東京女子学園中学校・高等学校が2020年4月から進学コースを刷新 改革をさらに進める

 産業構造が大きく変化し、人生100年時代を迎え、大学入試改革など教育業界も大きく変わろうとしている。その中で、東京女子学園中学校・高等学校は、2020年から進学コースを刷新し、新たに「中高一貫コース」「国際教養コース」「未来想像コース」を設け、生まれ変わる。

 中学から入学した生徒も高校から入学した生徒も、中高一貫コース以外はそれぞれが希望する上記のコースに籍を置くことになる。特徴的なのは「未来創造コース」。教科学習に加えて、ある分野に特化して興味を持つ生徒を応援していく「未来学習」という呼称のカリキュラムが用意される。例えば、AI(人工知能)やロボットの領域、あるいはアートやアニメ、あるいは看護やヘルスケアなど、その領域は実に多様だ。

 この新しい3コースに共通するキーワードは「合科目」「探究」「ライフマネジメント」の3つ。全てのコースに、合科目を取り入れた学習機会を設けるとともに、全生徒が「探究」と「ライフマネジメント」のプログラムを受講する。

 「探究」授業は、「地球思考」という呼称のゼミナール形式で、中学1年生から高校3年生までSDGsをベースに学ぶ。その中には、プレゼンテーションの進め方、課題発見、調査などの基礎トレーニングから年間を通して探究活動をし、最後に論文にまとめる。

 「ライフマネジメント」のプログラムには、JTBと日本テレビがコンセプト作りに関わり、それぞれの知見を取り入れたキャリア教育を実施。アジアを中心とした海外研修も計画されている。

 これまで同校では、希望者には、シアトル、オーストラリア、セブに留学できる環境を用意していたが、この「ライフマネジメント」の中では、全員が主にアジア諸国で研修を行うことになる。新興著しいアジアを体験することで、新たな気づきを生徒たちが得られる場となるだろう。

「社会人になって自分の人生を幸せだと感じてもらう女性になってほしいと考えたときに、教科学習や部活だけでなく、『体験による経験値』が重要になると考えました。また、社会の実践を肌で感じることで、自己肯定感やアイデンティティが形成されます。その総称としてライフマネジメントと名付けました」と、同校理事兼事務長の高津稲穂氏が語るように、体験の場が今まで以上に多く用意される。 例えば、企業とのコラボレーション。その一例として、NECと協働し、8月25日に来年度から始まるコースに合わせて計画されているAI模擬授業も開催される。また、森永乳業と協働し、同社が提供するアイスクリーム『ピノ』を用いた事業開発を、同校の生徒が行うプロジェクトが進行している。9月21日、22日に行われる梅香祭(文化祭)では、その展示・販売をする予定だ。

「知識をいくら持っていても、知恵として育み、行動できなければ意味がありません。私たちは、この『行動』ということが大きなポイントだと考えています。知識を学び、知恵を育んで、行動し、それをまた実証して、振り返り、新たな知識を入れる。そのサイクルを自在に回し、行動ができる人に育てたいですね」と、高津氏は語る。

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