公私の別なく教育について語りあう 駒込と白鷗がイベントを開催

駒込中学校高等学校は昨年12月3日、都立白鷗高等学校・同附属中学校の善本久子統括校長を招き「未来型 中高一貫教育シンポジウム」を開催した。テーマは『激動の時代を生きる日本の子どもたちへ ~公私の別なくこれからの教育を語りあう~ 』だ。

まずは基調講演として善本氏が登壇。初の都立高校であり、また都内初の中高一貫校でもある白鷗は2018年に設立130周年を迎えるが、同校ではダイバーシティを尊重しながら国際的な「競争」と「協働」の両方ができるリーダーを育てているとのこと。人種、宗教、国、文化など違いを尊重できるようになるまでは大変であるが、多様性をじっくり育成しているとした。また教育委員からは「競争」という言葉が心配だと言われたというが、手を携えるだけでなく競い合いは大切であり、競い合うことによって成長できると訴えた。

続いては駒込中学校高等学校の河合孝允校長が基調講演をおこなった。今の日本の学校はテーラーシステム型指導方式で、大手企業もこれを採用しているが、それによって横並びの閉鎖的体制や重厚長大型産業時代の成功体験から抜け出せず、教育も産業も世界から孤立したことを指摘。また自己肯定感の低い日本の子どもたちに必要なことは「いのちへの気づき」だと訴えた。今後は主体的な学びとリーダーシップが必要となるため、駒込ではSTEM教育ならびにIoT時代対応のプログラミング授業や理数探究型授業を実施、また「一隅を照らす」という教育理念を心の教育の柱にしていると紹介した。

今度は教育評論家・コンサルタントの若泉敏氏をモデレーターに迎え、鼎談がおこなわれた。大学入試改革について問われた善本統括校長は、「大学入試が変わらないと高校教育が変わらない。そしてゴールができれば高校側にもミッションが生まれるため、40年ぶりの改革は歓迎する。また本改革は一体感のあるものになりつつあるのでよいと思う」と述べた。

若泉氏が「私立学校の教員育成は独自におこなってほしいと言われているがどう思うか?」と問うと、河合校長は「読み書きそろばんといった基礎学力をすべて否定するのではなく、社会的な教育レベルを落とすべきではないことを再確認した上で、中高の教育と大学入試改革をする必要がある」と答えた。

議論が白熱するなか、会場からも質問が寄せられた。「それぞれの学校で最近はどのような取り組みをしているか?」との問いに対し、河合校長は「世界水準のディープラーニングをおこなっている」と答え、善本統括校長は「大学は通過点に過ぎないため生きる力を育もうと、高2、3生にプレゼンの授業を実施している」と述べた。

若泉氏は「子供を認め、子供が本気になったら支えていくことが必要だと思う」と締めくくり、シンポジウムは盛況のうちに幕を閉じた。

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