英検準1級レベルの英語教員、中学で3割未満 

高校の英語教員2万3368人のうち、英検準1級や、国際的な英語力テストTOEICなどの試験でこれに相当する成績を取っていたのは1万2315人(52.7%)、中学では3万813人のうち8607人(27.9%)であることが文部科学省の調査で分かった。同省では、同程度の実力を持つ教員を高校で75%、中学で50%にする政府目標に近づけたい考えだ。中高の英語教員に、昨年12月2日時点での英語の外部試験の受験状況などを聞いた。

東京基督教大 来年度から入学金廃止 授業料は値上げ

印西市の東京基督教大学(小林高徳学長)は、来年度から初年度の入学金(26万2000円)を廃止すると明らかにした。学生側の入学時の経済的負担を軽減する措置で「入学金廃止は全国の大学で2番目ではないか」としている。ただ、廃止の一方で、授業料や施設費などは値上げされるため「学校の収入はトータルでは変わらない」としている。

東北の医学部新設 卒業後の勤務地限定案

文部科学省は16日、有識者12人による構想審査会の会合を行い、3者の申請内容の審査を始めた。今後は、意見聴取などを行い、早ければ7月下旬から8月上旬の第4回会合で1校に絞り込む。委員からは、卒業後の医師の定着策や総合診療医に特化した育成を求める声が相次ぎ、これらが選定の争点になりそうだ。次回は7月4日で、3者から非公開で意見を聞く。

「障害のない社会を作るために」 交わされた熱い議論

学習塾の運営や障害者の就労支援などをおこなっている、株式会社LITALICO(旧ウィングル)の長谷川敦弥代表と、教員の採用、育成、紹介をおこなっているNPO法人Teach For JAPAN代表理事の松田悠介氏が、LITALICOの本社(東京都目黒区)で6月15日(日)、対談イベントがおこなわれた。

Teach For JAPANの松田 悠介代表理事(左)と株式会社LITALICOの長谷川 敦弥代表

Teach For JAPANの松田 悠介代表理事(左)と株式会社LITALICOの長谷川 敦弥代表

まずはじめに、各代表がそれぞれの事業を紹介。長谷川氏は「障害のない社会をつくる」というビジョンをもとに障害者の就労支援だけでなく、障害をもった子どもたちへ個性を伸ばす教育をおこなっていると説明。松田氏は「子どもたちに素晴らしい教育を」というコンセプトのもと、今後は教員の質を上げられるよう教育委員会と連携していく方針だと語った。

続く対談では様々な議論が交わされ、「私たちが障害を持つ人と接する際に意識すべきことは?」という松田氏の質問に対し長谷川氏は、「多様性を“仕方ないから”受け入れるのではなく、その人の個性をどう活かすか。お互いの違いをヒントとして、社会の力に変えていく必要がある」と答えた。

また、「障害のある子どもと接する際には彼らから教わることが多い」という長谷川氏のコメントを受け、松田氏はアメリカでは授業中に立ち上がってしまう生徒を無理矢理座らせるのではなく、立ち上がるごとに「ゴミを拾ってほしい」といった頼みごとをして、それができると褒めるという承認を繰り返すうちに子どもの立ち上がる回数が激減したことを紹介。長谷川氏もそれに大きく賛同し「その人の個性をみんながハッピーになるよう変えていきたい」と語った。
最後の質疑応答では参加者から多くの質問が飛び交い、活気に満ちたイベントとなった。

NPO学校支援協議会主催 「グローバルリーダーに育つ中学・高校の学びとは」

今年度から文科省がスーパーグローバルハイスクールとして、全国56校を指定してグローバルリーダーの養成に乗り出している。今回、NPO法人学校支援協議会が主催するシンポジウムでは、その施策に対し、中学・高校ではどうすればよいかを真っ向から考える場として法政大学市ヶ谷キャンパスにて6月1日に公開された。当日は中学生・高校生を始め、多くの教育関係者が一同に集まり、これからのグローバルリーダーをどう育てるかを考える場となった。「グローバルリーダーに育つ中学・高校の学びとは〜未来の難問に挑む子どもたちのために〜」と題した2部構成。

生徒を前に、白熱した反転授業を展開する開成高校の柳沢校長

第1部は開成中学・高等学校(東京都荒川区)の柳沢幸雄校長による反転授業の模擬授業。基礎的な内容を自宅で予習し、教室では発展的な内容を学ぶ「反転授業」。同氏は自宅で各自、「水俣病」について自習をしてきた中学生、高校生を相手に、公害病を想定した討論を通じて、率先して発言の重要性などをやさしく説いていく。今回は架空の公害病が起きた場合のケーススタディ。当事者ならどのように行動するかを生徒たちに判断し続けた。

柳澤校長から「指されたら3秒以内に発言する」「ほかの人と同じ意見は言わない」などのルールも設定され、生徒たちは迷いながらも舌戦を展開していった。柳沢校長は「常に発言を準備することで、生徒の脳が活性化され、知識の定着につながる。一方、教師には瞬間的な議論の流れに食い込んでいく技術が求められる」と話していた。グローバル社会に立ち向って行く中で、自ら発言していくことの重要性を反転授業を通じ、体感させていった。

丁々発止、意見が飛び交うパネルディスカッション

休憩を挟み、第2部では公開シンポジウム。NHK解説委員の早川信夫氏のコーディネートの下、各教育期間でグローバルリーダーの育成に取り組んでいる有識者によるパネルディスカッションが行われた。鷗友学園女子中学高等学校の吉野校長から、11年前から取り組んでいるオールイングリッシュで行っている英語授業の改革についての発表。横浜市サイエンスフロンティア高等学校の栗原峰夫校長からは、先端科学技術の知識を活用した「サイエンスリテラシー」を柱としたグローバル人材教育についての事例発表。武蔵学園(東京都)の有馬朗人学園長からは、英語で科学を学ぶ「ムサシ・テンプルREDプログラム」の事例紹介があった。

法政大学の学長の田中優子氏からはグローバル人材育成の施策の一環として取り組み始めた「国際ボランティアプログラム」、「国際インターンシッププログラム」の事例紹介が為された。「国際ボランティアプログラム」では夏休みの約2週間、法政大学の学生をアジアやその地域に派遣。そこで、環境問題、貧困問題を真正面から体験させ、国際社会に貢献しようという意識を植え付けさせる。田中氏は「知識を得るばかりではなく、現地で具体的な解決法を身に付けることが大学としての命題になる。学生たちが自主的になるグローバル体験の場を設けることが重要」と話す。

会の最後に開成高校の柳沢校長は、「グローバル人材とは地球上にいる70億人以上の人が相互に理解可能なコミュニケーションを取る事ができる人」と説き、「それには論理力が必要である」と語る。丁々発止、意見が飛び交い、最後まで飽きさせないシンポジウムとなった。

下村文科相 60校の学部新設などの審査を諮問

下村博文文部科学相は6月16日、2015年度に大学院や学部などの新設を予定している公私立の大学や短大延べ60校の計画について、大学設置・学校法人審議会に審査を諮問した。答申は10月末ごろの見通し。公立大では、新潟県立大(新潟市)が大学院国際地域学研究科を、福山市立大(広島県福山市)が大学院教育学研究科などを新設するとした。

バカロレア 日本語指導可に

「国際バカロレア(IB)」の導入を目指す高校が増えている。これまで英語、フランス語、スペイン語の3カ国語での指導を原則としてきた同機構が16年度の授業から、日本の高校を対象に、全9科目中、数学や物理、歴史など計7科目を日本語で指導できると認めたからだ。教育現場の機運は高まるが、各校で進む準備を通じ、教員の技術不足や通常の教育課程との両立といった課題も浮かび上がる。

2016年度入試から、東京大と京都大が「推薦入試」「特色入試」の実施

東京大が16年度入試から導入する推薦入試は、ペーパーテスト一辺倒だった試験から「面接での人物重視」「勉強以外の活動実績」の内容で、従来型の“受験秀才”以外の学生を獲得するのが目的だ。京都大が同じく16年度から導入する特色入試は受験科目に偏らない高校での幅広い学習を重視する一方、医学部医学科では一定の条件を満たせば高校2年でも出願できる「飛び入学」を認めるなど、「世界に通用する傑出した人材」を求めているのが特徴だ。

経済的な理由で私立高校を中退した生徒 過去最少を更新

平成25年度に経済的な理由で私立高校を中退した生徒は1校当たり0・28人だったことが10日、全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)による調査で分かった。10年度の調査開始以降、過去最少を更新した。調査は全国私教連に加盟する教職員組合がある私立高を中心に、29都府県の300校(全私立高の23・3%)に在籍する生徒25万6001人を対象に実施。13年度に経済的理由で中退したのは41校の83人だった。1校当たりのピークは19年度の1・74人で、約6分の1に減った。

奈良県立医大生、町家で食堂と学習塾

奈良県立医大の「チームPREドクターズ」が、橿原市南八木町の町家2軒を借り、食堂と学習塾を切り盛りしている。北側の建物は「町屋ダイニング はる」、南側は「寺塾」。「はる」は、現在は予約制で水曜と金曜に営業し、8人以上の団体客を受け付けている。寄せ鍋料理と、タンドリーチキンやミニタイカレー、雑炊で税込み1500円。「寺塾」の授業料は小学生が週3回で税込み1万1000円、中学生が同1万5000円、高校生が同2万3000円(別に入塾金2000円が必要)。小学生~高校生計20人を教えている。