安倍首相は2月27日、3月2日から春休みまで全国の小中高校の休校を要請することを表明。私塾界ではそれに先だって、民間教育サービス事業者を対象に新型コロナウイルスが蔓延した場合に備えてどのような対策を準備しているか、2月19日から2月25日にかけてインターネットによるアンケート調査を実施し、206件の回答を得られた。
[トピックス]
休校を決定・検討する場合の目安について、『生徒やスタッフに感染者が出た場合』以外に、『地域の学校が休校した場合』、『自治体・国の要請』を判断基準にしているところが多い
「学校が休校した際も、塾は開校を続けますか?」と聞いたところ、4割以上が休校を意識している
「映像授業をはじめ、自宅で遠隔授業や面談を受けられるように準備をしていますか?」と聞いたところ37.9%が準備をしていると回答。反面、生徒数の多さや集団授業塾では難しいという回答も
「休校の案内はどのような手段で行いますか?」と聞いたところ、Eメールや電話に加えて、LINEや入退室管理システムの存在感が高まっている
映像、オンラインなどICTを使った授業の実施や振り替えを考えているところが多い
「自己判断で欠席した場合も補習をする」「新型インフルエンザの時は、一ヶ月ほどの宅習なら授業料をそのまま頂き、指示を出すだけで乗り切りました」「文部科学省の指針に基づき、自己申告であっても欠席扱いせずに出席停止とする」といった欠席の対応についての意見があった
ある塾では、「無菌教室の実施」する。更に感染者が増えた場合は、「全校舎完全休校」にするように、段階的に対応をしていく。休校分の授業は、補習を行う
[調査概要]
調査対象:教育サービス事業者(塾、予備校、学校など)
調査方法:インターネット調査
調査期間:2020年2月19日(水)〜2月25日(火)
回答者数:206名(うち、学習塾162名(78.6%)、学校17名(8.3%)、予備校8名(3.9%)など
所属している組織について聞いたところ、学習塾が78.6%、学校8.3%、予備校3.9%と続く。
回答者の役職を聞いたところ、経営者61.2%、管理者27.7%と続き、8割以上が経営幹部となっている。
エントランスに消毒液(ジェル)を常時用意しているかを聞いたところ、用意しているのが94.2%と高い割合で消毒液を置いていることがわかった。反面、1割弱は用意していない。
また、「設置しているがなかったあとの追加ストックがない」「常備しているが現状ストックが購入できていない」など、新たに消毒液が購入できていないという回答もあった。購入が難しくなってきていることがわかる。
「授業中に講師のマスク着用を認めていますか?」と聞いたところ、94.2%の高い結果に。また、新型コロナウイルス対策として、普段はマスク着用を認めていないが、今は認めているというところを合わせると、ほぼ100%が認めている。
「学校が休校した際も、塾は開校を続けますか?」と聞いたところ、37.9%が「学校に合わせて休校にする」と答え、33.5%が開校を続けると答えている。しかし、今後の状況次第では休校するといった割合を合わせると4割以上が休校を意識していることがわかった。
■⑤で「開校を続ける」に回答したかたに伺います。どのような状況を迎えた時に休校しますか? あるいは休校を検討しますか?(n=73)
『感染者多数の場合』
・社員、講師、生徒に感染者が出たら休校にします。 ・校内で発症感染、所轄から指導された場合 ・パンデミック若しくはそれに近い状況であれば休みにするが、それ以下の場合は、感染防止対策を十分に講じた上で、授業は継続する予定。 ・講師の先生が全員欠席をし、授業が困難となった時や、生徒さんが全員欠席し、授業を実施不可となった場合 ・実際の感染が関係者・生徒の間で確認された場合 ・学校において、クラスの半分以上が罹患するような状態になったとき ・個別指導のため、個々の状況と拡大により検討 ・講師が多く罹患した場合 ・教職員自身が羅漢せず、対応できる限り……。 ・塾生・講師・スタッフとその家族に感染者が出た場合と休塾数が塾生の3分の1を超えた場合
『学校・地域と連動』
・市内全ての学校が休校の場合 ・学校側・地域の外出禁止が出た際 ・今まで学級閉鎖などでは休校した事はありません。ただし、台風の時など、塾生に危険がある場合には休校しています。ですから、自宅待機と言う意味で区域の学校が休校になったらそれに準ずる形になります。 ・複数の学校、あるいは複数の地域で比較的多数の学校が休校した場合、もしくは各教育委員会や私学協会等から、子どもの外出を控えるような内容の通達が出された場合、検討の上、休校を決定することがあります。 ・個々に振替授業が可能なので、地域全部の学校が休校になった場合は休校します。 ・全学校が休校になった場合、当スクール関係者からから感染者が出た場合 ・ターゲットとなる学校が複数あるので単一の学校が休校になっても塾を休校にする理由にはならないので、少なくともメインの学校が全て休校になった段階で休塾の措置をとります ・市内の学校が一斉休校に踏み切った場合は即、全社休校とする予定。散発的な学級閉鎖には対応しない。 ・対象校全エリアが休校となった時 ・自然災害の時や、周辺のほとんどの学校で休校が相次いだ場合。 ・通っている学校が休校で、生徒が一人もいなくなった場合 『自治体・国からの要請』 ・政府から閉鎖の依頼があった時 ・自治体からの要請 ・国家の命令 感染症対策は病院基準で実施(コロナウイルス流行前から2015~) ・県教委、市教委の指示のもとの休校措置の場合 ・公的機関からの要請等の状況を勘案して対応を検討する予定 ・自治体単位ではなく、国の単位で学校が休みになったら。 ・市や区など地域での流行具合や注意喚起・指示が出た場合は休校にしようかと思います。 ・自治体等から緊急事態宣言がされたり、講師や生徒の感染者が5割以上になったとき
『危険度』
・インフルエンザより危険と判断をした場合。最近のニュースでは、致死率がインフルエンザの方が高いとの報道があります。そこまで敏感にならなくても良いのかと考えています。 ・外出することが子どもに明らかな危険をもたらす場合 ・教室を開くことで、感染の拡大が予想される時 ・市町村レベルで広がった場合 ・生徒の安全を確保できないと判断したとき ・マスク等を付けて対策をしても感染が防げないと判断した場合 『生徒・保護者からの要望』 ・保護者と相談し 休塾を希望する場合 ・保護者からの休校に関する問い合わせが一定数発生したとき。 ・振替制度があるため、休むかどうかはご家庭に委ねています。そのため、教室が使える状態であれば開校します。 ・複数の学生を預かっているので、生徒個別に休むかどうかは判断してもらう 『来校が不可能』 ・物理的に来れない台風などの場合 ・交通網のマヒ、天候不順、多数の学校における体調不良者発生
『その他』
・2020年4月入学式、卒業式の中止を決断しました ・塾の教場が感染を拡大する恐れがある場合、速やかに感染拡大防止の最善手を講ずるべきだと考えている。 ・マスコミの盛り上がり方によって
「映像授業をはじめ、自宅で遠隔授業や面談を受けられるように準備をしていますか?」と聞いたところ37.9%が準備をしていると回答し、46.6%は準備をしていないと回答した。
しかし、「準備を始めたところ」といった回答を合わせると、約4割が何かしらの対策を講じていると考えられる。集団授業や生徒の人数が多いところでは、対策が難しいという回答もあった。
「休校の案内はどのような手段で行いますか?」と聞いたところ、Eメール(61.7%)、電話(54.4%)、ウェブサイト(49.5%)という回答に加えて、LINE(39.3%)、入退室管理システム(29.6%)といったように、保護者への伝達手段が多岐にわたっていることがわかった。
休校時に生徒・保護者とはどのような方法でコミュニケーションをとりますか?と聞いたところ、電話(67.5%)と最も多く、Eメール(59.7%)が5割以上を占める。次に多いのがLINE(37.4%)となっており、「休校の案内はどのような手段で行いますか?」と同様、LINEの存在感が高まっている。
「休校中にした場合のその後の措置について」に聞いたところ、63.6%が「休校した分の授業を振り返る」と回答した。「通常どおり」は16.5%で、4.4%が「休校した期間は減額する」と答えている。
■そのほか、独自に準備している事柄等ありましたらご記載ください。(自由回答)
『教室』
・自習室の利用自粛要請 ・子供用マスクの配布(在庫限り)、机・椅子・ドアノブなどのアルコール消毒 ・定期的に除菌スプレーを散布しております。(直営校) ・消毒の徹底、手洗いの励行、加湿器の設置、換気 ・抗ウィルス加工スプレー、置き型除菌ゲル設置、ホームページや、今月号の塾新聞に学校が休校になった際の当塾の措置を事前に周知。手洗いうがい徹底の掲示物作成。 ・ウィルス除去機能のついた空気清浄器、エアコン。 ・クレベリンの設置 ・空気清浄機の設置 『手洗いうがい、マスク』 ・手洗い、うがいの励行 ・マスクの用意 ・うがい薬としてリステリンを常備 ・マスクは1万9000ほど備蓄しています。あと、液体せっけんやアルコール消毒液や除菌薬剤などは、今必死で買いだめしています。 ・マスク着用を呼び掛けていますが、有事に備えて用意したマスクが沢山あるので、着用していない生徒にはできるだけ配布しています ・マスク着用、手消毒徹底、職員の時差出勤 ・全校に加湿器、プラズマクラスターの設置 ・消毒液と共にマスクを供給している(数量限定ではあるが) ・(この時期に限り)教室内での飲食不可、入室後の手洗いを必須とする ・マスク対応を@LINEで告知しています
『独自の準備』
・アルコールを一斗缶で購入し、80%程度に薄めて、全生徒に配布をしています ・救急車仕様のオゾンを利用した空気の清浄機を利用している。 ・事務所及教室に、ある薬品会社の次亜塩素酸水専用噴霧器を設置し、感染症対策で空間除菌している。 ・長期閉講時の教材開発 ・海外に滞在している学生に対しても面接試験など緊急の措置が講じられている。 ・各家庭を順番と時間曜日を決めて回る。家庭教師的に指導する。人数が少ないので可能。 ・感染予防対策の徹底について2/17従業員・会員に文書発信しました ・多くの保護者や生徒を集める分析会などは、事前に収録したものを塾生コミュニティWEBサイトなどにアップして、行きたくてもいけない方のためのバックアップはしている。 ・OK!学習法は、常日頃から自宅で学習する習慣を育むのが柱。先の新型インフルエンザ流行時も一ヶ月ほどの宅習なら授業料をそのまま頂き、指示を出すだけで乗り切りました。 ・対応手紙の配布
『授業』
・自己判断で欠席した場合も補習をする。 ・スカイプやZOOMを使って遠隔で個別指導ができるよう準備しています ・振り替え授業でブロバン予備校の活用 ・原則として入塾時に生徒にiPadの購入をお願いしているので、休校時はオンラインでの遠隔授業の実施を検討している ・WEBでの授業とCBTでの宿題および試験の実施 ・文部科学省の指針に基づき、自己申告であっても欠席扱いせずに出席停止とする。 ・オンライン自習室を開放します。 ・自宅でのオンライン学習進捗・把握ができる形を準備している ・(通信課程併設の通学コース担当なので)普段から遠隔で生徒へ指示する指導をしている。 ・生徒同士の接触をさけるような授業内容。レッスン前後に必ずアルコール消毒する。保護者には生徒の様子や交通機関の様子によって無理をしないように通達済み ・原則、社内規定とコンプライアンス遵守のうえ、教室を運営しています ・「いっとうくん」とYouTubeチャンネルを活用予定
『業務』
・社内会議をWeb会議に変更、イベントの延期など ・担当者以外のオンラインコースの研修 ・予防のための注意喚起、連絡事項の徹底 ・保護者への文書通知。学校行事の延期・中止の検討。学校行事の各教室へのライブ配信。 ・情報収集 ・自宅にいても通常指導を実施できるようにしている ・授業前、近問題について、問題意識を高めるため、生徒と話し合いを行っている。
『イベント』
・学校外からゲストティーチャーを招いての教育活動は休止、卒業式の短縮、集団授業ブランドはSKYPEも検討。一部システムを用いた在宅学習と管理を検討中。 ・イベント参加者へのマスクの着用依頼。発熱時のイベント参加を見送る旨、事前にウェブサイトで案内
『その他』
・現状大急ぎでなんの準備をするか検討中で何とも言えないです。かなりの危機感を持っています。 ・まだ準備をしていない