塾を対象に「サス学」の提供を計画

株式会社ジェイシー教育研究所(千葉県千葉市、佐藤健一代表)は、学習塾に向けた「サス学(※)」セミナーを12月に東京と大阪で開催した。「サス学」の理念と特徴、そして現場での実践例が紹介された。
 「サス学」は、サステナビリティ学習の略で、三井物産株式会社と一般社団法人サステナビリティ・エンパワーメントが運営する探究型学習塾ネクスファが共同開発した。社会の事象を題材に、子供たちの「持続可能な未来を作り出す力」を育てるための探究型の学び方だ。
 授業は、「探究する心」「多様な価値観」「思いやる心」「やりとりする力」「生み出す力」「伝える力」の6つの力と心に着眼して進められる。具体的な授業の流れは、まずテーマを決め、テーマについてインプットとアウトプットを繰り返し、最終的にその成果を発表(プレゼンテーション、展覧会・ポスターセッションなど)する。

杉浦正吾氏。「12個全部結ぶ子もいれば、あるいは1つだけ深く結ぶ子など子供の個性によって「『サス学』らしんばん」の使い方が違いおもしろい」

 そこで積極的に活用されるのが、オリジナル教材「『サス学』らしんばん」。これは、あらかじめ設定された12の項目からテーマが〝ものごと〟とどのように繋がっているかを俯瞰でき、学びを発展させるためのツールだ。
「例えば、『未来型の図書館を作ろう』というテーマの場合、『サス学』らしんばんを使えば、『図書館と宇宙』、『図書館と生き物』などと繋げることで、未来の図書館を具体的にイメージすることができます。文字通り、思考のためのコンパス(羅針盤)になっています」と、ネクスファの杉浦正吾代表は話す。
 学びを通したアウトプットは、子供たちだけでなく保護者も参加する発表会で行われる。大人が思いつかないようなアイデアが披露されることもあり、保護者からも高い評価を受けている。
 しかし、発表の結果だけでは子供たちの学びを評価しないのもこのプログラムの特徴だ。ネクスファは、発表に至るまでのプロセスを大事にしながら学習評価を行っている。その評価軸は、東京大学などと協働しながら研究開発が進められてきた。
「私たちが見据えているのは、子供たちが大人になったときに自ら生きていく力を身につけもらうことです。2020年には大学入試が変わりますが、そこで必要になってくるのがまさにこの力だと思います」と、ネクスファの辻義和副代表は語る。

堀洋一氏。「5月に東京ビックサイトで開催される第10回教育ITソリューションEXPO(EDIX)にブース出展し、「サス学」のコーナーを用意する予定です」

 現在、ネクスファは通常授業のほかに、2014年から開催している5日間の集中プログラム「三井物産『サス学』アカデミー」や、2017年からは、柏の葉T-SITEのT-KIDSシェアスクールで1日完結の「サス学」プログラムを提供するなど、他社との連携も積極的に進めている。今後は、ジェイシー教育研究所が主体となって、「サス学」のライセンス事業も展開していく。
「2018年度には夏期講習向けの短期プログラム、2019年度には通年講座用プログラムの提供を目指しています」と、ジェイシー教育研究所の堀洋一氏は、今後の計画について語る。

※「サス学」は三井物産株式会社の登録商標。

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