駿台、記述式問題対策AI学習教材「スルメ」で特許を取得

 学校法人駿河台学園(東京・千代田区、山﨑 良子 理事長)は、エスエイティーティー株式会社(東京・千代田区、山畔 清明 代表取締役社長)と共同システム開発した記述式問題対策AI学習教材「スルメ」で特許を取得したことを発表した。

■AI学習教材「スルメ」の特徴
 駿台では、難関国公私立大入試の個別試験で課されるような思考力を問う記述式問題への対策として、AI学習教材「スルメ」を提供している。「スルメ」は、学習者が問題を解いていく際に「ヒント・アダプティブ」という形式で学習者の学力状況を測定しながら、個人の理解度に応じた最適な「ヒント」をAIが自動で提示する仕組み。学習効果を高める最大のポイントとなる「ヒント」については、難関大入試で問われるハイレベルな記述式問題を熟知した駿台のベテラン講師陣が作成しており、学習者は解答に行き詰った際にこの「ヒント」を段階的に確認していくことで、解くための「考え方」の道筋を学び、効率よく思考力を養うことができるようになっている。

■「スルメ」で特許を取得した理由
 これまで「スルメ」には、学習者が必要に応じて「ヒント」を閲覧できるシステムが準備されていた。今回の特許は、「最も学習効果が高くなる予測正答率は50%程度である」という電気通信大学 植野真臣教授の研究を基にしている。今回の発明では、学習者にとって予測正答率をどの程度にすれば最も学習効果が高くなるかを科目ごとに分析を行った結果、最適な予測正答率は「一律50%」ではなく、「物理」や「化学」などといった科目特性により異なることが示唆された。
 そこで、学習者が正答に辿り着く確率を予測するAIを構築し、学習者にとって学習状況及び科目特性に応じて最も学習効果が高くなるように「ヒント」によって最適な難易度調整を行うシステムを開発し、「スルメ」へ導入した。これらのアイデアの新規性や、それを証明するデータが認められた結果、特許を取得することができた。

■今後の展開について
 今後、「スルメ」学習者のデータによって得られた分析結果を活用していくことで、より最適な予測正答率によって高い学習効果を生み出すことが可能となる。既に駿台で利用している中では偏差値が8程度伸びた生徒のグループもあり、個別にみると偏差値が20~30伸びている学習者も確認できた。今後は利用対象者を特定のクラスから更に範囲を広げて、より多くの生徒に「スルメ」を使った学習効果を実感してもらえるように環境を整えていく。
 また、現在運用を開始している「物理」「化学」に加えて、2024年4月より「数学」の記述式問題についても「ヒント・アダプティブ」形式での運用を拡充する。さらに「英語」についてもリスニング問題、文法問題において同様の開発を現在検討している。
 創立100年を超えた駿台は日本で最も長い歴史とノウハウを持つ大学進学指導機関となるが、従来のスタイルにとらわれず最先端の技術や最新のデータを活用しながら、この指導ノウハウをより多くの生徒に享受してもらえるよう今後も取り組んでいく。

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