学習塾白書2022

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ご挨拶 

 本白書の発行に際し、2013年から制作に尽力いただいた西村克之氏(享年77歳)が2022年12月24日に急逝されました。かねてより病気療養中だったところ、亡くなる数日前から高熱を出され、そのまま帰らぬ人となりました。

 西村氏には、Ⅰ章の学習塾の市場分析を執筆していただいていましたが、同年12月21日に公表された「学校基本調査」と「子供の学習費調査」のデータについて、今回の白書の中では残念ながら同氏による分析結果を掲載することができませんでした。しかしながら、彼が遺してくれた計算式によって、しっかりと最新版の教育サービスの市場規模を算出することができました。それによると、2021年度の市場規模はおよそ1兆7,190億円。株式公開をしている17社全てが前年度比増収増益となり、うち11社が過去最高の売り上げを記録したことも、この市場規模の拡大に寄与しています。このような状況になった要因は、大きく二つあると考えられます。

 ひとつ目は、コロナ禍2年目となった2021年度も、地域によって学校の休校や、学級閉鎖が続き、思うように授業が進まなかったことが挙げられます。そのため、わが子の学力低下を心配する保護者たちが、コロナ禍でもほぼ通常通り対面による授業を実施していた近所の学習塾に通わせようと思ってくれたことでしょう。ふたつ目は、多くの一般企業でもテレワークが推奨され、共働きの家庭であっても両親が日中自宅で作業したり、リモート会議に参加することが増えたことによって、休校などにより学校に行けない子供たちの居場所として、積極的に塾に子供を送り出してくれたのではないかと考えられます。

 これらを裏付けるように、小学1年生から高校3年生の学校外教育費の平均額が全学年に亘って上がっています。この平均額の上昇には、おそらく国からの給付金が家計から回された可能性もあると考えられます。ただし、小中学生の通塾率には他年度とほぼ変化ないことから、もともと塾に通わせることができた所得層の家庭はさらに塾などの学校外教育に支出をするようになった一方で、塾に通わせる余裕がない、もしくは通わせるつもりのない家庭においては、貯金や生活費、もしくは遊興費など、ほかの目的に回されたのではないかと考えられます。他方で、公立の高校に通う子供の通塾率は3〜6%低下していました。これが総合型選抜や推薦入試の割合が増えていることによる影響なのか、注視しています。

 そして、本白書では初めて2022年度の市場規模の予測値も算出しています。ほかにも全国357社の企業情報を収録しています。ぜひ次年度以降の中長期の経営計画を立てる際に資料としてご活用いただきたいと存じます。

2022年12月吉日

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