文部科学省は来年度、日本独特の学校教育の仕組みを新興国に“輸出”する取り組みを始める。来春以降、外務省や経済産業省、教育関連企業などとともに窓口となる「日本型教育の海外展開官民協働プラットフォーム」(仮称)を設立する。2016年度予算の概算要求に関連予算として1億5千万円を計上した。想定しているのは主にソフト面だ。クラス内で役割を分担する掃除や給食、集団で練習を重ねる運動会や部活動、防災訓練などは海外では珍しく、協調性などをはぐくむ手段として評価する新興国は少なくない。
5月11日に、アカデミーホール(東京都豊島区)で、ISI国際学院 北京大学医学部進学コース第13期生の開学式が行われた。ISI国際学院は、留学を主とした教育事業を展開し、大学・高校・語学など、幅広い海外留学プロ グラムを提供している。その留学事業のひとつである「北京大学医学部進学コース」は、中国の最高学府である北京大学医学部において医学を学ぶための準備 コースと位置付けられている。
新入生たちは、まず東京で中国語、数学、物理、化学を約10ヶ月間学び、来年の3月に北京に渡る。そして、北京大学の予科コースで入学準備をし、来年の9月に正式に入学する。そこから6年間、医学を学ぶことになる。
北京大学は、大学評価の世界的指標のひとつである 「The Times Higher Education(2014‐2015)」において、48位にランクインするなど、世界的に評価が高い大学だ。その北京大学医学部のめぐまれた教育環境 の中で、新入生たちは学ぶことになる。その開学式には、北京大学医学部で学ぶことに魅かれた、全国の進学高校、国内外の名門大学の卒業生や社会人経験者た ち40名が集った。
新入生を代表して宣誓を行ったのは、柚木理克(ゆのき・みちかつ)さん。柚木さんは、岡山の大学で教育学を学び、教師になることを目指していた。し かし、教育実習の際、医療的ケアが確立されていないために、いつも保健室にいて授業に参加できない生徒を目の当たりにする。子どもによりそえる方法は、ほ かにもあるのではないか、と思ったそうだ。さらに、親友の死もきっかけとなり、医師になることを決意。
「必ず医師になるという初心を忘れずにがんばっていきたい。日本に戻ったあとは、すこしでも困っている人の力になりたいです」と、柚木さんは語ってくれた。緊張した面持ちで語る柚木さんだったが、その目には固い決意が宿っていた。
慣れない海外生活では、幾多の困難がつきまとうと思われる。しかし、留学事業で実績のあるISI国際学院のサポートを受けられることは、心強いので はないだろうか。また、海外で医学を学ぶことで、グローバルな視野をはじめ、かけがえのない知識と経験を得ることができるだろう。彼らの武運を祈りたい。