叡啓大学、全国初の“不登校生向け・平日おでかけポータルサイト”を学生が開発
「家にも学校にも居場所がない」子どもの第三の居場所を可視化
学生による実践型研究が社会実装フェーズへ
広島県公立大学法人・叡啓大学(広島市中区)で、日本初となる“不登校生のための平日おでかけポータルサイト”の開発が進んでいる。開発を手がけるのは同大学4年生の成毛侑瑠樺(なるげ・うるか)さん。卒業プロジェクトとして取り組むこのサービスは、学校にも家庭にも居場所を見出しにくい不登校の子どもたちが、安心して平日に外出できる第三の居場所へアクセスできるよう設計されている。
不登校支援や学校外の学びが全国的に広がる中で、学生自らが研究成果を用い社会課題にアプローチする実践型の取り組みとして、教育関係者の注目を集めている。
■「外出したいと思った瞬間に行ける場所がない」
当事者調査で見えた“不登校と孤立”の構造的課題
成毛さんは、不登校の子どもや家族、支援者へのヒアリングを重ねる中で、
・平日の外出に伴う罪悪感
・周囲の視線への不安
・情報不足による“行き先のなさ”
といった心理的・構造的課題が浮き彫りになったという。
主に支援団体や自治体の情報は点在しており、一般開放施設・図書館・公共スペース・大学など、平日でも利用できる「学外の居場所」が体系的に整理されていない現状があった。こうした課題を背景に、「子どもたちが“行こうと思えた瞬間”にアクセスできる仕組みをつくる」ことをテーマに、データ収集・分析・ユーザー調査を踏まえながらサービスの具体化を進めている。
■日本初のポータルサイト、特徴は“心理的ハードルの可視化”
サイトでは、支援施設に限らず大学・企業スペース・図書館・オンライン居場所など、多様な拠点を一覧できる。特に、
・場所の雰囲気
・人目の気になりにくさ
・予約の要否
・利用可能時間
・初めて行く人のためのポイント
など、不登校の子どもが外出判断に必要な「心理的負担を減らす情報」を整理して掲載する点が特徴だ。現在はNPO法人「教育の環」と連携し、約98か所の拠点を掲載予定としている。
■スケジュール:2026年3月に公開予定
クラウドファンディングも実施中で、寄付者の声を反映しながら開発を進める。
【今後の予定】
〜2025年12月31日:クラウドファンディング実施、掲載拠点の収集
2026年1〜3月:取材・サイト制作
2026年2月23日:卒業プロジェクト研究成果として発表
2026年3月:ポータルサイト公開(卒業研究成果として発表)
■教育現場への示唆:不登校支援は“情報アクセス格差”の解消が鍵
不登校児童生徒は約30万人となり過去最多を更新する中、学校外の学び・居場所をどう整備するかは各自治体・学校・塾にとって喫緊の課題だ。
今回の取り組みは、教室以外の選択肢を可視化する。当事者が“罪悪感なく過ごせる平日の場づくり”を社会全体で支える。という新たな発想を提示している。
特に教育委員会・学校・フリースクール・民間教育企業にとって、「どのようにして学校外の安心拠点を情報として届けるか」という視点は今後ますます重要になるだろう。




