株式会社白球(東京・目黒区、佐々木 啓庄 本社代表)は、広島県内の4つの商業高校と共同で「生徒が社会でも通用する個別のスキルアップ」を目指す「広島メタスクールプロジェクト」を開始した。
この取組は、4校の生徒が入り混じったメタバース環境で実施され、各生徒は校名や名前を伏せたアバターとして参加する。普段の属性や周囲の目を気にすることなく、自由に意見を表明することを通じて、生徒個人の「考え抜く力」や「人に伝える力」を養い、チームではなく個人で課題に取り組む姿勢を身につけることを目指す。
今後は、学校と企業が連携した独自の社会事業モデルの構築に向け、事業パートナーである三井物産株式会社(東京・千代田区、堀 健一 代表取締役社長)と事業展開に向けた検証を加速する。
◆プロジェクトの背景
①生徒個人が考え抜くための場所づくり
従来のビジネス探究授業では、クラス単位・グループ単位で取り組むことで協調性などを重視してきた。しかし、中には「意見を言うのが恥ずかしい」「空気を読んでしまう」などの生徒も一定数いることが予測される。
生徒が所属を明かさないことで自由な議論やアイデアが創出される場所が必要であると考え、メタバースを採用した。
②企業の参画メリットの創出
現役高校生が企業に対して忖度することなく自由な意見やアイデアを言えることは、課題を抱える企業側にとっても大きなメリットを創出できると考えている。
社会ではなかなかアプローチできない高校生やZ世代と密接に議論することで、定性リサーチ・アイデア共創・新商品開発・プロモーションなどあらゆる企業活動をサポートする場となる。
◆広島メタスクールプロジェクト 第一回目
広島メタスクールプロジェクトの第一回目として、セブンーイレブンの店舗に高校生がもっと来店したくなるようなアイデアやについて4校の生徒40名と議論を交わし、アイデアを創出していくカリキュラムを実施した。
◆施策概要
①企業の課題をインプットする全体会議(2023年6月5日実施)
まず「企業が生徒に課題を共有する全体会議」を実施した。セブンーイレブンが現在抱えている課題を生徒に共有し、生徒からの質疑応答も行うことで課題に取り組むための準備会議として開催。
②生徒のアイデアを軸に企業との会議(2023年7月11日実施)
約一ヶ月間、生徒は独自の視点でリサーチ・フィールドワーク・アイデア創出を行い会議本番日に発表した。当日は生徒と株式会社セブンーイレブン・ジャパン(東京・千代田区、永松 文彦 代表取締役社長)が深い議論をするために7つのグループに分けて少数の生徒と企業の担当者が密なコミュニケーションを図れる場を提供した。
セブンーイレブン・ジャパン ご担当者様からのコメント
高校生ならではの率直な意見を頂けました。中には耳が痛い意見もありましたが、それこそ貴重な気付きを得ることができたと強く思います。生徒の皆様が悩んで考えて下さったアイデアをヒントにこれまで以上にお客様に寄り添ったお店・商品づくりに尽力します。
◆本取組に対する学校からのコメント
①広島県立広島商業高校
実際のビジネスの場で仕事される声を聞くことができて,学校の授業だけでは聞くことができないことを知識として吸収して新しい視点で考えることができていました。何よりもメタバース空間上での取り組みだったので,発表もしやすかったのではないかと感じています。
日程調整等で難しい部分もあると思いますが,もっと様々なテーマを与えて,メタバース空間の匿名性を利用して学校を超えて色々な議論をしてほしいです。
②広島県立尾道商業高校
これまで、4校は社会や身近な課題解決のビジネスプランの構築に取り組んできたが、実際の企業との連携や、実現させるための具体的行動ということはできていなかった。
今回、この広島メタスクールプロジェクトで、セブンーイレブン・ジャパンという身近な企業、大企業にも解決したい課題があること、その解決のために高校生の力が求められていることを知ることができ、生徒の学びへの主体的な姿勢を育成するために、非常に意義深かった。
③広島県立福山商業高校
想像していた以上に生徒の反応がよかったです。他の学校の生徒のプレゼンを聞き刺激を受けた生徒やいつもは大人しく自分の意見を言うことが苦手な生徒も積極的に自分の意見を述べている姿を見ると感動で涙が出そうになりました。
参加した生徒はプレゼン能力が上がりました。自分で調べて探究する学びができました。自分の意見を発表することで自信にもつながりました。企業の方に意見を述べる機会が生徒になかなかありません。本校生徒の中には自分の意見を言いたくても言えない生徒が多いのではないかと考えています。自己肯定感が高まったのではないでしょうか。
④広島県立呉商業高校
メタバースという新しい環境で、他校の生徒と交流できることは新鮮でいいと思います。7月11日本番からの生徒同士の交流が始まって、モチベーションも上がってきたと思います。これからも勉強させてもらいたいと思います。
◆今後の展望
今回の取り組みを通じて「生徒側の価値」と「企業側の価値」の両面を検証することができた。白球と三井物産は本取り組みを広島県内全域〜全国に向けて展開するべく企業と生徒が利用できるプラットフォームの構築に向けて進めていく。
また、プラットフォーム化に向けては三井物産グループのMoon Creative Lab Inc.が運営する「メタジョブ!」が保有するデジタルワークを推進するための仕組みを本取り組みに向けて改修することで、スピーディな実装を実現します。
メタジョブ!:https://www.metajob.jp/