昨年12月27日(日)、若手イノベーター育成企業のキュリオスクール(東京都渋谷区)主催による、「MONO-COTO INNOVATION(モノコト・イノベーション)」の予選が都内でおこなわれた。MONO-COTO INNOVATIONとは企業が提示する課題に対し、チームを組んだ中高生がアイデアを出すというコンテスト。
参加企業は、リクルートマーケティングパートナーズ、IBUKI、富士通デザインの3社。中高生は開成、海城、品川女子学院、筑波大学附属駒場といった名だたる学校54校から、120名・33チームが挑戦した。
金型やプラスチック製品を製造しているIBUKIからは「プラスチックを使った新製品」という課題が出され、参加した10チームは中高生らしい柔軟なアイデアを創出。5分という短い時間で、自分たちの企画を一生懸命プレゼンテーションした。
例えば実際に中高生にアンケートを実施した「ヨーグルト」というチームは、登下校時間が楽しくないというアンケート結果に着目し、電車内で休める「myつり革」を提案。また、チーム「BoB」は吹くと電気が発生するリコーダーを考案し、経済途上国で発売するというグローバルなアイデアを出した。
全チームのプレゼンテーションが終わると「独自性」「ニーズ性」「挑戦性」「実現可能性」という4つのポイントで採点がおこなわれ、最終プレゼンテーションに進出できる3チームが発表された。3位は出先でアイデアを思いついたときでも、手軽にメモができるハンカチを考案した「potechi(ポテチ)」。実現可能性の点数が低かったため「今後はそれを高めていきたい」と、メンバーは決勝への意気込みを語った。
2位は、移動中の受験生が単語帳やスマホ、定期といった荷物を簡単に出し入れできるリュックを企画した「MUGEN(ムゲン)」。メンバーはまさか予選を突破するとは思わなかったと、驚きの様子だった。
そして1位に輝いたのは「安心安全に使える調理道具」というコンセプトから発想し、包丁で切っても傷つきにくいうえタブレットとしても活用できる「まな板」を考案した「PLUM」だった。女子3人からなるメンバーは口々に「今日までかなりモメたが、その甲斐があった」とうれしそうだった。
その他、アイデアが素晴らしいとして、音の出るプラスチックでパーティーゲームを企画した「玉口SHOY」が、当初は予定になかった特別賞に選出。3月13日におこなわれる決勝へ進めることになった。
リクルートマーケティングパートナーズからは「中高生が学校の場で欲しくなるモノ・コト」という課題が出されており、参加した11チームから3チームが決勝に進むこととなった。3位は勉強などのストレスを解消するための炭酸飲料を考えた「Goぽ(ゴーポ)」。このチームはクラシエフーズに問い合わせを行い、このアイデアのヒントを得たそうだ。2位は中高生がウェブ上で自分の得意なことを教え合い、学び合うウェブサービスを考えた「ほにゃー’s」。このチームは実際にサービスを構築し、β版として実装するところまで行っていた。そして1位は円柱型の机にイスがジョイントされる新しい学校用机・イスを考案した「Glasses(グラス)」。実際に1分の1スケールのモックアップを段ボールで制作し、審査員を驚かしていた。
また富士通デザインからは「スマートフォンの再定義」というテーマが出され、参加した12チームから特別賞を含めて4チームが決勝に進出することとなった参加した。3位はスマートフォンのスワイプやファイルの受け渡しをカスタマイズできるアイデアを考えた「Undecided(アンデサイデッド)」。帰国子女がチームに2名おり、プレゼンテーションで使用された動画は英語で行われていた。2位はお母さんの悩みを解決するスマートフォンを考えた「ランダムズ」。メンバー全員が中学生であったが、家事に追われつつも美も追求したいと思うお母さんの悩みを捉え、それらの悩みをアプリやハードウェアで解決するアイデアを考案していた。
そして1位はテレビカメラのようにライブ映像を切り替えながら撮影ができるカメラを考案した「Fuji Five(フジファイブ)」。修学旅行や遠足でカメラ役をしていると思い出の写真に自分の姿がない、という経験から考えられたアイデアであったため、審査員含めて多くの人が共感していた。また特別枠として、自撮りを行った瞬間に画像がプリクラのシールのようにプリントアウトされ、手帳に貼ることができるアイデアを考えた「NEWDAYS(ニューデイズ)」が選ばれた。女子中学生2名のチームであるが、女子中高生が手帳にプリクラを貼り付ける行動に着目し、もっとこの行動が楽しくなるためのアイデアを考えた末にこのアイデアにたどり着いたという。
各企業より選ばれた審査員は実用的な見地からアドバイス。それを真剣に聞いている中高生の姿が印象的だった。決勝で1位になったチームのアイデアは実際に各企業の製品として商品化されることになっており、どんなアイデアが勝つのか、次回の決勝が楽しみだ。