電子黒板の“比較体験倉庫”──イデアスポットが提案する新たなICT導入の形

 地域密着型の受験指導で確かな実績を積み上げてきた学習塾イデアスポット(京都府)。その指導の根幹を支えているのが、データ活用に裏打ちされた教務力だ。そして、その中心に位置づけられているのが、いまや塾運営の核ともいえる電子黒板である。
「板書が完全にデータ化されることで、教務全体の共有・分析が可能になり、講師がより生徒対応に時間を割けるようになった」と語るのは、自塾で電子黒板を使い倒しているイデアスポット代表の竹山氏だ。
その経験を業界全体で共有し、より多くの教育現場に活かしてもらいたい。その思いから今秋、同社は電子黒板の比較体験施設「Kokuban BASE(コクバンベース)」を開設した。

「Kokuban BASE」は、複数メーカーの電子黒板を実機で比較・体験できるショールーム型施設。“書き心地”“サイズ感”“機能”“コスト”といった要素を、現場目線で検討できるのが最大の特徴だ。
「どの機種を選べばいいのか分からない」、「ホワイトボードと何が違うのか」といった、導入前のよくある不安を解消することを目的としている。
 従来、複数メーカーを個別に比較・体験するには、時間も労力もかかる。「Kokuban BASE」では、それを一度の訪問で効率的に比較できる環境を整備した。
 さらに、電子黒板を活用して成果を上げてきたイデアスポット自身が販売代理を担うことで、単なる製品紹介にとどまらない、実践的な導入アドバイスを提供できる点も大きな特徴だ。「メーカーの営業担当からは操作説明しか聞けず、授業運営のイメージが湧かない」という声は少なくない。
「Kokuban BASE」では、「このタイミングで2画面を使うと理解が深まる」といった、授業内での具体的な活用例を紹介できる。
 また、イデアスポットでの成功事例だけでなく、他塾や学校など幅広い導入事例を共有することで、導入後の運用まで見据えた相談が可能となっている。
 電子黒板導入によって実現した「板書のデータ化」は、指導内容の共有や授業の再利用にもつながり、教務品質の底上げと効率化を同時に進める効果をもたらした。さらに、印刷コスト削減や授業準備時間の短縮といったコストパフォーマンスの可視化も行っており、長期的な経営改善の観点からも注目されている。
 学習塾の授業には、板書という伝統的スタイルが根づいている。その中で電子黒板やICTを導入する際には、「どこをどう切り替えるか」「従来の授業の良さをどう残すか」といった課題が必ず生じる。
「Kokuban BASE」は、その“移行期の迷い”を体験を通じて解消する場でもある。地域密着型の個別指導塾から大手チェーンの集団指導塾まで、規模や形態を問わず、自塾に最適な導入方法を発見できる場として機能する。結果として、授業品質の可視化・差別化、講師の操作負担の軽減、教材・授業の再利用・深化など、教育現場に新たな価値をもたらすインフラとしての期待も高まる。
 教育のデジタル化が加速する今こそ、ICTを“実際に触って、比べて、選ぶ”ことの重要性は増している。学習塾運営者、講師にとって、「Kokuban BASE」は導入の第一歩を踏み出すためのリアルな選択の場となりそうだ。 

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