GMOインターネットグループのGMOメディア株式会社(森 輝幸 代表取締役社長)が運営するプログラミング教育ポータルサイト「コエテコ byGMO」(https://coeteco.jp)は、経営コンサルティングサービスを展開する株式会社船井総合研究所(真貝 大介 代表取締役社長)と共同で、『2025年 子ども向け情報教育市場規模調査』を実施した。
■調査結果サマリー
2025年子ども向け情報教育市場規模は、前年比138.7%の352億円
市場規模は、2018年から2025年にかけて7年連続で成長
従来の「習い事」としての側面に加え、「受験対策」としてのニーズも拡大
【調査概要】
調査テーマ:国内における「情報教育市場」の規模予測
調査方法:・「コエテコ byGMO」と船井総合研究所による市場関係者へのヒアリング
・「コエテコ byGMO」と船井総合研究所が保有するデータ
・調査機関の公開情報の収集
調査期間:2025年4月1日~2025年5月30日
調査対象:①民間プログラミング教室市場
・ロボット製作とプログラミングをかけ合わせて学ぶ「ロボット・プログラミング教室」
・プログラミングを学ぶことに特化した「プログラミング教室」
②学習塾における「情報I」受験対策市場(2025年調査より追加)
※2025年度より大学入学共通テストに科目「情報Ⅰ」が新設されたことを受け、本調査より調査対象を拡大している。
※学校での「情報I」対策教材、また学童・幼稚園等でのプログラミング教材市場は含まない。
※子どもとは、小学生から高校生を対象としている。
【子ども向け情報教育市場規模は352億円】
2025年の子ども向け情報教育市場規模は352億円となった。前年比138.7%と、7年連続で成長を続けている。
その背景には、2020年から段階的に進められてきた小・中・高等学校での情報教育の必修化がある。これを契機に、基礎教育だけでは不十分と考える保護者を中心に、より実践的・発展的な学習環境を求める動きが広がり、民間教育へのニーズが高まった。
さらに、2025年度から大学入学共通テストに新設された「情報」科目が追い風となり、プログラミング教育は「習い事」から「受験対策」へと、その位置づけを広げつつある。これにより、受験産業や教育サービス業界においても、プログラミング教育の重要性が急速に高まっている。
【「コエテコ byGMO」・船井総研:情報教育市場の展望】
■共通テスト「情報Ⅰ」導入で、子ども向け情報教育市場拡大がついに本格化
船井総合研究所が発行した「情報教育白書2022年版」では、2025年に共通テストに「情報Ⅰ」が導入されることを受け、受験系情報教育市場の誕生が見込まれ、2025年には情報教育市場全体は450~530億円、2030年には850~1,100億円程度に拡大すると予測されていた。
今回の推計では、従来の子ども向けプログラミング教育市場規模が267億円(予測:350~430億円)、受験系情報教育市場85億円(予測:100億円)となり、いずれも予測を下回ったものの、市場規模は7年連続で成長した。これは、「①プログラミング教育環境の多様化」「②学校における「情報Ⅰ」対策講座の普及」「③国公立大学での「情報Ⅰ」不要・得点利用なし」という主に3点が影響していると考えられる。ただし、情報教育に対する消費者からの支出総額自体は当初の見通しと大きく変わっておらず、今回の推計結果は、市場規模推計の調査対象範囲の違いに起因するものであると判断している。
以下ではそれぞれの影響についての解説。
1)プログラミング教育環境の多様化
今回の市場規模推計においては民間プログラミング教室を対象としているが、当初の見通し以上に民間学童や幼稚園の課外教室、大手教育事業者様のプログラミング教材などの市場が拡大している。民間学童だけでも数十億円規模のプログラミング市場であると推計しており、今回の推計で調査対象範囲外であるそれらの市場を含めると「情報教育白書2022年版」にて予測していた350~430億円に近い、もしくはそれ以上の規模に拡大している可能性もある。
2)学校における「情報Ⅰ」対策講座の普及
主に高校において、民間企業が開発している「情報Ⅰ」対策講座が普及してきており、その結果、学習塾で「情報Ⅰ」対策をする高校生が想定より少なかったと考えている。利用者数は当初の想定を上回る規模で学校向けの対策講座が普及しており、教材市場だけで少なくとも数億円~10億円前後の規模が形成されている可能性が高いと推計している。
3)国公立大学での「情報Ⅰ」不要・得点利用なし
2022年に国公立大学では原則「情報Ⅰ」を課すと発表がされたが、2025年度の国公立入試においては、「情報Ⅰを利用しない」「選択科目としての利用」「得点利用しない」「得点比率を下げる」などといった対応が取られ、「情報Ⅰ」の合否への影響は想定よりもかなり小さい形に収まったと感じている。このように入試の合否に影響がない、または少なくなったことや、学校向け「情報Ⅰ」対策講座の普及の影響によって、当初の見通しと比較して15%ほど市場規模が小さく着地したと考えられる。
つまり、市場規模が予測を下回った背景には、「市場の多様化」と「受験市場の普及遅れ」があり、プログラミング・情報教育に対する消費者からの支出全体では当初の見通しに近い推移で拡大している。