トライグループとギリアが「診断型」AIサービスを提供 2020年度から本格導入を目指す

 8月8日、株式会社トライグループ(東京・千代田区、二谷友里恵代表)が、2020年4月度より「診断型」AIサービスを提供することを発表した。

 これは先日、資本業務提携を発表した(https://www.shijyukukai.jp/2019/08/16922)ギリア株式会社(東京・台東区、清水亮社長)と共同開発するサービスで、トライグループは「教育事業者が主体となりオリジナルのAI教育サービスを開発・展開するのは、業界初の取り組み」と説明する。

 同サービスの特徴は、理解度を網羅的に測定する「共進化的アダプティブラーニング方式」を採用した新方式のAIシステムだということ。先行するAI教育サービスのつまずいた問題を起点として、単元を部分的にさかのぼるアダプティブラーニング方式とは違うものになっている。

「従来のアダプティブラーニング方式は、比較的学力が高い生徒の場合には有用ですが、そうではない場合、効果的に機能しないケースがあります。我々のサービスは、つまずいてからではなく、学習を始める最初の段階で生徒一人ひとりの弱点を『診断』します」(トライグループ・物部晃之常務取締役)

 これにより、これまでは対応が難しかった学力が中位・低位な生徒にも活用が可能になる。また、数学などの教科に特化するのではなく、英語・国語・数学・理科・社会の5教科が対象だ。

 これを可能にしたのは、トライグループが持つのべ120万人への個人指導を通じて蓄積したノウハウと、幅広い生徒層の学習データの存在だ。

「共進化というのは、AIと生徒がお互いに影響を与えながら共に進化するイメージです。圧倒的な量の生徒指導のデータがあったのが非常に重要ですが、今後継続的に診断型AIを使っていただくことによって、さらにAI自身が学習し、進化していきます」(ギリア株式会社・清水亮代表取締役社長)

 この『診断型』AI教育サービスでは、2〜3時間を要する一般的な学力測定の約1/10の時間で、正確な学力や苦手分野を一括して把握できる。これが実現することで、教わる側の生徒はもちろん、教える側の教師にとっても効率的な学習指導による負担軽減が期待される。将来的には学校や教育委員会など公教育への導入も目指す。

 まずは、2020年度の本格サービス開始に先立ち、今年8月より、全国47都道府県7万名を超える中高生を対象に、大規模実証研究を開始する。

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