Archive for: 12月 2017

「愛される塾には理由がある!」 全国学習塾協同組合が勉強会を開催

全国学習塾協同組合(AJC)は11月19日、第6回パロス塾運営勉強会を開催した。隔年で開催している本勉強会の、今回のテーマは「愛される塾には理由がある」。3名の講師が、それぞれ有益な講演を実施した。初めに登壇したのは、さくら労務コンサルティング 特定社会保険労務士の浦島行徳氏だ。浦島氏は学習塾特有の「コマ給制度」には落とし穴があることを紹介。また申告制の出勤管理では労働基準監督署から指導を受ける可能性が高いことから、タイムカードに変えるべきであること、さらにはアルバイトであっても有給が発生するため本人から要望があれば支給しなければならないことなど、塾経営における様々な盲点を指摘した。

続いて、習志野市で40年にわたり塾を運営している修学舎 塾長の玉城邦夫氏が講演。塾を立ち上げてから多くの先生のところへ見学に行っているという玉城氏は、現在でも毎月のように千葉県内の塾へ見学に行っており、今あるのは仲間のおかげであると述べた。またアンテナを立ててほかから学ぶ塾は伸び続け、そうでないと衰退していくと強調。修学舎で実践していることは何でも伝えるため、その代わりに効果のある取り組みを1つ教えてほしい、そしてAJCに入会してほしいと訴えた。さらに生徒を集めるには「限りなく安くすること」「実績を確実に上げること」の2つに尽きると主張した。

ラストは千葉市の学習塾、青葉学院 塾長の佐久田昌知氏が講演。佐久田氏は自塾の取り組みをざっくばらんに紹介した。例えば生徒獲得コストは1人につき2〜3万円で、チラシ3千枚で1人、DM400枚で1人獲得できているという。そのため生徒100人増やすには300万円ほど必要であるが、もし広告費が年間売上の5%に達した場合はコストのかけ過ぎであるとした。

また、入会相談では塾側から質問することが大切であるほか、学校生活において「欠席」は内申書に響くが、「遅刻」であれば問題ないなど、塾に入っていなかったら知り得なかった情報を伝えることも必要だと説明。さらに成績下落による退会を防ぐため、一時的に成績が下がるかもしれないことを入会時に伝えておくことが重要で、退会の申し出があってから伝えたのでは言い訳にしか聞こえないので気をつけるべきだとした。様々な具体例を挙げながら詳細にわたる情報が提示された講演に、参加者は多くの気づきを得たに違いない。

「アオイゼミ」を運営する教育ITベンチャー企業の葵 Z会グループ入りを

通信教育の株式会社Z会(静岡県長泉町、藤井孝昭社長)と、中・高生向けにオンライン学習塾「アオイゼミ」を提供する株式会社葵(東京都新宿区、石井貴基社長)は、葵がZ会の100%子会社となり、Z会グループに参画することを発表した。
「アオイゼミ」は、12月5日現在で登録ユーザー数が40万人を超え、有料のプレミアムプランの新規加入者数は、昨年同期比で300%以上に伸びており、今後さらなる加入者数の増加が見込まれている。
 そんな中、葵はなぜZ会グループへの参画を決めたのか。葵の石井貴基社長は、「創業から5年間ベンチャー企業としてやってきましたが、教育というのはノウハウの蓄積、コンテンツの生産を独自でやり切るのは時間がかかります。また、オンライン学習サービスにも様々な業種からの参入もあります。その中でナンバーワンのサービスを目指すために、Z会あるいは、栄光グループのリソースを活用させていただくことを決めました」と、その理由を話す。
 Z会グループに葵が加わることによって、様々なシナジーが予想される。例えば、葵の持つ4000本以上の映像授業、Z会の教材、グループの栄光ゼミナールが持つ中学・高校・大学受験のコンテンツなどの相互活用や共同開発が可能になる。
 また、グループ以外の学習塾に教材を販売しているエデュケーショナルネットワークは、デジタル教材の開発に葵が持つ開発力を生かすことができるほか、教務などにおけるICTの利活用に、アオイゼミのオンラインで培ったノウハウが使えることも大きい。
 来春以降には、共同で立ち上げる新規事業の計画も進んでいる。EdTech(教育系ITベンチャー)企業である葵のZ会グループへの参画は、新たな業界再編の嚆矢(こうし)となるか。注目が集まる。

塾を対象に「サス学」の提供を計画

株式会社ジェイシー教育研究所(千葉県千葉市、佐藤健一代表)は、学習塾に向けた「サス学(※)」セミナーを12月に東京と大阪で開催した。「サス学」の理念と特徴、そして現場での実践例が紹介された。
 「サス学」は、サステナビリティ学習の略で、三井物産株式会社と一般社団法人サステナビリティ・エンパワーメントが運営する探究型学習塾ネクスファが共同開発した。社会の事象を題材に、子供たちの「持続可能な未来を作り出す力」を育てるための探究型の学び方だ。
 授業は、「探究する心」「多様な価値観」「思いやる心」「やりとりする力」「生み出す力」「伝える力」の6つの力と心に着眼して進められる。具体的な授業の流れは、まずテーマを決め、テーマについてインプットとアウトプットを繰り返し、最終的にその成果を発表(プレゼンテーション、展覧会・ポスターセッションなど)する。

杉浦正吾氏。「12個全部結ぶ子もいれば、あるいは1つだけ深く結ぶ子など子供の個性によって「『サス学』らしんばん」の使い方が違いおもしろい」

 そこで積極的に活用されるのが、オリジナル教材「『サス学』らしんばん」。これは、あらかじめ設定された12の項目からテーマが〝ものごと〟とどのように繋がっているかを俯瞰でき、学びを発展させるためのツールだ。
「例えば、『未来型の図書館を作ろう』というテーマの場合、『サス学』らしんばんを使えば、『図書館と宇宙』、『図書館と生き物』などと繋げることで、未来の図書館を具体的にイメージすることができます。文字通り、思考のためのコンパス(羅針盤)になっています」と、ネクスファの杉浦正吾代表は話す。
 学びを通したアウトプットは、子供たちだけでなく保護者も参加する発表会で行われる。大人が思いつかないようなアイデアが披露されることもあり、保護者からも高い評価を受けている。
 しかし、発表の結果だけでは子供たちの学びを評価しないのもこのプログラムの特徴だ。ネクスファは、発表に至るまでのプロセスを大事にしながら学習評価を行っている。その評価軸は、東京大学などと協働しながら研究開発が進められてきた。
「私たちが見据えているのは、子供たちが大人になったときに自ら生きていく力を身につけもらうことです。2020年には大学入試が変わりますが、そこで必要になってくるのがまさにこの力だと思います」と、ネクスファの辻義和副代表は語る。

堀洋一氏。「5月に東京ビックサイトで開催される第10回教育ITソリューションEXPO(EDIX)にブース出展し、「サス学」のコーナーを用意する予定です」

 現在、ネクスファは通常授業のほかに、2014年から開催している5日間の集中プログラム「三井物産『サス学』アカデミー」や、2017年からは、柏の葉T-SITEのT-KIDSシェアスクールで1日完結の「サス学」プログラムを提供するなど、他社との連携も積極的に進めている。今後は、ジェイシー教育研究所が主体となって、「サス学」のライセンス事業も展開していく。
「2018年度には夏期講習向けの短期プログラム、2019年度には通年講座用プログラムの提供を目指しています」と、ジェイシー教育研究所の堀洋一氏は、今後の計画について語る。

※「サス学」は三井物産株式会社の登録商標。

金沢工業大学、AI人材育成に向けたプログラムを開講

金沢工業大学は日本IBMの協力により、AI人材育成のための社会人向け教育コース「AI ビジネスエンジニアリングプログラム」を同大学の虎ノ門大学院で2018年春から開講する。

ビジネス課題解決のためのAIプロジェクトの企画立案からAI活用の法的課題、運用、実際の導入事例をもとにしたケース・スタディーやディスカッション、最先端技術のハンズオンなど、ビジネスとテクノロジー両面でのスキル育成を図る。同コースの提供により金沢工業大学は、AI活用の需要がさらに高まる産業界において即戦力となる人材の早期育成を目指す。

金沢工業大学では、昨年11月から教職員による学生指導にIBM® Watson およびIBM Watson Explorerを活用し、学生一人ひとりにあった学修機会を的確かつタイムリーに提供することで、学生の自己成長を支援する「コグニティブ・キャンパス」の実現を進めてきた。このようなコグニティブへの取り組みを背景に、より現実的な課題をAIの活用により解決できる人材を育成するため、教育プログラムの開講を決定した。
日本IBMがWatsonに関する教育コース開発で学校法人を支援するのは初めての取り組みとなる。

「AI ビジネスエンジニアリングプログラム」が開講するコースは次の4つで、各コースは2時間の授業を8回で構成されている。

1) AI基本コース: AI活用を検討するビジネス・パーソンを対象に、AIの技術動向や活用法、法的課題やプロジェクト実施時の考慮点などを通して、AI導入プロジェクトの企画立案能力の習得を目指す。

2) AIビジネスコース:企業のIT部門、エンジニア等を対象に、実際のAI事例をもとにしたケース・スタディーやディスカッションを通して、AI 導入プロジェクトの提案書作成能力の習得を目指す。

3) AI技術基礎コース: 企業のIT部門、エンジニア等を対象に、既存のAI技術を活用したアプリケーション構築をハンズオン型で体験することにより、Watson認定技術者試験の合格に必要な知識習得を目指す。

4) AI技術上級コース:主にエンジニアを対象に、機械学習・深層学習をはじめ、AIが適用可能な領域、考慮点、限界点などを理解・考察し、新たなAI製品のサービス開発に役立つスキルの習得を目指す。

金沢工業大学では、同コースのトライアル版を2018年2月と3月に開講する。また、同コースの内容を大学生向けにも開発し、2019年から大学一年生向けの選択科目として受講可能にする予定だ。

N予備校、CG技術体験教材を無料一般公開

学校法人角川ドワンゴ学園 「N高等学校」は、ネットで課外授業を受けることができる双方向学習アプリ 『N予備校』にて、12月21日、「CG技術体験」の教材を無料で一般公開をした。『N予備校』プログラミングコースでCG(コンピュータグラフィックス)を扱った教材は初めてとなる。

この教材は2017年秋の紫綬褒章を受章した西田友是氏(UEIリサーチ所長、東京大学名誉教授)とCG-ARTS協会(公益財団法人 画像情報教育振興協会)の共同研究により作成された。西田氏はCG分野の世界的発展に尽力したパイオニアで、株式会社ドワンゴ(本社:東京都中央区、代表取締役社長:荒木隆司)のCG研究機関である「UEIリサーチ」の所長を務めている。

学習者・教育者がCGの基礎技術の理論を視覚的に体験することで、より一層の理解を深めることができるものとなっている。通常のN予備校の講義とは異なり、CGアルゴリズムの動く実装サンプルとして、体験中のCGのソースコードを確認できる学習参考教材となっている。なお、『N予備校』プログラミングコースでは、入門コースの一部と本CG教材のみが、現在無料で一般公開されている。

3Dプリンター 数年前に比べ購入しやすく

3Dプリンターの普及が進んでいる。3年ほど前に10万~30万円だった個人向けの中心価格帯は、現在では5万円前後まで下がっている。税別で2万円を切るモデルも登場している。背景にあるのが3Dプリンターに関する特許の有効期限切れ。開発コストが下がり、低価格製品の投入が相次いでいる。3Dプリンターは産業用と、個人向けなどの民生用に大きく分けられる。民生用はフィギュアやアクセサリーを作るのが代表的。そのほかでは工業系の大学など教育現場で使う例も多い。

JCB、Global Football Academyと提携し、東南アジアで子供サッカー教室を開催

株式会社ジェーシービー(本社:東京都港区)は、Samurai Pte Ltd (本社:シンガポール、Co-founder:斉藤 泰一郎)が運営するGlobal Football Academyと提携し、東南アジアで子供たちを対象としたサッカー教室を開催する。その第一弾を、2017年12月17日(日)、18日(月)の二日間、ミャンマーのヤンゴン市で開催した。今後、東南アジアの他の国々でのサッカー教室の実施を検討しているそうだ。

<ミャンマーにおける子供サッカー教室開催概要>
1.実施概要
【主催】JCB
【運営】GFAがオーガナイザーとなり、ミャンマーナショナルリーグの選手やコーチが指導者として参加。

2.開催日時、場所、参加者
(1) 【日時】2017年12月17日(日)
【場所】ヤンゴン市Myanmar Football Federation soccer field (Thuwana)
【参加者】約90人の子供たちと選手やコーチを合わせ約100人

(2) 【日時】2017年12月18日(月)
【場所】ヤンゴン市児童養育施設ドリームトレイン(注)にて開催
【参加者】約40人の子供たちと選手やコーチを合わせ約50人

日本アクティブラーニング協会「教育ポートフォリオ」研究会を増設開催

日本アクティブラーニング協会は、大学入試等での多面的な人物評価に活用される「ポートフォリオ」について、実証事例をもとに研究する取り組みとして、「教育ポートフォリオ」研究会を今年8月より実施しているが、全国の学校からの多数の要望を受け、2018年1月より増設実施することを決定した。来年1月の開催予定は1月13日(京都)、1月20日(東京)となっており、今後、要望に応じて全国の主要都市でも行っていく予定だ。

ポートフォリオは、テストの点数だけではわからない人の成長プロセスや非認知能力を可視化でき、振り返りによる学びの効果向上や入試における多面的・総合的評価を実現するツールとして期待されている。国内大学のAO入試や海外大学の入試ではすでに取り入れられており、2020年入試改革においては、すべての入試方式で、数年間にわたる学校内外の活動記録をまとめた活動実績報告書(ポートフォリオ)が求められるようになる。

現在、日本国内にも、ポートフォリオを活用した教育を実践している現場はあるものの、アナログでの運用になっているケースが多く、また、集合知としてモデル化されているわけではない。日本アクティブラーニング協会は、「教育ポートフォリオ」の実践という共通の目的意識を持った教育関係者と協働することで、点在しているナレッジを集め、ポートフォリオ活用型の教育モデルの形成に向けてアクションをとるため、「教育ポートフォリオ」研究会を今年8月より開催してきた。この取り組みには、中学校・高校を中心として、これまでに全国100校以上の学校関係者が参加している。

このプログラムは、独立行政法人教職員支援機構「平成29年度教員の資質向上のための研修プログラム開発支援事業」に採択されており、文科省/JASSO「トビタテ!留学JAPAN」で活用されているSNS型eポートフォリオ「Feelnote」(特許第6028123号)を使って行われる。

■名称:「教育ポートフォリオ」研究会
■対象:小中高大教職員、教育委員会、その他教育関係者
■日程:京都会場 2018年1月13日(土)13:30~17:30
東京会場 2018年1月20日(土)14:00~17:30
■定員:各日程30名(先着順) ※各団体2名様まで。
■会場:【京都】京都コンピュータ学院 京都駅前校
京都市南区西九条寺ノ前町10-5
【東京】株式会社サマデイ内 研修スペース「The Gallery」
東京都千代田区六番町12-6
■参加費:無料
■主催:日本アクティブラーニング協会
株式会社サマデイ
■申込方法:下記特設サイトのフォームより
http://www.activelearning.or.jp/studygroup/

 

《Feelnoteについて》
SNS型eポートフォリオ「Feelnote」は、SNSのような感覚で記録をしていくだけで、気軽に一生モノのポートフォリオが作成できる学習者主体のシステム。現在、文部科学省/JASSO「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」や中高一貫校などに在籍する国内の中高生、大学生に活用されている。米国の有名大学が採用し、日本の大学に展開を予定している入試システム「Universal College Application」と連携する公認システムでもある。

ウェブサイト:http://www.feel-note.com
活用事例:https://edutmrrw.jp/2017/innovation/1205_hiroogakuen

■運営事務局
一般社団法人日本アクティブラーニング協会
http://activelearning.or.jp/

やる気スイッチグループ「慣用句かるた大会」開催

株式会社 やる気スイッチグループホールディングス(東京・中央区)が運営する幼児教育の「チャイルド・アイズ」では、小学生を対象に思考力を競う「慣用句かるた大会」を2018年1月14日(日)に初めて開催する。関東の教室から勝ち上がった40名の子どもたちによる決勝大会(個人戦・チーム戦)で頂点を競う。

「慣用句かるた」は、読み上げられた内容と一致する、慣用句カードと絵カードをとる早さを競うゲーム。中学受験に出題される慣用句の頻出順に32種類の意味カード・絵カード・慣用句カードから構成されている。

■開催日:2018年1月14日(日)
■時 間:10時30分~14時30分
■会 場:やる気スイッチグループ本社 特別会場
■プログラム:
10:30~12:00(午前の部)
  ・開会の宣言/ルール・得点説明/個人戦組み合わせ発表/個人戦/個人戦点数計算

12:00~12:40(お昼休憩)

 13:00~14:00(午後の部)
  ・団体戦組み合わせ発表~トーナメントの場所決めくじびき/団体戦

 14:00~14:30
  ・講評/表彰式/記念写真撮影

公私の別なく教育について語りあう 駒込と白鷗がイベントを開催

駒込中学校高等学校は昨年12月3日、都立白鷗高等学校・同附属中学校の善本久子統括校長を招き「未来型 中高一貫教育シンポジウム」を開催した。テーマは『激動の時代を生きる日本の子どもたちへ ~公私の別なくこれからの教育を語りあう~ 』だ。

まずは基調講演として善本氏が登壇。初の都立高校であり、また都内初の中高一貫校でもある白鷗は2018年に設立130周年を迎えるが、同校ではダイバーシティを尊重しながら国際的な「競争」と「協働」の両方ができるリーダーを育てているとのこと。人種、宗教、国、文化など違いを尊重できるようになるまでは大変であるが、多様性をじっくり育成しているとした。また教育委員からは「競争」という言葉が心配だと言われたというが、手を携えるだけでなく競い合いは大切であり、競い合うことによって成長できると訴えた。

続いては駒込中学校高等学校の河合孝允校長が基調講演をおこなった。今の日本の学校はテーラーシステム型指導方式で、大手企業もこれを採用しているが、それによって横並びの閉鎖的体制や重厚長大型産業時代の成功体験から抜け出せず、教育も産業も世界から孤立したことを指摘。また自己肯定感の低い日本の子どもたちに必要なことは「いのちへの気づき」だと訴えた。今後は主体的な学びとリーダーシップが必要となるため、駒込ではSTEM教育ならびにIoT時代対応のプログラミング授業や理数探究型授業を実施、また「一隅を照らす」という教育理念を心の教育の柱にしていると紹介した。

今度は教育評論家・コンサルタントの若泉敏氏をモデレーターに迎え、鼎談がおこなわれた。大学入試改革について問われた善本統括校長は、「大学入試が変わらないと高校教育が変わらない。そしてゴールができれば高校側にもミッションが生まれるため、40年ぶりの改革は歓迎する。また本改革は一体感のあるものになりつつあるのでよいと思う」と述べた。

若泉氏が「私立学校の教員育成は独自におこなってほしいと言われているがどう思うか?」と問うと、河合校長は「読み書きそろばんといった基礎学力をすべて否定するのではなく、社会的な教育レベルを落とすべきではないことを再確認した上で、中高の教育と大学入試改革をする必要がある」と答えた。

議論が白熱するなか、会場からも質問が寄せられた。「それぞれの学校で最近はどのような取り組みをしているか?」との問いに対し、河合校長は「世界水準のディープラーニングをおこなっている」と答え、善本統括校長は「大学は通過点に過ぎないため生きる力を育もうと、高2、3生にプレゼンの授業を実施している」と述べた。

若泉氏は「子供を認め、子供が本気になったら支えていくことが必要だと思う」と締めくくり、シンポジウムは盛況のうちに幕を閉じた。