名城大学のバイオリマテリアル創製センターは二酸化炭素(CO2)やメタンといった地球温暖化の原因物質を資源にする研究に取り組んでいる。研究室の一室に並ぶ鮮やかな緑色の液体のもとは「シアノバクテリア」と呼ぶ光合成をする細菌の仲間だ。遺伝子を操作し、光が当たるとCO2を吸収してエチレンを作るようにした。温暖化ガスを削減するのではなく、積極的に利用してやろうと発想を転換した。樹脂や繊維など様々な化学品の原料となるエチレンや燃料の製造を狙っている。
香川県を中心に四国地方に総合学習塾「啓真館」などを展開するケイシングループ(原田真一代表)は4月1日、岡山県を中心に展開する「パスカル数理ゼミ」をグループ化する。ケイシンは、啓真館が、昨年の週刊『ダイヤモンド』特大号において、香川県の「No.1学習塾」に選ばれるなど、地域に根差したきめの細かい指導に定評のある塾を運営している。
一方、パスカル数理ゼミは、中学1年生から高校3年生を対象に、数学と英語のみの少人数制授業をおこなっている。数学では、「問題の解法」だけでなく、「解法の背景にある数学理論」を教え、公式の暗記や計算能力だけでなく、数学的思考力の養成を目指している。英語も、文法だけに偏らず、総合的な英語の活用ができる能力と国際感覚を持った学生を育成する。さらに、大学合格のためだけに勉強をするのではなく、論理的思考力(ロジカルシンキング)の養成など受験のその先も見据えた、高度なカリキュラムを用意しているのが特徴だ。それを裏付けるように、ケイシングループの竹本睦俊取締役は「昨年13名在籍した大学受験を目指す生徒のうち、4名が東京大学に合格しました」と言う。このように、難関大学の合格者も多く輩出しており、授業レベルの高さが伺える。
パスカル数理ゼミは、倉敷、福山、岡山の3教室に加え、この4月から高松にも開校する。また、ケイシングループに参加するにあたり、リニューアルした岡山校では、「パスカル数理ゼミ」、「代ゼミサテライン予備校」に加え、医学部とそれ以外の理系学部の受験生を対象とした「パスカル予備校」の3つのブランドで展開する。
大学入試や英語など教育改革に関する議論が進むなか、塾でも合格実績だけではなく、グローバル社会を生き抜く上での思考力や英語力などが身につけさせるためのサービスが拡がっている。今回のケイシンのように、特化型の塾をグループ化して、サービスの拡充をねらうケースが、今後も各地で進むものとみられる。
オンライン学習塾『アオイゼミ』を運営する株式会社葵は、この4月から新たに、最難関公立高校受験生向けのオンライン学習塾『SACLASS(サクラス)』の提供を開始する。このサービスの特徴は、それまでライブ授業を無料で配信していたアオイゼミとは違い、有料でのサービス提供(受講料:2万7000円・税別/月、入会金・教材費・夏期/冬期講習代含む)となっていることと、入塾テストが設けられていることだろう。
まず、有料サービスになったことで、受講生には様々な特典が用意されている。例えば、受講生一人ひとりに「専属チューター」がつくことは特筆すべき点だ。そして、そのチューターと講師によって、「やることリスト」という受講生一人ひとりに合った学習リストが作成され、それをもとに勉強の進み具合に合わせて、過去の講義動画を使った復習や予習などのアドバイスをしてくれる。その際の面談は、チャットのような形で双方向のやり取りが可能になっている。さらに、サクラスの受講生限定で、いつでも何度でも質問できる「質問掲示板」も設置され、24時間以内に質問に対する回答が返ってくるなど、手厚いフォローが受けられる。
また、ハイレベルな授業について行けるように、オンラインのサービスとしては珍しく入塾テストが設けられており、基礎学力を養成するアオイゼミとは一線を画している。
ライブ授業は、毎月郵送される専用テキストを使用して、米アップルのiPadで受講する。そして、授業中も直接質問することが可能になっているだけでなく、例えば部活や用事で授業が受講できなくても過去の授業動画を常時無制限に見て学習することができる。
また、自習用テキストや参考書には、受験研究社の教材から生徒一人ひとりに合わせた形で提供される。初年度は、中学3年生を対象に、100名限定で募集する。基本的には、数学と英語のみの週2日の4講座だが、夏期講習と冬期講習は、それに加えて国語、理科、社会の入試対策授業も配信される。
「自分のデバイスで好きなものを見る、使う現代に適した学習スタイルを提供し、次世代の学習塾をつくりたいと思っています」と同社代表取締役塾長の石井貴基氏は語る。SACLASSはオンライン学習塾の新たな市場を開拓するのか、動向を見守りたい。