次期学習指導要領、AIを「使いこなす力」重視へ 情報活用能力を学びの基盤に 各教科で活用広がる見通し

 文部科学省は、次期学習指導要領に向けた議論の中で、生成AIを含むデジタル技術を適切に活用する力の育成を重視する方針を示している。AIが社会や仕事、学びのあり方を大きく変える中、子どもたちがAIを単に使うだけでなく、目的に応じて使いこなし、情報を吟味しながら自ら考える力を育てることが柱となる。

 中央教育審議会の各ワーキンググループでは、生成AIやデジタル学習基盤の活用を学習指導要領にどのように位置付けるかについて検討が進んでいる。これまで学校現場でのAI活用は、自治体や学校、教員の判断に委ねられる面が大きく、活用の有無や質に差が生じることが課題とされてきた。

 次期学習指導要領では、こうした格差を抑え、すべての児童生徒がデジタル技術を学びに生かせるよう、情報活用能力の育成をより明確に位置付ける方向だ。情報を集める、整理する、分析する、表現する力に加え、AIが生成した情報の妥当性や信頼性を確かめる力も重要になる。

 情報教育については、小学校の総合的な学習の時間に「情報の領域(仮称)」を加える案が示されている。探究学習の中で、情報の収集や整理、発信、情報モラルなどを体験的に学ぶことを想定する。中学校では、現行の技術・家庭科を再編し、「情報・技術科(仮称)」を創設する方向で議論が進む。小中高を通じて、情報活用能力を系統的に育てる狙いがある。

 外国語教育でも、AIの活用が重要な論点となっている。高精度な翻訳や音声認識、対話型AIが普及する時代に、なぜ外国語を学ぶのかという本質的な意義を問い直す必要があるためだ。次期学習指導要領では、AIを含むデジタル学習基盤の活用を明記し、生成AIを活用して自分の考えを英語で表現する活動なども検討されている。

 一方で、AIの利用には課題もある。生成された内容をそのまま信じてしまうことや、考える過程をAIに任せすぎること、個人情報や著作権、情報モラルへの配慮が不十分になることへの懸念がある。そのため、AIを使う力と同時に、AIの特性や限界を理解し、必要に応じて使わない判断をする力も求められる。

 今回の議論は、教育現場に対しても大きな変化を促す。教員には、AIを授業改善や個別最適な学びにどう活用するか、児童生徒にどのようなルールや判断軸を示すかが問われる。教材会社や学習塾、EdTech企業にとっても、AIを前提とした教材・サービス開発が一段と重要になる。

 AI時代の教育で問われるのは、正解を早く出す力だけではない。多様な情報を比較し、自分の考えを形成し、他者と対話しながら課題を解決する力である。次期学習指導要領におけるAI活用の位置付けは、学校教育を「知識を覚える学び」から「情報と技術を使い、自ら考え続ける学び」へ転換する契機となりそうだ。

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