法務省は9月12日、民事裁判の支払い義務を果たさない債務者の預金口座情報を、裁判所が銀行などに照会できる制度の検討を始めた。金田勝年法相が民事執行法の見直しを法制審議会(法相の諮問機関)に諮問した。2018年度以降の法改正を目指す。離婚時に取り決めた養育費や判決が命じた賠償金が支払われない場合、銀行口座を差し押さえる「強制執行」により回収しやすくする。
ウィッツ青山学園高校(三重県伊賀市)の通信制を巡る国の就学支援金の不正受給事件で、通信制課程の一部生徒には教科書などの教材が配られていなかったことが9月12日、わかった。生徒に事実上の就学実態がなく、支援金をだまし取った疑いが強まったとして、東京地検特捜部は一両日中にも、主導したとされる同校運営会社の元監査役を詐欺容疑で立件する方針を固めたもようだ。
就学支援金は、生徒の世帯収入に応じ国から都道府県を通じて高校に支給され、生徒の授業料に充てられる。金額は1人当たり年間最大約30万円で、高校の既卒者などは支給の対象外だ。
同校の通信制には2015年時点で入学手続きや授業支援のため全国約50カ所に「キャンパス」があった。このうち「四谷LETSキャンパス」(東京、閉鎖)に在籍していた生徒十数人への支援金を不正に受給した疑いが持たれている。
地域の企業と学校が協力して独自の教育支援に取り組む動きが全国的に広がる中、和歌山市では公立学校が休日の土曜日を活用した土曜教室を行っている。文部科学省が推進する「土曜学習応援団」に登録している、株式会社アレックが開発した数字パズル「セレンブレイン」が和歌山市内での小学校5校で利用され、好評を得ている。
「セレンブレイン」は学習効果や意欲を高め集中力を上げるために役立てるもので、数字を使ったパズルを使いひらめきや気づきをきっかけに脳の活性化を狙う仕組みだ。開発の動機については、小学4年生の男子生徒が勉強に対する強いストレス反応を示した事を挙げる。勉強に喜びを見いだす塾生もいることから、「その差はどこから生じるのか探求したい」と脳科学を学ぶことを思い立った。と長洲央訓社長は語る。
実際に「セレンブレイン」を導入している湊小学校でのアンケート結果は「問題が解けるとうれしい」「頑張ったらできるから楽しい」など、達成感を得られる楽しさがポイントのようだ。一方教師用のアンケートでは「15分間集中して取り組むことで、次の学習にスムーズに入ることができた。」「パズルを解く達成感から次へ、次へと意欲がもてた」など成果が見られた。株式会社アレックは学習塾やシステム開発、認知症予防などの事業を展開している。
SKY LaboとigsZが共同開催した「デザイン思考ワークショップ 〝SKY Labo Tokyo 2016〟」のクロージングセレモニーが、8月7日、富士見丘中学校高等学校にて開催された。
SKY Laboは、スタンフォード大学院博士課程の卒業生の女性3名が、STEM領域を中心に、これからの時代を支える人材育成を目指して設立した非営利の一般社団法人。一方、igsZは、海外大学やSGU(スーパーグローバル大学)への進学だけでなく、社会に出た後グローバルリーダーとして活躍する幼小中高生の育成を目指す新しい塾のひとつである。
この2つの組織が開催したワークショップは、女子中高生を対象に3日間に渡り行われた。彼女たちは、高齢者の生活の課題を解決するために、聞き取り調査をし、プロダクトの試作品を製作。そのプレゼンテーションまでのプロセスを体験した。
今回のワークショップについて、SKY Laboの木島里江代表は、「日本ではSTEM領域に進出する女性の数が先進国の中でも圧倒的に少ない。そこで女子中高生を中心に、従来のSTEM領域にARTの遊び心を加えたSTEM+A(STEAM)のカリキュラムをスタンフォード大学のデザイン思考、エキスパートたちとともに開発致しました」と語る。
基調講演を行ったのは、IDEO共同経営者のトム・ケリー氏。「創造的に生きるための3つの秘訣」と題して、創造するための思考法を語った。
続いて登壇したのは、ドイツのKUKA ROBOTER GMBHが開発・提供している産業用ロボットと共に行うダンスアートを行う台湾出身のファン・イー氏。インタビュー形式で、ロボットとのダンスの深層などが語られた。
また、今回のワークショップのカリキュラム立案からプログラム指導を担当したスタンフォード大学教授のシェリー・ゴールドマン氏は、「《デザイン思考》とSTEM教育」と題し、エンジニアリング・アート・教育をつなげる手法としてスタンフォード大学で生まれたデザイン思考、女子中高生に向けたSTEM教育の意義などを語った。
そして最後に女子中高生たちが、ワークショップの成果をチームごとに製作した試作品とアイデアやコンセプトなどをまとめたポスターを使い、英語と日本語で発表した。
ゴールドマン氏らの講演会には保護者だけでなく、多くの教育関係者が集い、たくさんの質問が出されるなど関心の高さが伺えた。そして何よりも、ただ英語を話すだけではなくプロダクトという形にし、体系的にデザイン思考を学んだことは、未来に生きる彼女たちの糧となったことだろう。今後もSKY Laboは、中高生を中心に大人も含めてSTEAM領域の教育プログラムを推進していくという。