インド政府 SNS各社に「インド型変異株」の削除を命令

 インド政府は5月21日に発表した文書でSNS各社に対し、「インド型変異株(Indian variant)」という言葉を含む全投稿を削除するよう勧告した。WHOは、「インド変異株」と呼ばれる新型コロナウイルス亜種をB.1.617と定義しており、ウイルスやその亜種の名称に最初に発見された地域の名称を含めることに対して反対している。

 インド政府の情報筋は「今回の通達は、『インド型変異株』という言葉が誤解を広め、国のイメージを損なうというメッセージを明確にするために送られたものです」と話しているとのこと。

 新型コロナウイルスの変異株の呼び方について、インドのほか、イギリスやブラジルなど、最初に特定された地名が広く使われている。

 インドでは今年3月から変異株の感染が急激に拡大。米ジョンズ・ホプキンス大学の集計(5月23日現在)によると、感染が確認された人数は累計2675万人以上で、アメリカに次いで世界2位。死者数は30万人以上で、アメリカ、ブラジルに次いで世界3位だが、実際の死者数はこれを大きく上回ると複数の専門家が見ている。

 インド政府は今年、ソーシャルメディアの悪用や誤情報の拡散を抑制するためとするガイドラインの実施を開始した。「違法」とされる内容がソーシャルメディア上に掲載された場合、政府は運営会社に削除命令を出すことができる。期限内に運営会社が削除しなければ、訴追される可能性がある。このガイドラインによって、利用者の投稿内容についてプラットフォームの運営会社は掲載責任を免除されないことになった。

 ただし、インド政府のこのガイドラインが検閲強化につながり、表現の自由を損なうのではないかと、懸念もされている。

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