC、桜十字グループ、CHCPと活用可能性を検討し、受付案内、健診誘導、見回り、声かけ、物品準備などから段階的に検証する。なお、D1は医療行為そのものを代替するものではなく、まずは間接業務や業務補助を対象とする。
保険面では三井住友海上、リース面ではJA三井リース、みずほリース、三菱HCキャピタルと連携し、導入時のリスク管理や初期負担の軽減を図る。現場への導入支援ではGMO AI&ロボティクス商事、筑波大学発ベンチャーのQuickと協業する。
ジールスは販売台数だけでなく、ロボットが実際に業務を担った「現場稼働時間」を重視する。2026年度内に100台を量産し、累計1万時間の稼働実績を目指す。人手不足が進む日本の現場で、ヒューマノイドがどこまで実務に組み込まれるかが注目される。



