月刊私塾界2015年4月号(通巻408号)

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巻頭言

毎年実施されている「全国学力・学習状況調査」(全国学テ)のデータを、我々が利用することに、実質的に制限がかかっている。
 政府が収集する公的統計は、「統計法」により、学術研究への活用範囲が定められている。「統計法」で「統計」に分類されるものは、一定の手続きを経ることにより、「個票」の提供を受けられる。ここにまず一つ目の落とし穴がある。
 「全国学テ」は、「統計法」に於ける「統計」に当たらないのである。総務省のウェブサイトに「統計調査には、意見・意識など、事実に該当しない項目を調査する世論調査などは含まれません」とある。そう、「全国学テ」では、子どもや親の意識調査も実施しているためだ。
 次に、二つ目の落とし穴である。各自治体に対し、情報公開請求をかければ、データを入手できる。しかし、全国の自治体の数を考えると、実質的には相当難しい。
 更に加えて、提供されるデータはCSV形式にさえなっていない。昔ながらの固定長テキストなのだ。これでは、仮に全国の自治体からデータを得ても、分析できるように加工するまでに、長い期間と多くの人員を要す。とてもではないが、現在誰もが行う、ビッグデータ解析が不可能なのである。
 「全国学テ」実施には、50億円以上が投入されている。2015年度予算において、財務省が切り出した35人学級から40人学級への学級規模の変更で削減できる予算は、86億円だ。
 国民が活用できないデータ収集のために、無駄な費用を費やしているものである。

(如己 一)

目次

  • 82 白書界隈徘徊話 西村 克之
  • 90 為田裕行の「教育ICT行」
  • 6 教育ICT考 2015 Spring
  • 16 挑む私学
      神戸女学院中等部・高等学部
  • 19 目次・巻頭言
  • 20 NEWS ARCHIVES
  • 44 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
  • 45 【特集】2015首都圏・近畿圏中学入試分析
       中学受験率アップ! 難関校からの脱却?
       今年の中学入試に何が起きたのか
  • 58 TOP LEADER VisualVisionグループ インタビュー 代表 井沢 隆氏
  • 66 新しい塾のカタチ【鼎談】産学官が切り拓く教育の未来
  • 72 教育サービス業界 企業研究(31) 株式会社フェイオレ・コネクション
  • 75 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(256)
  • 76 疾風の如く(69)
      京進スクール・ワン高津教室(神奈川県)
      教室長 守谷 英信さん
  • 78 challenge~進化形jukuのカタチ(30)集団個別進学塾 ガクシン 
  • 80 新米塾長のための「学習塾経営基礎講座」(21)
  • 84 自ら動き出すチームにする方法(7) 中谷彰宏
  • 86 新米塾長のための「部下とサシで行きたいごはん屋さん」(21)
  • 87 芸術見聞録(21)
  • 88 中学生からの子育てスクランブル(37)
  • 89 クロスワードパズル「塾長の机」
  • 91 塾長の新刊
  • 92 高嶋哲夫の「塾への応援歌」(最終回)
  • 94 林明夫の「歩きながら考える」(116)
  • 96 咲かせよ桜(7) 小林哲夫
  • 100 未之知也(いまだこれ知らざるなり)(24)
  • 103 論点2015(4) 本当に「手引」なのか? 学校統廃合
  • 106 編集後記
  • 108 Book Review
  • 110 塾長のためのガジェット講座

One comment on “月刊私塾界2015年4月号(通巻408号)

  1. […] ついて、「月刊私塾界4月号(408号)」に掲載いただきました。 http://www.shijyukukai.jp/2015/03/7171 […]