東京都内の認可保育施設で、保育の質の低下などに伴うトラブルが目立ってきた。待機児童解消へ定員を増やす一方で、保育士の育成が追いつかない状況が背景にある。文京区は今年4月以降、課題を抱える保育所に対し区立保育所の元施設長らが毎日現場を巡回し、今も保育指導にあたっている。内容は子供のあやし方から人員配置まで運営全般。保育所運営の要諦となるのはベテラン保育士の配置やチームプレーだが、保護者の不安解消につなげるには課題も多い。
大手学習塾で講師として働く大学生らが6月4日、未払い賃金などがあるとして労働組合「個別指導塾ユニオン」を結成し、茨城県などで「明光義塾」の名前で50教室を運営するワールドオーエー(水戸市)とフランチャイズ本部の明光ネットワークジャパン(東京都)、「代々木個別指導学院」として都内などで55教室を運営する日本教育協会(同)の塾の運営会社3社に団体交渉を申し入れた。今後はさらに8社ほどに未払い分の支払いを求めていく方針だ。
新しい労組の母体は、若者の労働相談にのるNPO法人POSSE(ポッセ)が立ち上げた「ブラックバイトユニオン」。個別指導塾で働く大学生らから「授業時間以外にも、報告書づくりなどを命じられ働いているのに、その分の賃金が支払われない」といった相談がユニオンに相次いでいた。このため講師らの労組をつくって、労働条件の改善に取り組むことにしたという。
同ユニオンでは、6月6日・7日の20〜24時にかけて、「塾ブラックバイト無料相談」のホットライン(0120−222−737)を開設。塾・教育業界からの労働相談を広く受け付ける。
5月24日(日)、全国学習塾協会九州・沖縄支部は、全体研修会・懇親会を八千閣本店(福岡県福岡市)にて開催した。
同協会支部の支部長の中垣量文氏(全教研)、常任理事の野中績宏氏(SI進学ゼミナール)の挨拶の後、講演会が開始。第一部には、ライフネット生命保険(株)の代表取締役兼CEOの出口宏明氏を招聘。「思考軸のつくり方/働き方、学び方」と題し、90分にも渡り、持論を展開。同氏は、「どんな職業であっても人間には向上心がある。もっと良くしたいなど考えている。みなさんが周囲の世界を思うように変えたいと思い、各自が『世界経営計画』を持っている。ただ、文部科学省、教育委員会などもあり、今の自分のポジションで、教育を良くすることしか出来ない。そのためには、もっと周囲を見ないといけないが、人間は脳の構造上、見たいものしか見ることが出来ない。そういった脳のクセを直すのに一番簡単なのは、「タテ・ヨコ(時間軸・空間軸)」に見て、日本はどういう教育をしてきたかを見ることが有効。これは教育以外でも適用できる」と述べた。
その後、第2部の講演会には民主党参議院議員の大島九州男氏による「教育委員会と学習塾の今後の関わり方」と題し、国の現状の取組みを熱弁。また懇親会も多くの参加者が集い、最後まで実りのある会となった。
京都市に新設される公立高校が今、注目を集めている。京都市立洛陽工業高等学校(京都市南区)と、同市立伏見工業高等学校(同伏見区)が統合し、旧立命館中・高等学校跡地に2016年4月に開校する京都工学院高等学校だ。先日、学習塾関係者向けの説明会も実施し、関係者に大きな反響を得たばかりだが、5月30日に開催した一般の保護者・中学生向けに説明会では、事前申込の1130名と当日参加も含め1,200名を越える参加となった。800人収容のホールに入り切らず、中継された映像をスクリーンで放映する別室のサテライト会場を用意するほどの盛況ぶりだ。
同校の校名は、「ものづくり都市・京都」から全国へ、そして世界へ羽ばたいてほしいという願いを込め、命名。「技術」、「社会」、「貢献」をキーワードに、京都府内全域から募集をかける。設置学科はプロジェクト工学科(仮称)とフロンティア理数科(仮称)。高校卒業後、それぞれ技術系企業への就職、理工系大学への進学を目指す。
教育活動の土台となる2つの取組みの一つ目は「プロジェクトゼミ」。大学・企業・地域と連携しながら、グループワークを通じて問題解決を行い、「つくる楽しさ」、「工夫する喜び」、「一緒に取り組む面白さ」、「社会に役立つ技術を生み出す」などを目指して行く。もう一つは「STEM教育」。科学、技術、工学、数学の一体教育を行い、新たな発見や柔軟な発想力、問題解決力を身に付けることを目的としている。
また、その他の特徴として、質の高い主体的な学びを目指し、「アクティブ・ラーニング」を全面に導入。1人1台タブレットPCを利用することも検討している。
京都大学、和歌山大学、京都工芸繊維大学、JAXA、金沢工業大学、産業能率大学などとも積極的に連携を取り、高度で最先端の知識・技術・考え方に触れ、生徒のより深い学びとやる気を促すことを目指す。
会の冒頭にて挨拶をした同高校の準備室室長である砂田浩彰氏は、「グローバル人材を高校生の段階から育成してく社会の流れに柔軟に対応できるようなキャリア教育をしていきたい。新しい学校の1ページをみなさんと共に作っていきたい。世界に、そして宇宙に発信できる素晴らしい学校にしたい」と述べた。
担当者による全体説明の後、校内に設置した個別相談ブース、ICT教育体験会、展示ブースなどにも熱心な保護者・中学生が殺到し、注目の高さが伺えた。