先生が生徒に教える塾から、生徒同士で教え合う塾へ

 株式会社アイキューブが運営する「いずみ塾」では、2020年度の高大接続改革に向けた新しい学習スタイル『アウトプット個別』授業をこの春からスタートさせた。この『アウトプット個別』は、従来の先生から授業で教わるのではなく、生徒同士で〝教え合う〟のが最大の特徴だ。自分がわかったことを人に伝える、つまりアウトプットすることで、学習内容の記憶の定着を図るとともに、今求められている表現力・思考力などの養成を促す。

 授業は、小学4年生から中学3年生の異学年、違う学校の生徒同士で行われる。先生は『コーチ』と呼ばれ、生徒たちが安心して学べるためのサポートを行う。約10人が1クラスになり、その中の3、4人でグルーピングして実施する。

「アウトプット個別」授業の様子。先生が生徒にではなく、小4~中3の異学年の生徒同士が教え合うのが特徴だ

 その際、個々の学習状況ではなく、クラス単位で成績や進捗状況を開示して、自分だけではなくて、参加しているクラス全体で取り組む空気の醸成を行い、チームごとに学力の底上げも狙っている。また、80分の授業時間のうち5分は必ず休み時間をとり、ペアで問題解決するゲームのようなアクティビティをしながら、コミュニケーションを活性化させ、チームビルディングを行っている。生徒からも友達が増えて嬉しいという声が寄せられているそうだ。

「『アウトプット個別』の成果は、短期的にはなかなか出ないと思います。しかし、目先にあるテストのためだけではなく、社会に出てからまったく通用しないような教育はしたくないという思いから開発しました」と、アイキューブの盛秀晃代表取締役専務は語る。

 その際に使うのは、同社が独自開発した学習システム『スタナビ(Study Navigator)』だ。これを使って生徒たちは課題を解き、わかる生徒に教えてもらいながら学習していく。コーチは、タブレットで生徒たちの学習状況を把握し、管理する。

 そして、『スタナビ』を用いることで、生徒それぞれの理解度や弱点、目標とするテストの予定などに合わせ、1人1人に最適化したカリキュラムや問題を提供。家庭学習の進み具合も確認してフォローすることで、何かしらの理由で塾に通う時間が限られてしまうような状況の生徒のサポートも可能になっている。

 しかし、『アウトプット個別』を始めたときに出てきたのは、教え合う以前に、他の生徒に話しかけられない、質問ができない、わからないのにわからないと言えないといった生徒の姿だった。これは子供だけの問題ではなく、大人の中にもそういう人たちはいる。しかし、大人になってから身に付く力ではない。

「それを早い段階から体験することで、社会に出てから必要な力も塾での学びを通じて身につけてもらいたいと考えています」と、代表取締役専務の盛秀晃氏は語る。

『アウトプット個別』は、塾が入試に受かるだけではない確かな〝生きる力〟を醸成するための挑戦といえよう。

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