東大寺に奉納した「算額」の優秀解答を発表

公益財団法人日本数学検定協会(東京都・台東区 清水 静海 理事長)は、2018年1月23日(火)に華厳宗大本山「東大寺」(奈良県・奈良市)に奉納した数学の額「算額」2問の解答を募集し、2018年9月7日(金)に締め切り、優秀解答を選出した。

「算額1・2・3」公式ホームページ: https://www.sangaku123.jp/

■2018年の問題は「大仏様がお風呂に入るには?」と「大鐘の音はどこまで届くか」
今回奉納した問題は、昨年2017年までと同様2問で、1問めの問題一は「大仏様が肩まで浸かってお風呂に入るとしたら、何リットルのお湯が入る湯船が必要になるか」という問題。東大寺には、現存するなかでは日本最古の浴場である「大湯屋」があることから、この問題を考案し奉納した。問題二は、「大鐘の音はどこまで届くか」。東大寺の大きな釣鐘は「大鐘」と呼ばれ、除夜の鐘の際には8人でつきます。今回はその除夜の鐘の音が、半径何キロまで届くか考える問題を作成し奉納した。問題を解く際の条件は必要最小限にとどめており、それ以外の条件は自由に取り入れながらユニークな解答を作ってもらうことがねらいだ。
今回の応募総数は1,459通で、問題一には1,274通、問題二には185通の応募が集まった。

■問題一の最優秀解答賞に67歳(愛知県)、優秀解答賞に13歳と14歳の中学生が受賞
当協会の選考委員ですべての解答を選考したところ、問題一の「大仏様が肩まで浸かってお風呂に入るとしたら、何リットルのお湯が入る湯船が必要になるか」に対して、大仏様の断面図から適切な湯船のサイズを検討するという独創的なアプローチで解いた、ペンネーム「チームA∞I」さん(67歳)を最優秀解答賞に選出した。優秀解答賞には、大仏様の姿勢を円柱で近似しながら図案化した香高百柚さん(立命館慶祥中学校2年生、13歳)と鉄湯船をy軸回転の立体に近似させて解答を求めたペンネーム「たこぽんぷす」さん(14歳)を選出した。

■問題二の最優秀解答賞は奈良県の50歳代が3年連続3回めの受賞
問題二の「大鐘の音はどこまで届くか」は、問題一より難解な問題だったため応募数は多くはありませんでしたが、1つひとつの解答はどれも力作といえるほどのでき栄えだった。
そのなかでも大鐘をついてから鐘の音が人々に届くまでの過程を、エネルギーに着目し、物理学的な見地から丁寧に検証して解答した狩山勝さん(56歳)を最優秀解答賞に選出した。狩山勝さんは、前々回2016年、前回2017年に奉納した算額の問題二でも優秀解答賞に選出されており、今回で3年連続3回めの受賞となる。優秀解答賞には、音の距離にともなう減衰についても考察して解答した北見陽花さん(学校法人市川学園 市川中学校2年生、14歳)と、はねかえり係数や力学的エネルギーの散逸を想定しながらアプローチした布施勝朗さん(77歳)を選出した。

<2018年「算額1・2・3」優秀解答者一覧>
●問題一 最優秀解答賞:「チームA∞I」さん(株式会社毎日文化センター、67歳、愛知県)
     優秀解答賞 :香高 百柚さん(立命館慶祥中学校2年生、13歳、北海道)
           「たこぽんぷす」さん(14歳、熊本県)
●問題二 最優秀解答賞:狩山 勝さん(56歳、奈良県)
     優秀解答賞 :北見 陽花さん(学校法人市川学園 市川中学校2年生、14歳、千葉県)
            布施 勝朗さん(77歳、愛知県)
●団体賞       :立命館慶祥中学校(北海道)
            学校法人市川学園 市川中学校(千葉県)
●特別賞       :奈良市立都跡小学校(奈良県)
           ※熱心に取り組まれた団体が多かったため特別賞を設けました。

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